田旗浩一さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

田旗浩一

田旗浩一

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月はどっちに出ている(1993年製作の映画)

3.9

30年ひと昔を実感。深刻になる前に軽く笑い飛ばすタッチがすばらしい。何と言っても在日韓国人タクシー運転手岸谷五朗と出稼ぎフィリッピーナ、ルビー・モレノの恋愛というのがミソ。いま見ると、若い遠藤憲一や國>>続きを読む

アリバイ(1963年製作の映画)

3.8

再見。日活渡辺美佐子に割と多い犯人ボスの情婦役。中国人一味の顔ぶれが最高なので最後の悪足掻きが活きる。ボスの陶隆、参謀に大滝秀治、さらに手下の郷鍈治と天坊準!二谷英明が白い上っ張りを着て「コレラが発生>>続きを読む

殺したのは誰だ(1957年製作の映画)

4.5

酒に溺れる落ちぶれた自動車セールスマン菅井一郎の破滅物語としてどうしようもなく暗い。なのに演出は徹底的に凝っている。深夜の擬装自動車事故、菅井にまとわりつく蝿、息子小林旭のビリヤード場面、バーに勤めか>>続きを読む

殺されたスチュワーデス 白か黒か(1959年製作の映画)

3.5

昨年試写で拝見してときは、ボケボケヨレヨレのプリントだったのが、よくここまで修復したものだと感心する。猪俣作品『廣場の孤獨』『愛は降る星のかなたに』『怒涛の兄弟』そしてこの映画とどれも冷戦を背景にした>>続きを読む

自由の幻想(1974年製作の映画)

4.0

封切以来。
奇しくもモニカ・ヴィッティ追悼になってしまったが、5分程度の単なるゲスト扱い。70年代3作の中ではこれがいちばん面白い。
にしても何だろう?この観客どころか映画自体までおちょくっている玉突
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麻希のいる世界(2022年製作の映画)

4.2

由希は評判の悪い麻希のことがバイトでも何でも同化するほど好きで仕方がない。海辺の小屋からその気持ちを吐露しながら駆け出す光景は微笑ましいが、背骨がボキっと折れるようなこの折り返しからが凄い。体に電流が>>続きを読む

朝霧(1955年製作の映画)

3.8

信州の大学生、久保明と山田真二の友情。全体に霧のように覆う柔らかな絵作りだが、二人を待ち受けるのは苦い現実。りんご園の少女・青山京子は貧しく芸妓に売られる。久保の姉・杉葉子は志村喬の秘書以上の関係かも>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.0

得意のポップでチャンプルーなオムニバス感覚の大洪水。奥行を欠いた書割舞台に横移動の連続。陰毛を惜しげもなく晒すレア・セドゥに貫禄のマクドーマンドとスウィントン。だから、どうした感。

内海の輪(1971年製作の映画)

3.5

ザッツ岩下志麻劇場。真っ赤な唇に乱れた髪で喘ぐ岩下のアップから汗を滴らせる三國連太郎の顔。ナニをしている訳ではなく、実は按摩をしていた仰天。これが物語のその後を暗示している。大学教授を目指す中尾彬との>>続きを読む

風の視線(1963年製作の映画)

3.8

再見。夫婦関係のない商社マン山内明とその妻新珠三千代。それゆえ新珠は佐田啓二に頼り、彼女を慕うカメラマン園井啓介に山内が手をつけた岩下志麻を嫁に充てがう。狂い続ける歯車に焦れる。下衆で慇懃無礼な山内は>>続きを読む

まごころの花ひらく 女給(1955年製作の映画)

4.2

OLから銀座のバーの女給に転じる杉葉子、私に限ってと思いながらずぶずぶと銀座の女に染まっていく。片や銀座の女から抜け出す越路吹雪とのコントラストの妙。一の宮あつ子、山形勲、徳大寺伸、上原謙とどの脇役も>>続きを読む

広場の孤独(1953年製作の映画)

-

再見。BOAC後援。

圧倒され見終わってしばし呆然となる。目眩するスケールとディテール。高杉早苗の悪妻ぶりは世界映画史上に輝く凄さ!

青色革命(1953年製作の映画)

3.9

何処からポロンポロンとギターの音が聴こえてくる。ドアを開けると長い睫毛の三國連太郎がオネエ言葉で「あら、ごめんなさい」なんて弾いている。観劇の最中に久慈あさみの手を握り「芸術的興奮と愛情の興奮がいっし>>続きを読む

怒濤の兄弟(1957年製作の映画)

3.5

公安の兄・中山昭二と理想社会を目指す学生運動家の弟・松本朝夫。それに麻薬密輸組織が絡む。やたらムダに肌を露出する前田通子。麻薬中毒の情夫社長。そのうえ母モノが加わり、全編ほれ新東宝感満載のグルーヴに痺>>続きを読む

荒城の月(1958年製作の映画)

2.2

シネマヴェーラで志村敏夫『怒涛の兄弟』猪俣勝人『荒城の月』『性と幸福』

小間使の日記(1963年製作の映画)

5.0

ン十年ぶり。やはり鳥肌物の傑作。ブニュエルの底意地の悪さとエロティシズムの交錯は遥か文学を越える映画ならでは。ジャンヌ・モローが水を得た魚のように田舎の豪邸の小間使を演じる。吝嗇な夫人、靴フェチの館主>>続きを読む

