たわらさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.2

人物紹介に思えた過程を通して事件が起きた時には調査と真相が判明している新しいミステリーの爽快感。証拠隠滅に対してLIVE配信とかいうしょうもないカウンターを危惧したが、バカバカしすぎるパワープレイで最>>続きを読む

アナベル 死霊博物館(2019年製作の映画)

3.0

お化け屋敷。特段面白くもない人間ドラマが合間合間に入ってくるため没入感にも欠ける。

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

常に動き続けるバスケはアクションの最難関である中、原作である漫画のコマとコマの繋ぎ目を徹底的に描くことでリアルなバスケが行われている。映像化されたことで判明したことが人物の配置や点取りゲームに矛盾点は>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.1

ギレルモ・デル・トロの真髄にある生命のグロテスクさなどはアニメ表現により緩和されている(ファミリー向けにした?)が、残酷であるリアルな世界が垣間見えるファンタジー作品として一級品。ピノッキオに命を宿し>>続きを読む

鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成(2022年製作の映画)

3.1

相手の返答を待たずして喋り出す会話劇や演出の根本的な稚拙さは変わってないですが、一部の役者がフィナーレに向けてノッていた気がします。国土錬成陣のスペクタクルやド三流の一連のカタルシスは流石であり、原作>>続きを読む

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

2.7

何故か皆イカれた自己中女に心酔していく怪奇作品。人と人が繋がることへの描写が安直であり、
実父や先生、モブ生徒に悪役に徹する台詞を与えられているのも気持ち悪く、とにかく人間描写が粗悪。また前時代的な価
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八日目の蝉(2011年製作の映画)

4.0

八日目の蝉が一見悲劇なような出来事も捉え方では幸せになるように、本作は各々降り掛かる試練をプラスへと転換させようとする物語でした。希和子と恵理奈との4年間と21歳の恵理奈の怒涛の物語は見応えがありまし>>続きを読む

パンダコパンダ(1972年製作の映画)

3.8

パンダ喋るのかよ!
どことなく不気味な感じが喪黒福造を彷彿とさせて、当時のパンダは高畑×宮崎には外来した異星人かなんかに見えたんでしょうか。日常ファンタジーの原点ですね。

水曜日が消えた(2020年製作の映画)

3.5

無限の可能性を秘めてるアイデアを活かさず、本作は"火曜日"と一ノ瀬と安藤先生の3人によるヒューマンドラマであり、この設定で生きるであろうファンタジーとミステリー、ホラーの要素は相当薄味。主人公が共生の>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.5

華子はまさしく王子様に出会えたように恋に落ちたが、その結婚は制約の中に生まれたものであって、子孫繁栄の役割を与えられた女性または男性の従属として尊厳が損なわれた現実に気付きます。冒頭と同じ様にタクシー>>続きを読む

SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

2.7

前作で負け犬たちの成り上がりストーリーは完結していたため、ネームを獲得したアフターストーリーとしては葛藤と苦悩の描き方が弱い。この個々のサイドストーリーが微弱であるが故にラストへのカタルシスにも繋がら>>続きを読む

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

3.2

TVドラマの映画化なんて大した事ないにしてもテレビSPにすらならない微妙な作りになっている。ドラマシリーズはシロさんのケンジに対する愛情表現に苦悩して、すれ違うLGBTに関係ない普遍的な愛の物語であっ>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.2

欺瞞に満ちた国によって無知な若人が道具として消費されていく一連の無慈悲さがえげつない。撃ち落としている"何か"を人として認識した瞬間に計り知れない罪悪感に苛まれる。人である事が死に近づく残酷な世界であ>>続きを読む

余命10年(2022年製作の映画)

3.6

他の余命ものよりは幾分マシでしたが、他が生命に対する扱いが粗末過ぎるだけかもしれません。全体を通して表面的な部分を映し出しており、パートナーへの愛や自己欺瞞、生への執着の想いがキャラクターに篭っていな>>続きを読む

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.8

サイケデリックな映像に面を喰らいつつも、鉄を覆っていく様は身体の中の鉄分が溢れ出してくる様を表しているのではないか。今石洋之が作る世界を彷彿とさせて、この非現実感を実写に落とし込んでいるの驚異的である>>続きを読む

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

3.9

監視社会と対極的にある文化に秘めてるのは人の美しさであり、ヴィースラーの心を融解させたのは芸術である。文化が紡ぐ人と人の繋がりに幸福が潜んでいる。演出は良いが物語としては単調か。

恋の渦(2013年製作の映画)

4.4

良い意味で酷い。
有害な男性性がこれでもか!と描かれており、プライドの愚行っぷりが本当に見てられない。外では仮初の社会性を纏いつつ、パーソナルな場では特性が表に出て気が大きくなるのが本当に気持ち悪い。
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RRR(2022年製作の映画)

4.7

炎の力で水を沸騰させて生まれた水蒸気をエネルギーとする蒸気機関車のように最後まで駆け抜ける映像的快楽全開の超エンタメムービー。迫力のある音響や怒涛のスペクタクルとして今年の『トップガン マーヴェリック>>続きを読む

切腹(1962年製作の映画)

