Kenyさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

5.0

この完璧な世界観よ。個人的に村上春樹小説に重なるんだよね。

欲に溺れた大人に取り残され成長することを余儀なくされる子供と、汚れた世界に追われた神々の交流。そして欲望そのものである黒い塊。
素晴らしい
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

4.2

息遣いと呻き声だけでこんなに魅せられるものかね。いや、すごい。そこに効果的すぎるロングショットの数々と坂本龍一にしか創れない音楽が加わる。参ったね。

俳優レオナルド・ディカプリオが遂にレオ様の亡霊か
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.0

おおお…。
ぶっ飛びすぎてないディストピア像に黙示録めいたメッセージ、さすが日本が誇るSFの金字塔。
人間の底知れぬエネルギーは膨らめば膨らむほど汚い欲にならざるを得ないのか。

ラストの実験映画的な
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愛のむきだし(2008年製作の映画)

4.2

愛を恥じるな。

弱くて複雑なこの世の中では何をするにしても回り道が必要になってくる。何が罪だ、何が原罪だ。それぞれにそれぞれのストーリーがある。
愉快だけど愉快じゃない、実に園子温な映画でした。
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.5

「天地の間にあるものすべてを欲するは、人間の業というものだ」
自然を守る神々と強欲な人間たちの闘いは遥か昔に終わり、森は奪われ神は消えた。

宮崎駿がナウシカから一貫して描いてきた、自然と人間の共存に
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.5

自分たちで汚したことも忘れ、傲慢に生き続ける人間たち。それに対し地球はなんて力強く寛大なのだろう。

人間は地球のウイルスだ。

今こそ観ていただきたい大名作。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

4.5

「あやふやで猥褻な日本国」はぶくぶくと太り続ける養豚のように醜く育っていってるよ三島さん。

自己と他者を語る上でのサルトル流エロティシズム論、認識と行動の二元論、面白い!言葉の力を信じる三島が言葉で
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マトリックス(1999年製作の映画)

4.2

このメッセージの厚みよ。
高校の時に観て度肝を抜かれたけど、知識と経験を蓄えてから観るともう凄まじかった。
ジョージ・オーウェル的ディストピア像をコンピュータ世界に置き換える発想力と抜かりなさ。
情報
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.2

世界中に真っ白なエーデルワイスが咲き乱れますように。

第2次大戦前夜。家族に落ちた影を音楽の光が照らしてゆく一方で世は暗い雲に覆われてゆく——。ただの楽しいミュージカルじゃない深み、名作というのは名
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デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

4.0

最高が過ぎるぜジム!

シャルドネ〜とBluetooth〜がたまらなく良い。ティルダのジェダイ感も絶品。
これは独特な角度の古典回帰映画だな。

物質主義社会がジムにはこう見えてるわけね。ほんとにナイ
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13th 憲法修正第13条(2016年製作の映画)

-

 どれほど豊かになり、行動様式が洗練され、改革や革命が実現されようとも、人々の不平等は1ミリたりとも減じていない。
ージョージ・オーウェル

『1984』の二重思考を今考える。
権力の欺瞞と好意的に盲
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みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)

3.8

自由を求めれば求めるほど自分たちの世界は狭められ押し潰されてゆく。世の不条理である。
先行きにまったく希望を感じさせないモーツァルトのコンチェルトの冷たさよ。

数多の映画を観てきたけど、今までで一番
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Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

4.5

人間が自然な音を目指して調律すればするほど不自然になっていく。
津波のピアノがひとつの答えだった。

すぐれたアーティストはアートの中の垣根を越えるなあとつくづく思う。彼が作るものは音楽であり映画であ
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わたしの名前は...(2013年製作の映画)

3.5

物悲しい話だった。
誰もが不器用で不十分で不完全だった。

実験的な映像とTシャツにプリントされてそうなショットたちに映画の若さを感じる。

フレンチ・カンカン(1954年製作の映画)

3.8

すべてのショットの構図が完璧なのよねー、いつも抜かりないルノワールさん。
色彩のバランスも素晴らしくって嬉しくなっちゃう。

ラストのムーランルージュ初演、言うことなし!

