hasemaさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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対峙(2021年製作の映画)

4.1

被害者の親であることの苦しみが壮絶なのは当然のことだが、加害者の親であることの苦悩もまた一際重い。誰もが泣いてはくれず、孤立し、他人も自分も、己れを責める。

加害者の母、これがまたこの人しかいないの
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すべてうまくいきますように(2021年製作の映画)

3.7

映画館は大きいホールだったのだが、満員!ということに驚いた。
ソフィ・マルソー人気なのか、尊厳死というテーマ性のせいなのか?

お父さんとお母さんの確執をもう少し映画の中で描いてもよかったのでは?
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.1

私はかなり面白かった。
好みの映画です。

まず音楽が素晴らしい。そして島の景色も。
中世の因習が微かに感じられ、その中で退屈に暮らす人々。

インテリジェンスと凡庸との対立。
凡庸さに我慢ならないイ
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.2

いつの時代も、「クソ」がいる。
先日、小川哲の「地図と拳」を読んだところだったので、日本軍も中国人も韓国人も、等しく数%の「クソ」がいて、それが銃や権力を持ちたがり、振り回し大量の血を流す。

彼らは
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.1

原作を読んでからの鑑賞。
原作を読んでない同行者に、鑑賞後聞いてみたが、この人物は誰だ?とわからないところも少しあるようだった。多くの関係者が出てくるので仕方ないのかも。
キャリー・マリガンが最後、ワ
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REVOLUTION+1(2022年製作の映画)

3.9

かなりハードルを低くして見たので、ちゃんと映画じゃないかー!と思ってしまった(笑)
失礼しました

監督の主張がはっきりと台詞として出されているが、わかりやすくてこれはこれでいいと思う。溜飲が下がる人
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.8

なんて映画。
あっという間の4時間。
ずっとこのまま見ていたかった。

なぜ退屈せずに見ていられるのか、途中で不思議だった。

残念な台詞が無いこと。
文学的素養もかなりあるとみた。

映像の切り取り
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娘よ(2014年製作の映画)

3.8

パキスタンの児童婚の実態を知ることがてきる。
しかし、この後、彼らはどうなるのか…

実話を元に作られたようなので、そこが大事なのかも。

パキスタンの過酷だが美しい自然に目を奪われた。ここで暮らすの
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アメリカから来た少女/アメリカン・ガール(2021年製作の映画)

4.0

台湾ってどこを切り取っても絵になるんだなあと思った。台湾の空気感、アパートの周辺だけなのに匂いまで感じる。(でも台湾に行ったことはない笑)
20年前くらいの設定とはいえ、結構な体罰があったんだなとそれ
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

3.8

原作をパラパラ読んでいたので、おおよその内容は知っていた上での鑑賞。

原作でも山本さんの方が迫力があるのは、実在の人の凄みには敵わないということか。若い時から同じ人が演じるので仕方ないのかもしれない
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ホラー苦手なのだが、これは大丈夫なタイプのものだった。フェミニズム映画としての側面もあるので、愛という名の抑圧を受けている女性とそれを許容する社会を描いたと思えば、多少のホラー要素はなんのその!
しか
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あのこと(2021年製作の映画)

4.3

現代の日本は堕胎こそできるようにはなったが、1960年年代のフランスの価値観とさして変わらない。この空気感は他の国のものとはとても思えない。
特に一貫して他人事の男たちと、痛みや将来を全て背負うのが女
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シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スコアかなり悩む。
途中までは、これは!今年の出色の映画では?と思って見てたのだが、後半が甘く感じた。音楽も。(特にエンドロール)

とにかく、主役の姉弟の俳優がすばらしい。やはりたくさん人がいるから
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ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.7

主役が「おばちゃん」というのがいい!
Diorの工程が出てくるのもいい!

疲れた頭と身体にちょうどいい映画でしたー!

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)

3.6

教育映画の趣きあり。(実際そうなのでは?)
飲酒のシーンや喫煙のシーンになると、右下に注意を喚起するテロップが出る!

