まささんの映画レビュー・感想・評価

まさ

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.8

アカデミー賞7部門を獲得した映画『オッペンハイマー』を見ました。3時間もある作品でしかも難解だと聞いていたので見るべきか悩んでいたのですが、やはり見るべきすばらしい映画でした。

第2次世界大戦中、ア
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ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ディア・イングランド」(2024年製作の映画)

4.7

NTLというのは、イギリスの国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターが厳選した名舞台を映像化して映画館のスクリーンで上映する「ナショナル・シアター・ライブ」のことです。毎年数本が上映されます。その最新作>>続きを読む

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)

4.0

映画『ブルックリンでオペラを』を見ました。アメリカ映画の題材探しの苦悩を感じてしまいました。

アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイら私の様な特別な映画好きでないものでも何度か見
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.8

ビクトル・エリセの31年ぶりの長編映画『瞳をとじて』をやっと見ることができました。静かな緊張感が胸を揺さぶる名作でした。

私が学生時代、「ミツバチのささやき」が公開されて大ヒットとなりました。六本木
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.5

アメリカの株式投資を描いた映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』を見ました。巨大マネーに抵抗した個人投資家たちの夢を描いた気持ちのいい映画でした。

2020年の実話をもとにして作られた映画です。主
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.8

2023年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した映画『落下の解剖学』を見た。真実とは何かを考えさせる深く重い名画だった。

人里離れた雪積もるフランスの山荘に一組の夫婦とその息子が住んでいる。夫
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.8

今年日本で30年以上ぶりに新作が公開された『瞳をとじて』の監督ビクトル・エリセの2作目の監督作品『エル・スール』が、『瞳をとじて』の公開に合わせて映画館で上映されました。仙台の公開が東京に3週間遅れの>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

映画『夜明けのすべて』を見ました。生きづらい世の中を助け合って生きて行く意義を教える、心を軽くしてくれる映画でした。

障害を持っている男女が主人公です。女性の藤沢はPMS(月経前症候群)という障害を
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

SF映画『哀れなるものたち』を見ました。怪奇とシュールさが滑稽さ浪漫性を同時に生み出す不思議なバランスの映画でした。

主人公は若くて美しい女性エマ。しかしエマは言動が普通ではありません。実はエマは妊
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リアリティ(2023年製作の映画)

4.5

アメリカの国家機密リーク事件の尋問を再現した映画『リアリティ』を見ました。現実社会の恐怖を感じさせる映画でした。

2017年買い物から帰宅したリアリティ・ウィナーは、FBIの捜査官に声をかけられます
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.7

映画『枯れ葉』を見ました。不思議なバランスの大人のメルヘンです。

舞台は現代のフィンランドの首都ヘルシンキ。現代と言いながら古い時代のようにも感じられます。理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れな
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

4.8

アメリカを代表する世界的音楽家レナード・バーンスタインとその妻を描く映画『マエストロ: その音楽と愛と』を見ました。夫婦の愛を描く感動作でした。

レナード・バーンスタインはアメリカの有名な作曲家であ
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ティル(2022年製作の映画)

4.5

かつての黒人差別のなまなましい現実を描くとともに、差別に対して戦う姿を描いた映画『ティル』を見ました。差別に対峙する強い意思の必要性を伝える佳作です。

1955年にアメリカ合衆国ミシシッピ州で起きた
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ニューヨーク・オールド・アパートメント(2020年製作の映画)

4.5

大都会で格差の中で生きる弱者の不条理を描く映画『ニューヨーク・オールド・アパートメント』を見ました。厳しい現実を描きながらも、したたかに生きていくおおらかさも感じられる映画でした。

ニューヨークで不
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

映画『PERFECT DAYS』を見ました。寡黙な男を描く、抑揚を抑えた映画でしたが、だからこそ映像がすべてを描き出す名画でした。

ヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主役に迎え、東京を舞台に清掃作
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.8

ドダンとウージェニーは長年お互いにひかれあっていました。そしてとうとうお互いの愛を確かめ合います。ふたりの関係が静かに、しかしドラマチックに展開します。しかしウージェニーに突然の悲劇が訪れます。

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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.6

映画『ファーストカウ』を見ました。最初は何だかわからないで進んでいって、このまま訳がわからないまま終わるのかと心配になってしまったのですが、後半から話が見え始めると、いきなり引き込まれて行きました。単>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.0

映画『熊は、いない』を見ました。イランの国内事情などが見事に映像化されていて、刺激を受けます。しかし予備知識なしでみたので、作品の構造が見えてきません。私自身の責任なのかとは思いますが、物足りなく感じ>>続きを読む

シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

4.2

子供たちの演劇教育を目的としたサマーキャンプのドタバタをドキュメンタリー風に描くコメディ映画『サマーキャンプ』を見ました。内容はアメリカの最後のミュージカルシーンが印象に残る佳作でした。

 演劇教育
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.3

名優ケイト・ブランシェットの主演映画『バーナデット ママは行方不明』を見ました。前半はケイト・ブランシェットを使っただけで満足した中身の乏しい映画なのかなと、思ってしまいましたが、後半になると、生き方>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

4.8

映画『ダンサーインParis』を見ました。気持ちのいい映画でした。私の好みの映画です。

パリ・オペラ座バレエ団バレエダンサーのエリーズは、恋人の裏切りを目撃して心が乱れ、公演で足首を負傷してしまいま
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シネマ歌舞伎 高野聖(2011年製作の映画)

4.5

坂東玉三郎主演の泉鏡花原作『高野聖』の舞台を映像化した映画を見ました。泉鏡花の幻想的で日本的な美を堪能できる作品でした。

泉鏡花の「高野聖」は読んだことがなく、これを機に読んでみました。複雑な語りの
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

 関東大震災の混乱の中で発生した福田村事件を描く『福田村事件』を見ました。福田村事件とは関東大震災の後、根拠のないうわさをもとに差別を増長させ、残虐な事件がおきてしまった事件です。昔の事件ではあるので>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

4.0

映画『ほつれる』を見ました。現代人の息苦しさを描く映画でした。

綿子は夫の文則との関係がすでに冷め切っています。夫には秘密で、妻のいる文筆業の木村と不倫関係となります。木村にも妻がいます。逢瀬の直後
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.7

モロッコを舞台にした映画『青いカフタンの仕立て屋』を見ました。泣けました。

ドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語です。夫は真面目な仕立て屋で、妻はその夫を誇りに思って支えています。しかし妻は病気に侵され
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.7

カンヌ映画祭でグランプリを受賞した映画『クロース』を見ました。説明的なセリフがほとんどなく、的確な描写で心を伝える、心にしみる映画でした。

主人公はレオという少年です。レオは同じ年の少年レミと大の仲
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.8

映画『ミツバチのささやき』を見ました。この映画は1985年、私が東京で学生をしているころ、「シネヴィヴァン六本木」という映画館で見たと記憶しています。六本木のWAVEというレコード屋さんの地下にあった>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

4.0

典型的なお仕事映画ですが、孤独なフランスの難民の問題がきちんと描かれており、気持ちよく見終わることができる映画でした。こういうタイプの映画、大好きです。

カティは有名レストランでシェフとして働いてい
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わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~(2023年製作の映画)

3.8

東京・上野の国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたことを機に改装工事を行った。その期間を中心に、国立西洋美術館の職員の仕事を追ったドキュメンタリー映画『わたしたちの国立近代美術館』を見ました。美術館>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.2

 宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』を見ました。難解な映画ですが、象徴的な意味を散りばめ、背後に大きなテーマを見通せる構造を維持しつつ、全体として主人公が成長していく姿を描く計算されつくした映>>続きを読む

山女(2022年製作の映画)

4.0

凶作に苦しむ農村を描く映画『山女』を見た。生きることが目的だった時代を神話的に描く意欲作だった。

舞台は東北地方の山村。気候が思わしくなく、住民は冷害に苦しめられている。村の伊兵衛は娘と息子の3人で
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.0

北アイルランド、ベルファストの男子小学校で実施されている哲学の授業を2年間にわたって記録したドキュメンタリー『ぼくたちの哲学教室』を見ました。根気強く子供たちと向き合い、自分自身が「考える」ことによっ>>続きを読む

エリック・クラプトン アクロス24ナイツ(2023年製作の映画)

4.5

エリック・クラプトンが1990年代初頭にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行った公演の中から、編成の異なるいくつかの演奏をピックアップしてつなげたコンサート映画です。私の世代にとっては感慨深い作>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.7

あえて「B級タイムループドタバタコメディ」と言わせていただきます。雑だけれどもなんかほっこりとする佳作です。

京都の貴船の老舗旅館を舞台に、2分間のループに巻き込まれ、抜け出せなくなってしまった人々
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.0

波乱の人生を送った女性が、年老いて死を覚悟して高齢者施設に移る。その時に乗ったタクシー運転手との数時間の出来事を映画です。私の好きなタイプの映画でした。

老女の波乱の人生がおもしろい。もちろんおもし
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.5

映画『ウーマン・トーキング 私たちの選択』を見ました。公然と行われていく性暴力に戦いをいどむ女性たちの映画でしたが、現実離れしていつように見え、あまり入り込むことができませんでした。

2010年。ア
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