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

3.5

封切以来。テロが横行するパリ。F・レイが溺れる小間使いを対照的キャラクターのキャロル・ブーケとAモリーナが二人一役で演じる。70年代のブニュエルは女優を美しく撮ってないのが残念。

害虫(2002年製作の映画)

4.5

害虫の映画ではない。
宮崎あおいのさまよい揺らぐ心のロードムービーとして100点満点!登校拒否中の当り屋の少年と鉱石嗜好男との日々、学校に引き戻す蒼井優との友情、火炎瓶を家に投げる表情の変化、福島への
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炎の氷河(1957年製作の映画)

4.0

去年ラピュタで観た時は、見慣れない女優陣にあまら乗れなかったのですが、今夜は充分に満喫。
グラマラスなモードに身を包む杉田弘子の、父を死に追いやった男への復讐劇と同時に、女友達やその周りの人間まですべ
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火の鳥(1956年製作の映画)

4.2

「敬ちゃん(仲代達矢)その代わり(パン!パン!と仲代の顔を二回平手打ち)あなたたちの同志になるのはお断りよ」この月丘夢路、最高!
これぞ映画スター月丘夢路の金字塔『火の鳥』。夢路を撮る梅次の視線が完全
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けものみち(1965年製作の映画)

3.8

きのう観たケリー・ライカートが、とても面白かったので、きょうも残りの二本を観ようと早稲田松竹へ。ところが満席。急遽、ラピュタ阿佐ヶ谷へ。松本清張特集から須川栄三『けものみち』を久々に鑑賞。池内淳子の魔>>続きを読む

海人舟より 禁男の砂(1957年製作の映画)

3.8

松竹の海女映画で、いたって真面目なお話だけど、やはりダイナマイト・エロチカ=泉京子の新東宝チックな歌と踊りにたじろぐ。ヒットしたらしくシリーズ化され、実・京子・朗・麗子で4作まであるらしい。全作観てみ>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.5

最高!30歳の主婦と銃を拾ったチンピラ男の遅咲きの青春映画で、二人の逃避行の犯罪映画。と言ってしまっていいものか。ポップでラフで繊細で。まるで岡崎京子のマンガのよう。最後には泣いてしまった。

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

-

乾いて干からびた西部を行く家族。目的地にはいっこうにたどり着けない。
厳格な画面。けれど、半分近く寝てしまいました。

ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.5

封切以来。男女6人ブルジョワの愚行と絶えず煙に巻く黒いユーモア。常連F・レイやピコリにD・セイリグ、B・オジエ、S・オードランと通好み豪華女優陣に改めて驚く。70年代のブニュエルってこんなつまんなかっ>>続きを読む

裏切りの街角(1949年製作の映画)

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ファム・ファタールは「この女だったら裏切られてもいい」「死んでもいい」という魔力だと思うのですが『裏切り』のデ・カーロは遠く及ばず『殺人者』のガードナーは最高だけど、逆にB・ランカスターという不思議な>>続きを読む

無頼平野(1995年製作の映画)

2.0

なんと長谷川待子さんが出演しておられ、吉田輝雄と台詞を交わす場面では、なんだかとても感動してしまった。

セクシー地帯(ライン)(1961年製作の映画)

4.5

三原葉子と吉田輝雄のおとぼけコンビがチャーミングですばらしい。シャレていて時にまるで漫才のような二人の台詞を採録したい誘惑にかられる。

薔薇の葬列(1969年製作の映画)

3.0

一枚の家族写真。真ん中の子どもを挟み左に父、右に母。父の顔がタバコの火で焼かれている。それから十数年後再会する父と息子の映画。ヒモをしながら裏稼業で麻薬密売をする土屋嘉男の映画。ピーターの華麗な変身を>>続きを読む

修羅(1971年製作の映画)

4.6

身震えするほど壮絶な傑作。これまで観てなかった事を深く恥じた。しかも原作・鶴屋南北、しかも忠臣蔵外伝。純情一途を通り越し鬼気迫る中村賀津雄と彼を騙す下劣したたかな唐十郎の息を飲む名演。暗闇を映す鈴木達>>続きを読む

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

3.1

寺山ワールド乱華。スタッフ、キャストに70年代ならではの映画人、音楽家、文化人の多士済々を揃えるあたりに演出家というより鼻の効いた寺山のプロデューサー感覚が冴える。主役級に管貫太郎、田中筆子、八千草薫>>続きを読む

田園に死す(1974年製作の映画)

3.0

寺山ワールド乱華。スタッフ、キャストに70年代ならではの映画人、音楽家、文化人の多士済々を揃えるあたりに演出家というより鼻の効いた寺山のプロデューサー感覚が冴える。主役級に管貫太郎、田中筆子、八千草薫>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.0

デイトナからルマンへの怒涛の展開。レース映画の歴史を塗り替える傑作。

卒業(1967年製作の映画)

3.6

封切以来。感傷的にならずにホフマンとロビンソン夫人、娘K・ロスの事の成り行きを初めての映画のように見守る。A・バンクロフトがやはりいい。脚本バック・ヘンリーはルームクラーク役で出演。赤のアルファロメオ>>続きを読む