たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

憧れを超えた侍たち 世界一への記録(2023年製作の映画)

4.3

大谷のムードの作り方に圧倒的な存在感を解き放っている。その伝説を映すだけでもここ数十年の日本野球の貴重な資料映像かもしれない。しかし、あのマウンドに立つ者全員に天性と努力を持ち合わせており、物語を持ち>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

4.2

さかなクンを通して描かれる人生の形。一期一会の出会いや多様な生き方など過去作の『横道世之介』を彷彿とさせ、改めて和製フォレストガンプを作るような監督だなと思わされる。何かを夢中になることへの輝きが良い>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.8

『マインドハンター』などフィンチャー作品や白石作品の『凶悪』を彷彿とさせて、既視感はもりもり。白石監督特有のゴア描写や、父の行動の気味悪さは本作ならでは。ケレン味が強くて現実から離されるシーンが多過ぎ>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.9

子供は大人が思っているほど未熟でもないし、大人は決して完璧であるわけではない。もしかしたら、大人と子供という境界線など無いのかもしれないし、単一的な個体として人は人と関わり、自己を理解させていくのかも>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

世界で一番作画が良いアニメーションであるスパイダーバースの続編は期待を裏切らず、アートスティックで表現の拡張性を感じられた。2部作構成である前編は良く言えば贅沢であり、悪く言えばテンポの悪さが気になる>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.4

ボクシング関連の作品は『ミリオンダラー』や『百円の恋』、『BLUE』と、ろう者を扱った作品なら『Coda』や『聲の形』、『サウンドオブメタル』などの傑作と比較すると酷だが、本作ならではの特異性は薄い。>>続きを読む

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)

4.0

青春の移ろいを切り取る山田尚子作品の初級編。アニメ的な表現が強くて没入感に多少欠ける(キャラが小6-中1くらいに見える)ものの、現状維持による一定の満足感と、発展させることへの不安と願いが入り乱れる思>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

複雑怪奇な刑事と被疑者の関係でドストレートな純愛を描いたものだ。官能的な雰囲気が醸し出すことに長けているパク・チャヌクだが、性的表現を避けつつ異性間の機微を映し出したのは見事。愉しい時間だけを密封した>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.8

大河では『鎌倉殿の13人』、アニメシリーズでは『平家物語』と何かと源平関連の名作が多かった2022年。今も昔もライブが生み出すグルーヴは変わらず、新しいものの持つ革命的なポテンシャルは凄まじい。音楽に>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.9

世に蔓延る普通という名の暴力、日常に潜む無意識な加害性、これらを被るのは大人だけではなく子供も同様である。事象や心情を完全に把握することを含めて、分かった気でいることも非常に危険である。言葉に正解はな>>続きを読む

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

4.0

本作を語る上でスタンドバイミーというワードを避けられないほどの和製版スタンドバイミー。令和の時代には珍しく、ノスタルジー溢れる落ち着いた作品でとても心地のいい作品。長崎の海が映えますね。

きさらぎ駅(2022年製作の映画)

4.3

コテコテな台詞を与えられたNPCキャラや異形なデザイン、前半はPOV、後半は擬似タイムループのような展開とゲーム映像のようなホラー映画。チープ過ぎるのだが随所随所にツボになるシーンが多く、大学生の女の>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.7

規定を超えた先にある成功を謳った自由の国の映画。メリットを提示しつつもあくまで自社を誇示してリードされるよりも、プレイヤー目線で寄り添って親身になってくれる方が嬉しいですよね。

キングダム2 遥かなる大地へ(2022年製作の映画)

3.8

初の合戦にて"将軍"を間近で感じることで信の成長の糧になり地道ながら前進する対魏戦争は好きなエピソード。肝心な麃公と呉慶にあまり肉付けされていなくて残念でしたが、王騎の存在感は流石なので次作に期待が高>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.9

有機物の惑星やカウンターアースと本作もSFらしさ全開のSFなのがGotGの良さ。ジェームズガンらしいシュールコメディと狂気性は垣間見えたものの、RTAストーリーに2時間半かけるほどか、という不満点も。>>続きを読む

希望と絶望 その涙を誰も知らない(2022年製作の映画)

4.1

新グループとして順調に駆け上がり、東京ドームという一つの夢の到達が発表された19年の年末まで華やかなものであっただろう。しかし、突如発生したコロナ禍という異例な2年間の生活は、後にも先にもここまで日常>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.1

世界興行1位のアニメ映画になり得る話題作だからこそ、映画としてかファンムービー(エンタメの一種)として捉えるかで物議を醸しているのも頷ける。満を持して最高峰のキャラクターIPを有するマリオシリーズが映>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.4

現代の視線は西部開拓時代の銃口に通ずる本能的な嫌悪感を引き起こすものである。マイノリティや動物、未確認生物が見世物として消費されることへの反旗である。ジョーダン・ピール作なだけあって恐怖心の煽り方や視>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.5

愛を知らない凪沙と一果が出会うことで感情が芽生えていくのが『LEON』を彷彿とさせる。ちょっとしたすれ違いにより凪沙は悲劇的な結末を迎えてしまうのだが、まだ未熟な一果に分岐点を託してしまうのは酷の話で>>続きを読む

