チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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ボイス(2002年製作の映画)

3.0

民主化以降の韓国初期ホラーの中でも良い出来。
雨や照明を効果的に使ったタイトルロールからして、撮影がスタイリッシュ。
富裕層の生活圏が舞台なのは当時の定石だが、生活感も適度に漂っている。
前半はホラー
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TSUNAMI-ツナミ-(2009年製作の映画)

1.2

「韓国でも天災パニック大作は撮れる」と気負った作品、水害の実写部分をどう撮るかはハリウッドに学び、現地スタッフも参加させた様子。
CGや劇伴はいかにもな雰囲気だが、登場人物に釜山の田舎者を多く配し、ロ
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ウォーデン 消えた死刑囚(2019年製作の映画)

3.5

親米時代のイランを描いた作品だが、舞台は時の止まった辺境の刑務所なので、時代やエキゾチズムはさほど感じられない。
最後まで先が読めない脚本とリアルな美術、クリアで美しい撮影が印象的なサスペンス。
主演
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荊棘の秘密(2016年製作の映画)

4.0

さほど期待せず観始めたのだが、強烈な力作。
居丈高な女の狂気を噴出させたソ・イェジンは役柄に対し、美し過ぎるきらいもあるが、ポスト・チョン・ドヨンと讃えたくなる熱演。
髪形といい、ブルー系の衣装といい
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極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

3.5

2007年の『タリバン韓国人拉致事件』を題材にとった作品。
昨年公開の『モガディシュ』然り、国外を舞台にしたポリティカル・サスペンスが増加しているのは、韓国映画のスケールが国内に収まらなくなってきてい
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裏切りの陰謀(2011年製作の映画)

3.5

「文屋 VS 権力」を描く社会派サスペンスで、ファン・ジョンミンを筆頭にキム・ミニ、キム・サンホ、ペ・ソンウ、キム・ミンジェ、チョン・マンシク、イ・ギョンヨン、そして甘いマスクのチン・グとキャストは最>>続きを読む

ネオンの中へ陽が沈む(1995年製作の映画)

3.5

民主化以降、資本主義の波に乗るIMF危機以前の韓国、というかソウルを描いた作品で、舞台は広告代理店。
この時期の韓国で、ヒロインの人間的成長を描く女性映画を撮っていた監督の先鋭に驚かされる。
加えて「
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(2006年製作の映画)

3.0

終盤までは独特の雰囲気とストーリーテリングの妙でワクワクさせてくれるのだが、自宅の一室に遺体が放置されっ放しで、自分も周囲も不審に思わないという状況にはどうしても無理があり、シラけた。
また葉月里緒奈
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グッバイ・キス -裏切りの銃弾-(2006年製作の映画)

4.5

徹底的なノワール脚本で、韓国にリメイクして欲しいぐらい。
特にハードボイルド過ぎるラストにゾクゾク!
イタリアン・ホラーブームの末期を飾った監督にふさわしく、流麗、幻想的かつエグい撮影や編集が駆使され
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ワイルド・アニマル(1997年製作の映画)

4.0

監督の初期作。
強引でガタガタかしらと覚悟して観始めたのだが、驚くほどスムーズ。
アートに理解の深いパリが、伸び伸びとした撮影を後押ししたのだろうか…、ナターシャ・アトラスのエキゾティックな曲に合わせ
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ヒーロー・ネバー・ダイ(1998年製作の映画)

4.0

バランス感覚がそうさせるのか、監督作のランニングタイムはコンパクトにまとめられていることが多い。
本作も然り、例え撮影されていたとしても、本編に使われていない描写は多く、想像で補わざるを得ないのだが、
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呪われた美容整形、血の美少女たち シンデレラ(2006年製作の映画)

2.0

若い女性たちの心理をえぐる整形ホラーを期待していたのだが、母娘ものだった。
富裕層の生活圏が舞台で無国籍な雰囲気だが、タイトルに冠せられた童話と脚本は大してリンクしていない。

カメラは執拗に、確信犯
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アダン 禁断の果実(2019年製作の映画)

2.7

「フィリピンの田舎村で芽生えた同性愛が迫害され…」という物語だったら観ていなかったと思うのだが、サスペンスのようだったのでチョイス。
前半から危ういイメージが頻出する演出、その意味での期待は裏切られな
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ドント・オープン(2020年製作の映画)

2.7

若いころにUK産パンク/ニューウェーヴのアーティストに心酔し、古本屋で『Fool's Mate』を買い漁ってインタビューを読みまくったせいか「イギリス人=シニカル」という固定概念が抜け切らない。
近年
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犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

5.0

売れる映画と面白い映画がバッチリ合致…、そんな理想の実現と勢いを感じさせる作品。
少し前までの韓国映画は、こうしたホームランを何本も送り出してきたもの…、近年はなぜかマ・ドンソクの周りで、限定的にミラ
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トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

3.5

原作と本作の大ヒットがきっかけとなり、再捜査→正義の鉄髄が下されたという結果だけで、十二分に社会派映画としての役割を果したすごい作品。
「撮影自体がトラウマになるのでは」という懸念もあり、子役への配慮
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レア・セドゥのいつわり(2021年製作の映画)

1.2

1990年に発刊された小説の映画化。
主演俳優ドゥニ・ポダリデスの姿を、原作者フィリップ・ロスに寄せており、珍妙な髪形を再現。
お世辞にも魅力的とは言えない中年男が繰り広げる放蕩三昧を、まるで一大事の
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エスケイプ・フロム・シリア(2020年製作の映画)

