sasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

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亀は意外と速く泳ぐ(2005年製作の映画)

3.9

三木聡らしい、しょうもないギャグをひたすら、ただひたすらやる。よくもこんなに色々と思い付くもんだと思いながら、それでも笑ってしまう。
ほのぼの日常系ギャグ映画でありながら、ギャグに紛れ込ませた伏線を最
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オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

3.7

オリ・マキの日常、プレッシャー、そしてライヤの存在。
彼の物語であることは言うまでもないが、画面に大きく映ることのないライヤの、ときには自らすすんで退場することによって強調される気遣いが端々にみられ、
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

4.5

じゃれる少年たち、恋バナをする少女たち、軽快なビージーズ……いたいけな子供たちの瑞々しい恋を、陽光のようなやわらかいタッチで描く。

チェロとリコーダーの輪唱や、親友を彼女にとられたくない少年の必死さ
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キル・ユア・ダーリン(2013年製作の映画)

3.7

文学革命の徒としての苦悩、同性愛者としての苦悩。非凡であるために苦の道を選ぶという、一見身勝手で天才肌のルシアンの美貌に振り回される男たち。

"法を破ることは、非凡な人間の義務である"と嘯きながら、
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.0

60年以上前の作品ながら、時代を感じさせないほどの脚本の面白さ! 殺人の瞬間を映さなかったり、雷をうまく使ったりとメリハリを効かせた撮り方がおもしろく、ラストはマイルス・デイヴィスと共に切なく締める。>>続きを読む

ドラッグストア・カウボーイ(1989年製作の映画)

4.1

ボニー&クライドっぽく描かれるのかと思いきや、退廃的で破滅的、そしてそこから抜け出そうとするジャンキーの苦悩が主題。時系列的には全く逆だが、『トレインスポッティング』をガス・ヴァン・サントが作ったらこ>>続きを読む

リザとキツネと恋する死者たち(2014年製作の映画)

3.9

グレイッシュパステルに彩られた、怪しい昭和歌謡の流れる狂気のラブストーリー。『グランド・ブダペスト・ホテル』を彷彿とさせる、ギャグのように次々と人が死んでいく東欧らしい世紀末感が、北欧っぽいポップなカ>>続きを読む

アウトサイダー(1983年製作の映画)

3.9

ヤングアダルトの危なっかしさ。幼いながらも男らしくありたいと格闘する姿が愛おしい。
友情や兄弟愛、衝動の爆発、言葉の重み。どこか『スタンド・バイ・ミー』を想起するところもある、ジュブナイル映画の傑作。

希望のかなた(2017年製作の映画)

3.8

シュールで不条理だが温かい。ミクロとマクロで対照的な感情をはらんでいるのが面白いところで、マクロ視点では、争い、虐げ、黙殺する人類を糾弾するようでいて、ミクロ視点では、その弱く情けない人間を愛そうとす>>続きを読む

顔のない天使(1993年製作の映画)

3.8

友情のような親子愛のような優しく温かい関係に涙が出る……ラストシーンもすごく良かった。
寡黙なメル・ギブソンの深みのある演技に、「顔」ばかり見ていて"顔"を見ないような人間にはなるまいと思う。

ランダム 存在の確率(2013年製作の映画)

3.8

難解なテーマ、複雑なシチュエーションを理路整然と説明するので、理解しやすい反面ややプロットが堅い印象も。
ほとんどメモ書きのような最低限の台本しか渡さなかったというエピソード通り、会話や口論のシーンが
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(1974年製作の映画)

3.6

かぐや姫『妹』に着想を得た映画というが、詞の世界とは別物、むしろその後の物語を描いたような展開。
コケティッシュな笑みを浮かべ、嘘とも真実ともつかない冗談で煙に巻く秋吉久美子の、実の兄と一線を超えてし
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.7

ストーリーは難解でよく分からないままだったが、音と映像がひたすら美しい。長回しで動きのほとんどないカットに、水の音が時間の流れを与える。絶対に住みたくない水浸しの部屋の、なんと美しいことか……。

パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020年製作の映画)

4.4

性適合手術を受ける映画というと『リリーのすべて』。本作に登場するトマス/アウネーテも役どころとしては近いのだが、今回はそんな父と向き合おうとする少女エマが主人公。父親への愛情と嫌悪感の葛藤を丁寧に描い>>続きを読む

パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.1

ランデブーをテーマにした3本立てのオムニバス。自然光や喧騒をそのまま切り取るロメールらしい魅力はもちろん、3話ともヒロインが美しい……!

失恋したり浮気したり、そしてあっさりとその恋愛を終わらせてし
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僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

3.8

見ていて恥ずかしくなるほどダサい恋……関係維持のために恋愛感情をひた隠しにするのだが、清い片想いかというとそうでもなく、気に入られようと表面を取り繕ったり、分かっているふりをしてしまう。ダサい。ダサす>>続きを読む

緑の光線(1986年製作の映画)

3.6

実にロメールらしい、こじれた恋愛観を抱えた面倒臭い登場人物たちによる会話劇。特にこの「性欲の介在しない清廉な恋愛への憧れ」という、本当に童貞マインドとでも言いたくなるような青臭い感情には、憐憫と同情を>>続きを読む

最凶女装計画(2004年製作の映画)

3.7

バカすぎる……ゴールデンラズベリー賞5部門でノミネートされた愛すべきバカ映画。めちゃくちゃ笑った。

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

4.5

都会の女と田舎の女。アカデミックな女と芸術肌の女。正反対のふたりが、寄り添い反発し合いながら繰り広げる瑞々しい会話劇。

短い喜劇4つの連作で、どれも巧みな人間観察とやわらかいユーモアで満たされている
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木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.8

ロメールには珍しく政治的題材。なんとなくゴダールをイメージするが、やはり流石ロメール、人間が生きている!

