砂漠のシーンまではほぼ文芸映画。世界一強い女としてその名を知られる、俺たちのペギー・カーターとのバディもの(『エージェント・カーター』参照のこと)。当然あの無骨な動きを見たいだけの俺たちは、レベッカ・>>続きを読む
吉本興業製作。主人公は岡八郎。オープニングのグルーヴィーな昭和バラエティ感に圧倒される。やはり、何もかもを生で作っていた時代特有の迫力がある。物語に入ってからは、「吉本オールスターキャスト」で贈る凡庸>>続きを読む
ある夜の、たくさんの人々の喧騒が描かれる。やはりアケルマン特有の寂寞が描かれるが、彼女の作品の中でもかなり難解な一本で、まだこれを語る言葉を持てずにいる。俺にとっては、ということかもしれない。俺の敗北>>続きを読む
『ジャンヌ・ディエルマン』の乗った天秤の反対側には、この『ゴールデン・エイティーズ』が乗っていて、見事な調和を見せている。アケルマンの傑作。どういう心持ちで、どのような意志を持ってこの撮影に臨んだのか>>続きを読む
駅のホームをシンメトリカルに映したオープニングのショットから圧倒的。群衆が階段を降りていく階段を、主人公だけがその後ろにある電話ボックスに入り、架電の様子。かくしてこの物語は、電話に始まり、電話に終わ>>続きを読む
前作のラストから始まるので、最初の方からスリリング。なので、前作よりは圧倒的に面白い。マイケル・マイヤーズは、肉体的には特筆すべきところがあまりない。持久力がある。
色々あって黒澤映画を観ないという枷をはめていた俺なので、ついに、初クロサワ!…なんですけど、こんな感じですまんす。確かに、めちゃくちゃ面白い三幕構成!!なんだけど、いかんせん、やっぱこの当時の日本映画>>続きを読む
古典中の古典は、とにかく古典だった。状況説明に長い時間を費やし、残り15分でようやく手に汗握る展開になったまま華麗に終わる。マイケル・マイヤーズの造形の素晴らしさがとにかく目立つ一本だが、ダニエル・プ>>続きを読む
最初、思ったより悪くないのかも…と思ってたんだけど、中盤から大失速、というか話の腰がボッキリと折れた音が聞こえた。原作の謎解きパズル的な要素をごっそりオミットし、のみならず問いに出くわした直後に答えが>>続きを読む
とにかく音楽が最高。
いちいち漫画を実写化する矜持を感じてとても良い。鼻血の立体化とか、素晴らしかった。が、今の時代では到底許されないギャグも満載。学校のシーンとか、「旧時代の映像…旧時代の映像…」>>続きを読む
怒傑作。薬漬けにされたベルイマンが、『サウンド・オブ・ミュージック』撮らされてるんだけど、時折正気に戻る、みたいなテイストの映画。もしくはダグラス・サーク『天が許し給うすべて』的なメロドラマ換骨奪胎も>>続きを読む
なるほど、これは非常に良く出来た映画だ、ホン・サンスにしか撮れない類の。つまり、こんなに勇敢な人はいないだろうと思う。半分引退したような状態の小説家が、こちらもほぼ引退状態の女優と偶然出会い、意気投合>>続きを読む
ロキタにはトリという名前の弟がいるが、彼が本当の弟ではないことはわりと序盤からつまびらかにされる。母親への送金を止めさせてまで金をむしり取る仲介業者。ドラッグの売人をさせるイタリアンレストランのオーナ>>続きを読む
マシュー・マコノヒー主演『MUD』っていう傑作があったが、リバーサイド映画として一括りにしたい佳作。ミステリーとしてめちゃくちゃ秀逸なわけではない。ただ、ぼんやりと筋の通った物語の文脈が、異様に好く構>>続きを読む
某映画配給会社で働いていた頃のことをはっきりと思い出した。当然断片を切り出して誇張しているのだが、それでも心に染みたのは、パワハラ社長の叱責メールでも、心理的安全性を徹底無視した産業医の態度でもなく、>>続きを読む
両親を亡くした姪っ子を引き取るも、仕事に支障が出るので早々に面倒くさがる主人公ジェマ。開発中止になったプロジェクトを自力で復活させて、AIで動くロボットを開発すると、タブレット使い放題地獄(子ども天国>>続きを読む
「機密」と記された封筒が汚えアパートの共用廊下に落ちていたり、スーパーガールの監禁されている部屋に都合よく「S」の字のスーツがあったりと、至るところで相変わらずの詰めの甘さを披露するDCEUの世界。だ>>続きを読む
トルコの観光地にやってきた父子。両親は離婚していて、遠く離れて暮らしているので、会える僅かな期間を目一杯楽しもうとしている。実際、娘ソフィと過ごす父カラムはとても楽しそう。その様子を録画したビデオカメ>>続きを読む
