開幕早々三人の聖職者による喫煙ショットがあり、それにLynn Curleeの作品「Smoking Angels」を想起しつつ、続く路上に捨てられた煙草の山が美しい
上記の三人は恐らく関係無いが、最後の>>続きを読む
『歩いても歩いても』から8年、その間に是枝裕和監督は幾作も撮っており、続編と銘打たれてこそいないが、精神的続編とも言えるだろう共通点がいくつか見られる。言い過ぎと思うなら、同じ意識を持ってより深掘りし>>続きを読む
ずっと観たいと思っていたブレッソン
しかしやっちまった、寝ちまった
『To be continue』、『FLOODS』というタイトルで終わる本作は来る長編映画『FLOODS』の前日譚であるので、筋書きとしても今作だけでは見通せず、隠喩は隠喩のままで不穏だ。しかし川の底>>続きを読む
こういう映画があるのか
笑えるでも、泣けるでも、腹立たしいでもなく、ひたすらかっこいいショット。色気。
濱口竜介監督は『映画で撮りたいものは物語ではなくエモーショナル』(大意)と語っていたが、本作を観>>続きを読む
『科学では冷た過ぎる。宗教では熱過ぎる』と書いた小説家の井上ひさしは『その中道としての文学』と続けるわけだが、そう、宗教は熱過ぎる。
"出家"して家から出ていった夫が夜中に戻って来て、書斎で本を漁って>>続きを読む
皆から『小津、小津』と言われ続け、しかし是枝自身は小津と全く異なることにショックを受け、デビュー作は失敗したと語るが、これはどうにも小津だ。加えて台湾映画も感じるのはやはり師匠侯孝賢の影響か。
是枝>>続きを読む
家族だから見せられる一面。
家族だから見せられない一面。
家族だからしてしまう意地悪。
家族だから許せる振る舞い。
これら四文が矛盾しないという目を見張るような奇跡を撮る事をホームドラマと言うのなら小>>続きを読む
ヴィム・ヴェンダース監督初の商業用映画かつピーター・ハントケとの初タッグ作品
という情報しか書けない
1日の締めくくりとして観るレイトショーでの映画が好きなのと同じくらい、朝早くから観る映画が好きだ。観終わってもまだまだ1日が長いからだが、本作は9時に観始めても終わりがほぼ13時である。
『起きろ、最>>続きを読む
自分が死ぬと分かっていても桜のような美しい物を美しいと思える、それが良い人生だったと言えるんだろうな。心に刻みたい。
わだかまりを持ったまま亡くなってしまった父親を『優しいけれど、駄目な人だった』と>>続きを読む
清廉潔白、青天白日の身とは思わないが格別パワハラ教師とは見なかった。たとえば同じ音楽業界の指導者を中心人物に据える『セッション』とは雲泥之差だ。バッハについて女性関係等の作品とは関わりの無い事柄で判断>>続きを読む
否が応でも子どもが生まれれば父親である。しかしその子どもが自分の子どもでは無かった場合にはその限りではない。
小学校への面接受験にて福山雅治演じる父親の『(息子は)穏やかで他人に対して優しいところは母>>続きを読む
大学生時代に週に一度は通っていた古本屋へそこまでの頻度ではないが同じように通っていた同年代の知り合いがいて、同席すればそれなりに四方山話をしていたが毎度毎度同席となる訳でなく、と言うより入れ違いになる>>続きを読む
森田芳光監督作品『家族ゲーム』を人生の一本に数えている身としては、冒頭から出て来る三角形の机に少しく興味を覚えて批評的に観たくもなったが、さしてその後映ることも無く。
濱口竜介監督、蓮實重彦、是枝裕>>続きを読む
『牯嶺街少年殺人事件』に引き続き人生の一本になった。
