kotaroさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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早春(1956年製作の映画)

4.6

“日本を代表する巨匠・小津安二郎が、サラリーマンの孤独と夫婦の倦怠感をシリアスに描いた異色作”
2023年の安いホームドラマでもありそうなシナリオにも思えるあらすじだが、決してそうはならないところが小
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

3.4

劇中幾度となく登場する書籍のタイトルは、ボディ・ホラーの巨匠クローネンバーグの1979年監督作『ザ・ブルード/怒りのメタファー』の副題に相応しい。
邦題の「怒りのメタファー」の部分は、“The Sha
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アスファルト・ジャングル(1950年製作の映画)

4.3

欲をかくと計画は失敗する。
なき故郷への郷愁、南国での生活への憧憬、若く美しい女への情欲、あり余る富、名声。
慎ましくささやかな欲望も、分不相応な欲望も、共に一線を越えた瞬間、欲望の実現のために積み上
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.5

夏休み。ヴァカンス。
仕事、あるいは学業などの日常から解放された小休止。
新しい出会いや別れがあり、何かが起こりそうな予感に満ちあふれた浮き足立つあの季節。
束の間の自由と解放と可能性にわくわくしなが
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.8

何かを信仰すること。

それは時として、信仰の対象に裏切られる/またはそれが信じるに値しないかもしれないという蓋然性を含みながらも、その可能性を疑わずに一心不乱に信じることを求められる。

「果たして
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パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

3.6

ロバート・ダウニー・Jr.の父であり、ジム・ジャームッシュやポール・トーマス・アンダーソンにも影響を与えたロバート・ダウニー・シニア監督。
彼が手がけた幻の作品が日本初公開されるということで、早速上映
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

茫然自失とした女性が映る。
虚ろな目に、乱れた髪の毛、安物に見える服。
周囲を取り囲む男女はご機嫌な顔で音楽を聴きながら酒を飲んでいる。
クローズアップ。
16mmカメラの焦点は合わなくなり、女性の輪
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.4

恋人と元恋人との愛や別れ、あるいはキャリアと結婚・出産などのライフストーリーについて思い悩む30代前後の人たちに刺さる(少なくとも自分はその年齢で、刺さりました)良質なヒューマン・ドラマでもありながら>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

4.2


細野晴臣氏も絶賛。
氏曰く、「いまだにいちばん怖い映画かもしれない」、「しかも怖いだけでなく、すごく美しい」。

怖くも美しい映画、ものすごく好みなやつ、、U-NEXTに追加されていたので早速観まし
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呪詛(2022年製作の映画)

3.5

土着的なホラー要素、ファウンド・フッテージやモキュメンタリーなどの手法、時間軸を交差させる脚本、シングルマザーと娘の家族愛などの手法やテーマを混ぜ込み、巧みなホラー映画として形成されている『呪詛』。>>続きを読む

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ジュブナイル・ホラーのテイストをやや薄めながら、ワンシチュエーションもののプロットにぶち込んで、サイコパス味の人物描写で整えたサイコスリラー。

中盤の犠牲者少年大集合スペシャル部分のジャンプスケアギ
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.4

1973年、カリフォルニア州サンフェルナンド・バレー。
丘陵地帯をバックで蛇行しながらのろのろと進むトラック。
慣れない大型車両の運転。
大きなハンドルを駆使しながら、時折何かに衝突し、止まり、そして
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特攻大作戦(1967年製作の映画)

3.7

のちの映画やプロットに大きな影響を与えたロバート・アルドリッチ監督の戦争映画。

古着好きからするとM-43などのアイテムを着こなす登場人物たちの佇まいにとにかく痺れた。
端役でもこれぞハリウッドの俳
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ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.0

安易な言語化を拒むこの映画の意志の強さにまずノックアウト。
そして、映画を愛する人たちの心を震わせるだろう映画史横断的な(それはカラックス自身の映画史をも含む)試みの大胆さに感服。
批評家の人たちから
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サスペリア(1977年製作の映画)

4.3

リメイク版『サスペリア』ではないオリジナルを見たことがないと思い鑑賞。
ルカ・グァダニーノ版にはないフェティシズムや直接的なスラッシャー描写、禍々しい質感など、オリジナルとしての矜持を感じさせる作品で
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.6

60年代のスウィンギング・ロンドンの華やかなカルチャーの裏側。
ポップで夢見心地な舞台の裏にある暗い欲望と男性性が支配する世界。
この二面性のある世界のナビゲーターになるのは二重人格的な女性主人公。
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.6

見るものを確実に動揺させる冷徹なシーンの数々。
刻一刻と悪化していく無慈悲なシナリオ。
この映画の不穏な演出の巧みさ、そして臆することなく暴力的で我々に強いショックを与える内容は、
『ある終焉』や『父
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重力の光 : 祈りの記録篇(2022年製作の映画)

4.3

被写体の方達に対する演出(特に天使のショット)と、その作為性が彼女ら/彼らの人生を語る上で果たして必要なのかどうか、深く逡巡したんだろうなと感じられる、その決意が滲み出たショットが沢山あって観ていて感>>続きを読む

荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.6

モニュメント・バレーを望む広大な大地をバックに流れるアルフレッド・ニューマンの手がけた疾走感のある音楽。
スタンダードサイズの画面を縦横無尽に駆ける馬と男たち。
ああ、この映画は素晴らしい映画だと確信
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ANON アノン(2018年製作の映画)

3.5

技術革新がもたらした監視社会というテーマと、拡張現実を再現したような映像編集、フィルム・ノワールを感じさせる映像美など、この映画を構成する各要素は非常に魅力的だが、やや唐突とも言える犯人の出現や弛緩し>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

3.8

娼婦が客引きをするブローニュの森?のシーン、痺れた。

オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

4.0

クストリッツァ、やはり好きだ!
映画的な楽しさが存分にある。

寓話による教訓と戦争のリアリズム、抜群のコメディセンスと賑やかで楽しい音楽が混ざり合う素晴らしい作品。
これといったシーンやショットはそ
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