カースト制度に対する啓発映画としての役割も持つ映画。歌も踊りもあり、旅番組のテイ
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宮松と山下(2022年製作の映画)

3.9

佐藤雅彦が制作の1人に名を連ねているので、鑑賞。最初の屋根の映像から好み。さすが佐藤雅彦。
先日見た「ある男」とテーマが被る。「分人」であることが必要とされる窮屈な現代社会なのだと思う。忘れ去りたい過
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ある男(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

原作を読んでの鑑賞。
原作が面白いので、映画も十分楽しめた。
原作を読まずに見た同行者も評価高し。

平野啓一郎の原作なので、ネトウヨの方達がうっかり見ると腹立たしいだろうな。小藪はどういう気持ちで出
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

原作を読んでの鑑賞。
想像通りの沼地の家と湿地に感動!

小さい頃の生活が映画ではあまり描かれていないのは、時間の関係で仕方ないにしても、チェイスは原作ではもっと魅力的で、カイアが惹かれても仕方ない感
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.3

こらは見る人を選ぶタイプの映画なのかな。
私の周りの人で多分いいという人はいなさそう。

でも、
私はチョー好みでした。
最初の10秒くらいでモノクロの画面にまずこれは好みだなと確信。
モノクロでなけ
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普通に死ぬ いのちの自立(2020年製作の映画)

3.9

「普通に生きる」を数年前に鑑賞。今回はその続編となる「普通に死ぬ」の上映会に行ってきた。

重症心身障害者たちが、他者に自分の意思を伝えることがどれほど命懸けのことであるか。
意のままにならない身体を
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アムステルダム(2022年製作の映画)

3.9

実話ものはそもそも好きなんだけれど、「ほぼ実話」と言うキャッチコピーはうまいなと思う。
フィクションの作り込み方が大胆で楽しめた。

アメリカにもこんな陰謀があったのか。連合国がファシストだったら、と
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.2

予告編とあまりに趣旨が違うので戸惑った人も多いのでは?
DNAという糸で繋がってはいるが、少し無理があるように思う。
ウクライナの墓地を連想させる題材だけで一つの映画を作った方が良かったような?

RRR(2022年製作の映画)

3.8

バーフバリの衝撃があったので、ハードル高めで見てしまった。
ナショナリズム全開過ぎて、イデオロギー抜きで見ることがしにくいので、バーフバリのようなファンタジーの方が気楽に楽しめる。

大盛りカツ丼三杯
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

カズオイシグロの「私を離さないで」のクローンや「クララとおひさま」のA Iの側からの視点の両方をミックスした感じの映画。
人間との境目が無くなり、むしろ人間より人間的になる彼ら。
静謐な雰囲気もよかっ
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夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

以前Twitterで流れてきて、たらりと汗が出たことがあった。

それは、カナダの大学の経済学の授業での日本の経済政策の評価。
「日本の貧困者は薬物もやらず、犯罪者の家族でもなく移民でもない。教育水準
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千夜、一夜(2022年製作の映画)

3.5

イ・チャンドンの「シークレットサンシャイン」と趣きが似てた。

息子の喪失と夫の蒸発の違いはあるが、残された母あるいは妻が「狂って」しまうというところ。
ダンカンもなんとなくソン・ガンホと似てるし(笑
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ヤクザと憲法(2015年製作の映画)

3.5

東海テレビすごいじゃないか!とこの世界にテレビカメラを持ち込んだスタッフに感嘆。

ヤクザに肩入れしていく自分に戸惑うところはあるが(笑)だって警察の方がよほど感じ悪かったもんな…。それに、親分があま
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愛する人に伝える言葉(2021年製作の映画)

4.0

キネ旬の映評の星が低かったので、そうなのか?と思いつつ鑑賞。
私はすごく好きな映画だった。音楽もよいし、要所要所の抑え方が程よく、過剰でないところが好ましい。
全くご都合主義ではないのでカタルシスは得
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サハラのカフェのマリカ(2019年製作の映画)

3.5

「私には居場所を与えなかったくせに、ずっと質問攻め。私は何も訊かないのに。」

マリカおばあちゃんの男たちを見分ける目。

寂しくても帰らない故郷。

人生はままならない形でも続いていくのだなあ。
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薬の神じゃない!(2018年製作の映画)

3.8

泣かされましたー。
黄毛くん…。
実話ベースの話は見ている方も真剣になりますね。