GENOKENさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

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アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

3.8

鉛色の空と時代に抑圧されていながら、意外に重苦しくない女性同士の恋愛ドラマ。自力で糧を得る人生を当然とする堅物な古生物学者を演じるケイト・ウィンスレットが迫真の演技。自分でも気づかない感情の芽生えは化>>続きを読む

彼女(2021年製作の映画)

2.1

女性2人の逃避行という意味では、“和製『テルマ&ルイーズ』”の趣に近いロードムービー。主演2人の頑張りと情熱は評価に値する。しかし、見る人によっては不愉快な描写、および陳腐なセリフが続き、苦痛に感じる>>続きを読む

モキシー ~私たちのムーブメント~(2021年製作の映画)

3.7

良くも悪くも道徳の時間に見せられる教材っぽくて大雑把なところがあるが、学園ものにありがちなスクールカーストをなくし、白人・黒人・地味な女子・イケてる女子が団結して差別をなくそうとしている姿はスカッとす>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.9

冒頭の『13日の金曜日』のオマージュからメタホラー的な衝撃度で脳天ガツンとやられ、その後はハイスクール映画の軽快さに一気にシフト。内気な女子高生と残忍な殺人鬼の魂が、それぞれの体に入れ替わる設定は、ギ>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.6

時間のループ構造特有のクドさは残るが、緩くてバカバカしく念入りに設計されたロマンティック・コメディとしては優秀。深いテーマに行きそうで行かない点は、アンディ・サムバーグ演じる主人公の持ち味のおかげか。>>続きを読む

スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)

3.3

韓国初のSF大作映画。見せ場満載のエンターテイメントではあるが、ハリウッドのマネをしている感じが否めず。「全く新しい!」とは絶賛できるほどではないが、スペースオペラとして申し分なく十分に楽しめる。強い>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.5

牙を隠したキレ者編集者を演じる大泉洋はもちろん、彼の部下を演じる松岡茉優の巻き込まれ芝居は絶品。出版社の企業内パワーゲームの枠組みで急速に変わりゆく世界構造を批評的に描写。ポスターや予告編が詐欺の如く>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.2

普通とは何なのか…?というテーマを十分に掘り下げているとは言えないものの、成田凌と清原果耶のスクリューボール・コメディ的なマシンガントークは秀逸。とにかく主演の二人の全くかみ合ってない小気味よいセリフ>>続きを読む

時の面影(2021年製作の映画)

4.0

遺跡をめぐる実話のストーリーは物語の特性上、派手な演出はないが人生を見つけだす事と、土を掘り歴史を見つけ出す行為を対比させた紳士的でエレガントな脚本が素晴らしい。テレビ画面で見るのが、もったいないぐら>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

今まであまり描かれてなかった季節労働者の世界。孤独だが自由な人々の後ろ姿が印象的。過酷な車上生活にも関わらず、自由に生きる主人公たちの姿が、究極の理想に見えてくるから不思議。現代のノマドたちに完璧に溶>>続きを読む

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

4.5

アジアンテイスト、王子様の登場なし、まさに今どきの流れを前面に押し出し、新鮮な感覚が充満。伝説の水龍・シスーを演じるオークワフィナのマシンガントークが炸裂し、寄せ集めチームワークの楽しさが、感動のツボ>>続きを読む

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

3.0

アメリカの小さな街でタイムループに閉じ込められた高校生を描く「ループもの」。繰り返す時間の中で見落としがちな「何気ない瞬間」の大切さを前向きでポジティブに描く。恋愛模様は微笑ましいがティーン映画の領域>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

4.0

劇的な展開もあるものの、基本的には日常シーンの連続。移民家族を受け入れる様を人々の行動ではなく、そこにある土と水、植物の在りようとして描く。それが普遍的な物語となって見る者の胸を打つ。このタイミングで>>続きを読む

マルコム&マリー(2021年製作の映画)

3.9

映像作家としてのジレンマを‘‘叫び’’続けるマルコムと、愛を‘‘叫び’’続けるマリー。お互いの意見を常に言い合い、仲直りしては喧嘩して、喧嘩しては仲直りしての繰り返しの一夜を116分の時間を2人芝居で>>続きを読む

あの頃。(2021年製作の映画)

3.6

ハロプロに出会って人生が変わった男たちの第二の青春の物語。アイドルに夢中の日常を綴る前半は、いい意味でのグダグダした空気感が心地よい。後半は恋愛のエピソードやネットでの論争が、物語のノリにブレーキがか>>続きを読む

ベイビーティース(2019年製作の映画)

3.0

札付きの不良と難病を抱える少女の運命的なラブストーリーだけに、少女マンガの定番ような設定ではあるが、ふたりの間にあるのがピュアな恋なのかが曖昧。その曖昧さが映画構成にも反映されていて、エピローグ的に展>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.8

社会復帰を目指す元ヤクザ。キレたら誰も止めらない怪物キャラを演じる化け物俳優・役所広司の最高の演技はさすがの一言。そして、ディレクター役の仲野太賀は言わずもがな。説明セリフを排し、日常の会話にナチュラ>>続きを読む

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

4.0

南北戦争の5年後を舞台に、南部と北部、支配者層と労働者層に分断された世界を描く。オーソドックスな西部劇にトランプ政権下で明らかになったさまざまな問題を投影させている。職人技の音楽、雄大な映像美も含め、>>続きを読む