2.2

冒頭は、ヨーロッパの中でもIS志願者の多かったベルギーを舞台に、ムスリム崩壊家庭からテロリストが生まれる過程を駆け足で描写。
以降シリアが舞台となるものの、ロケ地は不明。
瓦礫の背景は実際に破壊が行わ
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FULL METAL 極道(1997年製作の映画)

3.0

ロボコップかサイバーパンクのパロディといった趣で、コメディ演出も多めと、敢えて企画ものにとどまる作品。
マシン造形も美学にまで高められてはいないが、代わりに並走するヤクザ映画演出は思い切りがよく、人体
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

3.0

個人的に監督作はこれが初見、スプリット画面多用に明滅する照明と、混沌とした雰囲気を煽っているが、映画撮影現場を舞台にカオス状況を描写する露悪的内幕もの、内容は下世話でわかりやすい。
ベアトリス・ダルと
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ホワイト(2011年製作の映画)

2.7

韓国芸能界およびガールグループの内幕サスペンスかと思いきや、大手CJ提供の霊障ホラー。
脚本も撮影もジャンプスケアも、ジャンル映画のマナーを破綻なく踏襲。
「除霊成功」と見せかけもうひと山、の展開は山
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オクス駅お化け(2022年製作の映画)

2.7

松竹の絡んだ韓日合作ホラー。
おどろおどろしい霊障の発端が現実社会の過去にあるほか、井戸が重要な舞台装置のひとつとなっているところは、高橋洋のサービスか。
「霊障被害を他人に移すことが可能」という設定
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関東無宿(1963年製作の映画)

2.7

デビューから数十本を撮った監督が、作品全体のコントロールに必要な権力と自我を手中にしつつある、といった趣。
いわゆる日活アイドルアクション作品群の中でも「キラリと光る手腕」を確認可能といったレベルから
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運命の饗宴(1942年製作の映画)

2.7

全5話からなるオムニバス映画で、マクガフィンは紳士用夜会服。

■1話…演者が最も豪華で、リタ・ヘイワースは全盛期。シグネチュアなヘアスタイルが楽しめるほか、ディスコ時代に流行ったジャンプスーツの原型
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.0

ひとりの男の裡に秘められた、母親と理想の女への思慕が渦巻く、フェリーニ映画並みに天衣無縫な幻想譚。
冒頭はディレイのかかったギター+物憂げシークエンスで、90年代な雰囲気だが、映画が進むに連れダンスミ
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東京騎士隊(ナイツ)(1961年製作の映画)

3.5

日活アイドルアクションで前半はやや退屈だが、中盤に登場する般若の面の怪人とその活躍ぶりにワクワクさせられた…、何と意外で鮮やかな、映画ならではの表現!
短いカット内で的確に演技する金子信雄、南田洋子は
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カラー・ミー・ブラッド・レッド(1965年製作の映画)

3.0

マッド・サイエンティストならぬアーティストの閃きが巻き起こす「事の顛末」をしっかり丁寧に追う脚本。
役者たちのぎこちない動きが、却ってシュールなブラックユーモアに観えて楽しい。
また彼らは「観れない容
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青い乳房(1958年製作の映画)

4.0

和紙が背景のタイトルロールは松竹か東宝のホームドラマのよう、妙に素直な小林旭にも監督作らしからぬ雰囲気を覚えていたのだが、彼が発した「おばさん」の一言から、様子が一変。
その後、ホームドラマと呼ぶには
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発狂する現代史 Part1(2014年製作の映画)

3.5

ヨン・サンホ監督がアニメ出身というのは知っていたが、本作はプロデュース作品。
約4時間、全10話以上の物語という構成で、Part.1~3という体裁…、前回のあらすじを見せる時間の合計は、数十分に及んで
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無双の鉄拳(2018年製作の映画)

3.0

マ・ドンソク主演のアクションエンタメ。
彼が猛威を奮う場面は控えめで、むしろ耐え忍ぶ姿が多い。
妻に離婚を提案された際の繊細な動揺演技が、最も印象に残った。

悪のキャラクターが徹底したサイコパスゆえ
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ダンシング・クィーン(2012年製作の映画)

2.5

歌手から女優へシフトしたオム・ジョンファと、ファン・ジョンミン共演の娯楽作、ふたりにはもう一本共演作がある様子。
エンタメ場面を吹き替えなしで魅せられるオム・ジョンファは、強みを発揮。
「晩成の実現」
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水辺の謎(2019年製作の映画)

3.0

単なるオーストリア産サスペンスかと思っていたら、意外にもL要素含有だった。
「おデブな女警官」のヒロインには、逆境をエネルギーに変える力あり。
女優もキャラクターに命を吹き込んで魅力的、当事者に充分推
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日本暴行暗黒史 異常者の血(1967年製作の映画)

1.5

『武士道残酷物語』のアングラ・ヴァージョンのような趣。
濡れ場は多いが、当時の鑑賞者でも抜くのは無理だろうという内容、しかし妙に長回しだったりする。
作品としても続編のほうがずっと面白いが、監督は意外
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スペースバンパイア(1985年製作の映画)

2.7

イギリスでも人気の、キャノン・フィルムズと組んでいた頃の監督作品で、ハレー彗星の接近を翌年に控えたタイミングでの公開(原作あり)。
「こんな大作も撮っていたんだ」と驚く。

冒頭は編集がスピーディで、
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