ころっぷさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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異端の鳥(2019年製作の映画)

3.5

終始目を覆いたくなる様な陰惨な物語。モノクロの美しい映像が簡潔に、そして冷徹に事の衝撃を伝える。人間の愚かさと恐ろしさを、淡々と羅列する辛辣で正直な作家性。余りに容赦の無い表現に圧倒された。

ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.5

全編圧倒的な熱量で、一瞬の弛みも無い。デヴィッド・バーンの全身全霊のパフォーマンスは笑ってしまう程に凄かった。アメリカン・ユートピアの円熟のパフォーマンスとはまて違う価値、創造を体感出来ただけで幸せに>>続きを読む

アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.0

日常の中の時間間隔が引き伸ばされた様な間合い。銭湯という舞台設定がもっと活かせればと思う。演者も悪くはないのだが、長尺に耐えうる表現の幅がもう少し欲しかった。着地点もやや曖昧で全体的に惜しい作品という>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎子守唄(1974年製作の映画)

3.0

毎回のお決まりパターンを踏襲しつつ、常に新しい事にもチャレンジしている山田監督の演出に唸る。人情味を強く感じる作品だった。昭和の風景の懐かしさ。その切り取り方に強烈にノスタルジーを感じてしまう。

男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(1974年製作の映画)

3.0

破天荒な寅さんが、常にマドンナの幸せを願っている事に感動する。名優宮口精二の無骨な人間味が実に味わい深い。旅程の風景描写も、台詞回しも冴えた作品。山田監督の脂の乗った時期の良い仕事が堪能出来る。

男はつらいよ 私の寅さん(1973年製作の映画)

3.0

マドンナのキャラクターによって作品のテーマが様々な彩りを見せる。大人の生き様を感じさせる切ない物語だった。笑いの要素よりも考えさせる寅さん。

七人の侍(1954年製作の映画)

4.5

何度観ても圧倒される歴史的傑作。一分の隙も無い完璧な構図。躍動するマルチカメラの戦闘シーン。名優達の見事な演技。言葉にならない寂寥感の幕切れ。世界の映画人を魅了した黒澤監督の技術と想像力の頂点。

男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973年製作の映画)

3.5

シリーズ屈指の神回。演出も撮影も明らかにこれまでよりも力が入っている。演者同士の雰囲気も良くて充実した空気が何とも言えず味わい深い。そして何と言っても浅丘ルリ子演じるリリーとの息の合った掛け合いは絶品>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.5

とても恐ろしい映画だった。集団心理の恐ろしさ。差別の恐ろしさ。嫉妬や不寛容の恐ろしさ。これが現実に起こり、それがどこにでもいる普通の人々によって起こされたという事実が恐ろしい。時代が変わっても、価値観>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

一つの部屋の中のシーンしか無いのに、豊かな行間の演出であらゆる事を想像させる。オスカー受賞のブレンダン・フレイザーの演技も素晴らしいが、彼を側で支えた看護師役のホン・チャウが兎に角見事だった。人の死を>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972年製作の映画)

3.0

今回は珍しいパターンの失恋。今作のとらやでの居間のシーンが温かくて良い。八千草薫の若き可憐な姿が印象的だ。

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)

3.0

吉永小百合のど真ん中の演技は流石の芸。何よりショックなおいちゃんの交代。寅さんの優しさが切ない作品。

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.0

物語の粗が目立ちやや強引な脚本ながら、美しい風景とライトなユーモアが印象に残る。流石に老いたイーストウッドにアクションは無理だろうが、ロマンは感じた。

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

3.5

やはり何度観ても面白い作品。今監督のエンターテイナー振りが堪能出来る作品だ。それぞれのキャラクターが自分らしく生きる為に藻掻く姿が可笑しくも泣ける。これぞ日本アニメーションの最高峰。

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.0

驚きの実話。映画を観るまでテフロン加工に危険性があるなどとは夢にも考えなかった。世間的に知られた話なのかは分からないけど、巨大企業を相手取って戦う事の困難は想像に難くない。こう言った事案は知らないだけ>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971年製作の映画)

3.0

笑える所はしっかり笑えて、泣ける所はしっかり泣ける。要所を押さえた見事な脚本で、キャラクターの見せ場をしっかりと見せる。志村喬の存在感は別格。

マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.0

冒頭からエンドロールまでフルスロットルに駆け抜ける。ド派手なアクションシーンの連続と、過剰な世界観。奇天烈なキャラクターの大渋滞。細かい事なんてどうでも良くなる懐の広い作品だ。バイオレンスの地平を行っ>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.0

人が根源的に物語に欲するものを描いた寓話。美しい映像と、演技巧者のパフォーマンスが素晴らしい。映画が常に進化し続けているという事を実感出来る作品。

バビロン(2021年製作の映画)

