なまくらウォッチメンさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

なまくらウォッチメン

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カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)

4.2

面白い
アメリカ、イラン、パキスタン、ISISの四巴抗争を描いたミリタリアクション
導入部が長いのが残念だが、一度チェイスが始まってからは砂漠という殺風景にも関わらず、時間帯やシチュエーション、構図と
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終わらない週末(2023年製作の映画)

2.9

思わせぶりなカメラワークとサスペンス演出ばかりでうんざり
そして、特に何もイベントが起こらない上に、キャラクターもこれと言ってアクションを起こさない
それらしい陰謀論をキャラに語らせて一応風刺劇を気取
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.3

超面白い
30年のブランクを越えフロリダ海峡横断に挑戦するスイマーの伝記映画
過去作の『フリーソロ』と同じく極限環境に身を置く人間を扱ってるが、主人公のオブセッションがトラウマの克服と密接に繋がってお
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.2

8年ぶりくらいの再見
現実社会から逃避し続けるイーニド、苦労しつつも順応するレベッカ、自身の身の丈を俯瞰しているシーモアを中心に、愚かしく正しくない人間たちの群像劇を書割的に描き、誰にも肩入れしない作
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最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

4.0

ヒップホップカルチャーを絡めたストリート映画(ブラックカルチャームービーの類型)&実際に素人の役者を使った、セミドキュメンタリー的な映画制作映画で面白かった
撮影されることの功罪とそれにより生まれるバ
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人生の乞食(1928年製作の映画)

4.1

養父を正当防衛で殺してしまった娘とホーボー(浮浪者)である青年による逃避行もの
キスシーンすらない、ロマンス未満の絶妙な主演2人の関係が良いなと思っていたら、うら若き男女の行末を命をかけて守るおっちゃ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.1

ゴジラと対峙するシーンは全部良かったが、「戦争で活躍できず生き残った後悔を負った兵士の心を、再び戦地に向かわせることで癒やす」ドラマは、それ良いのか?と思った
単純にドラマの演出も下手くそ
カット割と
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ほかげ(2023年製作の映画)

4.0

想像よりも直球の反戦映画で物足りなさもあるが、面白かった
生活の営み、学び、情けによる道徳心の芽生えとイノセンスの喪失を、大人から子供への視点の遷移で描いていくのが良い
終盤、主題を台詞で全て言ってし
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女群西部へ!(1951年製作の映画)

4.2

面白い
結婚相手を探し求め、140人の女性たちがアメリカを横断する、砂漠版『恐怖の報酬』『アギーレ』のような地獄のロードムービー
ロマンスやユーモアもあるが、過酷な自然環境や先住民の襲撃を前に老若男女
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小人の饗宴(1970年製作の映画)

4.3

面白い
キャストは全員小人で、劇中終始彼らが暴力や破壊の限りを尽くすだけの話
ただ、これは小人を単に矮小な存在として扱っているのではなく、寧ろ人間そのものの剥き出しの暴力性や残虐性、そしてより弱き者へ
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

4.0

原作は未読
リメイクの『異人たち』とは大筋は同じようだが、亡くした両親との一過性の交流・子供のまま大人になった主人公の成長を描いた寓話としての良さがあり、これはこれで面白かった
真逆の結末だが、個人的
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裁きは終りぬ(1950年製作の映画)

4.3

面白い
安楽死を幇助した女性を裁く裁判を、各陪審員の視点から描く群像劇
人を裁く裁量を持った人間に理性と公平性が求められることを描くのは『十二人の怒れる男』と同じだが、こちらは徹底的にシニカル
最後に
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.6

微妙
思ってたよりはかなりハードな展開のアクションで良かったが、撮影と編集がダメすぎる
寄りと望遠のカットばかりで位置関係と空間が把握しづらく、カットの繋ぎも所々おかしい
無くても良いキャラの視点を入
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

4.2

自分にはメロウが過ぎたのですごく好きというわけではないが、『不安は魂を食いつくす』の直接的な元ネタとして楽しめたし、『アフターサン』でもあった「虚構を映し出すスクリーンに、虚飾を剥がした実像を映す」演>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.2

面白い
時代劇版『アウトレイジ』…ではなく、『みんな〜やってるか!』
映画人北野武というよりは、芸人ビートたけしの側面が色濃く出た作品
皆んなが知ってる戦国時代の動乱を軽妙洒脱にいじり倒す、と言うかほ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

面白い
『エクス・マキナ』×『エル』のような作品
ランティモスらしさは希薄だが、『フランケンシュタインの怪物』の現代的脱構築を、ヴァーホーヴェン的な人間賛歌の語り口で描いていく
過去作へのセルフオマー
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タタミ(2023年製作の映画)

4.1

イランとイスラエルの代理戦争に振り回される女子柔道のスポ根もの
劇としてはあまりに広がりが無さすぎてそこは残念だったが、主人公がヒジャブを外すことがキャラクターの大きな分岐点になる構成は良かった(物語
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エア(2023年製作の映画)

3.8

WWIIの独ソ戦に於ける女性パイロットと銃後の女性たちにスポットを当て、敵との交戦と『ジャーヘッド』的な兵士の日常描写を交互に淡々と描いていく戦争映画
苛烈な暴力描写やドッグファイト等、非常にハイクオ
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異人たち(2023年製作の映画)

