AAAさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.3

男には何かしらの罰を与えなければ、映画としてどこが幸福なんだろうと思ったけれども、これは「(男にとっての)幸福」という皮肉めいた作品だったのではないかと感じた。

冒頭の家族4人で歩いてくるショットと
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

3.6

夫婦の話と漁村の話。
それぞれでストーリーが展開されるが交わらない。

冒頭の動き続けるカメラが捉える漁村の様子が印象的。
パリではない、田舎のフランスが生き生きと描かれていた。

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

大きな物語があるわけではなく、ケイト・ブランシェットが現代で最も重要な音楽家として権力に溺れたり、告発されたりとゆっくり転落していく人生を堪能する150分。

実際に演奏された音源のまま作中でも使われ
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ある男(2022年製作の映画)

3.7

巨人と阪神の選手が全員入れ替わったらどちらを応援するのか。というテセウスの船思考実験にも似た話で、実存はどこにあるのかというところを問われている気がした。

主人公が誰なのかがふわっとしているように思
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冬の旅(1985年製作の映画)

4.0

自由でありたいと願い続けるほど不自由になっていくモナ。
元々住んでいた場所からどれくらい離れた所にいるのかがわからなかったけど、それにしては旅の範囲もかなり狭いように感じた。

横道世之介みたいに、何
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無気力症シンドローム(1989年製作の映画)

3.4

久しぶりに映画館で寝た。
劇中劇と発覚するタイミングで起きて一体何が起こったのかわからなくて、そこから始まるイメージやモチーフの羅列で頭が混乱して良い映画体験が出来た。

全ては教師をしながら作家を目
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.5

昔見たけどほとんど話を覚えていなかった。

目まぐるしく入れ替わる人と状況をカッコいい場面展開のトランジションで見せていくスタイルは2作目にしてガイリッチーの地位を確固たるものにした所以だろう。

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さがす(2022年製作の映画)

3.8

シスターに唾を吐いたり、表面的な教師に反抗したり西成を駆け巡る伊東蒼が爽快な一方で、佐藤二朗の小刻みに震えるちょっと笑えるんだけどシリアスな気持ちにさせられる芝居が絶妙なテンポを生んでいて、この映画が>>続きを読む

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)

3.7

オハイオの田舎町で腐敗した教会や行き過ぎた信仰がもたらす不幸、そして警官の汚職など、一見すると関係のない人々が最後は気持ちよく絡み合う。

信仰があるかないかは自由であるが、本作で人を唯一救ったのは無
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T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

3.7

勢い任せで駆け抜ける魅力が前作よりもグッとなくなり、爆音でかかる音楽も虚しく、おじさんたちが浮いて見える。

そして容赦なく人間は老ける。
外見だけでなく、4人は昔のままじゃいられない。
大人になりき
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.8

本編が始まる前の予告の中でSwitchのCMが流れて、そこで我々は改めて楽しい時も辛い時もマリオと一緒に居たんだ。という気分になり、本編で彼が登場した時はもう心を掴まれていた。

ゲームからのファンは
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トレインスポッティング(1996年製作の映画)

4.0

久しぶりに観たけど、ショットの多才さとか遊び心に満ち溢れた演出で観ていて飽きなかった。

薬物からの脱却という側面だけを割と覚えていたけど、実は誰かの言いなりになっている自分から脱却する物語で、金を持
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ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)

3.7

他人と違うズレがある主人公を扱う映画の場合、大抵は「あなたはそのままでいい」という正義に落ち着くが、本作は特にそういう言葉は出てこなかったのが良かった。

忘れっぽいのごめんなさい。というたびに、周囲
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ボー・ピープはどこに?(2020年製作の映画)

3.5

ボー・ピープがどこにいたのかというそのままの話。

全体尺の3分の1くらいがエンドロール。

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

3.8

1960年代のアメリカ。
社会的にいろんな事が変わろうとしている時代に小さなひとつの家族が崩壊へと向かい、そして新たな生き方を提示する映画。

迫り来る山火事もそんな不穏な変化を表していた。

欲を言
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.0

小学生の頃に初めて観て、訳が分からずにただトラウマだけを植え付けられた映画。

今見ると、その作画の細かさや芸能山城組のエキゾチックな楽曲が混じり合い、バブル期の日本が10億かけて作るにふさわしい作品
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

4.0

アラン・チューリングという歴史上で最も偉大だけど、無名な人物の1人を扱った映画。
自分もこの映画を見るまで知らなかった。

エニグマを解読した天才数学者という一面と、同性愛者に対する嫌悪感と戦うという
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.7

アルコール依存への恐怖と、アルコールがもたらす人生の素晴らしさの両面を描いた作品。

なんで高校生が普通に酒を飲んでいるんだろうと思って調べたら、デンマークでは酒を売る側に法律はあっても、飲酒の年齢に
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.6

