緑青さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

4.0

たまたま掘り当てた秀作でした、めっちゃ良かった。白黒映画であることで、情報量が絞られて見易いなと思った。どこかしら普遍的な映像になるのだと思う。おじいちゃんおばあちゃんばかり出てくるためか、英語がゆっ>>続きを読む

SPL/狼よ静かに死ね(2005年製作の映画)

3.9

最大の敵のラストの展開を目の当たりにして、隣で見ていた親のひとこと目の感想が「しょーもな…………」だった。ひどいようだが、本当にそうだ。香港ノワールに出てくる人間はしばしば、どうしようもなく人間臭くて>>続きを読む

捜査官X(2011年製作の映画)

4.3

こういう映画大好きなんですよ。
全部詰め込みすぎてごちゃごちゃになりそうなところを芝居の確かさと映像の統一感、脚本のギリギリのバランスでオールオッケーにしてる感のある映画。演出が確かすぎる。なんだこれ
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HERO(2002年製作の映画)

3.9

ひたすらに画面の完成度が高くて酔いしれながら観ていた。ヒトも建物も山も葉も砂も水も布も、すべてが完全なうつくしさでそこにあった。撮影チームに、意図した画面を全部実現できる卓越した技術があるのだろうと思>>続きを読む

燃えよデブゴン/TOKYO MISSION(2020年製作の映画)

3.6

たのし〜〜と言いながら観た。コメディなんだけどアクションが尋常でなく、いろいろ錯覚が起きる。歌舞伎町セットが、これまで見た海外資本の映画のなかでナンバーワンのリアリティを誇っている。Blu-rayで見>>続きを読む

導火線 FLASH POINT(2007年製作の映画)

4.0

アクションですべてを描こうとしている、極めてシンプルな映画。すんんんごく好きだった。現代アクション映画のひとつの到達点だと思う。観ている間中、もはや快感ですらあった。
動作設計の豊かな想像力と、それを
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インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

3.9

香港ノワールアツすぎるんよ………!!!!
「潜入」という概念を初めて知ったのは韓国映画『新しき世界』だったんですが、香港映画界がカノンだったのだなと理解した。
トニー・レオンてこういう役(押し殺した激
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五福星(1984年製作の映画)

4.0

最高。実は初見ジャッキー・チェンだった。若い頃こんな感じだったんか!!!サモ・ハンも!!!!!
笑えて楽しくて面白くてキャラクターが愛せてアクションがキレキレという、シンプルに良い映画。どうしようもな
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三国志英傑伝 関羽(2011年製作の映画)

3.2

ドニーさんが三国志ものに出てるらしいというだけの情報で観た。
見始めたら、関羽と曹操が『ローグワン』のふたりじゃんけ!!!!となってテンション上がった。ひたすら、ひたすら曹操が関羽を口説いて振られ続け
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イップ・マン 完結(2019年製作の映画)

3.9

めちゃくちゃ『フルメタル・ジャケット』のオマージュでびっくりしました。あなたがハートマンなんかい!
「白人社会」に出たことのあるアジア人にとって結構しんどい話が続く。そこまでじゃないだろうとたかを括り
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イップ・マン 継承(2015年製作の映画)

4.6

傑作。自分でもどうかと思うほどボロ泣きした。1と2の積み重ねがあるんですよこっちには……こんなのは泣くよ……アクションでエモーションを伝える十八番に加えて、名台詞の宝庫でした。太刀打ちできるはずもない>>続きを読む

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)

4.0

良…………。前作は詠春拳対他の中国拳法と空手、今作も対他の中国拳法と、新たにボクシング……サモ・ハン・キンポーさん初見だったのですが、良………。1から動作設計をご担当で、2は自分でも演ってると初めて知>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

こればっかりは世界観と好き嫌いの問題なのでどうしようもないのだけれど、終始「人類、そこまでして守る価値ないのでは……なんかありがとう……ごめんね……」という気持ちが拭えなかった。人間を守る存在として人>>続きを読む

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.0

凄く良い。この映画を十全に語る言葉を、私は持たない。
観ていて引き込まれる、非常にエンタメ性のある、キャラクターもセッティングも選曲もポップで力強い作品にもかかわらず、戦争の戦禍そのものがそこにあった
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.8

映画館で絶対に観たいと決意して行った。大正解だった。音楽が生命。音楽が生命です。
不勉強なため細かいことは何もわからないけど「砂の民」たちはアラブのイメージなんだろうか。衣装、実用的そうでとてもよかっ
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男たちの挽歌(1986年製作の映画)

4.1

親のオールタイムベストだと言って聞かされて育ったため、名前だけは以前からよく知っていた。鑑賞してみて、これと「ゴッドファーザー」がオールタイムベストな親のもとで育てば、私の好みはこうなるわ……と心の底>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.8

なんときちんと作られた映画。「映画が…上手い…」と、スピルバーグ監督の『The Post』を観た時と同じ感想を抱いた。この映画の前半に「そうそう、そうなんよ…」と共感できるひとは、そりゃ現実なんか受け>>続きを読む

イップ・マン 序章(2008年製作の映画)

