Tomさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

3.9

映像,衣装,美術,舞台…全てに意識が行き届きそれらが織りなす美しくも重苦しい世界観と時代観が創り込まれていて説得力が凄い。更に渋良いC.ベイルと全く引けを取らず絶妙に信用しきれないH.メリングの好演。>>続きを読む

群山:鵞鳥を咏う(2018年製作の映画)

4.0

自然音と自然光のみを使ったゆったりとしたカメラが地続きな時間の流れを感じさせる。時系列を弄り背景を隠す事で何気なく見えていた行動に意図が帯び社会問題までもが浮かび上がって見えるのが凄い。何気ない日常に>>続きを読む

柳川(2021年製作の映画)

3.6

これ程日本の風情,魅力を捉えられる外国人監督は中々いない。"日本ってほんまに美しくて良い所やな"と改めて思った。そうか,心さえ通じ合えば相手の言語が理解できなくても対話はできるのか。ゆったり流れる時間>>続きを読む

テス 4Kリマスター版(1979年製作の映画)

3.6

絵画の様に美しい風景と劇伴が美しくも儚く虚しい人生を彩る。季節感や生活感,時代観を肌感覚で感じる丁寧な画創りと編集が素晴らしい。彼女が最期に選んだ選択は,例えそれが数日間であっても後悔など一切無く,幸>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

2.8

優しい作品だ。映画としてモヤる部分もあるしもっと観客を信じてほしいとも思う。でもアニメーションでこれほど不登校に真っ向から真摯に向き合った作品は無いし,本作が観客に新たな視点,選択肢を与え心にかがみの>>続きを読む

奇跡の13人:僕らのタイ洞窟生還記(2022年製作の映画)

3.0

『13人の命』『The Rescue』では救助者の目線からタイ洞窟事故が描かれた。本作は救助された子供達と両親が当時の心境を語る。彼らが生還出来たのは世界中の協力だけではない。何よりも彼ら自身の頑張り>>続きを読む

HUSTLE ハッスル(2022年製作の映画)

3.9

僕がNBAに熱狂していた時代のレジェンドや監督が次々出てきてテンション爆上がり。A.サンドラーの役者と人間としての魅力に溢れていた。物語も王道ながら心情や出てくる全ての人の描写が丁寧で全体のバランスも>>続きを読む

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

3.8

こりゃ凄ぇ!!人間"死ぬ気になればなんだってできる"を体現した湯浅監督がやりたいように良い意味で滅茶苦茶にやっている。凄まじい発想力とセンス…天才だ。あらゆる可能性,選択肢を提示し,その全てである過去>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.3

これが現代最高峰の映像技術か。凄ぇ。映像の奥行きと光の差込と反射…こんなに奥行きを感じる美しい映像見たことない。本当にアバターの世界へ連れて行ってくれた。導入の冗長さと物語の繰り返しはキツいが,この技>>続きを読む

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

3.5

強烈。奥崎謙三の蛮行も思想も全く同意できないが信条を曲げない精神は凄いと思うし理不尽な状況を考えると同情する。彼がいなければ本作が無ければこの真実は黙殺されていた事は確かだ。戦争は如何に心に傷を残し狂>>続きを読む

ナイスガイズ!(2016年製作の映画)

4.1

最高!バカでカッコよくて愛おしいキャラの立ちまくったR.クロウとR.ゴズリングとA.ライスの凸凹トリオに笑顔と元気を貰った。絶妙な緩さがクセになるし,緊張感のあるアクションで緩急も効いている。何よりユ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.7

障害に対する誠実な描き方と五感を刺激する撮影や音の演出が素晴らしい。彼女にとって🥊とは?🥊を続けたいのか?語れない彼女の繊細な一挙手一投足から心情を懸命に追う,追える面白さを堪能。刺さりはしなかったも>>続きを読む

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.0

面白っ!最&高‼︎気持ちいい~‼︎!ブランのキャラもかなり見えてきた。何よりE.ノートンとD.クレイグがいきいきしてて超格好いい。トリックの巧さと斬新さではなくミステリー映画として編集や演出,構成で魅>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.8

もふもふで可愛くて,でも苦しくて…。家族には言えなかった本音。本当はやりたい事があるが堪えて親の顔色伺って…分かり味が深すぎる。ありのままの自分を愛し,考えを伝える事がどれだけ大変で大切か。同時に"好>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.5

歯車のように繋がる人との関係性や自分の価値と重みを痛感した。情けは人の為ならず。無駄なことや命なんて何一つない。あぁ,生きていることって,人生ってこんなにも素晴らしい。僕にはどんな守護天使が付いてるの>>続きを読む

遭難者(2009年製作の映画)

3.8

ギヨームブラック初期作品の短編で『女っ気なし』の前振り。1作目で既にらしさが凝縮されていて何気ない会話が面白すぎる。感情的になったかと思えば我に帰ってとる行動に終始ニヤニヤ。クスッと笑えてちょっぴり切>>続きを読む

3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

3.8

南北戦争後の🇺🇸を描いた漢臭くてカッコいい硬派な西部劇。対照的な人生を歩む情けないクリスチャンベイルと極悪非道なラッセルクロウの怪演が最高。腹の下を探り合い迷いながら導くそれぞれの実に人間味のある決断>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.7

記憶と記録,記憶と肉体の死を比較する新しい自分探し。切なくも淡々と流れる時間。独特な空気感とリズムが心地よい。哲学的で映画的で想像力を刺激され能動的に考えられる創りが好き。嫌な事も悲しい事も忘れず前に>>続きを読む