代表作という単語にはその一本で監督の全てを明かしうる作品といった意味合いがあるが、ごく小数に限定しその他を切り捨てるのは趣味が良くないし、映画の健>>続きを読む
『人は誰でも生涯に一作は傑作を書ける』というクリシェがある。えてして自身の経験を基に書き連ねる私小説というジャンル内の話だが、本作も少し方向性は似ている。亡くなってから天国へ向かうまでの一週間、これま>>続きを読む
ナンセンスにもなり切れていないナンセンスギャグ、野球場一杯のう◯こを集めるというコロコロコミックのような下品なギャグ、不謹慎ギャグのオンパレード
概して笑えぬそれらは確かに中途半端な「センスのいい」笑>>続きを読む
ホテル内ロビーにたむろし威圧感を与え、他の客に恫喝を繰り返すやくざを追っ払うために
警察を呼ぶも暴力を振るっていないのなら民事不介入として我関せず。一度"お車代"を出したのがマズかった、ここは金になる>>続きを読む
北野武流サイレント映画
蓮實重彦は授業でサイレント映画を観させるらしいが、それほど映画はまずサイレントで成り立つか否かだ
暴力映画と暴力映画の間に作られた本作は北野武の可動域の広さを示してる
北野武演じるヤクザ上がりの菊次郎と母親を探す子どもの一夏の交歓。同じ時間を過ごすにつれその2人に友情が芽生えて。と言うもはや手垢にまみれた常套的な物語をここまで個性を以て見せられるとやはり並の監督では>>続きを読む
冒頭タイトルロールから相当洒脱。
脚本は市川崑の妻、和田夏十。リメイク作は本作で主役を務めた船越英二の息子、船越英一郎。
十人への浮気という脚本と言い、出演者の息子が云々と運命はかくも数奇かな
各社のキャラメル特売日に当社はどんな策を以て勝負するかと宣伝部に勤める川口浩とその上司は奔放する
次から次に物を売り付け買い付ける資本主義はアイドルをまさに虚像として造りあげ、ありもしないバックグラウ>>続きを読む
美しく、危うく、退廃的な映画だ
猫は川に捨てられ、ビルは解体され、鏡は割れて、照明は割れる
円滑な物語進行を妨げる不穏さを隠そうとせず、なお同時進行にそれでも美しい
進むほどにどん詰まりになるのにいや>>続きを読む
恐ろしい
天才だ
なんて美しいショットを撮るんだ
現実と作り物の境目なんて曖昧でシームレスなものなのかもしれない
カメラマンの彼は撮る人、すなわちエドワード・ヤンではないか
結局妻に与えられる影響なん>>続きを読む
冒頭、空き家を訪れ我が家になった暁には何をどこに置くか部屋の構想を楽しみながら主人公(侯孝賢!)に語りかけるヒロインは来たるべく未来を眺める。終幕、貸オフィスでどこを会議室にするか、どこに事務室を置く>>続きを読む
「毎日、色んなことがあって、思い出せません」という冬冬の手紙は無垢で素直に感じ取った一夏の思い出を伝えてくる
勘当同然に息子を追い出した祖父は孫である冬冬に「親は子どもの一生を見れない」と語りかける。>>続きを読む
葬式という単語が胚胎する悲哀や哀悼といった感情の動きは存外に希薄で、葬式にまつわる事務処理に関するハウツー映画といった趣だ。劇中で葬式の礼儀について解説するビデオ(『冠婚葬祭入門』)を見ているシーンが>>続きを読む
長回しの多用とストーリーの省略で中々ついて行きずらいが。
YouTubeでもその一部が抜粋されている名高い貯木場のシーンは遠景として追跡者、逃走者を捉えているが、何を追っているのか何から逃げているのか>>続きを読む
これ以後の北野武映画の要素が荒削りながら全て詰まっている
この荒削りをどう捉えるかで評価は分かれると思うが、否定的評価の方にも今作を最高傑作だと感じる向きがある事実は知ってほしい
大友なる人物であった>>続きを読む