AAAさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)

3.3

カメラが何かに寄って行ったり遠ざかったり、少し出来事から離れた視点から冷淡に見つめる視線のようなもので構成された映画のように感じた。

レフンが母親の復讐のために撮ったと聞いたが、その復讐ですら冷めた
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ナラタージュ(2017年製作の映画)

3.4

これほどまでに高評価と低評価がくっきり分かれている映画をあまり見たことがない。
自分はあまりそのどちらでもなかった。

主要登場人物たちの人間的弱さの作り方がリアルで見ていてもどかしく、その弱さに共感
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複製された男(2013年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ドッペルゲンガーの話かと思いきや、中盤から同一人物であるという説が濃厚になってくる。

蜘蛛のメタファーや、時系列の入れ替えなど難解で考察しがいのある内容だとは思うけど、それを差し引いたとしてもそんな
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地獄の花園(2021年製作の映画)

3.0

バカリズムが大好きな王道ジャンプ展開を日常の何気ない1コマに落とし込むという作品だけど、バカリズムの世界観と過剰な演出が全くマッチしていなかった。

王道の展開に対してシニカルな姿勢を貫く事がバカリズ
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ピンク・クラウド(2021年製作の映画)

3.3

我々が過ごしたコロナ禍を追体験出来るという点においては、久しぶりの閉塞的な感覚に懐かしさすら感じたが、いかんせんその設定を活かし切る出来事が起こらなかった。

科学者がピンクの雲について原因や解決に向
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.2

公民権運動が巻き起こる60年代を舞台に、NASAで活躍した天才黒人女性たちを描く。

NASAという天才集団では差別はあっても、正しい数式は差別されない。
能力が必要となったとき、彼らは人種を飛び越え
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愚行録(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

バスで始まりバスで終わるが、この2つのシーケンスは全く異なる。

初めのバスはこれから始まる愚行への序章で、妻夫木は満島ひかりが殺した事を知っていて、事件に関与していた人間を消すという目的を持っていた
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マガディーラ 勇者転生(2009年製作の映画)

3.6

バーフバリはまんまこれの強化版。

ラーマの若い時が観れた。

ミニミニ大作戦(2003年製作の映画)

3.5

華麗な強奪、裏切り、復讐という綺麗なフォーマットにミニクーパーが街中を駆け回るというイメージの作り方がめちゃくちゃ印象に残っていた作品。

地下鉄に穴開けた賠償金で結局奪ったお金全部使ってしまいそう。

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)

3.6

ジョブズの輝かしい功績やアップルが大きくなっていく様やそれに付随するゴタゴタ話ではなく、娘のリサとの関係性の変化に焦点を当てた作品。

各製品の発表会の会場を舞台に物語が進行していくが、ダニーボイルの
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スティーブ・ジョブズ(2013年製作の映画)

3.3

iPod、iPhoneでドカーンという話ではなく、Apple創設と初期の揉め事に焦点を当てた映画だった。

ジョブズが妊娠した彼女を捨てた挙句、リサを認知するかしないかのくだりに関してあまり意味をなさ
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.7

#metoo運動の発端となったワインスタインの記事をどの様な人物たちが書いたのかを丁寧に描く社会派作品。

性暴力は被害者と加害者という分かりやすい構造ではなく、その周辺の人物や家族に至るまで様々な人
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

3.9

数年前ならシニカルで面白い作品だなとなっていた所だろうけれども、割とマジでこんな感じになりつつあって怖い。

1人の権力を持った狂人が全世界を終わらせる。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.1

「目を澄ませて」というタイトルが良い。

手話でコミュニケーションを取る時も、ボクシングで相手のパンチを避けて自分が攻撃する時も、耳が聞こえないケイコの一挙手一投足を見守る我々も目を澄ませて、「視る」
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アート・オブ・ラップ(2012年製作の映画)

3.3

レジェンドのラッパーたちへのインタビューから文化的な側面から紐解いていくドキュメンタリーだが、知ってる人がそもそも少ないことから思った以上に楽しめなかった。

ダズンの発祥の話が興味深かった。

ガリーボーイ(2018年製作の映画)

4.0

アングラから這い上がるラップとインドのカースト制度が見事にマッチした作品。

主人公は父親に幼い頃から言い聞かされてきた教訓というよりも呪いが、ある日、ビートとライムが口からこぼれ落ちた事により、運命
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RRR(2022年製作の映画)

4.0

IMAXで観ることができて良かった。

なぜ戦闘能力がほぼ同じのビームはラーマを兄貴と呼ぶのかと気になっていたが、
最後に「読み書きを教えてくれ」というセリフがあったように、文盲である事がビームはこの
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.7

ワンシチュエーションを飽きさせない工夫が数多く観れて、終始手に汗をかきっぱなしだった。

しかしながら、ベッキーが助かり地面を踏み締める瞬間がなかったことにがっかりしてしまった。

揺るぎない大地を踏
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.4

ヨーロッパ企画の面々の舞台っぽい芝居が映画になった時に許容できるかどうかもこの作品の面白さにかなり影響すると感じた。

タイムテレビを利用したなんだかしてやったりという感じのする作品で、個人的には好み
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落穂拾い(2000年製作の映画)

