GENOKENさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.3

列車事故で最愛の妻を失った軍人。同じ列車に乗り合わせて生き残った数学者。弱い者たちの居並ぶ疑似家族や因果律からの逃避。いわゆるな復讐劇の否定など、試みとしては面白いが、陰惨なだけで喜劇として成立してい>>続きを読む

ブルーズド 打ちのめされても(2020年製作の映画)

3.3

主演・監督・製作を務めたハル・ベリー。少したるんだお腹を見せる冒頭から後半に向けて徐々に仕上がっていく体を見ても、トレーニングの凄まじさが見て取れる。物語の構図は完全に女性版『ロッキー』そのもの。シン>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.7

耳の聴こえない家族の中で、一人だけ聴こえる主人公の苦労と家族への愛情。なかなかに繊細な気配りが必要になる設定だが、それが足かせになることもなく、それでいてそのことを極端に前面にだすわけでもない。演じ手>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.4

タイトルをダブルミーニングにし、これまで向かい合い続けてきた「マッチョさ」を更新させた一本。シナリオも粗いにもほどがあり、演出も苦笑せざるを得ない箇所ばかり。しかしイーストウッドがいなければこの映画は>>続きを読む

ビーボ(2021年製作の映画)

4.0

全編を通してノリノリの音楽が流れる中、ポンポンと移り変わる映像とシーンは、観ていて飽きない。ミュージカルシーンはあえて、フル3DCGと2Dチックな演出は、色鮮やかで音楽への愛とリスペクトが詰まっている>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.3

タイトルどおり「偶然」がキーワードなので、描かれる3つの物語は非日常の突発的。俳優の瞬間的反応、セリフのタイミング、それを捉えるカメラ位置など、あらゆる要素が計算づく。とにかくカットを割らず、独特な会>>続きを読む

愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)

3.6

アメリカの国民的ドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』のリカード夫妻。妻には“共産主義者”疑惑、夫には“浮気”疑惑が浮上するという問題が描かれる。ソーキン節炸裂なセリフのやり取りと希代のコメディエンヌの闘う姿>>続きを読む

MONSOON/モンスーン(2020年製作の映画)

3.6

主人公が普段から迷いを持っているせいで感じる自分はどこにも所属していないという感覚。旅の中ベトナムの街角を切り取る映像は立体感と美意識が感じられるが、語り過ぎない脚本は情緒に流されすぎて本質を得ないま>>続きを読む

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

3.1

ヒロインである女性が実験として3週間一緒に暮らすことになったロボットは、容姿も性格も自分の好みに合わせてカスタマイズされた人型アンドロイド。オフビートなロマコメ路線かと思いきや意外と哲学的な路線へと辿>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.6

グッチ家一族の末路は異分子が入り込み支配を広げられた末に見事に大崩壊。実録系ながら悪ノリ過剰の面白さ。男優陣の笑えるほどの怪演の嵐に、歌わなくても映えるレディー・ガガの芸達者ぶりは言わずもがな。ますま>>続きを読む

リトル・シングス(2021年製作の映画)

2.5

アカデミー賞俳優3人の演技に魅了され、最後まで緊張の糸は張ったまま鑑賞できる。主題が”真相は闇の中”と言う事なのか。アクションや驚くようなドンデン返しも無く、意味ありげな伏線の回収もないまま。余韻があ>>続きを読む

ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野(2021年製作の映画)

2.9

ラッパーのジェイ・Zがプロデューサーを務めた新感覚の西部劇。物語は分かりやすいほどの王道復讐劇。中盤はテンポが悪いというか、とにかく言い回しや仕草ばかりカッコつけて、それらが映画全体のリズムを壊してい>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.9

15年の間に2度もリブートされている『スパイダーマン』シリーズ。歴代ヴィランたちが集結するだけでも掟破りなファン感謝祭状態。冷静に考えれば複雑怪奇だが、スパイダーマンだから可能になった面白さ。ユーモア>>続きを読む

アーミー・オブ・シーブズ(2021年製作の映画)

3.6

『アーミー・オブ・ザ・デッド』の前日譚。本作はゾンビ抜きで金庫破りクライム・サスペンス一本に。面白味が薄まれている所か、クライム・ムービーとしての醍醐味充分。「こんなに簡単に開くのか?」とも思いつつ、>>続きを読む

社会から虐げられた女たち(2021年製作の映画)

3.5

19世紀末のパリ。“霊が見えてしまう”がために精神病院に入れらてしまった上流階級の女性。“精神病院残酷物語”の裏に男性による不当な女性支配・搾取があったという内容でキャッチーではないけど痛烈。霊が見え>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

4.3

全力で”ビートたけし”を演じた柳楽優弥。顔立ちが全然違うのに、芝居と所作の力で「似て見える」そして「泣ける」のが本当に圧巻! 劇団ひとり監督によるキャッチーな構成は、レジェンド芸人へのリスペクトが全開>>続きを読む

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)

3.5

今よりさらに人種差別が強かった時代に、色素が薄く白人で通じる外見の2人の黒人女性。置かれた環境が違う2人の内面を複雑な心理描写で迫り、感情の機微に寄り添うように共感や同情を丁寧に描く。アイデンティティ>>続きを読む

甘酸っぱい(2021年製作の映画)

3.6

韓国ラブコメの華やかな世界を想像すると良い意味で裏切られる。衝撃のラストシーンは確かに度肝を抜く展開。それ以上に、非正規で働く人たちの生活の厳しさや、通勤時間で疲弊してしまうサラリーマンの実態が浮き彫>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

