pherimさんの映画レビュー・感想・評価 - 50ページ目

ロケットマン(2019年製作の映画)

3.5

若きエルトン・ジョンが女神ミューズに魅入られ突き抜けゆく瞬間、ライヴシーンの一体感ほか、『ボヘミアン・ラプソディ』の衝撃波をストレートに踏襲&更新する意欲作。『キングスマン』主演タロン・エジャトン(エ>>続きを読む

隣の影(2017年製作の映画)

3.2

アイスランド映画。庭の木の手入れを巡る隣家同士の反目から、諍いの普遍を描く。レイキャビク郊外舞台のブラックコメディという物珍しさを楽しんでいると、スリラー、ホラーへと予測不能の展開を遂げ始める。苔の接>>続きを読む

鉄道運転士の花束(2016年製作の映画)

3.7

ユーゴ映画とでも言うべき、鮮やかにリバイバルした古典名作を観るような趣き。誰かを轢くまで一人前ではないという通念の前で、無事故であることを苦悩する青年と、暖かく見守る養父たち。不思議な死生観をベースに>>続きを読む

神と共に 第一章:罪と罰(2018年製作の映画)

2.8

転生をかけ閻魔大王など個性的な神々による裁きに臨む、被告人消防士兄貴&弁護人天使トリオvs冥界のコミカル検察官吏2人組。オモニへの慕情という古典的物語を主軸に、表情演技利きまくるハ・ジョンウほか豪華出>>続きを読む

神と共に 第二章:因と縁(2018年製作の映画)

2.4

新たに怪力座敷神マ・ドンソクが降臨し、千年前の史劇要素も加わる第二章、前作同様の高水準CGが見応え充分。「四十九日」が物語の重要な下地となり、登場する宗教ギミックが日本とは少しずつ異なるのも面白い。チ>>続きを読む

北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)

3.7

グリーンランド辺境部のイヌイット村へ、志願して赴任したデンマーク人青年教師が体験する暮らし。根は純朴で誠実な彼の内に、村の人々が見いだす帝国主義の残滓としての傲慢さを見いだすくだりは興味深く、不登校児>>続きを読む

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.3

大戦直後のポーランドで恋に落ちたピアニストの男と歌手の女。西側へ亡命した彼と東に残った彼女との逢瀬の舞台となる'50年代ユーゴやパリの再現描写が興味深い。『イーダ』のパヴリコフスキ監督が両親へ捧げた、>>続きを読む

シークレット・スーパースター(2017年製作の映画)

4.0

歌手になる夢を動画投稿で叶えゆく14歳の少女と、DV父から娘を守るため覚醒を遂げゆく母。そしてこのシリアス情湿展開を、抱腹絶倒のパフォーマンスで跳ね返す“脇役”アーミル・カーンの圧倒的存在感。独りでイ>>続きを読む

バオバオ フツウの家族(2018年製作の映画)

1.7

"親愛的卵男日記"
台湾発LGBTs妊活映画。各々子供がほしいゲイカップル♂がレズカップル♀へ精子を融通する。演出に拙さが目立ち人物造形や世代描写もやや平板ながら、ロンドンと台北の地理的な隔たりが4人
>>続きを読む

アートのお値段(2018年製作の映画)

3.9

第一線の著名コレクターやギャラリストらがアート市場の騒擾を明け透けに語る小気味良さにもまして、クーンズやリヒターが柔和に振る舞う姿だけでも、凡百の美術ドキュメンタリーとは一線を画す見応え。抽象表現主義>>続きを読む

田園の守り人たち(2017年製作の映画)

4.1

第一次大戦下フランスの農村。男たちは戦争にとられ馬も供出させられて、残る女たちが肉体労働のすべてをこなす日々。家族を守りたい老婆、情熱に身を焦がしたい未亡人、居場所を築きたい雇われ農婦、といった女たち>>続きを読む

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)

2.9

1984年夏、隣家の警官を連続殺人犯と思い込んだ少年が、仲間と探偵行為に乗り出す。80'sリスペクトな音楽から近所の美人お姉さんへの憧れまで『ストレンジャー・シングス』スリラー版といった立ち上がりなが>>続きを読む

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)

3.0

キャプテン・マーベルを超えてきた“強き女”への覚醒譚。その能力獲得シーンの壮大さ、マイノリティの苦汁に根下ろすストーリーラインの巧さ。それにもまして、この超豪華X-MEN出演陣を大向こうに張るジェシカ>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

3.8

親からみれば見守るべき存在である少年が、最も冷静に家族の崩壊を見つめていく。無力だが決して目線を逸らせはしない少年の瞳の幽かな揺れに、本作が初監督作となる怪優ポール・ダノの深い眼差しがダブる。『ア・ゴ>>続きを読む

ピータールー マンチェスターの悲劇/ピータールーの虐殺(2018年製作の映画)

2.5

ナポレオン戦争による困窮改善を訴える民衆デモに対し、政府騎兵隊が殺戮に及んだピータールーの虐殺を描く。民衆個々人の動きへ焦点化した映像は、レンブラント等の絵画名作が意識され面白い。香港100万デモ直後>>続きを読む

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

3.7

『旅のおわり世界のはじまり』
黒沢清新作は、全編ウズベキスタン撮影の奇想映画。前田敦子の存在感は終始情景に拮抗し、マーケットを疾駆し草原でハッスルしたあと迷い込むナポイ劇場で始まる内面への潜航から、黒
>>続きを読む

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)

4.0

寄宿舎学校からオックスフォードを経て戦場へ。内装や衣装の作り込みが、妻となる孤児との出逢いや言語学教授との変人的師弟関係など人間味溢れる挿話の数々を引き立てる。幻想と魔術の指輪物語世界の底に息づく、親>>続きを読む

聖なる泉の少女(2017年製作の映画)

4.5

泉を守る一家の父は衰え、泉の水は枯れ始める。ジョージアの寒村にて、神の化身たる白魚棲まう泉へ象徵される土着の精神と、聖職者や科学者となった息子らが体現する現代との狭間で、少女は静かに懊悩する。人も自然>>続きを読む

ディリリとパリの時間旅行(2018年製作の映画)

4.1

ベル・エポックの絢爛たるパリを、配達用の三輪車で疾駆する少年と籠に乗る少女。太平洋のニューカレドニアからやって来た褐色の少女ディリリと、続々登場するパリの著名人たちとの邂逅が逐一楽しい。そしてアール・>>続きを読む

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)

4.4

ヴィム・ヴェンダース監督新作。『誰のせいでもない』の雪深い地での内面への旅、『アランフエスの麗しき日々』のコロニアル邸宅での時間への旅を経て、本作で試みられるのは世界の底への降下である。

混迷極まる
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Girl/ガール(2018年製作の映画)

3.7

バレリーナを夢みる15歳の少女の、トランスジェンダーゆえの葛藤、残酷なイジメ、厳格なレッスンを耐え抜く日常の崩壊と再生。ゲイではない少年への配役が欧州では議論を呼んだが、背筋で語る熱演の成否は言を俟た>>続きを読む

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