広瀬アリスの博多弁がかなりネイティブに近くてびっくり。映画としてはいっちょんおもんなか。
盲目の少年とその友人たち、3人の少年少女の瑞々しい日常を描いたブラジルの青春映画。
ガブリエルが「映画観に行かない?……あ、ごめん」みたいなことを悪気なく何度もやってしまうのだが、嫌味っぽさがない。>>続きを読む
壁に掛かった写真やアトリエの絵画の引きのショット、章ごとに扉絵とシンクロする風景など、芸術的美しさへのこだわりを感じる作品。エンディングの名画メドレーアニメも面白い。
下心のために近づいたはずが同情>>続きを読む
おふざけ色強めのイントロから、ただただ狂乱の限りのラスト30分。ファンキーでグルーヴィー、"Don't think, feel."を体現した作品。
"統制された"社会をぶっ壊し、『スウィンギング・ロンドン』をつくり上げた中流・労働階級のアーティストたちの、興隆と衰退を追うドキュメンタリー。彼らのバイタリティが生き生きと描かれ、映画としても文化的教>>続きを読む
不穏で歪んだ人間関係、冷淡で殺伐とした空気。モヤモヤと進行してモヤモヤと終わる。いわゆる低予算じみた処女作らしい質感ながら、アンディ・マクダウェルの憂いをたたえた美しさが色を添えている。
バレンタインデーを舞台に多くの男女が繰り広げる群像劇。ピンク色の花屋を中心に展開する華やかな舞台設定、軽妙なトーク、綺麗な着地と、ラブコメ群像劇としてクオリティの高い作品。
ある夫婦の破局を、出会いから現在まで関係の変遷を交えながら描く。クロースアップのスイッチングによる対比が効果的。夫婦それぞれのパーソナリティの掘り下げと一貫した表現が巧く、演技力にも引き込まれる。
井上靖の原作自体が『北槎聞略』を基に書かれており、本作も史実に近い形の構成。漂流民の過酷な旅路や運命に翻弄されるさまを脚色を抑えて克明に描きながらも、どこかファンタジックな冒険小説のようでもある。流氷>>続きを読む
ウェス・アンダーソンらしい、フィクション臭を隠そうともしないコミカルなセットやアクション、どこか癪に障るキャラクター、印象に残る色使い。
弾き語りエンディングが良かった。
モラトリアムと不機嫌。サブカルチャーへの親近感と、それとは真逆を演じなければならない社会への反発を、ハイティーンの視点から描く。ガールズ版『ナポレオン・ダイナマイト』といった趣。
有名なカスパー・ハウザーの伝説を、淡々とした客観的な視点から映像化。カスパー役ブルーノ・Sの怪演と、彼の空虚な人格を象徴する静寂と無感情が秀逸。
タブーに惹かれた少女たちの無邪気な邪悪さ。2人の妖しい可憐さと、今では倫理的に映像化できないカットや衝撃的なエンディングが、強烈な後味を残す。
TV批判、商業化批判を盛り込みながら、年を重ねても変わらないもの、変わってしまうもの、忘れてしまったことや新しく造り出すものを、老いた男女のダンサーの姿を通して語りかける。
消費者に迎合しないショービ>>続きを読む
手違いで計算されてなかった1時間32分の寿命が戻ってきた。その1時間32分で妻や子供にちゃんと別れを告げよう……という話のはずなのだが、過去の不倫した相手や初恋の相手との回想がやたら多い。
そのうえ回>>続きを読む
悪夢の表現がとにかくすごい。カラフルで支離滅裂。夢から夢へとスイッチする境目や潜在意識の絶妙な具象化など、夢であることの説得力が抜群。サントラも秀逸。アニメ映画の大傑作。
理想と現実をスプリットで画面内に収める点はユニークだが、トムが感情移入しやすいキャラクターであるくらいで、総じて平凡なボーイミーツガールもの。サマーの奔放さは魅力であり厄介な部分でもあるが、フランス映>>続きを読む
