かもいぬ校正さんの映画レビュー・感想・評価

かもいぬ校正

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毒親<ドクチン>(2022年製作の映画)

4.0

比べるとしたら『同じ下着を着るふたりの女』、あの映画は濃密な依存関係だけど、こちらは深すぎる愛としての毒親。
テーマのわりにはとても観やすい雰囲気に作られていた。高校を舞台にしたミステリー風なスタイル
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マインド・ゲーム 〜自分の道を信じて〜(2022年製作の映画)

3.5

内戦や紛争が続く国を逃れて新たな場所を求め、危険な旅をする若者を追った『シャドー・ゲーム』を振り返るスタイルで描かれ、また、庇護を受けて定住してからの彼らの現実の困難をとらえたドキュメンタリーである。>>続きを読む

サハラのカフェのマリカ(2019年製作の映画)

3.9

砂漠にポツンと佇むカフェ、その場所を訪れる者たちとマリカとのかかわり合いが映される。
ただそれだけ。

しかし、刑務所に見立てた遊びや国際女性デーへの思い、家族との不和、過去の権力者の発言など、時間や
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バイタル・サイン(2023年製作の映画)

3.9

救命救急士が主役というのは珍しいのではないでしょうか。

人生の途中で迷子になった者たちが愛おしい。
「あのころ描いた未来はこんなじゃなかった」
傷つき、迷いと後悔、怒りで爆発してしまいたいけど、職場
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緑の夜(2023年製作の映画)

3.5

ファン・ビンビン主演としか知らずに映画祭のチケットを取った作品。

性暴力のアラート表示が出ます。
想像した通り、地獄めぐりのような世界が展開。
そこに緑色の髪の女が現れ、二人の逃避行へ...。

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ミス・シャンプー(2023年製作の映画)

4.0

ヤクザの親分が美容室の洗髪係に惚れた!
『本日公休』など中華圏では美容院モノが流行り?バカバカしいノリの任侠ラブコメ。

エロ成分多めだけど男が避妊具を常時携帯は真面目にナイス。
個人的にはバイバイ(
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ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.5

村人たちが、移民や異民族を差別語で呼び、あいつらを追い出せと言う。ひとりひとり意見を出すうちに言葉はエスカレートし、「本音」が出る。ヘイトスピーチの渦となる。もはや誰にも止められない。暴力だ。人間性を>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.5

みんなに観てほしい傑作!
自分の権利は闘って勝ち取るもの。今の時代、正直は美徳なんかじゃないのがよく分かる。警察の言うことは信用するな。被疑者になったら警察と対等なんだから、「捜査協力」しちゃだめ。後
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本日公休(2023年製作の映画)

4.1

馴染みの客とのかかわりあいや幼い頃から知っている同士という、親世代のめんどくさいけど手を差しのべ合う距離。

自宅と仕事場が近いアットホームさがちょうどいい感じで、何度もうるっと来てしまう。

価値観
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星くずの片隅で(2022年製作の映画)

4.6

誰もが親しみやすい人情ドラマ。誕生日のささやかな食事などあたたかい気持ちになる場面もあるんだけど、見えない貧困には心を締めつけられる。

先の見えない香港の、小さな小さな物語。それは私たち共通の現実で
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裸足になって(2022年製作の映画)

4.0

社会構造から守られない環境にいる「社会的弱者」たちのシスターフッドが力強く美しい。相手の気持ちを想像し、共感したり慰めあったり...、強い力やお金を持つことよりも大切なのは、いたわり助け合える関係性だ>>続きを読む

見わたすかぎり人生(2008年製作の映画)

3.8

プレカリアートのブラック労働なのに楽しいエンタメで見せてくれるのが、さすがイタリア!


非正規雇用でギリギリの労働環境の女性たちが、集団心理で啓発セミナーみたいに極限までの努力と、可能なかぎりの手段
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エフラートゥン(2022年製作の映画)

4.3

盲目の時計修理技師と写真が趣味の男の超純愛ラブストーリー。

アニメーションを含めて映像が素晴らしい。

引き伸ばした彼女のプリントが部屋じゅうに吊るされている場面はエドワード・ヤンの『恐怖分子』を彷
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釜石ラーメン物語(2022年製作の映画)

3.9

男が語りたがるラーメンを素材に、女子ふたりがオトコマエに腕をふるう物語。

昭和の名残り感満載の町の食堂。店主の娘が厨房に立つが、お情けで来てくれる客でさえ麺を残し、かつて女主人の頃に賑わった面影など
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.3

済州4・3事件によってオモニの人生が翻弄されたことが、台湾の2・28事件に重なった。とても複雑な感慨で、その選択を今思うとつらい。
在日台湾人が国民党に失望して、新中国を選んでしまった人がいることとか
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ムイト・プラゼール(2020年製作の映画)

4.0

日系ブラジル人学校を訪れた茨城の高校生たちの交流を描く。

国会で議論されるような移民・難民問題が、じつは遠くのことではなく、私たちの生活の一部に存在すると実感できる。にもかかわらず、日本に住む多くの
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愛より強い旅(2004年製作の映画)

4.3

バリの仮面が映されたところからラスト怒涛の旋回まで、ルーツを探す旅に引きずり込まれた。

といっても観ているときは二人の行き当たりばったりな行動に驚き、音楽に酔いしれるばかりだったけど。


アルジェ
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War Bride 91歳の戦争花嫁(2023年製作の映画)

3.8

日本でもアメリカでも差別にさらされて、辛いことが多かった桂子さん。
でも、フランクが彼女を人として尊重してくれていたのはとても素晴らしい。
その運命はうらやましく思います。

元はテレビ番組として制作
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少年と自転車(2011年製作の映画)

4.0

危うい状態にある子どもの気持ちに沿った映画。それと同時に、たとえ実の親であっても子どもを育てられないことがあるという現実がちゃんと描かれていて、そこがよい。

主人公が出会った年長の少年が貧困層向けの
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ナイチンゲール(2019年製作の映画)

4.2

19世紀のオーストラリア、タスマニアでイギリス人将校に強姦され、夫と子どもを殺されたアイルランド人女囚の凄まじい復讐劇。
雇われた案内役アボリジナルからすれば、イギリスに奪われてきた土地と人間の尊厳を
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