魂が震える。それは人と大地への眼差しの強さなんだろう。
本作は、アカデミー主演女優賞を2度受賞したフランシス・マクドーマンド(63)がプロデューサーを務めている。
彼女はリーマンショック後に家を捨>>続きを読む
とても惜しい。
社会や環境の生きづらさの中、自分探しを主題とする小説や映画は昔から多い。それは各時代の生きづらさというスティグマが創作の発火点となり、同じ境遇を生きる者たちの共感を呼ぶからだろう。>>続きを読む
韓国映画界オールスターキャストで描く犯罪ノアール。
ある大金をめぐるコンゲームだが、伊坂幸太郎作品や内田けんじの『運命じゃない人』に近いと思った。
最大の見所は、チョン・ドヨン演じる女詐欺師の極悪っぷ>>続きを読む
西川美和監督の作品は、いつも男たちがすばらしい。宿命を背負った主人公やリアリティのある脇役たちだ。
今回の役所広司も絶妙なユーモアをもって善悪の心が揺れる元ヤクザを見事に演じる。
西川監督が創り出す男>>続きを読む
Sクレイグ・ザラーの魅力は、さりげない展開やユーモラスな会話の中にも一貫してドス黒い闇があること。そして軽さと怒涛の激しさ、その匙加減が素晴らしい。
北野武やタランティーノと比べられるのもよく分かる。>>続きを読む
何の予告もなくNetflixで『2001年宇宙の旅』の配信がスタート。11月に米国ユタ州の砂漠でモノリスが発見され話題を呼んだからだろうか。
改めて観るとオープニングで黒味がずっと続いて本編がスター>>続きを読む
カンヌで審査員賞を受賞し、カイエ・デュ・シネマでも評価の高かった本作。
ブラジル奥地の村を舞台にドキュメントタッチのコミュニティ描写と暴力エンタメを両立させて描くユニークな作品。
要はBBCドキュメン>>続きを読む
Netflixで鑑賞。サシャ バロンコーエン、マーク ライランスなど、どの役者も素晴らしいが、検事役のジョセフゴードンレヴィットのキャラクター造形が効いている。とにかく脚本が見事!伏線の妙とはこの作品>>続きを読む
『異端の鳥』は、ひとりの少年がたどる地獄の旅。人間のもつ残虐性や罪をモノクロの映像で容赦なく描き、カンヌ映画祭などで大きな反響を巻き起こした。
本作はチェコ・ウクライナ・スロバキアの合作映画で、19>>続きを読む
まったく刺さらず。初見が劇場で陰影などの解像度が酷すぎたこともあるが、Netflixで美しいモノクロをストレスなく再見。それでもダメだった。
毎度のことながら素晴らしいビジュアライゼイションなのだが、>>続きを読む
純粋で奥ゆかしい作品。自分にとっては真面目すぎて退屈だった。
印象派絵画のような三角構図と陰影の絵作りは見事。夜、蝋燭と暖炉の灯りの室内シーンは『バリーリンドン』を参考にしたという。
しかし、屋内と>>続きを読む
アマプラで鑑賞。主人公の売れない劇作家の境遇と同じように、80年代、中央線の高円寺や阿佐ヶ谷で悶々と過ごしていた経験から言うと、才能や金がなくても可愛い上京娘と下北で同棲していれば、それだけで超勝ち組>>続きを読む
黒沢清の不穏な構図、コンゲーム的サスペンス脚本、暗と明を対比する照明、役者陣の演技、劇伴...どれも素晴らしい。
ただ大戦前夜の夫婦を描くこの作品のムードとして、妻は蒼井優でよかったのだろうか。無垢な>>続きを読む
邦題のサブタイトルが壮大なネタバレ😹 かと思ったが、原題「brawl in cell block 99 」も「牢獄99での乱闘」か…。
Sクレイグ・ザラーのクールでB級な暴力美学、ペキンパーやカーペ>>続きを読む
傑作。主人公は14歳の少女ウニ。勉強は苦手で家族を嫌い人生は辛い。心に小さな悪を抱え、もっと輝きたいと願う。自分の居場所を探して必死に羽ばたいている。(14歳だけでなく誰もがそうかも)
そんなウニの心>>続きを読む
愛すべき小品。アン・リーの『推手』の逆バージョンで中国と米国の文化ギャップで笑いを誘うのかと思ったら、山田洋次に似た軽やかな家族喜劇だった。
200億円のハッタリ!素晴らしい。
堂々たるSFアクションエンターティンメント作品。ビジュアル優先のサム・メンデス版007や自身のダークナイトにとても近いと思った。ストーリーは単純で、時間の物理とかエ>>続きを読む