3.7

ジョエル・コーエンによるシェークスピア戯曲『マクベス』をスリラー映画として新構築。あえて演劇的な舞台と映画の境目を曖昧にする手法を採りモノクロ映像、空間美術や緊迫感を助長するサウンドデザインでスタイリ>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.2

彗星激突カウントダウンというパニックムービーなのだが、企業の欲、メディア、社会の分断などにスマートに切り込むアダム・マッケイ監督の手腕に拍手。コロナ禍前なら「そんな、アホな!」と笑い飛ばせるが、今観る>>続きを読む

The Hand of God(2021年製作の映画)

3.5

癖のある監督が自己投影する十代の主人公を中心として思い出を共有するための作品。濃いキャラの家族&親戚関係、イタリア映画らしい“暴走感”に戸惑いつつ、パーソナル過ぎるエピソードを、ハリウッドでは躊躇する>>続きを読む

明け方の若者たち(2021年製作の映画)

3.0

常に漂う別れの予感の正体を、中盤までネタを明かさないところには新味がある。大学や会社の退屈さ、飲み続ける若者たちの不平不満もどこか紋切り型な印象。極め付けはバスローブ着たままセックスさせないでほしい。>>続きを読む

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

3.4

『キングスマン』シリーズの前日譚であり、史実を背景にしながら物語を組み立てフィクションとノンフィクションの融合が絶妙。主人公親子、および超有能な協力者たちにキングスマンの「精神」は感じられるが、前2作>>続きを読む

スヘルデの戦い(2020年製作の映画)

3.9

オランダがナチスに占領された時代。英国兵、ドイツ兵、レジスタンスという三者三様の戦争体験を描きスヘルデの戦いの全容を多角的視点で活写した骨太な戦争映画。オランダ国民が親ナチスとナチスに抵抗する側に別れ>>続きを読む

ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜(2020年製作の映画)

4.0

基本的にはかなりおバカな映画。涙あり、恋愛あり、人情あり、歌も踊りもサイコーにゴージャス。アイスランドの自然の美しい風景が新鮮。何から何まで揃ったごった煮のようなスケールの大きさと前半のあまりのトンデ>>続きを読む

パドルトン(2019年製作の映画)

3.5

同性愛カップルと勘違いされることもあるオッサン2人の日常が淡々と描かれるが、物語のテーマは「安楽死の選択」という重いテーマ。2人のオッサンの冗談まじりのやりとりが微笑ましくて難病ものとは一線を画してい>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.2

下北沢の日常風景に軽喜劇の確かな構築力が乗っけられ「純正・今泉力哉」映画の傑作!脇の人物がやたらキャラ立ちするサプライズが心地良い。若葉竜也演じる青の4人の女性をめぐる物語は、とにかくキャスティングの>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.0

18年ぶりのシリーズ4作目。『マトリックス』というものを使って再定義してみせる不思議な作品。今やアクションのキレ具合、ハッタリのかまし方は諸作に大きく水をあけられた形に。ゾンビ映画と化すクライマックス>>続きを読む

ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.2

大企業や超富裕層の税金逃れの内実を描く。バトンリレーのように主要人物が入れ替わる複雑な構成。散らばった点と点を結びつけて一貫した物語を見つけ出すにはかなりの不親切設計。しかし、庶民がカモにされるねじれ>>続きを読む

ポーラー 狙われた暗殺者(2019年製作の映画)

3.7

暗殺組織の年金問題解決で受給者が殺されていく。引退した暗殺者と現役暗殺者の戦いが見所。何と言ってもマッツの魅力をこれでもか!とばかりに推してくる。いぶし銀を感じさせる経験値から来る圧倒的な強さが堪らな>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.7

幼い頃に何もわからず録音された自分の声。それが歴史的な犯罪に使われていたら?まさしく"親ガチャ"的な運命に翻弄された3人の子どもたち。やや複雑な事件の全容も意外なほどスッキリ頭に入ってくる。強固な主演>>続きを読む

トゥループ・ゼロ~夜空に恋したガールスカウト~(2019年製作の映画)

3.5

宇宙に憧れる少女を中心に女の子らしくない個性豊かなメンバーとガールズスカウトに参加する。キッズ映画定番のジュブナイルものであるが芯の部分は、女の子らしさが評価される慣例にどう立ち向かうのかが主題。クラ>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.8

基本は戦慄スリラー。キャリアへの野心をもつ若い女性が搾取される暗い現実について語っているが60年代ロンドンがスタイリッシュに再現されることで、おとぎ話の世界に入ったような陶酔感。ナイフに写る顔や鮮血の>>続きを読む

僕らの先にある道(2018年製作の映画)

4.4

衝動的に発生した恋は、愛情に変化する過程で相互理解が不十分になっていくベタな展開。それでも見れちゃうのは、大袈裟ではない丁寧な作り込みを感じる部分が多いから。ゲームのストーリーが前振りになっていたり、>>続きを読む

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.3

ツンデレ感満載な掛け合いを繰り広げるエディとヴェノムの異色コンビ。ちょっとヴェノムが愛らしすぎて心配になってしまうほど。バディと言うより夫婦漫才。もはや究極の「愛」と化し、観ているこちらの心を萌えさせ>>続きを読む

バード・ボックス(2018年製作の映画)

3.8

視界に入ったら即終了という、理不尽すぎる設定ゆえの緊張感がいい。「それ」を見てしまった時の発作的な反応、瞳孔の変化など、荒唐無稽とも言える設定をサンドラ・ブロックの演技力と細かな表現によって支えられて>>続きを読む