三上新吾さんの映画レビュー・感想・評価 - 21ページ目

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

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この頃の宮崎駿の哲学は白黒はっきりしていて見ていて疲れない。
美しいお姫様が悪であるはずがないという割り切れた考え。
勧善懲悪の見やすいエンターテイメントだった。
宮崎駿作品はなかなか男が腰を据えてヒ
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恋人たちの予感(1989年製作の映画)

4.4

ラブストーリーのお手本。
暗い話をアメフト観戦中にするのいいな。強制ウェーブ。
二人だけの世界のノリ、恋愛映画にリアリティを与える。
離れて、近づいて、離れて近づいて、かと思えば互いにパートナーが出来
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ゆれる(2006年製作の映画)

4.0

人は不安定なものに安定を求める。
初めの人物配置がうまいと思った。すごく不穏な人物配置。その不安定さが不快で、結末に安定するのかどうかが気になってしまう。
兄のカマかけたり話に割り込むあたり、見せる映
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

人間の二面性は恐ろしい。
優しい他人が豹変してこちらに牙をむいてくる、という意味でではなく、自分の中の二面性に気付いた時こそ、本当に恐ろしい。
日常で優位な理性的な人格が、ある時いきなり刹那主義の日頃
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ブロードウェイと銃弾(1994年製作の映画)

4.8

説明台詞でありながら説明台詞でない。
諍いの中の自然な発話の中に細かい情報が詰め込まれていて、キャラの説明をする。

冒頭の数シーン、すべて言い争いの中で人物の説明がされている。極端な、それでいていて
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イヴの時間 劇場版(2009年製作の映画)

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演出とギャグが上滑りしてるかなぁ。
感情のリアリティ通ってないなぁ。
ご都合+非常識はやはり醒めるなぁ。

12人の優しい日本人(1991年製作の映画)

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相変わらず状況説明が上手い。
この場合それぞれの人物描写が主な状況説明になっている。
事件の全貌を初めから明かさない事で何度も決が転がる展開を可能にしている。

大空港2013(2013年製作の映画)

4.7

とにかく竹内結子が綺麗。
セリフの即興性が高く、ワンカットなので途中からドキュメント見ている錯覚に陥るくらい見事なシチュエーションコメディ!
終盤の役者さんたちの緊張感を思うと震える〜。演技って誰でも
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生きる(1952年製作の映画)

3.9

テーマ性とエンターテイメント性がしっかり共存してる。
ログラインが明確でゴールを掴みやすい(エンターテイメント性に一助)。
構成も考えられている。直線的な時系列ではこう惹きつけられない。
自分の人生を
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ステキな金縛り(2010年製作の映画)

4.3

深津絵里いい!!!
事件の見せ方は古畑と全く同じ。
観客は犯人を知っている。事件の解決の過程を見せるサスペンスの基本。
遺影とDVD、娘さん発言、地味に注意を引く。
主人公の追い込まれ具合や不運は観客
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赤ひげ(1965年製作の映画)

3.5

たっぷり間をとった映像。
新人と老君のバディ、セブンっぽい。
三船敏郎いいなぁ。山田孝之と目元が似てる。
赤ひげのへちゃむくれ。
無骨で不器用な男かっこいい。
おなかメンヘラが過ぎるわ…
やはり善行は
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レミーのおいしいレストラン(2007年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ディズニーピクサーの映画はマズローの五段階欲求の全てを刺激する内容だなぁ。
自己実現が大きな目標としてあって、その為に尊厳とか所属とかを失って孤独になったり、お腹が減ったり、時には命の危険もある。
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シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

唯一無二の映画。
凄惨な内容だが謎の痛快感があった。
信じられないような世界だがリアリティと説得力があった。
映画を見ることは人間の幅を知る事になると思う、あれも人間、これも人間。
すごく誠実な映画だ
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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス(2012年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

いや、しょうがないんだけど、説明に時間かかっちゃうんだよなぁ…。でもなんとなく面白く乗り切ってる。
プチプチのアイデアは最高。
日常系のアニメだから大体誰か又は家族全員が何処かに連れて行かれて、そこか
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モンスターズ・ユニバーシティ(2013年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

歯の矯正という人間あるある、大学のディテールもしかり。
ボックスのキャラの意外性も憎いなぁ。
導入、勉強好調、退部が一幕。
大会エントリー、本番、自己中、それぞれの良さ、イイカンジ!だと思ったのに…、
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モンスターズ・インク(2001年製作の映画)

4.6

アイデア、脚本、CG、演出、どれを取っても素晴らしい。
作中に数々のモンスターが出てくるが製作陣の方がよっぽどモンスター。
誰でも子供の頃はドアの隙間の向こうにいるかもしれないモンスターが怖かった体験
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お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

