mrhsさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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アイガー・サンクション(1975年製作の映画)

4.0

山での撮影中に事故でスタッフが亡くなったという逸話からものすごいスペクタクルを想像していたが、スペクタクルとはかけ離れたひたすら労力がスリルに結び付かずに空転し続ける不条理劇。これを命懸けで撮るイース>>続きを読む

夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)

4.5

再見だが圧巻。ますますベロッキオが好きになった。何も気の利いたことが言えない。ミニマル、政治性、そしてロベール・ブレッソンに匹敵するような緊張感≒サスペンス。

特に難しいことをしているわけでもなく、
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真夜中のサバナ(1997年製作の映画)

4.0

平明なのに謎。上流階級の黒人の舞踏会の場面とか白人の既婚夫人のお茶会の場面(特に既婚夫人達が一糸乱れず一斉に車から出てくるところ、一体なんなんだ?)とか映像的には平凡なのに、妙に印象に残る。

終始微
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テンペスト(1947年製作の映画)

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https://www.cinematheque.fr/henri/film/48399-le-tempestaire-jean-epstein-1947/

いつまでか知らないが↑で鑑賞可能。ジャン
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フランティック(1988年製作の映画)

3.0

全くパリが魅力的に映っていない反(?)観光映画。

モリコーネとレゲエが劇中で流れる音楽面のチグハグさは、そのままこの映画全体のチグハグさだ。

アバンチュールはパリで(2007年製作の映画)

4.0

ホン・サンスの中で一番長い。ただ約2時間半が過ぎていった。本当にそれだけ。なんなんだ、これ。

アカルイミライ(2002年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

学生が歩くのを後退移動で捉えたエンディングは庵野秀明『ラブ&ポップ』そっくりで、調べたところ撮影監督が一緒。

黒沢清は女とコドモ(若者)をあまり上手く撮れてない気がする。

映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年製作の映画)

4.0

実際の映画の撮影現場がこんなだったらmetooとか起こらないのにね。

映画作りに関する映画(『軽蔑』や『アマチュア』など)の中でもこんなに希望に満ちている作品も珍しい気がする。もっとも希望一辺倒じゃ
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煉獄エロイカ(1970年製作の映画)

4.5

大昔に大学の授業で『エロス+虐殺』を観ているので今さら驚かないが、しかしこの寒気がするような厳格なフレーミングはやはり凄い。切り返しもベタなものはほとんど出てこないし。

初期スコリモフスキ、ある時期
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DOOR III(1996年製作の映画)

3.0

これで『回路』以前の黒沢清作品でソフト化しているものは全て観た(はず)。

女が立ってるだけで怖い。ここは『回路』で、ここは『蟲たちの家』で…みたいな指摘はいくらでも出来る。つまり黒沢清的な素材がたく
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怒りのキューバ(1964年製作の映画)

5.0

噂にたがわぬ傑作。本当に凄い。こんなカメラワークが1960年代半ばにあったとは。

クレーンを使った垂直方向のカメラの移動もとんでもないが、横にも動くし、傾くし、回る。冒頭のダンスの場面からしてもうこ
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XX ダブルエックス 美しき狩人(ハンター)(1994年製作の映画)

4.0

高橋洋脚本。

「映画とは女と銃である」とグリフィスは言ったそうだが、まさにそんな感じ。

冒頭のカルト集団の教会(キリスト教がベース)で行われる殺人の儀式からして凄い。教会と殺人という取り合わせはア
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ドッペルゲンガー(2002年製作の映画)

2.5

2002年作ながら既にフィルムで撮ってない。にも関わらずそんなことを感じさせない画の強さ、揺るがなさは凄いと思う。

ただそれ以外に褒めるところは……デ・パルマもしくはフライシャー的な分割画面はまあま
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女は女である(1961年製作の映画)

4.5

恵比寿ガーデンシネマにて再見。

地下アイドル界のアンナ・カリーナことパンタンシノワの麥野むぎさんは今、どこで何をしているのだろうか。

色情団地妻 ダブル失神/わ・れ・め/笑い虫(2006年製作の映画)

4.0

プロレスとセックスが非常に苦手なのだが、これは面白いと思う。

堀禎一のピンク映画を観ていると地元の元ヤンのフェイスブックを眺めているような気分になるが、ときどき"映画"としか言いようのないものが立ち
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ズームイン 暴行団地(1980年製作の映画)

3.5

人が燃える映画ランキング
1位 オリヴェイラ『カニバイシュ』
2位 トーマス・アルフレッドソン『ぼくのエリ』
そして3位がこの作品。

笑わずに観ることは不可能だろう。しかし何故、人が燃える映画は突拍
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ドミノ 復讐の咆哮(2019年製作の映画)

3.0

元旦に観たジェイランの映画に縦方向のトラッキングが出てきて「デ・パルマかよ!」と思ってしまったのだが、ジェイランの方が今風だったという衝撃。

先端というには古く、古典というには風格が足りない。なんと
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風に濡れた女(2016年製作の映画)

4.0

エロス≒生命力に満ちた作品。食欲と性欲を同時に満たす場面(セックスしながら、ものを食べる!)がその象徴で、タナトスに取り憑かれて久しい私にはとても眩しい。とはいえ傑作であることに疑いようはない。

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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.7

