adonaiさんの映画レビュー・感想・評価

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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.2

素直に泣けるヒューマンドラマの新たな名作。
変に音楽で情緒を盛り上げたり、感情的で過激な演技で脚色されたような不自然さがなく、話も無理がないというか、劇的な要素が薄いため良さを言語化するのが難しく、仮
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.4

ここ最近観た中でダントツに一番好き。
まず不穏さの演出がかなり丁寧で、じっくりと確実に亀裂を深めていくクレッシェンド方式で先の展開がとても気になる。
登場するキャラもいわゆるテンプレ的なところがなくど
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永い言い訳(2016年製作の映画)

4.0

純粋に映画のおもしろさとしてはまぁ悪くないけど全体的に起伏が少ないし3.0点位かな〜ってところ、タイトルのセンスが実に秀逸でそこに沿って内容を思い返すと加点せざるを得ない。
「永い」とは終わりのないこ
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ルックバック(2024年製作の映画)

4.1

原作漫画は公開後すぐに話題になり確かに名作だと感じたが、ネットでの過剰な持ち上げ方、どれだけ強い語彙でこの作品を讃えられるか選手権みたいな雰囲気にはウンザリ。
そんな話題作を映像化した本作だが、話の内
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.3

不条理×和ホラーで若干のヨルゴス風味を感じる意欲作。
映像のクオリティとコンセプトは個人的に結構いい線いってるという評価。清水氏の総合プロデュースは伊達ではない。
ただそれ故に作品として底が浅くペラい
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

観た後少し人間性もとい知性が上がった気になれる法廷もの。
多国籍が混在して巻き起こるカオスがストーリーにも役者にも自然と溶け込んでおりフランスらしい仕上がり。
弁護士役がどことなく胡散臭くて完全な味方
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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015年製作の映画)

3.9

清々しい程のボーイ・ミーツガール王道ファンタジーa.k.aTheポップコーンムービー。
主人公の能力最後に何か覚醒して無双するんか思ってたけど最後まで地味過ぎて他の能力者との連携必須な感じは凄く好き。
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.9

戦争ものの中ではかなり特殊な視点で描かれていて、昨今の何でもありなナチス関連とはいえ一歩間違えれば炎上必至の題材、尚且つ敗戦まで描いておいてここまでポジティブな視聴感を産み出すのは偉大。
人物の服装や
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ハプニング(2008年製作の映画)

3.0

なんとなく昔の記憶でワールドウォーZ並みの終末世界かと勝手に思ってたんだけど実際には凄く小じんまりした災害で、尚且つ結局何なん?みたいな個人的に消化不良感強めで終わった。
登場人物も全員絶妙にウザった
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サユリ(2024年製作の映画)

2.5

白石作品はいくつか履修済みで、特にカルトはB級ホラーの名作(珍作)と評していた私にとってもまるで波長が合わず残念ながら酷評せざるを得ない駄作。
原作漫画は未読だったが、全編通して感じていた消化不良感や
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エクス・マキナ(2015年製作の映画)

3.6

映像はミニマルな登場人物とセットだけにもかかわらずチープさはなく素晴らしい。
小難しく複雑にすることもできそうな題材だが、話はシンプルにまとまっていて大衆ウケを選んだ感じで正直物足りない。
この世界観
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

ミッドサマー公開から間もない頃、アリ・アスターはインタビューで次回作の構想について、三時間以上の長編コメディになると語っており、それが本作のことかとは思うが、これがコメディのつもりならば些か常人とは笑>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.3

音楽というか音響のセンスが光る。
映像もカラフルかつレトロでお洒落。
ストーリーも導入は良いが、、、
途中で何度も挟まれるモノクロで奇妙なモンロー風ダンサーなどサブリミナル的な手法で心理に不穏さを植え
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アス(2019年製作の映画)

3.4

ドッペルゲンガー成り代わりものっていうありきたり風で新鮮味がないが実はあんまりない、というかパッと類似作品が思いつかない(最近だと複製された男位か?)ストーリー。
演出や画面がなんとなく派手でホラー要
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

高校生位の時に観て、スタイリッシュな演出や当時のビッグビート(デジロック)とか絶妙にダサカッコイイジャキジャキのBGMと人類史上一番かっこいいまであるブラピでマトリックスに並ぶ中2病患者のバイブルのよ>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.4

説明がなく、世界の理を変更する不条理設定はやはり最近ではヨルゴスを想起させるが、監督は氏の下で仕事をした経験があると知って納得。
場面毎のロケーションや小道具、全体の色合いなどに強いこだわりを感じる職
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.6

ジャンルの枠に嵌まらず感想を言語化しにくい、言うなれば「その他」に分類される作品。
ドラマ性もなければドキュメンタリーでもなく、恋愛ものでもない。
そういう俗な物が好きな人には刺さらんやつ。
都会的で
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ザ・ビーチ(2000年製作の映画)