しっかりものの姉ヘイフラワーとまだ幼くわがままなキルトシューの姉妹、その家族や隣人たちの日常を、北欧らしいポップな色彩でカラフルに描く。
どこを切り取ってもかわいいシーンだらけで心が癒されるのはもち>>続きを読む
ドッペルゲンガーを自己逃避の象徴として用いた点がユニーク。遁走や堕落は自由でもあり、安住の地を失うことでもある。アイデンティティ喪失への恐怖と葛藤を、頽廃的なショーパブの景色や、焦燥感を刺激する秒針の>>続きを読む
LGBTQ+のコミュニティの中にあっても疎外感を覚えるのは、異性愛者社会における我々を考えれば至極当然のこと。そこに救いをもたらすのがむしろ"外部"の客観的な視線である、という逆説的な理論を、短い尺で>>続きを読む
淀んでいた人生が恋でふっと明るくなる瞬間。『私には月が似合う』と言い聞かせるシーンがすごく良かった。
20分のショートフィルムなのに中弛みするって逆にすごい。掴みのインパクトはあったので出オチ感。
つまらない大人になりたくない若者たちが、図書館から1200万ドルの本を盗み出そうとする、実話に基づく物語。
クライムサスペンスの体裁を保ちつつ、なんと本人たちのインタビューが挿入されるドキュメンタリ>>続きを読む
盲目の女性を上手く騙してヘロインを取り返そうとする詐欺師たち。
戯曲原作らしくほぼワンシチュエーション映画だが、シットコム然とした前半・中盤から一気にスリリングになる後半まで、鮮やかな展開で飽きさせな>>続きを読む
登場人物があまりに多く、覚えさせる親切さもなく、見分けもつきにくいので地獄……だが坂口安吾の傑作ミステリを忠実に映像化している点は見事。
ドラマチックな殺人シーンや死体発見シーンにあまり尺を割かず">>続きを読む
カラフルな色使いながらどこか不穏な独特のタッチ。不愉快さから逃れ静寂を求める感情、そしてそれを明確に表現できない若さが、淡々とした語り口調やネバネバのシーンで表現されている。ブラックな展開を匂わせるエ>>続きを読む
設定のユニークさとハンディカメラの映像で、30分のショートフィルムとは思えない濃密で幻想的な美しさ。秀作。
息子の自殺を知らない母のために家族がついた嘘の話。さりげないキーワードや突拍子もない設定が終盤にふっと繋がる点は伊坂幸太郎の作品のようでもある。キャストも渋い実力派揃いで、特に妹役を演じた木竜麻生の演>>続きを読む
「このミス」大賞受賞は伊達ではないプロットの良さ、北欧らしいダークでジメッとした不穏な空気。正統派ミステリ映画としては申し分ないクオリティ。
しかし刑事と青年のルックスがどちらも短髪に顎髭の細面で見>>続きを読む
なんだこれは!?オゾンの悪ふざけか!?と思ったら1961年の戯曲が原作だった。とはいえオゾンらしい色彩へのこだわりや、女優陣の個性的で生き生きした演技もあり、大の苦手であるミュージカル映画ながらとても>>続きを読む
独身貴族を気取りながらも空虚さを抱えるウィルと、精神的に不安定な母親と同居しているマーカス。ヒュー・グラントのダメ男っぷり、ニコラス・ホルトのマセガキっぷりが絶妙な、テンポの良いハートフルなコメディ。>>続きを読む
終始重く苦しい作品。というより、最初からバッドエンド想定のベクトルを持って配置されているような感覚。
被害者たちは心を閉ざしてエゴを押し付け合い、本当の温かい家庭は誘拐犯の家にしか見出だせない……とい>>続きを読む
少しずつ狂っていく家族に追い詰められ、ついにパンクして発狂する真面目な男を描いた、石井聰亙監督らしい衝動と破滅の映画。
やたらはっちゃける倍賞美津子や博多弁を話す植木等など破裂寸前までは面白かったのだ>>続きを読む