面白いのは面白いんだけど、誰が何のために作って、誰が何のために観るのか、全くわからない一本(続編出来るっていうので爆笑)。完全にイーサン・ホークの無駄遣いで、税金対策に撮ったとしか思えない。でも、変な>>続きを読む
冒頭のタイトルバックでもう圧倒的。『Everything Everywhere〜』の例のコマ送りマルチバースシーンに匹敵。マイルスは成長して、マイケル・B・ジョーダンと、ジョナサン・メジャーズと、ヤニ>>続きを読む
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ちょっと前、同じ作者による『Bones(邦題:骨で同時公開との嬉報)』という傑作短編を観て>>続きを読む
前作で俺が好きだったのは、純朴無害に見える女学生がとんでもねえ化け物で、圧倒的な力を見せつけるところにあったので、本作でも、前フリとしてごちゃごちゃうるせえ小競り合いが続けば続くほど期待がパンパンに高>>続きを読む
明快なオチがあるわけでもない。切り取られた途中経過がフィルムに焼き付く。自己の人生を客観的に突き放し、まるで(あの頃の)ミア・ハンセン=ラブのような短髪のサンドラ(レア・セドゥ)が、七転八倒する姿を捉>>続きを読む
決定的について行けず、やはりスコリモフスキは苦手だなと思う。『早春』『ザ・シャウト』とか好きな作品はあるし、その前衛的で攻撃的なスタンスに好感こそ覚えるが、出来た作品は心を掴んでくれない。
ロバの地>>続きを読む
架空のキャラクターの切り取られた生活に、いつもとは少し異なる状況が与えられると、二ノ宮隆太郎監督の映画はゆっくりと動き出す。今回の状況は、少し切迫しているはず。記憶が薄れていく病気が進行していく只中に>>続きを読む
校舎の屋根の上、眼下に広がる「死」を前にした男の処に、プラトン的ににじりよるすっとぼけたホーンの調べ。その「ほころび」に気を取られて耳を傾けてしまうと、世界のあまりの不完全さにストーンと憑き物が落ちた>>続きを読む
俺はスティーブン・パステルをロールモデルに生きてきた(俺の中には、二人のスティーブンがいるというわけです。PavementとPastelsね)ので、本作が彼から開始するのをとても嬉しく思った。ちっとも>>続きを読む
チェコ最後の死刑囚オルガ・ヘプナロヴァーを描いたフィクション。本人との関係すらなかった罪なき群衆にトラックで突っ込むという、あまりに陰惨な大量殺人を行った人間を描く時に、同情や赦しが与えられるのであれ>>続きを読む
いや、結構な問題作じゃない?
たまたま、「音楽は時間の芸術である」ということについて、深く考え続けなければならない宿痾に囚われた人間だったため、冒頭のインタビューで本作がこのターという女性に宿したテ>>続きを読む
ノールックでベッド脇の端末こちょこちょやったら、ロボットアームみたいのがレーザー放ちながら追っかけてくる最高のシーンを面白がれないやつとは友達になれない。ほぼ直角のダムを車で走り下りながらエンジンブー>>続きを読む
胸糞レイシズム映画を想定して身構えて行ったら、それ以上にズッコケドタバタ犯罪コメディ史に残る傑作だった(今のところこのジャンル最高峰は『ありふれた事件』)。
女性だけが集められたパーティー。蓋を開け>>続きを読む
俺たちロッキーファンは、ロッキー4とかどうしようもないやつも全部飲み込んで「ロッキー最高」って叫ぶアンドロイドなわけだから、全然OKよ。OKだけど、人間だった頃の理性を取り戻して一本の映画として見ると>>続きを読む
なんだかんだで間に合う男。音楽映画であり、音楽は時間の芸術であるから、これは時間の映画でもある、と思いながら観るラストカット。時計の針が動き出すのを以て、主題が時間にあることを確認した次第。
つまり>>続きを読む
境界線について。冒頭、ビルの上で揉める子どもたちと、階下での告白劇が、手すりに分たれてスプリットスクリーンを連想させる。告白の儀式が不首尾に終わると、分断された2つの世界を貫くように、ぬいぐるみが落ち>>続きを読む
ダリオ・アルジェントの撮る、真っ当なジャッロ映画最新作。ほぼ、古典芸能だと思った。誰かに感情を寄せる必要なし。ただ美学だけがある。鮮血の。
両親と俺。俺と妻とむすこ。俺に2つの家族を思わせたら大したもんよ。その時点で、この物語は、グッと「俺の物語」になってしまう。
モーリス・ピアラなら父が帰ってくるし、アニエス・ヴァルダならタルラは凍死>>続きを読む