Tomさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

魂のまなざし(2020年製作の映画)

3.7

🇫🇮の画家H.シャルフベックの半生。男性社会にも臆せず情熱を糧に描き続ける姿が印象的。今の絵?!って程美しいカットの連続で見応えがある。作者や時代,想いなど,背景を知ることで絵一枚一枚にこれ程意味を感>>続きを読む

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

3.6

🇰🇷か🇰🇵か…。母を娘が理解する事を通して済州島4.3事件を描くドキュメンタリー。知らなかった…。母から娘へ、娘から観客へ。スープの味と共に二重に"伝える"構成が本作に大きな意味を持たせている。一人で>>続きを読む

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

4.0

夏の暑さも笑いで吹き飛ばせ!! MCU,DCとヒーロー映画のパロディを愛を持って本気でやるとここまで面白くなるのか!!色々と心配なレベルwそこにフランスの下ネタと笑いが加わり,絶妙なバランスの仕上がり>>続きを読む

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

2.3

10年分の血飛沫浴びた。無差別殺人や,コロナ的ウイルスの魅せ方は秀逸で特に殺る所まで全部見せてくれる序盤は面白かった。だが中盤からアイデアも予算も底を尽き,失速感が否めない。血の量は多いがそこまで騒ぐ>>続きを読む

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

無限の彼方へ…僕は行けなかった。別にこれバズじゃなくてもよくね?アレもコレもやりたい事を同じ展開で繋ぐだけ。その瞬間最大限楽しむピースが兎に角足りない。キャラの魅力も,カタルシスも感じず。アンディーと>>続きを読む

アルピニスト(2021年製作の映画)

3.8

岩山,氷山,どんな山にも命綱無しで1人で登る天才クライマーを追うドキュメンタリー。子供の様な笑顔が印象的で,心からクライミングが好きなんだと伝わる。高所恐怖症の僕にとっては体調悪くなるレベルで怖かった>>続きを読む

ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ(2022年製作の映画)

2.3

試写にて。前作はソニックの孤独と友情で巧く物語を展開してたが本作はゲームっぽさを強く意識した創り。その点人間との絡みや心理描写含め物語の雑さとだれる感じは気になった。それでも安定のジム・キャリーと映画>>続きを読む

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)

3.0

試写にて。あのカメ止めがフランスリメイクで帰ってきた!びっくりするほど原作に忠実で敬意も感じつつ,フランス色も追加。当時の盛り上がりと熱量を思い出した。面白い作品は低予算とか関係なく,こうして国境を越>>続きを読む

アトランティス(2019年製作の映画)

4.3

2025年のウクライナ戦争後。遺体の身元確認,地雷処理,建物と心の修繕…血は流れずとも戦争は終わらない。先の見えない灰色の空や雨が画面を覆い温もりは人肌だけ。残るか去るか,何の為に戦ったのか。考えても>>続きを読む

リフレクション(2021年製作の映画)

4.8

未だ続くウクライナ侵攻。報道される事実1つ1つに人の命,人生がある。戦争の悲惨さは勿論圧倒的な映像の力がフィクションと現実の壁を越え我々の心にウクライナの方々の抱える大きな傷を残してくれる。一生忘れら>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.2

色んな家族の形を描いてきた是枝監督が更に一歩先へ。家族や母性,父性,罪,幸せ…じっくり見つめ直す旅。彼らの心に触れた時,偏見塗れの価値観に気づき揺らいでいく。この時間がずっと続かばいいのに…。監督の静>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

2.5

社会的弱者達を理解する,なんて緩い映画じゃない。救いや同情があるでもない。必死に世を生きる人達をただ優しく捉え続けたのは素晴らしい。でもラスト。別に逃げてもいいよ。だけどさ,それだけは言っちゃダメでし>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.2

編集,CG一切なし。90分全編ワンショット長回し!息つく間もない崩壊寸前な厨房の緊張感や熱を出来立てで客へ届ける演出として作用している。集中して真面目にやれよと思うが飲食店はそれ程大変なのだろう。もう>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.0

試写にて。ソマリア内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮大使館達の実話。死と隣合わせの張り詰めた緊張感と笑いのバランスが良い。序盤の重さや映像で語る弱さは気になるが内戦と外交の構図は昨今の世界情勢とも繋がる。>>続きを読む

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.2

彼女の何気ない1日。行間と余韻から感情がテレパシーの様に伝わり,夏の蒸し暑さ,雨の湿っぽさ,酒による体温上昇まで映像に宿る。凄い。過去に縋ったり,未来に思いを馳せたり,純粋に今を生きられる時間は希少だ>>続きを読む

女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

3.2

サメに殺されたい女性の独白映画『ノーシャーク』にも通ずる所がある,しっかりとした分かりやすい心理サスペンス。映像の耽美さや覗いている様なカメラ,情報の出し入れが巧く最後まで引き込まれる。大島優子の説明>>続きを読む

アリーガルの夜明け(2015年製作の映画)

4.4

2009年にインドで初めて同性愛が認められた。本作は法律改定後の同性愛を理由に大学から解雇された教授と真実を追う記者の実話。まさかこんなことになっていたとは…。問題が多層的過ぎてどうしようもないインド>>続きを読む

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

3.8

世代を超えて好きなもので繋がり,世界が広がり変身していく様は心地よく微笑ましい,至福の時。人生は本当に何が起こるか分からない。『PLAN75』に通ずる点もあり,開いた心の穴を埋めてくれる。もっと観客を>>続きを読む

イントロダクション(2020年製作の映画)

