シネマQさんの映画レビュー・感想・評価

シネマQ

シネマQ

牛泥棒(1943年製作の映画)

4.5

ヘンリー・フォンダとハリー・モーガンがやって来るファーストショットから事件が起きて自警団を形成していく一連が不穏な空気といい、出てくる人物造形から何からもう完璧すぎる。
ダナ・アンドリュースの手紙を読
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馬上の二人(1961年製作の映画)

4.0

帰るべき場所を奪われた人間たちの末路が恐怖。スチュアートのブチギレでスカッとさせたかと思えば、怒涛の勢いで私刑シーンまで。そしてラストは新天地を目指しほのかな希望を抱かせる。感情が忙しい終盤。
土埃は
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ケンとカズ(2015年製作の映画)

2.0

せっかく良いロケーションを準備したり力の入ったバイオレンスシーンを段取ってるのに、顔にしか興味が無いのは何故なんだろう。
語られ尽くしたようなお話もつまらない。

キートンの隣同士(1920年製作の映画)

4.5

ロープを伝っての建物から建物への移動といいロープ一本で空間をこれだけ拡張していくのキートンにしか出来ない。
3段肩車、体幹どうなってるんだ。凄すぎる。

キートンの案山子/キートンのスケアクロウ(1920年製作の映画)

4.5

ウォレスとグルミットみたいなギミックたっぷりな家。歯の抜き方といい全てがシステマチックで楽しい。
キートンのために用意した医療グッズがいきなり車に轢かれて自分に使うのも最高。ここの車の凶暴さがやばい。
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The Golden Louis(原題)(1909年製作の映画)

3.5

出てくる大人が全員どクズでドン引き。
最後にギャンブラーは改心するものの、その後ろでギャンブラーがばら撒いた金貨を拾って去ってく大衆が一番やばい。
金貨へのクローズアップ。

最後の一滴(1911年製作の映画)

3.5

画面を埋め尽くす砂埃。
酒を飲み続けて迷惑をかけ続けた男が友人に水を飲ませて助ける。

せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.0

白黒、スタンダード、笠松撮影と画面の豪勢なこと。川を下る船、鳥、美しい〜。
長屋の捉え方もさすがです。
テーマが前面に出つつも、“せかい”の概念を提示する佐藤浩一と寛一郎の会話が時代背景の説明にもなっ
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キートンの西部成金/キートンのゴー・ウェスト!(1925年製作の映画)

4.5

雄大な風景の中で牛と仲を育むキートンも面白いけど、やっぱり都会へ行くところから一気に盛り上がる。
凄まじい物量の牛、牛、牛。
キートンが銃で制御するのが牛でなく人間たちなのが博愛的。
リリアン・ギッシ
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The Curtain Pole(原題)(1909年製作の映画)

4.0

長い棒持ったら起こりうるドタバタをこれでもかと詰め込んでて笑えて面白い。
逆再生も驚かされる。
そもそもカーテンポールとして役割を果たしてないけど、ラストポールの居場所すら失い食べられるのには驚くし、
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おお至高の光(2009年製作の映画)

4.0

聞く事を強要するような黒み画面に大音量の音楽。テクストの朗読。そうした聞く訓練のあと耳を澄ますと、川の音や鳥の囀りが聞こえてくる。
朗読する中光が移り変わっていくのも美しい。

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

5.0

一発目の演奏シーン、カメラが動く瞬間と伴奏が始まる瞬間が一致していて気持ち良すぎる。ただ厳格なだけでなく、こういう事も出来ちゃう。
ただ微妙にカメラが遅れていて、伴奏が始まった事に驚いてカメラが動いた
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ゴダールのリア王(1987年製作の映画)

4.0

No thing 何もないところから再び映画を生み出そうとするゴダール教授の戦い。お供にカラックスとジュリー・デルピーとは何とも豪華。
物語は正直はい?って感じだけど、湖畔の人々や馬、室内照明のゴージ
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アワーミュージック(2004年製作の映画)

5.0

講義でも語られる切り返しが至る所に現れ、よそとここを繋いでいく。
ナード・デューとサラ・アドラーの存在の切り返し。
ナード・デューの正面と背後の切り返しも印象的。
ゴダールが花を育てるのは天国への準備
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ジャン・ルノワールのトニ(1935年製作の映画)

4.5

ロケーションがやばい!撮影が見事すぎる。
森を歩く人々。湖を行くマリーの神々しさ。
虫に刺されたのを介抱するシーンの生々しさ。
ジョセファがアルベールと結ばれる前のシーツの白さが恐ろしい。
ラストの高
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毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

4.0

ラジオ流しながら無言でご飯食べる切り返しと理屈が全く分からない無茶苦茶なハッピーエンドが最高。
妻が死ぬ瞬間の叫びも嫌な感じで良い。
薬屋の顛末に一番笑った。

ワン・フロム・ザ・ハート(1982年製作の映画)

4.0

すべてが過剰でコッポラの幼児性がこれでもかと溢れてる。最新作の『メガロポリス』も似たような感じで嬉しくなる。
過剰な照明、カメラワーク、エキストラ、音楽。セットだから出来る別空間の繋ぎとか、もう頭がお
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私のように美しい娘(1972年製作の映画)