4.3

面白い
クィアの疎外感や苦しみをニューロティックスリラー&幽霊譚で綴る風変わりなヒューマンドラマ
二度と手に出来ないが故に、かけがえのない美しい過去の虜囚になってしまった人間を描いているという点で、同
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開拓者たち(2023年製作の映画)

4.3

先住民を虐殺して回る男たちを、混血児である主人公の視点で描くロードムービー
土地を転々とするごとに男たちの支配・被支配関係のパワーバランスが変化していくが、その最下層が常に先住民であるという、正に生き
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アルタード・ステーツ/未知への挑戦(1979年製作の映画)

4.1

なんだこれは
キリスト教モチーフやサイケデリック演出を盛り込んだ、ケン・ラッセルらしい怪奇SF
人類の進化の過程を追っていく中で、文明や戒律の存在しない原初へ回帰していく流れが、逆『2001年宇宙の旅
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ストライキ(1925年製作の映画)

4.6

サイレント期に於ける暴力映画の大傑作
抵抗のため駆け回り、鎮圧から逃げ惑う市民、それを嘲笑い鎮座する権力者、この暴力的な対立構造を活劇(アクション)で表現する、正に純映画的作品
動かないのは無生物と死
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最前線物語(1980年製作の映画)

4.0

サミュエル・フラーらしい、風変わりな戦争映画
劇中で戦地を転々とし、ドライというよりは弛緩し切った交戦が淡々と展開されていく
唐突な出産や、敵兵を刺し停戦後に助け叙勲される展開で困惑したが、軽重どちら
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

微妙
フィンチャーお得意の台詞の応酬とテンポの良い編集でリズムは良いが、それにしても不要なシーンが多い
なのに本業の殺し屋としてのシーンがほぼ無いのは如何なものか
モノローグで主人公の死生観とそれによ
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

4.3

面白い!
「舐めてた相手が実は…」系の新たな傑作
非常に丁寧な作りながら、80〜90年代ジャンル映画的な大味さを意識的に取り入れてる作り手の意識の高さに好感が持てる
『マッドマックス 怒りのデス・ロー
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.4

微妙
自ら病気にかかり障害者モデルとして受け入れられていく『キング・オブ・コメディ』的展開と、人間が根本的なルッキズムから逃れられないという批判描写は面白かったが、主人公の虚構癖から来る「実は妄想でし
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恐怖(1961年製作の映画)

4.3

超面白い
『バニー・レークは行方不明』『回転』系統のニューロティックスリラーの傑作
ハマーホラーらしい恐怖演出と会話の中のわずかな不穏さによるミスリードが巧みで、すっかり騙されてしまった
60年代サイ
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

4.1

面白い
過去作とは異なり、虚飾を排した暴力寄りのアクションの見せ方をしていてシリーズでは一番好み
暴力で他人を屈服させるマフィアに対し、自身の平穏を脅かす者に躊躇なく暴力を振るい、一分の無駄無く敵を殺
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ポケットいっぱいの涙(1993年製作の映画)

4.0

NYの貧困地区で生まれた主人公が犯罪の世界から脱却を図るも、環境による負の連鎖に絡め取られてしまう、黒人社会の闇を描いた話
全体的にテンポが悪く特に山場も無いが、90年代当時のギャングスタ&ブラックカ
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死の追跡(1973年製作の映画)

4.2

面白い
妻子を殺された平和主義者の保安官による、善悪の彼岸を超えた復讐もの西部劇
話の筋はシンプルだが、メキシコ側の保安官との対立等、意外にも社会派な骨太さがあり、やはり70年代西部劇は侮れない

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キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

4.3

トリアーの自己言及だけじゃなく『キングダム』という話の締めとしても結構綺麗で良かった

今作からの主人公であるカレンの視点は、明らかに『キングダム』の続編・完結を望む我々観客の視点と同一視されている
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キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

4.3

『キングダムI』はキングダム病院の謎に迫るサスペンス部分のまとまりが良く、それに対して話の主軸が増えた『キングダムII』はどうしても散漫な印象を覚えるが、キングダム世界の住人を描く群像的なヒューマンド>>続きを読む

キングダム(1994年製作の映画)

4.2

エピソード3の書類保管庫のくだりとエピソード4のキングダム査察のくだりが面白すぎる

マンダレイ(2005年製作の映画)

4.3

前作で素性も人格も観客に知られた主人公という軸を残し、フォーマットはガラッと変えるよく考えられた続編

聡明で心優しいが、無知で傲慢な白人と言う主人公のキャラクターの拡大解釈が全編を通して皮肉として効
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ドッグヴィル(2003年製作の映画)

4.3

改めて観てみると、トリアー版『ゴッドファーザー』としてよく出来てるなと

暴力を否定したいグレースが最終的に最も暴力を自由に行使できる立場に就き、自身の望まぬ形で事態が解決される様は正に『ゴッドファー
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奇跡の海(1996年製作の映画)

4.3

元々トリアーが人間嫌いではなく、寧ろ人間の善性を信じている人間だと思っている私にとっては、光のトリアーとして大好きな作品

ドライヤーの『奇跡』に対するトリアーの再解釈としてこれ以上ないくらい素晴らし
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