劇場版イナズマイレブンGO vs ダンボール戦機W(2012年製作の映画)

2.8

前作に比べてゲストキャラのドラマにフォーカスしたのは良いものの、抽象的な虐待や世界崩壊の設定についていけず。とにかく悲惨な設定がてんこ盛りなフランは推し量ることができないレベルの事件被害者であるのに、>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.6

公開当時に東京駅での大々的な特別展示PRを見かけたのが記憶にあるのですが、作品の内容と伊坂原作でどこか辻褄が合った気がします。一部のキャラの掛け合いがタランティーノ作品を彷彿とさせて、ジョンウィック風>>続きを読む

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.6

市街地のカーチェイスやロマンス要素、敵組織であったりと一時代前のハリウッド映画っぽさが全て低クオリティで展開して、CGや演出も散々であるため本当に面白くない。8人がティラノから逃げているシーンなんてコ>>続きを読む

劇場版イナズマイレブンGO 究極の絆 グリフォン(2011年製作の映画)

4.0

本編ではホーリーロードを討ち取ることで成し遂げる暴力革命であり、根本的な解決には至らない中、本作はスポーツの根源的な価値を示すことでフィフスセクターを打ち破る真のEDになっている。新システムの化身が非>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

2.5

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興行的に成功する方法
→ハードルを下げて新規層の獲得
①Adoを全面的に押し出した大PR時代
②コナン商
>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.8

中年危機を迎えた男性が論文や偉人の言葉を用いて飲酒を正当化していく様がとても滑稽であり、『ブレイキングバッド』に通ずるものがある。ネガティブなイベントが唐突に感じてしまったんですが、アル中目線で視野が>>続きを読む

新解釈・三國志(2020年製作の映画)

2.6

カラオケや外人顔といった役者へのメタネタを連発させて、身内ノリが強い知らん奴らの飲み会に同席したような居心地の悪さ。変な発声、変顔、変な言動で笑わせようとする浅ましさ。常にふざけずに緩急を付けるだけで>>続きを読む

劇場版イナズマイレブン 最強軍団オーガ襲来(2010年製作の映画)

4.1

総集編が2/3を占めていたり、王牙の掘り下げがほぼ無いので構成やドラマに歪さを拭えないのだが、思い入れが強いため正当な評価ができない。終盤の王牙戦は作画労力を集結させただけあって、アクションの躍動感は>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

4.2

ループの定番である自省も取り込みつつ、他者に自省を促す構成が主軸になっているのが斬新的。甲斐性のない部長かと思いきや、直向きに会社と後輩を支えていることも判明したことで、自分を第一にしたことで見てない>>続きを読む

前科者(2022年製作の映画)

3.5

ドラマ版は素晴らしかったのにディテールが粗くなっており、リアリティラインを逸脱した描写が多くなり、悪い意味で映画っぽくなってしまった。ご都合展開も増えて、突然カスの『最愛』が始まってしまうし、刑事は演>>続きを読む

シュレック3(2007年製作の映画)

3.5

自分自身を鼓舞するという本作のテーマは良いものの、展開の盛り上がりや緊迫感、笑いと全体的に前作(前前作)に劣る。シュレックの世界観に食傷気味になってきたのかもしれないが、もう少し意外性や高揚感を持たせ>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.8

『12モンキーズ』の元ネタ。写真で構成されているのは過去というものは一時点でしか表現できず、線で構成されるのが現在である。郷愁に囚われてしまい、点から抜け出せなくなるのが人の性なのかもしれない。

少年の君(2019年製作の映画)

4.3

加害者と被害者の周りを取り巻く者には黙認する同級生と責任を背負いたがらない大人である。虐められたら相談してくれ、とさらに労力を課すのは酷な話であり、事件が大事になったら「復讐したんだろ?」というイジメ>>続きを読む

シュレック2(2004年製作の映画)

3.9

前作は賞をいただき世界から注目されたためか、下品さが抑えられた続編であり個人的には見易い。画面に童話が大集結する面白さがあるシリーズだが、本作のシンデレラにオマージュを効かせたラストも見事。今作もパロ>>続きを読む

ハッシュ!(2001年製作の映画)

4.0

性マイノリティを通して毒と薬が混在する人を描くことに橋口亮輔監督には卓越したものがある。逆に20年以上前に手掛ける先見性と、後にも先にも類似作品がない作風は唯一無二であり、長編が少ないのが惜しい監督で>>続きを読む

ちひろさん(2023年製作の映画)

2.9

もう風俗嬢やソロ活に偏見を抱く構造をフリにしていることすら、もう古すぎる。人工物のヒールがぞろぞろと登場させて、ちひろさんを際立たせる構造も歪であり、そもそもちひろさんの思想を正にすることも危険である>>続きを読む

パラドクス(2014年製作の映画)

3.5

設定が面白いのにキャラと演出に嫌悪感を抱いてしまい好きになれない…。年寄りは過去にしがみ、負の生産をしているという酷い言われようですが、この世の摂理かもしれません。徹底的な不潔感も狙った演出であり、反>>続きを読む