よさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

よ

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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

4.5

こういう映画を観るとき、道徳的な善悪をいっさい考えなくなった自分に気付く。
何の色も混ぜずに理解し発信しようとする監督の姿勢に共感する。
私の孤独を癒してくれるのはこういう映画だけだって思う。

私に
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人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版(2022年製作の映画)

3.8

私が沢木耕太郎にのめりこんだ契機は『凍』だった。主人公は山野井泰史。
沢木のストレートな文体が山野井さんのキャラクターにぴったり合っていて、なんというか、もう他の本とは色が違って見えた。

そんな山野
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

端正でありながら迫力があり、作った人の姿勢の良さを感じさせる映画だった。
余分が無いのもいい。

ゴダールの探偵(1985年製作の映画)

3.2

やはり、どうせわからないならここまで徹頭徹尾わかりにくいほうが清々しい。


以下は気に入った台詞の備忘。

「これで最後よーー最初かも」

「私の金よ!」
「誰のものでもない」
「行き来するだけ」
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ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

3.2

第一部の短編『マリアの本』だけなら4.3くらい付けてた。

その後が良くない。ゴダールは簡単に文脈やテーマが理解できては駄目なんだとおもう。一気に薄っぺらくなる。
くわえて本作は、やっちゃいけないこと
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パッション(1982年製作の映画)

3.5

「お父さん、どうして物にはすべて輪郭があるの?」
「ははは、輪郭のある物なんてどこにあるんだい?」

ウイークエンド(1967年製作の映画)

3.9

もしあの渋滞シーンが二時間つづいても、きっと怒る気になれなかっただろう。
単調さに少し寝て、起きて、なんにも見落としていないかのように続きを観て、くすりと笑っていたことだろう。

カラビニエ(1963年製作の映画)

3.8

世界観やストーリーに筋が通っており、(その筋が理解しにくいとしても)綺麗で気持ちがいい。純文学の作家や愛好家に好かれる理由がよく分かる。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

2.8

原作の傑作たる由縁はふたつあって、ひとつは当然、大の人間性。身が削れるほど頑張っているのに悲壮感のないところ。もうひとつはJASSの人間模様。
もし後者に焦点を当てるなら、映画の尺を考慮し、視点を雪祈
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

2.7

こんな映画を一緒に観て、なんとか意味を見出そうと努力してくれる友達がいて幸せだ。

ファーザー(2020年製作の映画)

3.9

「他者の靴を履く(To put yourself in someone’s shoes)」というフレーズがある。心理学だけでなくコンサルティングやマーケティングなどの分野でも重要視されつつあるその行動>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.4

この映画を勧めたくなるような友達がいて、私、彼らがこの映画に出てくるような人たちになれるって信じてる。恵まれてるとおもう。

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.2

社会的正義やマスコミといったものは好きじゃないのだけれど、ジャーナリストという人種は尊敬している。世界に対し徒手空拳で闘いを挑む彼/彼女には凄味がある。

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.4

エンドロールが始まった途端に席を立つ人と、足下灯が再点灯してもまだ座ったままの人が半々くらいだった。
鼾かいて寝ている人と啜り泣いている人も半々くらい。
私は両方とも後者。
今まで映画館にあまり足を運
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ノートルダム 炎の大聖堂(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

 世界遺産のなかの世界遺産というものがあって、ノートルダム大聖堂はもちろんそれだとおもう。じっさい見たことあるので言えば、同じフランスのモン=サン=ミッシェルとか、あるいは街ごと世界遺産のベネチアとか>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.5

何がここまで評価されたのか分からない。審査員の方々は、過去のアカデミー受賞作とぜひ比べてみてほしい。
評価の分かれる映画でも、だいたいどこかに悪評を捩じ伏せる絶対的な質の高さを持っているが、本作にはそ
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.3

「俺は毎年地球を三周、12万キロも走ってる。でも良いことがあったのはあの一回きりだ」

The Son/息子(2022年製作の映画)

4.4

うちの家のことではないのか。それくらい似ていた。小説に急速にのめりこんでいった頃を思い出した。その訳も。私を理解してくれるのは、小説だけだったのだ。どうして今まで忘れていたのだろう。今日だって、そうい>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.7

どうすれば自伝なんか面白く撮れるの? どうしてこんな話が眠気を誘わないの? スピルバーグには何が見えているの? どうすれば?

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.4

「あのときこうすればよかった」と「でもどうにもならなかった」の繰り返しなのかとおもうと、切なくて可哀想でならなかった。

永い言い訳(2016年製作の映画)

3.7

小説の方が好きだな。何でかな。迫力かな。追い詰められた人間の迫力があるんだよな。

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

全体的に完成度が高く、クリント・イーストウッドにしかない美学・美意識を堪能できる良作なのだが、とりわけ「グラン・トリノ」の使い方が凄まじい。

それはたとえば主人公の「愛車」であるため、その愛を具象化
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ディパーテッド(2006年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

止まらなくなるほど面白いのだけれど、デカプリオが殺されたのには参った。参りすぎて分析とか批評とかできない。それくらい没入していたということなのだろう。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.9

アーティストという生き物の「生きづらさ」と、思考の手段として数千年かけて発達してきた「言葉」が結びついて、「純文学」というジャンルが形成された。と、私は考えている。
その背景を鑑みれば、純文学が常に「
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セッション(2014年製作の映画)

5.0

『バビロン』が好みでなかったとはいえ光るものを感じたので、同じ監督の本作を観てみた。そして、私の直感は外れていなかったことが証明された。

『スラムダンク』や『ルックバック』などの大好きな漫画を彷彿と
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バビロン(2021年製作の映画)

3.2

映画好きだと、この映画を嫌いとは言いにくい。でも、私は好きではないとはっきり言っておく。ただ、描かれている真っ直ぐな人間模様は悪くない。

ブラッド・ダイヤモンド(2006年製作の映画)

4.7

傑作として名を馳せていてもおかしくない。作品の質と巷の評価がかなりずれている。アカデミー賞をひとつも取っていないとはちょっと信じがたい。国務省の圧だろうか。

監督の使命感というか、伝えようとする意志
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

2.1

転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー

映画のベースとなったこの短歌は、東直子さんの第一歌集『春原さんのリコーダー』の表題歌であり、また彼女の代表作のひとつでもある。
私は東直子さんもこ
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.7

原作ファンとしては(改変部分も含め)悪くない実写化だが、原作を読んでいない人に伝わるのかは疑問。
それとも、原作ファンしかターゲットにしていないのだろうか。