美術市場で生きていく志のある美大生には最上の教材では。なんかよくわかんない絵を描いてるおじいちゃん的なポジションで映されるラリー・プーンズが、自己のスタイル本の破壊の果てにラストで映像越しに伝わる傑作>>続きを読む
これこそ「男同士の絆」の映画だ。女たちは(たとえどれほど人数が増えようとも!)どこまでも媒介物で、主人と召使の二者関係が等距離のままぐるぐる回転しつづける。ヘーゲルの「主人と奴隷の弁証法」ではないが、>>続きを読む
面白かったけど、言われるほどか? というのが正直な感想。剥製屋の漁網越しローアングルのアクションシーンとか、深く沈んだ黒などには撮影監督の腕が光る。けれども筋書がメロドラマと犯罪映画のどっちつかずで、>>続きを読む
本作を観ただけで判断してはいけないと思った。前作や、欲を言えば同時代の香港映画史における位置づけをしないと、この映画が面白いのかどうかわからない。注釈が必要。
そのうえで、スローモーションになってもま>>続きを読む
ビョークの曲はすばらしいがカトリーヌ・ドヌーヴも良い。それだけに救われている、しょうもない映画。
しょうもない作品ではあるが、2011年3月11日の地震のときに観ていたので記憶に残っている。場所はシネマスコーレで、揺れた瞬間は死んでいるはずのキツネが起き出しウィレム・デフォーに向かって人語を話すシ>>続きを読む
しょうもない映画ではあるが、鬱になったキルスティン・ダンストを姉のシャルロット・ゲンスブールが風呂に入れようとするも、拒否して泣き出すシーンだけは(鬱の症例として)印象に残っている。
ファスビンダーを見ていると、ドイツは16世紀ルネサンス(グリューネヴァルト、ホルバイン、etc.)から、キッチュとグロテスクの感性を失っていないことがわかる。この映画そのものが、病んで視神経が敏感にな>>続きを読む
傑作! 今となってはちょっと恥ずかしくなる過剰な演出(ジャズをBGMに目だけライトアップ。あと『瞼の母』で効果テキメンだった回転カメラも今回ばかりは少し滑ってる)とか少しご都合主義の筋書とかは些細な瑕>>続きを読む
筋は面白いのよ。緻密に計算されているであろう台詞の応酬も見事。でも筋が勝ってしまって、映像としての面白さを犠牲にしている(この感想は岸田國士の戯曲が原作と事前に知ってしまった先入見によるところが多分に>>続きを読む
盲人がケーキを突然ぐちゃぐちゃに握りつぶしたり、幽霊のような男がついてくるのが汚れたガラス越しに見えたりと、不条理に思えるショットはいずれものちになってその論理的な意味が開示されるのだが、それでも映像>>続きを読む
たしか4歳くらいに最初に観たエイリアン。気に入って何度も見返していた記憶がある。いま観るとフェミニズム映画として優秀(大野左紀子の批評を参照)。
1の静謐さとは異なる路線を選んだのはいいが、テーマパークのアトラクションみたいな安っぽさがどうしても滲み出る。エイリアンシリーズの方向性を決定づけてしまったように思う。
恋愛資本主義に脳をやられた醜悪なプロモーションビデオを見せられている気分になる。
最高! インフラを支える現場の誇り。名もなき市民の闘いにスポットライトを当てる保守的心性はイーストウッドに通ずる。リュミエール兄弟において鉄道は外から眺めるものだったが、トニー・スコットに至って内側か>>続きを読む
なぜだろう、荒地をバイクで走る終盤の場面から、身体が動かず最後まで見入ってしまった。
こんな静謐な映画だなんて思わなかった。BGMはほとんどなく、聞こえるのは環境音ばかりで、襲撃に対する恐怖を示すかのような心拍音がときどき小さく響く。それにギーガーのデザイン! 肋骨の羅列を想起させる宇>>続きを読む
ギャングのボスを演じるジェームズ・キャグニーは味方でも平気で撃つのに、その銃を握る手は肉づきがよく赤ん坊のようにムチムチしている。マザコンでベビーフェイスなのに残虐というギャップのある役柄は、『民衆の>>続きを読む
とても良い。短篇連作のような回想と現在の構造。仕事に生きて冷戦時代に数多の陰謀を画策したCIAのエリートが、勤務の最終日に己の仕事を裏切り若い友を救う。わずかな時間差の会話の騙し討ちや廊下の早歩きレー>>続きを読む
松重豊、『地獄の警備員』の殺人鬼元力士警備員役以来32年ぶりの黒沢映画出演!!!
傑作。ナレーションと呼ぶと作品に組み込まれた印象があるが、どちらかというと狂言回しのように作品を客観的に眺めつつ面白おかしく演出している。だから弁士ともちょっと違う。
前半はバルザックみたいな筋だなあ>>続きを読む
閉鎖空間で互いが疑心暗鬼になっていく密室サスペンスの装いだが、それは仮の姿で、ひとたびthe thingと呼ばれる生命体に目を転じれば、10万年越しの冬眠から目覚めた矢先に現地の生物から襲撃を受けると>>続きを読む
素晴らしい。冒頭の色彩から目を奪われる。男を不安にさせるファム・ファタルだが、自らもまた空虚なシニフィアンであることに苛まれているらしいところがメロドラマとしては新しい。植民者の気楽な情事と言えばその>>続きを読む
予想よりずっと良かった。現実にある差別を一般化してエイリアンに投影するタイプのベタなつくりに陥らず、エイリアン側を有徳の存在にすることで、難民問題における人類全体の愚劣を浮かび上がらせる。スラム化した>>続きを読む