ミッドサマー公開から間もない頃、アリ・アスターはインタビューで次回作の構想について、三時間以上の長編コメディになると語っており、それが本作のことかとは思うが、これがコメディのつもりならば些か常人とは笑いのツボがズレているというか、かけ離れたセンスと思われても仕方がない。
しかし、長編コメディといえば我らが松本人志の映画が総じてスベっていたことからも、凡人には理解できないシュールで奇天烈な超展開はさもすれば笑いの極地なのかもしれない。(松本映画は単純に技術不足の面も否めないが)
本作もアリ・アスター作品では恒例の公式による解説が公開されているが、脚本をそのまま活字にしてみると改めてふざけているとしか言えない内容となっている。
終盤のマーラ様など粗末過ぎる映像が続くが、この長尺で紡ぐ「ナニコレ」感こそがこの作品の肝であり、オチやメッセージ性などはおまけに過ぎないだろう。
これらの設定はとにかく馬鹿げた映像を撮るための口実でしかなく、長時間の上映時間にも意味がない。(劇場では間に休憩時間もあり、更に長かったようだが)
全ては本気で意味のないものを作るという遊びであり、妥協のない破綻、そういう作品があっても良いじゃないかという解脱思想を提起するものとしてネクストレベルを感じる作品。