2.8

ダニー・ボイル監督、アレックス・ガーランド原作、ディカプリオ主演でここまでグダグダとは思わんかったなぁ。
2000年と聞くと未だについ最近のような、というか技術はそこから進んでいない感覚が抜けないが、
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.3

悪意の無い相手にどこまで許容できるかってことを考える感じの道徳的映画。
周りは決して温かくなく、何故自分が一方的に我慢を強いられるのかと考えてしまったら途端に崩壊しそうな危うさが漂っており、戯けたBG
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

全て読み取れたと思うかと聞かれると絶対そんなことはないと言い切れるけど、自分も思春期頃のいつか体験した不満、昂り、切なさ、愉しさといった当時の感情を走馬灯の如く追体験する感覚が得られたことは、この映画>>続きを読む

FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.4

人によっては最恐映画かもしれない高所シチュ縛り映画。
そもそもタイトルからネタバレちゃうんかこれ、という不安を感じつつも飽きない工夫が色々詰め込まれていてサクッと観れるが、リアリティなくてシリアスさは
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X エックス(2022年製作の映画)

3.3

Pearlを観て、そういやこれも観てたということを思い出す。
決して印象に残らない作品ではなかった、というよりむしろどちらかと言えば強烈にしんどい絵面がまぁまぁあったこともフラッシュバック。
あの爺と
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.6

絶妙な加減のキショさが随所に丁寧に散りばめられていて見ている間ずっと少し不快な気持ちになれる。
映画愛に溢れたカットや演出多めで建造物から小物や服装関係まで美術が凝ってて情報量が多く画面の隅々細部まで
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

銃社会でない島国育ちの我々にも現代の銃規制に至るまでの背景にはいくつもの凄惨な事件があることは想像に難くないが、そもそも殺傷を目的とした道具が規制されるべきは普通に考えて当たり前やん?と考えることを放>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

3.5

世にも奇妙な物語風の低予算で分かり易い不条理ストーリーかと思いきや急転直下ラストで考察必須の難解映画へ変貌するなかなかエッジの利いた作品。
終始淡い黄色みを帯びたフィルターがかかっているのに薄暗い画面
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

ハンス・ジマーが天才過ぎるというか最早チート。
こんな迫真のBGM流しとけば多少の脚本や映像の粗があっても気にならんレベル。
SEや他の音響もめちゃくちゃ良くて、戦闘機のエンジン音や銃声、魚雷や水音な
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

ヨルゴス作品にしては不条理やシュール表現が少なく、反面、美術面に力が入っている。
これまではシチュエーションの突飛な発想力こそ監督の魅力であると考えていたが、本質的には人間の行動や心理をシミュレートし
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.1

ストップモーション作品全般に言えるが、自分は何よりも熱意に魅力を感じている。(セル画、フルcg等に比べて作業量が想像しやすいだけだが)
その中でも本作は感じ取れる熱量が常軌を逸しており、何故こんな疑似
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.9

内容があまりにも良いし音楽もダークでトライバルなドローンと馬鹿かっこ良くて好き。
カメラのブレがちょっとやり過ぎで気持ち悪なったことを除けば最高。
母系の女神バヤンと父系の悪霊というスピリチュアル過ぎ
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.4

雰囲気やあらすじからエンタメでないことは承知の上で、にしても起伏がないと思ってしまったが、嫌いではないというよりむしろ好きより。
思想的に近いヒッピーは若者文化もといカウンターカルチャーという立ち位置
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アンテベラム(2020年製作の映画)

3.9

バック・トゥ・レイシズム。
多様性という都合のよい言葉がのさばり、少数派の声がアンプリファイドされる現代社会の鬱屈さを払拭するため支配階級の復権があるとすれば、あるいは野蛮な方法も厭わないのかもしれな
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ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

3.3

リンチインスパイアな疾走感のあるスタイリッシュ演出すらラストのトリックへの伏線だった、、、のか?
ちょっと今観ると色々ダサい部分もあるんだが、クライムムービーは厨二患ってるくらいが丁度いい。
まぁ実際
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市子(2023年製作の映画)

3.5

邦画の典型的なボソボソ会話、暗い画面、重い話を抑えていて「あー、邦画っぽい邦画観たいなぁ」という気分の人にはおすすめできる。
しかし中身もありきたりなわけではなくシンプルなタイトルや鼻歌エンドロールな
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

2.5

コナン映画とは最早一種の祭り文化と化したコンテンツであり、自分のような「別にそれ程コナン好きでもないんだけど日本国民としてとりあえず観る」勢、家族やパートナーの引率として観にいくというパターンも多いだ>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.8

現代アート的と言うべきか、単にアヴァンギャルドと形容すべきか迷うところではあるが、とりあえずグロくてキモいんやけどなんか美しいものを観たような錯覚を引き起こす謎手法。
鹿の死骸が腐敗していくカットがあ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

映像と音楽が凄ぇ。
SFてのは突き詰めるとこの二点で満足できるんだよなぁという好例でもあり、自分含めて日本人の大半は原作も知らんのでこのスケール感と世界観にハマりきれんやろなあという残念さも。
モンゴ
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