問題行動が目につく刑事が、管内の麻薬取引に関わることで、その出所が警察内部からの横流しである事実に行き当たる。調査をしていく中で物語はどんどんと悲劇的な展開を迎え、全ては崩壊へと突き進む。いわゆる典型>>続きを読む
ファルーとアサマットの兄弟が医師の父親に会いに機関車に乗って長旅をし、その様子を映したロードムービー。ファルーは弟を父親に任せたいと考えていて、そのためにこの旅に出たのだが、アサマットがまぁまぁな発達>>続きを読む
シリアルキラー夫婦のハワードとパールの、パールがなぜあんなふうになってしまったかを描いた前日譚なんだが。結論から言うと、パールがいわゆるサイコパスだから、という身も蓋もない結論を、終始描かれ続ける感じ>>続きを読む
ポルノムービーで一攫千金を狙った一行が撮影に利用しようと田舎町に行ったら、頭おかしい老夫婦が住んでて、酷い目に遭う、っていうホラー映画。身も蓋もないけど、筋はマジでこれだけ。旦那がハワード、奥さんがパ>>続きを読む
寡黙な映画。夫の突然の失踪という出来事に見舞われた、銭湯屋を切り盛りする女性かなえ。そこに、自分を雇って欲しいという男が現れる。かなえは小さい頃から不思議な夢を何度となく見る。その夢がなんであるのかは>>続きを読む
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判断に悩む映画ではあった。途中まではアメリカに移住した姉と、韓国で暮らす妹の年配の姉妹を通じた会話劇と、ありがちな日常を、いつも通りの会話劇とシチュエーション展開ばかりで、そこにホン・サンスのミューズ>>続きを読む
ミニマリズムの徹底と本質的な人間ドラマの組み合わせにより、今現在において世界の映画シーンで孤高の存在となり、その旺盛な創作意欲は、完璧に60年代ゴダールや創造社時代の大島組を思わせるホン・サンス。まさ>>続きを読む
悲劇の映画女優、イ・ウンジェの初主演作をまさかホン・サンスが撮っていたとは。本作はそれ以降の本作が繰り返し行う、同一シチュエーションを細かな差異によって、異なる展開を描き出す映画によるループ展開構造、>>続きを読む
韓国の観光地らしい江原道を舞台に満員の特急列車に向かう女子大生、現地の警察官の男、教授職を求める既婚子持ちの大学教員男性などが入り乱れつつ展開される群像劇。そこにある夫婦の疑惑の転落事故も差し込まれる>>続きを読む
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なんか想像していたのとラスト10分ぐらいから大幅に方向性が変わり、結局どういうこと?って考える映画ではあったんだけど、童貞青春映画としての佳作であることは間違いない。おそらくバスティアンが幽霊なのかな>>続きを読む
今のホン・サンスと表層的な作風は全然異なり、終始不気味だし、今の彼の映画よりも非常に肉欲的な画面作りである。それはいわゆる韓国映画的な生々しさ(金綺泳的)と底冷えするような怖さを感じさせるわけなのだが>>続きを読む
題材も良い、映像も良い、役者たちの演技も素晴らしい…でも突き抜けた傑作となり得ていないのは、脚本の甘さかな。素人が少しカチャカチャやったぐらいで警察の手錠が開くとも思えないし、なんというか展開が都合良>>続きを読む
煌びやかな都会の世界で、軽やかに生きているように見える男女の恋愛模様を通じて、実際は不器用にしか生きられない人々が、さまざまな関わりを通じて自分にとってふさわしい生き方、自分に嘘のない「誠実」な生き方>>続きを読む
タイトル通りの映画。ふらりと後輩が書店をやっている街に降り立ったスランプに陥った小説家が、偶然その街で以前に自分の作品原作で映画を撮ろうとしたが、スポンサーの意見で断念した映画監督夫婦に出会い、しばら>>続きを読む
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侯孝賢が見つめる視線は哀しさと優しさに満ちている。生と死が同居する世界で、その往来は緩やかに巡ってくる。
主人公のアハは、どうやら侯孝賢本人をモデルにしているようで、言うなればこれは私映画である。>>続きを読む
巨匠にもこういう時代があるんだな、と思わせる非常にメロドラマチックなある種通俗的な一作。ラストのストップモーションの終わらせ方が「大人はわかってくれない」を思わせ、良かったが、まぁあとはありがちな一作>>続きを読む
映画館で観るのは三回目なんだが、改めてこの映画の到達点は、まさに青春が示す「一際眩しい夏の日」と、その夏が暮れていく終わりを映画というフォーマットを通じ、鮮やかに描き出したがゆえなんだろう。
凄い映>>続きを読む