4.4

ちょっとショックなくらい面白かった。
あまりにも良すぎてドニー・イェンのファンになり、香港アクションにハマり、広東語を勉強し始め、詠春拳を習い始めるくらいには影響を受けている。
アクションの解像度が、
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ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.0

この作品がもうこの世にあるなら、このテーマで新しく何か映画を作る時に安易なことはできまいと思った。『ブラッククランズマン』を観た時と似た感想だし、『グリーンブック』を観て「自分が側から見て属するとされ>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.9

初めて映画館で観ることができた007シリーズです。大変感慨深かった。
アバンタイトル、映像として最高級でした。ホラーじみてて素晴らしい。イタリアのチェイスのシーンに関しては、マドレーヌはまじで早く別れ
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

4.2

大学時代の恩師に好きな映画を尋ねたとき、ザクザクした字で『ブエノスアイレス』と書かれて戻ってきたことと、『シャン・チー』のトニー・レオンが出演していると知ったことと、たまたま家の人の持ち物の中に円盤が>>続きを読む

クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

3.6

スパイはスパイでも、職業でなく偶然そこに巻き込まれてゆく一般人のお話だったことで、肌に迫る(想像しやすい)リアリティがあった。
彼はあの光のもとに彼を引っ張り出して、「最高機密」を告げることに成功した
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モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

4.0

私は本当にテイラー・シェリダンの撮る映画が好きだなと思いました。自然に対する素直な畏怖と思慕と憧憬があって……。
子どもが周りの大人の決死の覚悟で生かされるお話は観るとどうしても泣いてしまうんだけど、
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

3.8

悪しき家父長制の煮凝りみたいなトニー・レオン、どうしてこんなキャスティングが出来たんだディズニー・マーベルよ。天才か。権力とか強さとかはともかく、あのひと本人のどうしようもない魅力によって「好きだから>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.6

元になった事件を知っていたのだけれど、その映画だと思わず観たので「オッ」となった。興味深く観た。
社会という大きすぎる有機的なシステムに対してどうしようもない憤りを覚えた時に、果たしてどう生きねばなら
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聖者たちの食卓(2011年製作の映画)

3.7

すべてに圧倒される。ただただ壮大に生活音が響き渡るだけなのにずっと観てしまう。この「食卓」を知った人は撮らざるを得ないだろう。インド料理食べたいです。

グレムリン(1984年製作の映画)

3.7

これをクリスマス映画だと思って家族で観に行ったらひっくり返るだろうなと思う。めちゃくちゃ面白かった。脚本がどっちゃらけでメイン風だったキャラクターが途中から全然登場してこなくなったりしても撮り方が確か>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.8

観終わった後、整列退場待ってる間に隣の席の人が「そういうことしちゃうんだ……そっか……いっそ俺をころしてくれ……」って言ってたのがおもしろすぎたし泣けました。ほんまにな。
私はエンドゲームを忘れられな
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ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.9

無駄なく、丁寧に作り込まれた印象のある映画。暗闇の中の追いかけっこのシーンは出色。家主の衝撃的な犯行と、それへの抵抗(お味はどう?)に、作り手の、精製された強い怒りが込められていた気がした。あそこを直>>続きを読む

サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

4.0

想像以上に繊細な感情の機微が描き出されていて、正直に言って驚いた。好きなアメリカ映画のひとつ。オールタイムベストに入る勢いでグッと来た。若者の心のひとつの普遍性を捉えたことによって、長く残っているのだ>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

3.5

極限の風景を壮絶に厳しく、美しく撮る監督だと思う。観ながら声に出して「バーーーーンサル!!!鍵!!!鍵!!!!鍵!!!!」って叫んでいた。もはや監督のバーンサル使いを拝みたくて観たようなところがあった>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.0

心の棚行き映画。好きというのも烏滸がましい、畏れ多いほどの憧憬がある厳しい景色に満ちていて、それがこの映画のひとつの本質だったようにも思う。生命は極限の地でいっそう明るく燃える。
私はもう、彼を雪山で
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それから(1985年製作の映画)

3.5

弟が課題のために観るというのでご相伴に預かった。その台詞そのひとに言わせるのか、解釈変わってこない?と思いながら観ました。松田優作さんの素晴らしさにしみじみとした。

(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.6

アメリカ版『アメリ』なんじゃないかと思った、その映像の受け入れ易さと反比例する内容のさりげないシビアさが似ている。全編にわたって「恋をした人間の挙動と心象」が内外両方から描写されており、ほとんどメタ的>>続きを読む

ナショナル・シアター・ライヴ「メディア」(2014年製作の映画)

3.9

主演役者に永遠の拍手を。全身全霊で烈しく「メディア」だった。耳と目から、彼女に対する理屈ではない理解が押し寄せる。美しいすらりとしたドレスに見えるパンツスタイルの衣装の美しさよ。

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.6

親友映画です。天才的な技術屋で頭がキレて弁が立って勝負勘もあって、その根底に柔らかな感受性があって、ちょっとうまく他者と馴染めない部分がある人間には、どうかそのひとが望む形で大勝利してほしくなってしま>>続きを読む