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

3.6

試写にて。誘拐,殺人なんか当たり前で見て見ぬふり,泣き寝入りするしかない社会って…。暴力無しには争う事すら儘ならない。🇲🇽怖すぎ。無音の緊張感と母の愛と執念に体に力が入りっぱなし。現実はもっと残酷なん>>続きを読む

ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!(2021年製作の映画)

3.2

メリークリスマス🐑可愛いに溢れてる。息子がプレゼントに紛れ込んでしまい助けに行く楽しくて心温まるファミリームービー。一足早いクリスマスを堪能した。現代版にアップデートされた点も注目だ。Netflixで>>続きを読む

神が描くは曲線で(2022年製作の映画)

4.0

嘘か真実か。安定と信頼のオリオル・パウロの新作は精神病棟へ潜入する,これまでとは一味違った切り口で魅せるフェアで上質なサスペンス。正解は一つだがその過程は幾らでも創れるウミガメのスープ的会話劇バトルが>>続きを読む

この子は邪悪(2022年製作の映画)

3.0

人は何をもってその人をその人と判断しているのだろうか。そんなアイデンティティと身体の関係性を問う本作。もっと画的に邪悪にして欲しかったが下手にビクビクして観客の顔を伺いながらではなく開き直って振り切っ>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.3

実写が得意なデルトロが創る上でも,人形に命が宿る本作はストップモーションとの相性が最強。WW1を背景に敷く事で緊張感と奥行きを齎し,愛と有限な命の尊さは勿論,嘘の見せ方まで完璧。ありのままを肯定するデ>>続きを読む

おやすみ オポチュニティ(2022年製作の映画)

4.5

火星探査機の姉妹の一生。本来感情のないロボットに技術者の想いや物語,愛情がのって,命と絆が宿る様に号泣。僕もがむしゃらに頑張っていれば振り返ったら同じ奇跡が起きるかもしれないと希望を貰えた。ありがとう>>続きを読む

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.4

胸の高鳴り,ホウィルを求めて。勝つ過程や葛藤よりも,夢や夢中になれることを持つ素晴らしさを全面に押し出すサクセスストーリー。何だっていい。夢中になれることが一つでもあれば,人との繋がりも増え知らなかっ>>続きを読む

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

3.9

こんな事が許されていいのか…。ゲイ狩りから命懸けで逃れよう,救おうとする人々の衝撃の記録。酷すぎる人権侵害と己の無力さに怒りを越えて呆然。何が浄化だよ。されるべきはお前達だろ。どうしようもない暴力には>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.6

当時頭の中で想像し繋いでいた音や息遣い,動き,熱量からスピード感まで,全てが再現された夢の様な時間。本当にキャラクターと作品に命が宿ってた。初めて読んだ時以上の鳥肌と感動と興奮がそこにあった。涙が止ま>>続きを読む

トロール(2022年製作の映画)

3.6

久々に最後までちゃんと楽しい怪物映画を見た。🇳🇴の美しい自然と伝承を下敷きにCGも洗練され,人間,怪物側もストレスなく感情移入してみれる物語も十二分。人間が如何に環境に無関心で真実を見失っているか教え>>続きを読む

エルマーのぼうけん(2022年製作の映画)

3.6

うわぁ,子供の頃何度も読んだあの大好きな本が想像していたものが動いてる!ありがとうCartoon Saloon!!バディ感が増し,物語も現代版に更新。もっとじっくり描いて欲しい所もあるが子供の想像力と>>続きを読む

パンと塩(2022年製作の映画)

3.2

多くの人種, 言語が飛び交う🇵🇱の田舎町を覗く。タバコを吸って酒を呑んで,茶化して…そんな彼等から見れば穏やかで当たり前の,よそ者から見たら鬱屈した危うく気まずい空気感,緊張感が漂う。ショパンの故郷と>>続きを読む

ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界(2022年製作の映画)

3.0

環境と家族を軸に綴る冒険譚。アニメーションならではの世界観の創り込みは素晴らしい。だが情報の出し入れが下手でノれない。多様性の意識もここまでやられると説教臭い。視野を広げ過ぎて伝えたい事もぼやけてしま>>続きを読む

愛についての歌(2021年製作の映画)

3.9

仕事か恋か。今のままでいいのか?家族やプライド,目に見えぬ圧力に葛藤し決断する2人の気持ちが痛いほど伝わる。あの苦しい選択があったからこそのラストと余韻で想像させる未来にグッときた。創作に於ける誰に何>>続きを読む

北⾵だったり、太陽だったり(2022年製作の映画)

2.6

オンライン試写にて。服役中の元相方芸人へ結婚報告へいく,まったりとした短編ロードムービー。北風と太陽を思わせる天候や季節の魅せ方が印象的。短編映画として見るともっと強いボケやパンチが欲しかったが,感情>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

4.0

中身より名前や記号に囚われ分類する人間の愚かさと現実を突きつける。石川慶の演出と役者の演技に鳥肌が。人生にリセットボタンはない。変えられない血と過去,分からない自分に向き合い今と未来に目を向けて生きる>>続きを読む

SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

1.0

ライブは出資者,企画者,運営スタッフ,多くの支えと演者がいて初めて成り立つ。人を騙して会場荒らしてヘラヘラして…ライブ根本を侮辱してる。楽しめるわけがない。一番肝心の🦁の心が動いた理由も描かないし。オ>>続きを読む

泣いたり笑ったり(2019年製作の映画)

3.8

喜怒哀楽に溢れた🇮🇹らしい作品。高齢の同性愛は『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』とテーマは同じだが,描き方も,内容も完全に対極なのが興味深い。時間がかかってもいい。社会の目が怖い,受け入れられない,そん>>続きを読む