3.5

長尺ながら飽きずに観られた。様々な人物の物語が交錯するので、蓄積が嵩を増して味わい深くしている。ブラッド・ピットも好演している。映像も面白い、意外なほどロマンチックなラストで悪くない。余り評判の良い作>>続きを読む

男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)

3.0

旅先の景観が最早歴史的資料。昭和の空気感が懐かしい。今回の寅さんはちょっと不憫過ぎる。もう少し笑いの要素が欲しかった。

男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)

3.5

毎回のゲスト俳優の豪華さと若さに驚く。とらやの面々は変わらずの安定感。若尾文子の存在感。

男はつらいよ 望郷篇(1970年製作の映画)

3.5

やっぱり山田洋次監督の演出はさり気なく要所を抑えていて素晴らしい。構図の決まりも良いし役者達の演技の間合いも格段に良い。流石名匠です。

新・男はつらいよ(1970年製作の映画)

3.0

エピソード盛り沢山で展開も早い。寅さんの喜怒哀楽の目まぐるしさよ。皆を巻き込む大騒動が楽しい作品。

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.5

これが実話というのも驚きだが、やっぱり手柄を横取りした大学の横暴には腹立つ。主演のサリー・ホーキンスの演技力が光る。細部にやや強引な展開は見られるものの、全体的にはよく出来た作品だと思った。エディンバ>>続きを読む

男はつらいよ フーテンの寅(1970年製作の映画)

3.0

渥美清の芸達者振りを堪能出来る一作。昭和の喜劇俳優のポテンシャルの高さは尋常でない。若き樹木希林の姿も貴重。筋も良いしやはり良作。

続・男はつらいよ(1969年製作の映画)

3.0

寅さんの悲恋パターンの確立。山﨑努のスマートなスタイル。東野英治郎の名演。見せ場たっぷりの名作。

男はつらいよ(1969年製作の映画)

3.5

記念すべき第一作目。恥ずかしながら初鑑賞。渥美清ほかキャストの若々しさが眩しい。とらやの面々の掛け合いが本当に昭和の基本形の手本で懐かしい。国宝指定の名画。

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.0

圧倒的な臨場感の中に登場人物達の人間性や関係性もしっかりと描写されている。ワンカット撮影だからこその緊迫感。ヒリヒリとした感情が正にジェットコースターの様に目まぐるしく旋回する。演者達のパフォーマンス>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.0

古典的な物語を現代の映像技術で見事に翻訳した作品。不可解な展開ではあるが、十分に惹きつける魅力に満ちている。人間の根源的な業に迫った御伽噺。美しい映像と俳優陣の力演が多いに見応えあった。【ア・ゴースト>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.0

静謐な空間の微かな空気の揺れさえも感じられる様な画面。主人公の遠くを見つめる眼差し、結末を知りそういう事だったのかと納得する。哀しくも生きる事の本質をさり気無く示唆する見事な物語だ。その人が生きていた>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.5

ただただマエストロの偉大さに圧倒される。数々の映画と共に思い出される、あのメロディの掛け替えの無さに胸がいっぱいになる。マエストロの創作への想い。その天才的な閃きとアイデアの多彩さが際立つ。またあの名>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

長尺故に主人公の半生がずっしりと堪える。確かに間違いを犯すし、人を傷付けるし、自分勝手だが、それって誰だってそうだし最悪では無い。ただ人が生きる上では避けようの無い事だとも思う。品行方正で誰にも優しく>>続きを読む

ジャバーウォッキー(1977年製作の映画)

2.5

中々に奇天烈な作品。テリー・ギリアムらしいと言えばらしいのだが。この世界観の中で実にしょうもないギャグを連発してくる所なんかはサービス精神旺盛過ぎる。チープな怪獣が弱いのに笑った。

七人のおたく cult seven(1992年製作の映画)

2.5

小学生の時、映画館で観た作品。90年代の匂いがプンプンする演出の数々に郷愁を感じる。ウッチャンナンチャンの若さ!ストーリーの強引さ!良い時代だったな。

未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

3.0

今の時代ではあり得ない展開や描写が散見出来るが、勿論当時の価値観とは大分違う訳で。いやそれにしてもお父さんヤバ過ぎる。最後は家族置いて行くんかい!と突っ込まざるを得ない。CGも無かった時代にこの映像見>>続きを読む

ゼロの未来(2013年製作の映画)

3.0

観念的なテーマをビジュアル的に表現する試みは、映画の根源的な存在意義と重なる。と真面目に考えるのも馬鹿らしくなる様な人を食ったユーモアこそがギリアムの真骨頂だろう。世界観を構築する美術や映像の遊び心が>>続きを読む