4.0

個人的にはアパートの鍵の方が好き。ジャックレモンがすこし不憫で…。
マリリンモンローのいわゆるマリリンモンローなところが見られる作品。
シュガーのジョーへの恋慕の動機も不純だし、それがバレても好きなま
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ふきげんな過去(2016年製作の映画)

2.9

余白が少し衒っているように感じた。団地。
台詞が水っぽくて良い。
タッチと台詞が合ってて良い。
求心力の話をすれば、物語上に設問がない場合情緒での設問が必要になるがそれには主人公は観客に好かれるような
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

クリストファー・ノーランは疑似体験を通して映画と日常の境目を曖昧にしようとする監督。
今回は戦争が題材。
神の視点を持たない現場の一兵卒は敵軍の顔も知ることや、ましてや大局的な現状を把握することなど出
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大統領の陰謀(1976年製作の映画)

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事件に詳しくないとやはり全部は分からなかったなぁ。

狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.3

まさかのワンシチュエーション。
出来事追いと感情追いが絡まっているとやはり面白い。
画面の中の二人、事実だけでは夫が悪で妻は悪でない。しかし夫の言葉に耳を傾けない妻にイライラする夫に観るものは同情し共
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椿三十郎(1962年製作の映画)

4.0

頭の切れる魅力、物語への説得力のある巻き込まれ方。
三匹だが猫、一匹だが虎。
歯の浮くような台詞も何故か聞けるんだよなあ。
黒澤明の映画は話の力が強いなあ。弱気で情緒に頼らず立てる強さがある。

凶悪(2013年製作の映画)

3.8

全体にリアリティのある演出・演技。
事件軸がメイン、家族と感情軸がサブプロット。
先生のキャラクターの意外性。
虚実入り混じる時系列。
意図的にかそうでないかは分からないが、主人公をあそこまで駆り立て
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.4

意外と勧善懲悪・正義の漢・タランティーノ。
胸糞悪くなるが、ジャンゴの覚悟と勇姿に胸打たれる。
タランティーノのオタク演出はそのまま!
シュルツが古畑っぽくてよかった。
いや〜、面白い。ドンパチしない
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.7

コーズメソッド紹介時も、ヤリたいか?の紙によってキャラクターを見せて説明くささを軽減している。
わかりにくいと思ったらわかりにくく撮ってるやつだ。
愛のむきだし的な…。

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

4.2

「いつか消える感情を信頼できる?」
両親が不仲な家庭で育った妻。
出会った頃は輝いていた夫。
人間の恋愛感情は平均して3年しか持たないと言われている。
不仲な両親も、初めからそうだったわけではない。出
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T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

完全にキャラクターの勝ち。
ラストいいなあ。
詩の中に辛うじてストーリーがあるような映画。
トイレがキーポイントになってるのも、要所の前作オマージュも、ラストの演出も、ファンの好きなところしっかり押さ
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オズの魔法使(1939年製作の映画)

3.4

不思議の国のアリス。
アニマル浜口。
シュガーラッシュのオレオはこれのパロディだったのね、他にもあるのかな。
それぞれの足りないものを手に入れようと旅する。
悪い魔女の死に方あっけない…
心の広さは人
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

なんの引っかかりもない導入。
主人公の情報をいきなり全部説明しようとせず小出しにしていく。
AIとの恋愛を突き詰めた作品。
設定を熟考して何日も煮詰めた跡が見られる。人との違い、実際。
膨らまし方とし
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ミニミニ大作戦(2003年製作の映画)

3.5

ケイパーものの王道ながら邦題で損している映画の代表としてよく挙げられる今作。
面白い、説明台詞はそのまま残されてるが。
娘のバレ方、粋。

ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

3.9

権力に怯えていた側が一旦権力を持つ側に回ってしまうと、同じようにかそれ以上に権力を振るうようになってしまうの人間の性みあるなあ〜。
映画としての技巧や構成の妙は特になく時系列で淡々と描かれている。
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パッチギ!(2004年製作の映画)

3.7

実際の社会問題をテーマにしながらエンターテイメント性もある作品。
観た人がその頃の時代背景や国際問題を調べるきっかけになる事でも意義深い映画だと思う。
始まりが小出恵介だったので主人公を見極めるのに時
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

絵の柔らかいタッチやほんわかした主人公の性格と戦争、その凄惨さが際立つ。
実際に戦争を体験した人もそうだったんだろう。普通の日常に割り込んでくる戦争。
こんな素晴らしい映画がクラウドファンディングでし
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