再見。

狭いスタンダードサイズの画面を埋め尽くす喧騒。本当に凄い。シネスコではなくスタンダードサイズこそ映画館で観るべきなのかもしれない。

話の連なり方など荒々しくまるで『ドイツ零年』あたりのロッ
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変態家族 兄貴の嫁さん(1984年製作の映画)

4.0

小津のエロパロ(エロ+パロディ)と思いきや、監督によれば批評的な距離を取ったパロディではなく小津との距離をゼロにした(!)モノマネという意図らしい(DVDに特典で付いているインタビューより)。

律儀
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893(ヤクザ)タクシー(1994年製作の映画)

4.0

いきなり濡れ場から始まる異色作。『打鐘』より良いと思う。もう車の撮り方が完全に『Cure』。話だけ取り出せばベタベタな人情もののはずなのに演出はクール。以下はその一例。

ヒロインとサラ金の社長が車か
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果てなき路(2010年製作の映画)

3.0

伝説的な監督のカムバック作品(らしい)。マニア的なトリビアをチラ見せしながら繰り広げられる映画制作内幕もの。語るべきところが多いように見えて、実は良くも悪くも普通のアメリカ映画という気が…。

エリセ
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.5

ブレッソンを観るたびに「もう映画はこれでいいじゃん」と思う。かつて『ラルジャン』を35mmで観たことは恥の多い俺の人生において誇れる数少ないことの内の1つだ。

ここまで徹底的に即物的なものを撮れちゃ
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

4.0

アメリカによくあるティーンエイジャーが酷い目に遭うホラーの黒沢清版(ただし被害に遭うのは会社員)といえばそれまでなのかもしれないが、カーテン、階段、監視カメラ、枠(へのこだわり)、殴打など黒沢清的なモ>>続きを読む

ポゼッション(1981年製作の映画)

4.5

こういう映画を楽しめなくなったら終わりだよなと思う。何の終わりなのか、わかりませんが…。クローネンバーグに入れ込んでいた高校生の頃(ああ暗い青春)を思い出した。

怪作『シルバー・グローブ』は手持ち多
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静かについて来い(1949年製作の映画)

3.5

犯罪(暴力)の引き金としての"水"、容疑者宅の本棚など黒沢清『Cure』っぽさあり。本作はまだ白黒だが、カラーになってからフライシャーはもっと鮮やかに劇的に惨劇を撮るようになる。

不審者(1951年製作の映画)

4.5

いかにもロージー的な人間関係、つまり対象性ではなく非対称性をベースにしたSM的二者関係がこれでもかと。やはりロージーの作品において対等な対話は存在しないのだ。

そのような関係を描くのには当然閉鎖空間
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アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

3.5

某図書館で発見。

「(バッハの音楽の)音の起伏はただの模様でしかないと思えて、気持ちをフラットにしてくれるんです」と言ったのは中原昌也だが、確かに冒頭からミニマル・ミュージックとしての(?)バッハ、
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ラストムービー(1971年製作の映画)

3.0

ゴダールの西部劇(のようなもの)『東風』をアメリカで手直ししたような感じなのだが、とにかく退屈してしまった…。

・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・(1988年製作の映画)

2.5

クレーンショット1つ(例えばタクシーを降りた後の橋での場面)で師たる相米慎二との差異は明らかというか、長回しがただ長いだけというか…。ちなみに監督自身は相米慎二より成瀬巳喜男(!)みたいな映画の方が好>>続きを読む

香港パラダイス(1990年製作の映画)

1.0

1点どころか0点。1シーンごとに滑ってて凄い。会話の1つもマトモに撮れてない割にヘリコプターが飛んだり爆発したり金が掛かってるのもやばい。

最初の場面が回帰してくる構成が映画的なのでしょうか。雑な回
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冬時間のパリ(2018年製作の映画)

4.5

アサイヤスがこんなに軽い話を撮ったのがまず驚き。常に全力投球だったアサイヤスもいつのまにか緩急を織り交ぜながら映画を撮るようになった?

映像的にもテーマ的にもなんらアサイヤスとして目新しいものはない
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プッチーニの愛人(2008年製作の映画)

4.0

初ベンヴェヌーティ(覚えづらい名前だ)。

このベンヴェヌーティ、ロッセリーニの映画に関わっていたそうだ。しかし美しいという言葉を嫌っていたらしいロッセリーニ(実際ロッセリーニの映画のショットは一枚絵
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勝手にしやがれ!! 英雄計画(1996年製作の映画)

5.0

凄すぎる。

そう、我々は見てしまった。黒沢清=シネマという、 世界の本当の姿を見てしまったのだ。

緩い部分もなくはないというか、勝手にしやがれシリーズ自体コメディなのだが、中盤に突如現れる信じがた
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悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)

4.8

エドワード・ヤンとかキェシロフスキもこの人の映画と無縁ではなかったのかも?と終盤を観ていてふと思った。

ダグラス・サークの映画は無駄が無さすぎて、映画の文法(もしくは当時のスタジオシステム?)を剥き
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炎のごとく(1981年製作の映画)

4.7

これは新文芸坐の大スクリーンで観られて良かった。

青山真治曰く「(加藤泰の演出は)この男はこういう男、この女はこういう女だって、凄い腕力で(俳優から)引き出している感じがする」とのことだが、まさにそ
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