3.9

落穂拾いを通じてフランスの貧困層に目を向け続ける重ための作品かと思いきや、遊び心に溢れ、経済、そして芸術へと発展を見せる非常に面白い作品。

アニエス・ヴァルダ版の月曜から夜更かしと言った感じで、フラ
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怪物(2023年製作の映画)

4.2

得体の知れない存在や未体験の状況を恐れるのは人間に古来よりプログラミングされた本能で、それぞれの登場人物にとって現状が脅かされると感じた時、それが「怪物」に見えるという巧みすぎる脚本。

テンポの早さ
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海街diary(2015年製作の映画)

3.7

小学生が考えたような超豪華オールスターキャストを実現させた是枝監督と東宝。
特に何が起こるわけでもない映画なんだけど、四姉妹が家族になるまでの1年間を丁寧に描く。

物語がないからこそ、身体的所作の美
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

3.8

ダゲール街に住む人々をじっと観察する視点でカメラを向けた本作だが、長ったらしい延々と続く仕事風景かと思いきや全くそんなことはない。

観ていくうちにダゲール街に住む人々と観客の我々は時代も国も違うのに
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クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.3

クリードの過去やそれと向き合い乗り越える姿が描かれていたが、デイムのチャンピオンは多分失格になると思うし、クライマックスの戦いはダーティなボクシングをするデイムを倒すのかと思ったらしっかり正面から戦っ>>続きを読む

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

3.8

スタローンが脚本に戻り、人間の弱さやそれを乗り越えて家族の元に向かうというロッキー色がより濃くなった1作となっていた。

ボクシングは血統の物語なのかと思うくらいに宿命めいた話だけど、ロッキー4で辿っ
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クリード チャンプを継ぐ男(2015年製作の映画)

3.9

素晴らしい新シリーズの幕開け。

セコンドに回ったロッキーと選手であるクリードを描く分量にはかなり難航した事が伺える。
本作は一体どちらの作品になるべきなのか。

クリードのボクシングなのか、ロッキー
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

3.9

怒りを怒りで返すことに意味はあるのか?と問い続ける先生。

子供達と同じ目線に立って、子供が言葉にするのをしっかりと待つ姿勢は見習わなければいけないと思わされた。

ケネス・ブラナーの「ベルファスト」
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

4.0

1を超える傑作

世間は父さんを笑ってるというスタローン自身にに向けられた言葉も、心は歳を取らないという姿勢で全部ひっくり返す。カッコ良すぎる。

この映画を観た後で誰もスタローンを笑う人はいないよ。

ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

3.5

寅さん化してきたロッキーも5話に到達し、とうとう狂った作品を生み出してしまった。

ドラゴとの対戦を終えてソ連から戻ってきたら息子がめっちゃ大きくなっていて、何事だと思うところから始まり、

脳に障害
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ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.6

ロッキーの魅力のひとつである人間的な弱さという部分は本作では身を潜め、アメリカvsソ連の代理戦争的な意味合いを含んだ試合に発展し、ロッキーは最早ヒーローのイズムを持ち合わせた人間へと変貌を遂げていた。>>続きを読む

ロッキー3(1982年製作の映画)

3.6

本作からラブストーリー要素が消えて、ボクシング中心の話になった。

カリフォルニアの海辺での一連に本作の全てが詰まっていると言っても過言ではなく、

昔は何も考えずにリングに上がれていたものを今は恐れ
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ロッキー2(1979年製作の映画)

3.8

前作は結果的にスタローンとロッキーの人生がリンクしたような形になったが、本作はスタローン自ら監督・脚本を務めたことで、それがより意識的に本人の人生に寄せて作られていた様に感じた。

一夜の成功で富と名
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ロッキー(1976年製作の映画)

3.9

無名のスタローンがアメリカンドリームをリアルで掴むという作品の内容ともリンクしまくった名作。

アポロとの試合は素晴らしい音楽に彩られ、未だ衰えぬ名シーンになっている。
勝利よりも人間として大切なもの
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

凍てつく雪が窓に当たる音や、巨大な鉄の塊が軋む音、寒空の下で吸うタバコがチリチリいう音が凄く心地よくて、孤独な気分になる事ができた。

移りゆく繊細な感情を丁寧に見せられ、水と油な2人が徐々に溶け合い
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恋する遊園地(2020年製作の映画)

3.5

対物性愛というセクシャルマイノリティに目を向けた作品。

ファンタジーと捉える事もできるが、これがきちんとリアルな恋愛として認められる社会になっていく事を願う。

意見する事で生む反発を恐れて、人のあ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.9

1984年に起こったスポーツ史を塗り替える出来事をその時代のカルチャーやお菓子、エンタメを短く繋いだオープニングで一気に観客を世界観へと導入する。

本編のほとんどを会社での会話や電話で行っているにも
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