3.2

試写にて。ホンサンスなのに男が屑じゃない!その分会話の面白さに欠ける。酒を呑んでからのグダグダっぷりをもっと観たかったが余白と想像力で作品を豊かに彩る創りは流石。僕は監督の撮るキムミニが好きなんだな。>>続きを読む

からかい上手の高木さん(2022年製作の映画)

3.6

原作,アニメ未見でも100%楽しめた。
"最後の"夏休みと終始寄り添う音楽が子供達の背中を押す。滲み出る優しさと初々しさに心が浄化された。相手のことを思って自然と出た一言がもう最っ高。男気を感じた。夏
>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.9

コロナ禍で構成を小道具で感情を魅せる巧さに脱帽。恋愛カレンダーが一枚,また一枚と逆に捲られていく。そんな愛おしく尊い日々をちょっと思い出した時,湧き上がる全ての感情が今を生きる糧となり背中を押してくれ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

2.5

試写にて。15歳で稼ぐ少年と10歳年上の女性の普通の恋愛映画とは一味違うロマンチックコメディ。監督の余りの自由さに戸惑いつつも居心地の悪さと心地よさの描き分けが巧く当時の空気感を音楽やセットから楽しめ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.2

それは”本心”?誰しも世間の目に翻弄され理想と現実の狭間で生きている。ダメな時は折り合いを付けて前に進む。彼女の正直な表情と選択が共感を呼び観客の人生の選択を想起させ,その全てを肯定してくれる人生讃歌>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.7

命懸けで逃げて,己を偽って,逃げて…。なんて壮絶な人生だ。兄の家族愛と彼の振り絞る勇気に涙した。彼らの命を守る為,真実に迫る為,多くの人に届ける為のアニメーションなのかな。こうしてる間にも人は殺されて>>続きを読む

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.3

望まぬ妊娠をした女性が中絶の為外国へ…。言葉など要らない。映像でしか伝え得ない生の感情の機微に釘付け。胸を多方向から刺される感覚に。監督の人生と体を大切にして欲しい願いと彼女を見つめる痛くも温かい眼差>>続きを読む

ピザ 死霊館へのデリバリー(2012年製作の映画)

3.7

配達先で次々起こる不可解な出来事。一体何故?!強引ながら予想の上をいくインドの脚本の強さをホラーに巧く絡めた力作。どこに行くか分からないドライブ感と転がされる心地良さを久々に体験できて大満足。ヴィジャ>>続きを読む

マドラス 我らが街(2014年製作の映画)

2.8

街の中央に聳える巨大な壁を巡る2大政党の対立を通して描く復讐と友情,裏切り,恋愛。社会問題も背後に見え『カーラ 黒い砦の闘い』と似た作風。復讐の連鎖は流石に繰り返しが多過ぎてクドく体感3時間位に感じた>>続きを読む

浜辺の女(2006年製作の映画)

3.2

不倫,ダメな男,お酒,浜辺,反復と差異でくだらない男女の話をぐたぐた魅せる感じはいつものホンサンス。初期の頃から既に健在だ。だがこれだけ棘を感じない見易い印象はキムミニ不在,又はまだ成熟してないから?>>続きを読む

内なる檻(2021年製作の映画)

4.0

閉鎖された刑務所で移送を待つ12人の囚人と刑務官の手に汗握る心理戦。高まるストレスと何をしでかすか分からない緊張感とユーモアと,どう転ぶか全く読めず檻を挟み相反する両者の関係性が軋んでいく様にゾクゾク>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

3.7

恋をしている女性が光って見える男と3人の女性を巡り恋の不確かな定義を探る。登場人物全員が真剣に恋に迷って考えて,ぶつかった時に起きる化学反応とその着地が実に心地よい。これ程男性が出ないハーレム映画も珍>>続きを読む

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

75歳で安楽死が選べる世界。当事者の高齢者と第三者の若者,其々の視点で命と向合い丁寧に心情の揺らぎを紡ぐ。疑問を持ち考え想像し他者へ想いを馳せる…。今日本や世界に欠けている大切な事。多くを語らず十分な>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.0

YouTuberって大変だな。数字が全てで常に刺激と流行を求めるリスナーの期待に応え続けないと食べていけない重圧。そこに欲や嫉妬が加わって…。人間の醜い部分をまざまざと見せつけられ苦しかった。どうなっ>>続きを読む

メイド・イン・バングラデシュ(2019年製作の映画)

3.3

劣悪な労働環境と低賃金で働かされる女性達。我々の日常生活が如何に多くの犠牲によって成り立っているかを思い知らされた。このままではダメだと分かっているのに豊かな生活を犠牲にしてまで対策に踏切れない現実。>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

2.6

コロナ禍の相次ぐ延期,無観客と異例で開催された大会。選手が何を想い,何をかけ,何と,何の為に戦うのか。膨大なデータからの決断と編集は地獄だっただろう。肝心の撮影は微妙だが自然描写で河瀬直美らしさも出し>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

4.0

愛に生き,逢いに行く…。今敏の圧倒的な想像力をもってすれば初恋というありきたりなテーマがこんなにも壮大に化けるのか。作品の中でしか生きていないように見えて現実の連続性の中で人生と重ね演じる役者の見え方>>続きを読む

ある日、ローマの別れ(2021年製作の映画)

3.6

匿名恋愛相談チャットで10年交際中の恋人から円満に別れたいとの相談が…。交際期間が長いほど別れるのも熱を取り戻すのも難しい。ローマの美しい街並みが痛々しさを一層際立たせる。恋愛って理屈じゃない。我慢し>>続きを読む