4.5

全シーンが語られた回想になっていて、そこには現実の重みが存在せず蹴られた少女が宙に浮くなんてギャグ漫画の世界。
ギャグシーンのゴリ押しでとにかく軽々しい。
ベルナデット・ラフォンもその瞬間の欲望に忠実
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恋のエチュード(1971年製作の映画)

5.0

3人という数に呪われた関係性の悲しさ。
2人では決して続いていかない。
レオーもそうだし、誰も彼もが軽薄で素晴らしい。誰かと恋に落ちる事にどんな心理も必要ない。
ステイシー・テンデターのみ愛を信じてる
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

生きていくための暴力性が冒頭から発露していてとても不穏で良かった。
説明会の嫌〜な感じは手慣れた感はあるものの、やっぱり楽しめる。
終盤の懐中電灯のショット。
自然との切り返し。分かった風だが人間の論
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チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

4.5

雪山の大嵐に、崖の崩落、小屋のシーソーと大スペクタクル。
孤独を馬鹿にされて、パーティの音を聞いてるチャップリン切なすぎる。
雪のように舞う羽毛。
チャップリンが鶏に見えたり、パーティを夢見たり、想像
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ヘンリー(1986年製作の映画)

3.5

いきなりの死体オンパレードにおっとなるし、心理的なものを排したマイケル・ルーカーも良いんだけど、悲しい過去語りの顔にズームしていくのに、ん?となってしまう。
電気屋の殺人シーンは白眉。
ラストの突き放
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地に堕ちた愛 完全版(1984年製作の映画)

4.5

虚実の入り混じりを導入のスムーズさで巧みに見せていく冒頭シーンが上手い。
さすがに長さは感じるものの、シャンプティエ達の画面を見てるだけでもそれなりに楽しめてしまう。
リヴェットのギャグも結構ハマって
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

4.0

中学生が考えた妄想のような、もっと言えば3歳の子供が遊ぶ怪獣人形ごっこに徹していてここまでやれば立派。
人間パートまじで30分くらいしか無いんではという飛ばし具合で、コングとミニコングのやり取りなんて
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街の灯(1931年製作の映画)

5.0

切り返しが映画において見つめ合う技法だけど、目が見えるようになったヴァージニア・チェリルとチャップリンが真に切り返される事はない。単独じゃなく頭越しのショットになっている。
切り返しによって出会った二
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サーカス(1928年製作の映画)

4.5

ヒロインや仲間たちが去りフレームアウトしていき、円の中に取り残され星だけが手元に残る。そんなの興味ないよと捨てて、アイリスアウトで自身を映画の中に閉じ込めて終わる切なさに泣ける。
ギャグもどれも面白い
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リオ・グランデの砦(1950年製作の映画)

4.5

南北戦争のせいで分たれていたジョン・ウェインとモーリン・オハラが、ディキシーを聞きながら目を交わすラストに目頭が熱くなる。
そのための音楽映画でもある。音楽シーンそのものの素晴らしさは言わずもがな。
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コンクリート・ジャングル(1960年製作の映画)

4.0

冒頭の鼻歌で密告者の帰還を告げるシーンからかっこいい。そのまま報復まで流れるように進む。
スタンリー・ベイカーとマルギット・ザートの出会いも素晴らしい。スッと手を引くアクション繋ぎが決定的。
落下によ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

斎藤潤の声変わりの瞬間を目撃してしまうドキュメント性が面白い。
スナックの異世界空間としての造形も良かった。
戻れない戻らないの主題説明のしすぎなんかは、やっぱり野木亜希子はテレビドラマの脚本家だなと
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ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

2.0

たしかに西野七瀬って口開けて寝てそうだなーとか失礼な事思いました。

ボトムス ~最底で最強?な私たち~(2023年製作の映画)

3.5

オタクの妄想そのものな後半に乗れるかどうか?
流されるままクラブ作っていく前半は楽しめた。
ルビー・クルーズが魅力的。

續・丹下左膳(1953年製作の映画)

5.0

オープニングクレジットからすでに大立ち回りで始まり、大河内傳次郎の狂いまで突っ走る。
ここもだけど、全編クレーンショットが決まりに決まっていて素晴らしい。
水戸光子もとにかく最高。銃を撃つ姿ももちろん
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黄線地帯(イエローライン)(1960年製作の映画)

4.0

湿っぽくなりそうなところを三原葉子が回避し続けててとても良い。天知茂の悲しい人生語りを鼻ほじりながら聞く素晴らしさ!
外国人が殺されるシーンで、下っ端が何も言わず聞かないのが怖い。暴力の構造が完成して
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貞子DX(2022年製作の映画)

3.0

ギャグに振り切るのは良いけど、ずっとスベってるのがしんどい。
カット数の多さは拡散の主題と一致していると思えなくもない。

リゾートバイト(2023年製作の映画)

4.0

きさらぎ駅の手持ちカメラが苦手だっただけに、しっかりカメラ置いてくれるだけでも嬉しい。しかもたまに良いショットを入れてくれる。一人になった伊原六花とか。
元ネタはほとんど知らないけど、中盤以降全然違う
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許された子どもたち(2019年製作の映画)

4.0

切り返しの力強さ。本当に向き合った者同士にのみ単独の切り返しが訪れる。
上村侑の視線を強引に奪う名倉雪乃!
長い部分もあるし、色々意図はあるんだろうけどあまりにもなネット描写や古さを感じる演出には少し
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