恐怖心が実体化するという性質上、多彩な恐怖が子供達を襲う前半はひたすら悪意に満ちているだけで、これがどういう類のホラーなのか想定できずに戸惑う。だが、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』とでも言うべき形に>>続きを読む
底辺YouTuberという題材にイチ早く着目し、その闇深さに堂々と斬り込んでいく嗅覚の鋭さがある。ムロツヨシの狂気と岸井ゆきのの表現力を引き出す演出の上手さを感じるし、終始胸をザワつかせる展開やキャラ>>続きを読む
人種差別の諸問題を批判的に描くというアプローチではなく、恋する感情や子を想う親の気持ちといった愛に溢れた温かい視点を貫くことで、結果的に差別なき着地をする巧みな脚本がある。トレイシーの最後の演説は涙な>>続きを読む
偉大な数学者の半生を「天才と狂人は紙一重」という側面だけで描く意味があったのだろうか。どんなに優れた理論より、欲求を満たすためだけの幻覚より、愛がすべてを解決するということを示したかったのかもしれない>>続きを読む
原作の良い部分を繋ぎ合わせて、月とLの対決路線を維持したまま映画としてきちんと完結させた脚本の巧みさはあるが、戸田恵梨香や片瀬那奈の稚拙な芝居や、全体がこじんまりとして大きく盛り上がらない展開のせいで>>続きを読む
魅力ある原作の物語に寄り添ったキャスティングと、映画の枠組に収めるための充分な脚色があるおかげで、ファンも納得のエンタメ作になっている。リュークの造形も素晴らしく違和感がない。
時系列を弄くり回すノーランの悪い癖が出ているが、そうでもしないと「敗走兵が撤退するだけ」の物語に大きな展開が見込めない、ということだろう。戦争による犠牲の不条理さを一人の民間の少年に押し付けてしまう節>>続きを読む
トランスジェンダーの表面的な部分だけを物語を彩るアイテムとして安易に採用したことで、問題の本質からかけ離れてしまっているのが勿体ないが、草彅剛の所作のおかげで多少の説得力はある。渋谷慶一郎の劇伴が全編>>続きを読む
終始わちゃわちゃとしていて、何を観せられているのかよくわからなくなってくるが、まったく危機感のない主人公達や、ランボーに扮してドヤ顔するギズモや、多種多様なグレムリンに対してひたすらツッコむのが正しい>>続きを読む
可愛らしい愛玩動物がある条件下で凶暴なものに変わっていくというホラー作品は数あれど、水に触れると増えるというチートな特性と、人間味溢れる悪知恵がとにかく厄介。人間のキャラクターが物語に上手く溶け込んで>>続きを読む
極端に個人的な思惑で物語が動き、ニュータイプという概念がどんどんファンタジーに傾いてきたことで、もはやガンダムなのかどうかもわからないものへと変容してしまった。ただオカルティックゆえに荘厳さを滲ませる>>続きを読む
この当時の香港映画にしては物語はしっかり構築されており、サモ・ハンによる殺陣の緻密さによってアクションの質も高い。ジャッキーはチョイ役ながらスター性をのぞかせているし、ジョン・ウーの「らしい」演出も既>>続きを読む
売春する団地妻のドキュメンタリーでありながら、ベトナム戦争批判と資本主義批判を交えた徹底的な反米映画として、観念的な言葉を繰り返していくだけ。共産主義に傾く中期ゴダールの思想体系が形成されつつあるが、>>続きを読む
シリーズをすべて追うほど、余計に騙されるように仕掛けられた脚本。3人の対決路線がもっともらしく見えるのは、キャラのぶれないボクちゃんのおかげでもあるし、演技の幅の広さを披露する小日向文世のおかげでもあ>>続きを読む
シリーズの中でも異色に思えるのは、詐欺師達が用意したトリック以上に不確定な要素が散りばめられていることで、コンゲームとしての爽快感が薄いせいだ。代わりにダー子の親心を描写した感動モノへと振り分けて、物>>続きを読む
どこからが嘘でどこからが真実なのかを見極めることで物語の面白さが格段に違うことをTVシリーズで見せておいて、映画版では最初から最後まですべてが嘘という離れ業で視聴者を欺く。長澤まさみの破天荒なキャラク>>続きを読む