能とゴミ処理場をめぐっての村おこしがいまいち噛み合ってなかったように思う。

アバンタイトルまでの能のシーンからかっこいいタイトルバックも魅力的ではあったけど、むしろそこでは優の父親と優の関係、死を遂
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.8

ミカエルアース作品に共通する「喪失からの立ち直り」は本作でも描かれていたが、
夫を失った妻と、2人の子供、家に転がり込んできた美しい家出少女という歪な形で家族が再形成され、前の2作品とはテイストが異な
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ラブ&マーシー 終わらないメロディー(2014年製作の映画)

3.6

ビーチボーイズがどのように結成し、のし上がり、全米1位を獲得したのか。という華々しいお話ではなく、ブライアン・ウィルソンが音楽制作と共に精神的苦痛を味わい、精神科医に騙され、搾取され続けた先から抜け出>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.3

終始戸惑いながら観ていて、なんかもう一緒にわけわからんものを観ようみたいな演出意図も感じて、劇場では所々笑いが起きていた。

男性が女性に与えるストレスそのものを描いている様にも取れるし、主人公が抱え
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.9

全てがパソコンの画面上で展開されることで、無機質さやロジックだけになりがちなところを、テキストを書いては消したり、データをゴミ箱に移したり、微妙なクリック音やSEの音量の変化などで感情をしっかりと画面>>続きを読む

ロード・オブ・カオス(2018年製作の映画)

3.6

登場人物みんながぶっ飛んでて、ぶっ飛んでることが偉いとされる世界の中で、主人公だけはどこかイカれた行動の中にも恐れが見えて、その恐れが唯一、観客とこの映画を繋ぐ架け橋だった。

殺人シーンでモザイクが
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モア・ザン・ア・ゲーム(2008年製作の映画)

3.8

伝説が始まるまでも、伝説的なエピソードだらけだった。

レブロンの周りにはいつだって人が集まって、彼はバスケットボールだけでなく、素晴らしい人格者であることが伺える。

字幕が、コーべ・ブライアントと
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ハニーレモンソーダ(2021年製作の映画)

3.1

それぞれの辛い過去、出会いによって好転していく人生、どれも見たことある内容で特に新しい開発はなかったように思うが、この作品は最終的に興行成績が10億に達している。

ラウールくんの長い足を見にたくさん
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ドラえもん のび太と夢幻三剣士(1994年製作の映画)

3.6

夢を見る機械が届いて、みんなの夢を覗きに行って、しずかちゃんが寝てないから透視モードで部屋の中覗きに行く発想が狂い過ぎてて好き。

衝撃の学校が変な山の上にあるラストカット。
彼らは夢の中に取り残され
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ヴィレッジ(2004年製作の映画)

3.5

今見るとだいぶ豪華キャスト。

閉鎖的な独自の文化を持つ村というのは後のミッドサマーにも続いている気がして、ホラー映画ではないけど常に不穏な空気が立ち込める映画。

ラストのどんでん返しと言われている
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ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝(2008年製作の映画)

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妻役が変わっていて、初めは浮気しているのかと思った。

途中で寝てしまった。

ハムナプトラ2 黄金のピラミッド(2001年製作の映画)

3.7

1と比べても引けを取らないくらい面白い珍しい映画。

スコーピオンキングの前ではイムホテップもリックも条件は同じはずなのに、イムホテップだけ倒したらアヌビス軍が自分のものになるという謎理論がわけわから
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ハムナプトラ 失われた砂漠の都(1999年製作の映画)

3.7

ホエール繋がりでブレンダン・フレイザーが観たくて久しぶりに鑑賞。
小さい頃めちゃくちゃ好きだった映画なのを思い出した。
イムホテップっていう語感にすら感動した。

ほとんど忘れてたけど、この時代にスピ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.7

巨漢な男がほぼ1日ソファーから動かないというすごい設定の密室劇だが、密室である事を忘れるくらいに精神的なスペクタクルが起こり続ける。

恋人の死によって生じた心の隙間を食べ物で埋めてしまった哀れな男が
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

令和の若者たちが抱えるゆるっとした社会への不満が殺し屋という突飛な設定を通じて、何を考えて生きるのが面倒くさいという現状を描き出していた。

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.7

ほぼワンシチュエーションで予算もほぼないであろう中で良く練られて作られていた映画。

映画会社の力を借りずに作った大規模な自主映画という感じだが、それぞれの役者やデザイン面で工夫を凝らし、満足度が高か
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ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)

3.7

映画史の大きな転換となった作品。
しかしながら物語の大部分はサイレントで構成されており、歌と久々の家族の再会のシーンのみがトーキーになっていた。

唱歌の伝統を重んじる父と、ジャズという新しい音楽への
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