評判に違わず大傑作!Netflixではなく劇場で観たかった。
荒涼としたサウスダコタの大地を舞台に、大怪我を負った若きロデオとその家族、そして愛馬の優しく見つめる物語。
中国出身のクロエ・ジャオ監督の>>続きを読む
赤子の泣き声、少年が駆ける足音、ロバの鈴、そして風の音。魔術師アッバス・キアロスタミが創り出す映像詩は厳しくも優しい。
主人公である8歳のアハマッド少年が間違えて持ち帰った友だちのノートを返すため、離>>続きを読む
ユニークな怪作。「殺人は興奮する」と主人公は独白するが、いざ実行しようとするとビビリまくる。本作は、ありきたりなサイコスリラーではない。
不安神経症のナイーブな男が狂気に支配され偶発的な殺人を犯して>>続きを読む
インド系英国人グリンダ・チャーダ監督の「ベッカムに恋して」(2002)は、英国の移民社会・家族の価値観や差別を背景に、笑って泣ける青春映画の良作だった。
ケン・ローチを持ち出すまでもなく、移民や労働者>>続きを読む
もっとサペスンスを期待していたが、劇伴のジャンプスケアばかり目立って、とても残念だった。
透明といえども人間。まったく音を立てないとか無理である。この作品は、透明人間の息遣いや体温、体重を感じない。攻>>続きを読む
ウディ・アレン印の小粋なロマンチックコメディは、エモーショナルな大傑作!
アレンの定番は、主人公が人生と恋に悩みながら自分の本当の心を探し続けるというもの。
今回は、ティモシー・シャメラ演じる上流階級>>続きを読む
アマプラで観了。ジョーダン・ピール監督の才能は判るが、前作の『ゲットアウト』同様、作品の肝となる部分のチート(いかさま)感がとても苦手。
前作もあんな田舎で脳外科手術はできんし、そもそも脳移植ってアリ>>続きを読む
2000年の「渦」よりも、撮影・編集が洗練されていると思った。
ガスヴァンサンドの傑作「エレファント」が嚆矢としてあるものの、大学の乱射事件をグランドホテル方式で撮ったのが効果的だった。
ドゥニが追い>>続きを読む
ドゥニヴィルヌーブの作家性が色濃く反映された源泉的作品。
彼が追い求める、静謐な映像で物語るスタイルや過酷な運命に翻弄される者たちの生と死というテーマがこの「渦」でよくわかる。
その他、強い意志をもつ>>続きを読む
あえて言えば、世界が美しすぎて、いまちい乗り切れなかった。
ジャームッシュ流ゾンビは肩の力が抜けたバカ映画。
その世界観は愛すべきポップカルチャーや映画へのオマージュ、パロディが満載。そんなジャームッシュの'"手癖"をポップコーンを食べながら楽しむ作品かと。>>続きを読む
葬儀にまつわる家族の滑稽さを丹念に描いた作品。
主演の岸井ゆきのと岩松了の娘役、小野花梨のキャラクター造形と芝居がとても良かった。
ただ全体のバランスやストーリー運びに難あり。葬儀が終わった後の兄弟ゲ>>続きを読む
冒頭で否定してたけど、いかにもアメリカらしい恋愛と成長の物語
水墨画を感じさせるモノクロ美、大胆な構図、モダン建築、ハレーションなどアバンギャルドなアート映像を堪能できる。
それよりも、登場する女たちのエロス、強さ、怖さが後味として残る作品だった。
日活ロマンポルノ 嗚呼!おんなたち猥歌
内田裕也が演じるのは彼自身を投影した中年のクズロッカー。そのミソジニーでホモソーシャルな生き方は完全にアウトだが共感する部分も。
それは反体制の象徴だったロ>>続きを読む
「うちな、なんか逆らいたいんや」
時代を超えた傑作。
田中登のイマジネーションが爆発し、芹明香演じる聖母トメが昇天する。
カメラ、脚本、台詞、すべて素晴らしい。
小津安二郎を敬愛する監督だけあって、ほとんどのショットがズームやパンのない固定カメラによるもの。主人公二人の出会いだけトラックショットだったのでは。
前評判にもあったがコロンバスのモダニズム建築を背景>>続きを読む
素晴らしい。B級ホラーの一級品。
アンドレ・ウーヴレダル監督は、ノルウェー時代のモンスター映画「トロール・ハンター」が大好きで今作も楽しみにしていた。
特に、笑ってもいいレベルのキテレツなクリーチャー>>続きを読む
2Dで鑑賞。うぅ、前評判に騙されたかも。ニコラス・ウィンディング・レフン監督「オンリーゴット」のような世界観だが、いまいち深くない。退屈でした。