役者が監督の思想を表現させられているようなゴダール作品とは違い、市長、ジャーナリスト、農家、
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独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)

4.2

独裁者、政治犯、兵士……虐げる者と虐げられる者が貧困という同じ船に乗り、それぞれの抱える喪失の苦痛と怒りに向き合う。
悪を倒したとき、最後に残った者は本当に正義なのか?という普遍的な問題を、味方を失い
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ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)

3.7

原案、主演、劇中歌をすべて担当した、松田優作による松田優作のための映画。彼のギラギラした渋さと、けして愛に満たされることのない空虚さが絶妙。
眼鏡屋との会話が最高にクール。

東京夜曲(1997年製作の映画)

4.0

喫茶店、電器屋、写真屋……昭和の下町を舞台にした、大人の恋愛劇。水面下で交錯する、語られることのない4人の男女の想い、沈黙によって均衡を保とうとする不器用さを、慈愛の眼差しで映し出したドラマ。
目を瞑
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8mm(1999年製作の映画)

2.9

重苦しく哀しいサスペンス。ストーリーに起伏はそこまでないので、途中から退屈さを感じてしまった。

スナッフ・フィルムを撮っている裏の世界の住人に対して「なんでこんなものを撮るんだ!」ってブチギレてるシ
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.6

言語化が難しい作品……岩井俊二作品のもつ、無意識な死へのあこがれや幻想に等しい愛情といった、心の中の灰色の感情に共鳴できる人とそうでない人がいるんだろうなと思う。
嘘が嘘を媒介して行きついた関係の中に
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ポーラー・エクスプレス(2004年製作の映画)

3.7

まさに3D絵本と言いたくなる、クリスマスを楽しみにしていた幼少期を思い出す作品。4DXなんかで観てみたいかも。クリスマスに家族で映画を観るならこれで間違いない。

主要キャストの半分がCV:トム・ハン
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犬、走る DOG RACE(1998年製作の映画)

3.3

悪徳警官、ヤクザ、在日アジアン。まるで日本とは思えないほど脂ぎった歌舞伎町ノワール。俳優陣も豪華でめちゃくちゃ渋いんだけど、自分には今ひとつハマらなかったな……。

隣のリッチマン(2004年製作の映画)

3.5

相変わらずジャック・ブラックはムカつく顔をしていて最高……。
テンポがいいし、毒もエロもない、ただただこういう友人がいればと羨みたくなるような優しいヒューマンコメディ。

ゼロの未来(2013年製作の映画)

4.4

サイバーパンクなディストピア、通底するニヒリズムと、閉じた世界の中にのみ存在するヒューマニティ。
自分という”点”と、自分の愛する者という”点”を繋ぐ高次元的な”線”の中にこそ彩りのある世界が存在する
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ダイアモンドは傷つかない(1982年製作の映画)

3.5

タイトルは主人公の強がりたい心のことだろうか。私はダイアモンドなのだからこんなことで傷ついたりしない、と自らに言い聞かせながら、だらしない男に振り回され、寂しさと嫉妬に煩悶する。
主人公に感情移入した
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

4.0

邦画だけど、色彩や人と人との距離感など、北欧映画らしい撮り方にこだわって撮られている。ときどき幻覚めいた謎の不条理シーンが挟まるのも北欧映画っぽい、どことなくロイ・アンダーソンやアキ・カウリスマキのよ>>続きを読む

逆光の頃(2017年製作の映画)

3.8

セミがさんざめく真夏の京都。友情、恋愛、成長という青春の三大テーマを、アニメーションを交えた美麗な映像で瑞々しく捉えたオムニバス。
漫画原作らしく一人称視点での詩的なナレーションが多いので、苦手な人は
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エボリューション(2001年製作の映画)

3.8

デイヴィッド・ドゥカヴニー×エイリアンの親和性がヤバい。オーランド・ジョーンズのおバカで快活なキャラも楽しい。

超速で進化する生物という設定を存分に活かし、色とりどりなエイリアンたちが次から次へ登場
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ミスター・ベースボール(1992年製作の映画)

3.6

よくあるB級コメディ風ヒューマンドラマ……ではあるが、案外観るべきシーンがあったので良かった。
異国の地での疎外感・孤独感は『ロスト・イン・トランスレーション』になりそうでならない感じ。それよりも、試
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みなさん、さようなら(2012年製作の映画)

3.8

中村義洋と濱田岳の相性が良すぎる。
コメディっぽく入ったけど、過去が明かされるあたりからかなりシリアスに。主人公を取り巻く人間関係にはなかなか世知辛いものがあるが、作り上げていた閉鎖的精神を誰かのため
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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

4.5

夜、音楽、吸血鬼……ほとんど何も起こらない会話劇、まさにジャームッシュ。

シューゲイザーじゃないのにシューゲイザーっぽい。コッポラの『タクシー・ドライバー』に通ずる雰囲気もありつつ、こちらはより上品
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