深く傷ついた経験をもつ人は、相手にとってちょうどよい優しさの加減を弁えている。押しつけがましくならないよう、さりげなく。ありふれた言葉よりも、態度や行動で。二人を見守る周囲の大人たちの優しさがとてもい>>続きを読む
「いや、もう、むしろ死なせてくれよー」って何度も思った。
どんな極限状態にあっても、ユーモア、知性、友愛の姿勢を失わない姿がカッコよかった。
鑑賞直後はぼんやりとした印象で、★3,0くらいの評価だった。でも一晩たって、この作品についてのレビューを読んだり、いろんなことを考えたりしているうちに少しずつ評価が上がっていき、「もしかして今年のベス>>続きを読む
陰鬱な人物たちの哀しい話ばかりなのに、作品全体にはなぜか幸せなムードが漂う。
これは今の時代、このタイミングで製作されるべき意義があった作品だと思う。事件から100年たった今も、インターネットの世界に場所を変えて、同じような過ちが繰り返されている。村長さんの「あんたたち、本当に>>続きを読む
なんじゃこりゃ???つまらなすぎて逆に原作に興味がわいた。水フェチの何がダメなの?水が美しかったり気持ちよかったりするのは、わりかし多くの人が共有できる感覚だと思うのだが…。それとも「水」は何かのメタ>>続きを読む
オーラス前までは「いいドラマだけど、今さらこのテーマ?」という感想でしかなかった。しかし、最後の最後にぜんぶひっくり返された。それまでの物語はぜんぶ前振りにすぎず、そういう「プレイ」を楽しんでいただけ>>続きを読む
なぜ悪意の側にばかり真実があるように思ってしまうのか。善意の側にだって人間の真実はある。多くの人間は、悪意だけでも善意だけでも生きていない。自分なかの悪意の存在を認めながらも、理想や綺麗事を手放さない>>続きを読む
物語がはじまる前に終わってしまいました…(鑑賞の仕方が根本的に間違っていたんだと思う)
切ない、切なすぎる。なぜまだ12歳の少年二人が、こんな過酷な選択を迫られなければならなかったのか。役者も風景もとても美しいのに、痛々しくて観ていられなかった。「怪物」とも重なるテーマだが、社会の側がそ>>続きを読む
前半は題材の面白さを生かした期待通りの展開であったが、ラストへの持っていき方が強引すぎて興醒めしてしまった。ささやかでいいから、もっと真実味のある希望を描いてほしかった。
「私だっていろんなものを諦めて生きてきたのよ。自分ばっかり惨めだなんて思わないで」
さまざまなタイプのゲイが登場するが、個人的にもっとも印象に残ったのは絵本編集者の女性だった。自分の思いどおりにはい>>続きを読む
予告編からすでに物語は始まっていて、劇場で観たあと、YouTubeで解説動画をあれこれチェックするまで楽しめる。
予備知識なく鑑賞。「愛は地球を救う」の企画モノぽかったら嫌だな…なんて懸念していたが、そんな邪推を軽やかにひっくり返す、気持ちのいい映画だった。二人ともクライミングを愛していて、純粋に楽しそうで、嫌ら>>続きを読む
小林聡美主演の作品は、どれも似たようなキャラ設定で、同じような作風なのに、なぜか観たくなってしまう。演技うんぬんではなく、存在感に惹かれるものがあるゆえか。
それぞれ大人の事情を抱えた中年同士の恋愛>>続きを読む
やまゆり園事件を思い出した。では、誰が、どうすればよかったのか…。安易に国家や社会のせいだけにもできない問題。答えはひとりひとり違うだろうし、答えなんてないのかもしれない。
「見たくないもの」をこれ>>続きを読む
この映画にこそ「エゴイスト」というタイトルがふさわしい。ぜんぜん美しい話でなく、むしろ醜さを感じさせる場面も多かった。でも、そこが人間的でいいなとも思った。そう簡単に縁を切れないのが家族の本質だろう。>>続きを読む
聴覚障害者が主人公であるが、とくにそれを売りにした障害者ポルノ作品ではない。だがむしろ、日常の細かな描写の積み重ねから、耳が聞こえないこと、言葉が話せないことの生きづらさがリアルに伝わってくるようだっ>>続きを読む
とある教会の一室。銃乱射事件の加害者と被害者それぞれ両親が、仲介者を入れず、4人のみで事件について語り合うという地獄のようなシチュエーション。
会話はぎこちない挨拶にはじまるが、少しずつお互いの不満>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
これはイケメンで有能で金持ちなゲイだから成立する物語であってですね、主人公がKKOだったら「キショい」の一言で切り捨てられてますよ。さらにこの物語に「エゴイスト」なんていう自意識過剰なタイトルをつけて>>続きを読む
「PLAN75」という設定に興味を引かれて鑑賞。自分は安楽死には賛成派で、PLAN75が実現したら利用しそうな気がする。75年間も生きられれば十分だし、尊厳を失ってまで長生きしたいとは思わない。仕事を>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
よくこんな設定を思いつくなぁ…と感心するほど上級国民のおとぎ話。舞台がParisとかNYだからなんとなく成立してるけど、国内の話だったとしたら…かなりお寒いのでは?「大人のラブストーリー」風の仕上がり>>続きを読む
自分も近親者を自死で亡くした経験があるが、その時の混乱や喪失や葛藤の感情がリアルに蘇ってきた。シリアスな描写も多いが、あざとすぎないユーモアが題材の重さを和らげていて、そのバランスもよかった。印象に残>>続きを読む
新春映画としてはベストチョイスだった。美味しそうなものがたくさん出てくるが、ただのグルメ映画ではない。老年期の生き方、逝き方について考えさせられる。R60向けなので、映画を早送りで見る人々には向かない>>続きを読む
ところどころ良いシーンや台詞はあったものの、話がごちゃごちゃしすぎていて、何がテーマなのか、誰が主人公なのか、よくわからないまま終わってしまった。連ドラとかにしたら面白いのかも?
タイトルからのほほん系かと思ってけど、意外にヘビーな作品だった。人の生死という重めのテーマを扱いつつ、リアルに描いてどんよりさせるでもなく、無理やりファンタジーに昇華させるでもなく、重さと軽さのバラン>>続きを読む
登山は好きだが、「登山家」はあまり好きではない。なにか承認欲求とか自己顕示欲が強そうで…。けど、山ノ井さんだけは好き。登山家としてというより、人間として魅力がある。そのいちばんの魅力は、いつも自然体な>>続きを読む