誰も知らない(2004年製作の映画)

4.0

どうしようなく馬鹿な大人たちの存在を、人間的な生活を知らず命を失っていく子供たちの存在を、誰も知らない。

天使の入江(1963年製作の映画)

4.0

ギャンブルに取り憑かれた女、恋に取り憑かれた男。何が違う?
一度その甘い蜜を吸ってしまったらやめられないのです。

ニースの景色が今とほとんど変わっていない。さすが。

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)

4.5

詩との邂逅。それは井の中の蛙が美に満ちた外界を知ることのように思えた。しかし実際は自分の生きる世界こそが詩そのものであると知ることだった。
そしてマリオは詩の存在そのものだった。

ポエジーとは素朴な
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なまいきシャルロット(1985年製作の映画)

4.0

浅薄で重たい若輩者の葛藤。ホールデン・コールフィールドを少し思い出す。無力な自分に苛立ち狭い世界に責任転嫁するというやつです。陰った瑞々しさは底抜けの明るさより魅力的だ。

ゆるめのボーダーシャツにブ
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.0

例えるなら半端じゃない重力の惑星みたいな映画。ぐんぐん連れてかれる。
怒涛の展開力に脱帽よ。

尚且つ撮影手法の美術展覧会のようでね、実に楽しいし美しいしかっこいいし大忙しだったよ。

ロミオとジュリエット(1968年製作の映画)

4.5

これは完璧なロミオとジュリエット。素敵です、文句ありません。オリヴィア・ハッセーを起用したプロデューサーに力強くハグしたい。

シェイクスピア劇のセリフは美しい。そしてヴェローナの町も美しい。なにもか
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

4.0

カモメ食堂の日々を見守るようにゆったりと映し出す固定カメラからちょっとシュールでちょっとぎこちないだけど自然な距離感と温かみのある生活が見えてよかったなあ。

まじめにやってれば大丈夫でしょ!っていう
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私たちの愛は誰にも負けない(2018年製作の映画)

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配置された原色たちが小さな身体から発出される若く成熟した恋模様を表してるよう。

カウボーイ映画と似て非なるもの(2012年製作の映画)

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ブロークバックマウンテンで描かれた葛藤を子供達の会話にうまくミニマイズしてる。なかなかに魅入っちゃう。

光のノスタルジア(2010年製作の映画)

4.5

広大な宇宙の星々から数十億年前の過去を探ることはできるのに、数十年前の過去を探ることはできない。

砂漠の中で骨を探す老婆と宇宙の星々を探す天文学者がピタリと重なる構成、素敵です。

ピンク・フロイド/ライブ・アット・ボンベイ(1972年製作の映画)

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One of These Daysで向こう側に行けます。Echoesで脳が瓦解して冷たい泥の中に沈んでいきます。

存在しない夢の国(2012年製作の映画)

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ディズニーからのエリックサティ。

ディズニーランドで撮影って相当お金かかると思うんだけど。しかも軽くディスってるというね。

夜明け(2018年製作の映画)

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若者の葛藤と恐怖。その心模様。
なかなかうまい。

オマールの壁(2013年製作の映画)

4.2

一方に壁を越えなくても何かを得る人生があり、一方に壁を越えても何かを失い続ける人生がある。
結局のところ、僕らは知っているつもりで何も知らない。

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.2

心の機微を描くうまさ。
ロングショットと長回しが抜群でした。

うだるように暑い夏でも時が経てば少しだけ恋しくなる、そんな映画。
僕らの人生はなんでいっつもちょっとだけ手遅れなのかしら。
しっかりとし
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ボヴァリー夫人とパン屋(2014年製作の映画)

3.5

「人生が芸術を模倣することもある!」いや人生は小説よりも奇なり、かもね。

マダム・ボヴァリーと同じだぁぁってなるおっちゃんの真面目な面白さ。コメディだぜっていうエンディング。うん、結構面白かった!

殺しの烙印(1967年製作の映画)

3.5

ゴダールとブニュエルを重ね塗りした感じ。つまりセンスとシュールレアリスムの映画。そう、盛大にわけわかりません。

ただね、圧倒的なビジュアル力。これは一貫して美意識の塊でしたねえ。
カルチャーショック
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