ストップモーションや実写を混ぜ込んだアニメーションの独自性はもちろん、不穏さを称えた映像も凄いのだが、本作は単体だけでなく「コロニア・ディグニダ」というナチ残党がチリの山奥に作った入植地、その実は狂っ>>続きを読む
ネタバレも何もほぼ「童夢」ではあるんだけど、あの漫画の持っていた巨大団地での子供達のサイキックバトル、その不穏さ、禍々しさ、そういうものが非常に高い水準で再現されており、監督は本当に大友克洋が好きなん>>続きを読む
ハリウッドのど真ん中でこのテーマでやれた、というのが本作の意義かな。おそらくアカデミーの賞レースにも乗ってくるだろうし、この先の映画界の動きを考えると、その意味合いは大きいようには思える。単なるポリコ>>続きを読む
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ファスビンダーはラストに大どんでん返しを必ず用意してくれるわけで、本作も他に違わず衝撃的である。
一見すると、ペトラフォンカントとカーリンの物語、哀れな老女とその女を振り回す若くて美貌に恵まれたファ>>続きを読む
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結婚一日目にして爆撃に遭い、愛する旦那ヘルマンは戦地へと赴いた。戦後のドイツにおいて、マリア・ブラウンはヘルマンの帰りを待ちつつ、その美貌と才覚を武器に、戦後ドイツ社会で財を築く。それも全て、旦那ヘル>>続きを読む
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ハロルドとモードよりも、こっちかな。
エリーは偶然雨宿りで入ったバーで、モロッコ移民のアリと出会い、恋に落ちる。二人は人種の壁を越え、都市の片隅で愛を育んでいく。ただし、エリーはアリよりも20歳以上も>>続きを読む
ジャック・ロジエはメーヌオセアンとこれで二本目なんだが、とりあえず長いかな。「これで終わりかな?」と三、四回は思わせても終わらず、かといって必要不可欠なカットを織り込んでいたかと言えばそういうわけでな>>続きを読む
劇映画よりも編集が効いてて良かった。ゴダールの『軽蔑』の際の演出の様子が観られたりという点で貴重
パリからナントへ向かうメーヌオセアン号という国営鉄道の乗客の女性二人と乗務員二人、そして旅先の船乗り(女性の片方が弁護士で、その弁護人)の織りなす港町を舞台にしたコメディだった。ラストまでのナント駅に>>続きを読む
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高架下で売春婦をするリリーは、その中でも売れ残り、家に帰ればヒモ男から暴力を受けて身体を売ることを強要される日々。父親は女装して歌手をしながら、実の娘を買春するようなろくでなし。そんな絶望的な環境にい>>続きを読む
とんでもなく悪いわけでも、良いわけでもない作品。監督はカンボジア系フランス人。二週間の休暇を東京で過ごそうとした韓国系フランス人フレディが、台風による欠航でソウルに行き先変更したことから始まる物語。フ>>続きを読む
愚かであることはなんと困難を伴うことなんだろうか。
作品はカレンという女性がレストランで知的障害を抱えてるらしい集団と出会い、彼らとの二週間の集団生活をもとにした物語となっている。
構成は基本的に>>続きを読む
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宮崎駿の思想強め、原作はほぼ無視、という前評判以外はほとんど何も知らずに鑑賞。
結論から言えば、ほぼいつもの宮崎駿作品。思春期の主人公が、異世界への冒険を通じ、現実世界に戻ってくることで一つ成長を遂>>続きを読む
男女の恋愛のいざこざと人間模様を、風景と会話劇だけで描き出すいつも通りのロメール作品ではあるのだが、いつも通り「それだけ」であるのに一才飽きさせることなく、皮肉な笑いも交えつつ、ラストまで観せるのは流>>続きを読む
傑作。時系列的に考えると、本作があったから「君の名は」も生まれたとも考えられるほどに、日本アニメ史に残る名作。時は不可逆で、それゆえに後悔が多い人生を過ごすのが大半の人間である。時を遡ることが出来れば>>続きを読む
黒沢清の出世作であり、結局何本か観たけどこれがベストかな。90年代は、特に経済大国から滑り落ちてバブル経済で苦しめられた日本において、精神医学の時代であった。そういう時代背景もあり、メスマーやその他催>>続きを読む
原題は「the days of being wild」で、欲望の翼とはどう訳そうとしても無理がある(直訳すれば野生の日々、とかそんな感じか)が、このタイトルは非常に印象的であるし、作中のレスリーチャン>>続きを読む