『牯嶺街少年殺人事件』に引き続き人生の一本になった。
代表作という単語にはその一本で監督の全てを明かしうる作品といった意味合いがあるが、ごく小数に限定しその他を切り捨てるのは趣味が良くないし、映画の健>>続きを読む
『人は誰でも生涯に一作は傑作を書ける』というクリシェがある。えてして自身の経験を基に書き連ねる私小説というジャンル内の話だが、本作も少し方向性は似ている。亡くなってから天国へ向かうまでの一週間、これま>>続きを読む
ナンセンスにもなり切れていないナンセンスギャグ、野球場一杯のう◯こを集めるというコロコロコミックのような下品なギャグ、不謹慎ギャグのオンパレード
概して笑えぬそれらは確かに中途半端な「センスのいい」笑>>続きを読む
ホテル内ロビーにたむろし威圧感を与え、他の客に恫喝を繰り返すやくざを追っ払うために
警察を呼ぶも暴力を振るっていないのなら民事不介入として我関せず。一度"お車代"を出したのがマズかった、ここは金になる>>続きを読む
北野武流サイレント映画
蓮實重彦は授業でサイレント映画を観させるらしいが、それほど映画はまずサイレントで成り立つか否かだ
暴力映画と暴力映画の間に作られた本作は北野武の可動域の広さを示してる
北野武演じるヤクザ上がりの菊次郎と母親を探す子どもの一夏の交歓。同じ時間を過ごすにつれその2人に友情が芽生えて。と言うもはや手垢にまみれた常套的な物語をここまで個性を以て見せられるとやはり並の監督では>>続きを読む
冒頭タイトルロールから相当洒脱。
脚本は市川崑の妻、和田夏十。リメイク作は本作で主役を務めた船越英二の息子、船越英一郎。
十人への浮気という脚本と言い、出演者の息子が云々と運命はかくも数奇かな
各社のキャラメル特売日に当社はどんな策を以て勝負するかと宣伝部に勤める川口浩とその上司は奔放する
次から次に物を売り付け買い付ける資本主義はアイドルをまさに虚像として造りあげ、ありもしないバックグラウ>>続きを読む
美しく、危うく、退廃的な映画だ
猫は川に捨てられ、ビルは解体され、鏡は割れて、照明は割れる
円滑な物語進行を妨げる不穏さを隠そうとせず、なお同時進行にそれでも美しい
進むほどにどん詰まりになるのにいや>>続きを読む
恐ろしい
天才だ
なんて美しいショットを撮るんだ
現実と作り物の境目なんて曖昧でシームレスなものなのかもしれない
カメラマンの彼は撮る人、すなわちエドワード・ヤンではないか
結局妻に与えられる影響なん>>続きを読む
冒頭、空き家を訪れ我が家になった暁には何をどこに置くか部屋の構想を楽しみながら主人公(侯孝賢!)に語りかけるヒロインは来たるべく未来を眺める。終幕、貸オフィスでどこを会議室にするか、どこに事務室を置く>>続きを読む
「毎日、色んなことがあって、思い出せません」という冬冬の手紙は無垢で素直に感じ取った一夏の思い出を伝えてくる
勘当同然に息子を追い出した祖父は孫である冬冬に「親は子どもの一生を見れない」と語りかける。>>続きを読む
葬式という単語が胚胎する悲哀や哀悼といった感情の動きは存外に希薄で、葬式にまつわる事務処理に関するハウツー映画といった趣だ。劇中で葬式の礼儀について解説するビデオ(『冠婚葬祭入門』)を見ているシーンが>>続きを読む
長回しの多用とストーリーの省略で中々ついて行きずらいが。
YouTubeでもその一部が抜粋されている名高い貯木場のシーンは遠景として追跡者、逃走者を捉えているが、何を追っているのか何から逃げているのか>>続きを読む
これ以後の北野武映画の要素が荒削りながら全て詰まっている
この荒削りをどう捉えるかで評価は分かれると思うが、否定的評価の方にも今作を最高傑作だと感じる向きがある事実は知ってほしい
大友なる人物であった>>続きを読む
新人・野村宏伸によるズッコケ演技が次第にこの演技じゃなきゃ駄目だと思わせてくれる映画
ライムスター宇多丸はさすが、ファッションに着目した読解をしていて興味深かった。当時の若者最新ファッションをしていて>>続きを読む
パンフレットのreviewにて哲学者・作家永井玲衣が書いているように映画はHappy Endではない。それでも明るい結末だ。
DJの ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uもかなりのシネフィルらしく、映>>続きを読む
向井秀徳がスクリーンに映ってるだけで嬉しいです
そこに古川日出男、坂田明、住職
当初は純文学作家としてデビューし、古井由吉や黒井千次等『内向の世代』の一人として数えられた佐木隆三の直木賞受賞作が原作(以後転向、犯罪ノンフィクション物を多く書く)
キリスト教が人口に膾炙していない>>続きを読む
1982年11月か12月に2週間程度の本作の撮影を終えて年明けの1月下旬に「家族ゲーム」のクランクインに入る
残暑続く秋という今日の時節柄に惹かれて
現在完全に近い形で観る事のできる小津安二郎作品は全三十六作だが、これに肩を並べる作品はどれだけあるか楽しみだ
人はあっけなく死ぬ。劇的な要素なんて無く、本人の>>続きを読む
葬式で始まり、結婚式で終わる
下衆びたおっさん達(明らかに下衆だと分かる演出をしている)に啖呵よく喧嘩売る岡田茉莉子の現代感
登場人物を中央に位置させてこちらを向かせるシーンが多用されていて(向かい合う登場人物の顔が同じ位置に重なるよう遠近も少しずらされている)、どうにも小津安二郎を感じる
また雪の白さや部屋の明暗、風呂のタ>>続きを読む
まだ制作していないのに先に配給会社と契約してしまう話や実家を抵当にして得た3000万円で制作をした話のように前段階で面白いが、それらを経て作られたデビュー作が落語家〈の・ようなもの〉を主人公に据えた映>>続きを読む
英単語"shoot"には『(銃を)撃つ』という意味は勿論、『(写真・映画を)撮る』という意味もある。開幕早々に偽医者が箱男を狙撃し、箱男は写真を撮って反撃する攻防が見られるが、"銃撃戦"と言えるだろう>>続きを読む
作家の特性はデビュー作に現れると言うが、もれなく濱口竜介監督にもその言葉は当てはまる。
たとえば濱口竜介監督自身が出演し、無自覚の加害者を演じるという〈自覚なき悪〉。"PASSION"での学校のイジメ>>続きを読む
見える物を見えないようにするAVのモザイク付けを職業に持つ主人公は幽霊という見えない物が見える。
濱口竜介監督が撮り続ける演技、演者の身体性という主題を踏まえると、おっさんが身近とは到底言い難い女子>>続きを読む
とんでもない作品だ
前半ラストの夜明け前、喧嘩をし、一緒に帰路に着く道中の約18分ワンショット。暗さからよくは見えないが、二人がこれまでを話し合い、夜が明け太陽がのぼり始めて少しずつ辺りが伺えるように>>続きを読む
大島渚と一悶着あって懲りたのか本作の公開を松竹は断り、東宝が拾ったのではないかという話や先に京マチ子が出演したがっていたり、深作欣二監督がドラマ化に向けて動いていたり興味深い話を聞けた
スクリーンで>>続きを読む