4.1

強者が優位的な立場から集団となって個の弱者の上から伸し掛かる空虚さ。娘婿が金品狙いであったのも事実であり、暴君・斎藤勘解由が疑うのも正当な心構えであるものの、ほんの少しの優しさを分けてやるだけでよかっ>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.2

是枝監督が一貫する擬似家族性は本作でも発揮されており、各々の関係性が傷を想起させながらもその傷を赦しあえる関係である。欠陥のあるヘジン号の親探しはお互いを支え合い、洗車で水と一体になる一時的な罪悪感か>>続きを読む

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

4.0

フィリップ作品はボケも展開も読めすぎちゃうんですが、阿保さ加減が突き抜けていて気持ちが良いんですよね。スパイダーマンキスのパロディが酷すぎて笑っちゃいました。もう少し、最後の作中劇に繋がるカタルシスが>>続きを読む

ショート・ターム(2013年製作の映画)

3.8

持つ者が持たざる者に一方的に与えるヒーロー映画とは異なり、大人も子供もフラットな目線でヒーリングされていくのが心地よい。他者を愛し、自分も愛してやることで同じ景色も変わってみえてくる。

燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

3.8

身一つで挑む主人公や武闘大会、悪の組織のコテコテ具合が午後ロー感があって良いですね。『ドラゴンボール』に影響を大きく与えた作品でしょうし、ブルース・リーのヒロイック性は凄まじい。

Don't thi
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許されざる者(1992年製作の映画)

3.4

新しく仲間を確保した辺りで本作も『荒野の七人』スタイルなのかな、と錯覚させられるくらいに西部劇の勧善懲悪のイメージは強い。故に善悪を取っ払った西部劇は斬新に映ったに違いないし、『ブロークバック・マウン>>続きを読む

地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.1

狂気と混乱がのたうつ中で自我を突き通す軍曹の存在が印象的であり、その行動の数々に筋が通っていない戦争の混沌っぷりを助長させる。カーツを探す道中で人の欺瞞を目の当たりにしていくウィラードは親殺しを経て、>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

視聴率至上主義を掲げつつ、秀才vs新人の構造は
まんま『バクマン。』である。故に問題点は共通して、過酷な労働環境でのスポ根精神乗り切る危険性は考慮されていない。ハラスメントが横行する環境下での自己犠牲
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なま夏(2005年製作の映画)

3.8

吉田恵輔監督が追求する見たくないけど覗いてしまう人の心の底は処女作から描かれており、内容は相当ハードなもの。中年を演じた三島ゆたかの演技が見事であり、ここまで不快感を凝縮させたものだ。

スリーパーズ(1996年製作の映画)

2.7

バリー・レヴィンソン作品って恰も良い話かのように進行しますけど、倫理に外れた正義を描きますよね。90年代後半の落ち着いたテンポ感は好みなのですが、ガバガバな少年院、法廷劇、前科者の職業など物語に粗が多>>続きを読む

サード(1978年製作の映画)

3.9

若人の活力と未熟さがひしひしと伝わる1作。ホームベースを目指す焦燥感に駆られているが故にどこか行動は危うげ。暗闇をもがく少年へのエールが感じられる。

パコと魔法の絵本(2008年製作の映画)

2.7

CGと実写と混ざり合いエキセントリックな色合いな世界観と落ち着きのないテンポに酔ってくる。この世界を構成する言動や美術と全てに対して品が無く、子供に相応しくないし大人が見るには堪えない。無垢な子供をあ>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.4

2人の人生観のすれ違い。過去の小説を引用して現在に投影させることを慮るフェルディナンに対して、マリアンヌは現在をかき乱してくれる能動さを人生を道化師に求めた。作品自体が純文学的かつ芸術的であり、ゴダー>>続きを読む

スクリーム(1996年製作の映画)

3.8

ノリが軽い割に死に方がなかなかエグいため見応えがある。犯人のサイコっぷりも相まって、ただの人間同士の肉弾戦も最高。軒並登場人物の行動がアホなことが多いですが、テンパっていたり学生ですしね。

ダンス・ウィズ・ウルブズ(1990年製作の映画)

3.6

後に壮大な映像技術とSFを加えたのが『アバター』ですかね。インディアンに正義が寄り過ぎてますし、ラブロマンスを入れないといけないのか分かりませんが白人同士の恋は必要だったのだろうか…。

最強殺し屋伝説国岡 完全版(2021年製作の映画)

3.8

架空の職業を通して阪本祐悟監督はマイノリティへの理解をテーマにしているのが窺える。そもそもマジョリティもマイノリティの区別も無くて良いですけどね。

国岡はホワイトベアーなどの集団に対する苦手意識があ
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リベリオン(2002年製作の映画)

3.9

『1984』をモチーフにした全体主義系SFであり、『マトリックス』のようなスタイリッシュ銃アクションを織り交ぜた作風は好みだが、感情を摘出した世界の割には向上心や激怒をする輩が多いので、抑揚を消すはず>>続きを読む

氷の微笑(1992年製作の映画)

4.2

シャロン・ストーン演じるキャサリンがまさしく妖艶と呼ぶに相応しく、彼女に目を向けた者は翻弄されてリビドーが掻き立てられていく。恐怖と緊張、性的快楽が入り混じった性行為にドラッキーな印象を覚える破天荒な>>続きを読む