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

4.0

一室に集まった4人の成功した偉人。偉大な存在とはいえ、まだまだ若い4人は、子供っぽい一面を見せる。彼らを聖人ではなく、生きた人間として描いたことで本作の人間ドラマは、より共感できるものとなっている。実>>続きを読む

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

4.3

目上の者に従うことを叩きこまれ、教育の機会まで奪われた結果、貧困から抜け出す術も知らぬ従順な奴隷へと育てられる主人公。理不尽な社会システムに抗い、底辺から這い上がるには、文字通り鬼になるほかない。イン>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.2

どこにでもいるような男と女の、いくらでも見かける恋愛模様を坂元裕二の脚本が恋のツボを的確に押す。恋愛当事者のさまざまに変わりゆく心模様を見事に描写して、説得力あり。菅田将暉と有村架純が演じる等身大カッ>>続きを読む

ペンギンが教えてくれたこと(2020年製作の映画)

3.5

誰かにサポートしてもらわないといけない、母として頼られるのではなく家族に頼らないといけない生活。人は絶望から立ち直ることができるのか?子供たちが「ペンギン」というあだ名をつけた飛べない野鳥とヒロインを>>続きを読む

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

4.8

題字を挟んで6年後、全身に立派な墨を入れた主人公が湯船に入る姿を背後から捉える。24分間の強烈な先制パンチで観客を圧倒する。「反社」として世の中から疎まれるヤクザの世界に濃すぎる家族関係を重ね、誰もが>>続きを読む

ゲット・デュークト !(2019年製作の映画)

3.6

大自然を舞台に、おバカなノリと不穏な雰囲気を漂わせ、いざ”公爵”と呼ばれるハンターが登場すると、それまで以上におバカな展開を見せる。ドラッグやHIPHOPといった若者らしい要素に満ちたノリと勢いで攻め>>続きを読む

ウォッチメン(2009年製作の映画)

3.8

かつてのヒーローたちの命が狙われるサスペンス物語を超ハードなバイオレンスと主要キャラのCG全裸、濃厚セックスと強烈なビジュアルをたっぷり盛り込んで展開される。"どれくらい激烈か”が伝わるスナイダー監督>>続きを読む

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)

3.9

とにかく面倒くさい登場人物たちにイライラさせられるものの、風通しが良い印象。ホームビデオ風を装った手持ちカメラの上手さだったり編集の妙だったり、作り手の視点が大らかで感傷に溺れていないから。ジョナサン>>続きを読む

ミルク(2008年製作の映画)

4.3

チャーミングさとエゴ、同時に脆さを併せ持つミルクの魅力を体現したショーン・ペンは納得のオスカー。ストーリーは史実に忠実でありならが、エモーショナルでポエティックな表現。70年代ポップスと悲劇的なオペラ>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

4.1

疾走感こそ、ダニー・ボイル映画の要!クイズ番組の場面は意外にクールに描写されるからこそ、ラスト15分、至福の時が訪れる。愛と希望を信じるポジティブな物語とダイナミックな音楽が一体化することで、国籍の枠>>続きを読む

フランクおじさん(2020年製作の映画)

4.3

もの静かでネガティブな感情を表に出さないゲイである"フランクおじさん"が内なる秘めた悲しみや苦しみを、姪のベスを通して温かく見つめる。派手な見せ場があるわけではないが、俳優陣の熱演によって爽やかな感動>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

4.1

始まってすぐ訪れる陣痛から自宅出産に至るまでを20分以上の「長回し」で描き、映画であることを忘れてしまう出産のリアル。そして完璧なタイトルバック。これから起こる出来事をマジマジと魅せる構成に唸る。赤ち>>続きを読む

ザ・コール(2020年製作の映画)

4.0

電話を通して過去と繋がる設定自体は目新しさはないものの、シチュエーションや登場人物を限定することで観るものに没入感を与え、細かい設定や粗など帳消しにしてくれる。ちょっとハッピーになったかと思えば、すぐ>>続きを読む

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)

3.8

2049年の地球の危機を派手に描かず、じんわり静かに、わずかなドッキリ描写を加えて恐怖を伝える。一人の博士の悲壮な決意と自己犠牲が、観る側を没入させる。美しい宇宙船の内部や最先端システムとSFアクショ>>続きを読む

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.2

チンピラに一歩も引かないタフネスを軽妙に描き、老いを笑いに転化した"贖罪”の物語。「人種差別発言上等!」の心意気を感じる挑戦的&自虐的なセリフの応酬で、今の米国を見事に観せる。時代を冷静に見つめ、自ら>>続きを読む

チェイサー(2008年製作の映画)

4.9

圧倒的。完全に組み伏せられた感じ。豪快なまでに直球で、思わせぶりな伏線も小細工もない。猟奇殺人鬼とその追跡者、そして警察が繰り広げる一夜あまりの攻防を描いたアクション・スリラーは予測不可能。死にもの狂>>続きを読む

愛を読むひと(2008年製作の映画)

4.0

ナチスの戦争犯罪が追及される時代を背景に、妙齢の女性の存在によって性を意識する若者の物語。ヒロインに魅了され、自慰を覚えたサルのごとく性のトリコとなる高校生の主人公。女性の面影を追い続けながら成長する>>続きを読む

少年メリケンサック(2008年製作の映画)

3.5

感情をあらわに突進するヒロインを宮崎あおいが天性の才能で肉体の動き+セリフ回し+表情のナチュラルなコラボが生み出すおかしさは、同世代の女優がマネできない域に突入したのでは?バンドの生い立ち=過去と現在>>続きを読む