最終決戦にふさわしい魔法の応酬があり、仲間達の活躍には胸が熱くなる。影の主人公・スネイプの悲しい真意はもう少し濃密に描いても良かった気もするが、ただでさえヴォルデモートとの直接対決があっけなかったので>>続きを読む
メイン3人が敵の魂が封じられたアイテムを各地で探すというミステリー的な展開は、これまで学校の中だけで紡がれていた物語に新たな風を起こす。コメディックなフェーズはあるが、ずっと陰鬱な雰囲気があって、シリ>>続きを読む
物語は禍々しさを帯び始め、呪いや死といった魔法の暗黒面を映し出すホラー色の強い展開。クライマックスへの足掛かり的な要素が多く、一本の映画としての盛り上がりには欠けるが、恋愛エピソードなども上手く配置し>>続きを読む
戦いが本格化して、仲間と共に成長するハリーや、ダンブルドアの強さが見られ、多面的な面白さがある。イメルダ・スタウントンのとことん陰険なキャラクターも印象的。守るべきものの大切さと、それでも失うものがあ>>続きを読む
思春期特有の恋や友情を描きながらも、メインとなるヴォルデモートの復活をクライマックスとした大きな展開を見せる。キャラクターの相関がどんどん複雑化し、掘り下げ切れないのが勿体ない。
両親を知るキャラクターの登場によってハリー・ポッターという人物に奥行きが生まれ、ようやく愛着が湧くようになった。タイムトラベルによる伏線回収が巧妙で、説明不足な部分もあるが脚色の上手さのおかげで重要な>>続きを読む
重苦しくなるはずの設定を底抜けの明るさでアニメーションとして描くこと自体は面白い試みではあるが、そうまでして軽薄に(明石家さんまイズム的に)捉えられるほど現代人はポジティブではないはず。チック症の少年>>続きを読む
純愛と言えばそうかもしれないし、階級社会によってすれ違う男女が愛ゆえに憎しみ合う顛末と言うこともできる。現代の感覚からすると登場人物の誰にも肩入れすることは難しく、物語が展開していくほど観るのが辛くな>>続きを読む
伊坂的物語の面白さをアクションに落とし込むことの新鮮さは確かにあるのだが、それがあまり整合していないような印象を持った。キャラクターにも魅力があり、手数の多い展開には迫力もあるのに妙な薄っぺらさがあっ>>続きを読む
Fukaseをサイコキラーに設定したことと、凄惨な殺人現場のショッキングな描写で期待を持てたが、終盤に向かうほど広げた風呂敷を畳み切れずに無茶な展開になってしまった。結果的によくあるタイプのスリラーと>>続きを読む
イケメン俳優を勢揃いさせた学園政治コメディとして楽しく観ることができた。全身全霊でくだらないことに振り切る菅田将暉と吉田鋼太郎のやり取り、エンディングのキュートな永野芽郁など見所は多い。
価値観というものはどんなに似通っていても、男と女ではやっぱり誤差があるとか、対社会が精神的な余裕を奪うとか、そういう「現実で生きていく上で埋められないもの」をちゃんと描いて恋愛の向こう側を示したことで>>続きを読む
小手先ではなく圧倒的なセンスで物語を構築するジャームッシュの頭の中を覗いてみたくなる。同じ時間・同じ場所でそれぞれのストーリーがあり、少しだけ交錯するという群像劇の正解が映し出される。工藤夕貴が可愛ら>>続きを読む
丁寧に伏線を張り巡らせた重厚なミステリーであることは認めるが、物語そのものは結局どういうことなのかはっきりしない。大胆な種明かしが冒頭に用意されていることに気付いてしまったが、それでもどこか騙されなが>>続きを読む
奇抜な色彩とカメラアングル、印象的な音楽が恐怖感を煽るが、ずっと不穏な雰囲気があるだけで物語としての筋は分かりにくい。終盤になって魔女の存在が明らかになるものの、その目的や動機には触れられずに多くの謎>>続きを読む
庵野秀明的撮影のアングルと、仮面ライダー的アクションの融合には新しさがある。物語の展開そのものは王道の特撮を踏襲しながら、血飛沫などでリアルさを付加させてもいる。キレッキレの長澤まさみはもっと観ていた>>続きを読む
オカルトホラー×デスゲームというアイデアは新しいが、その組み合わせがそもそも荒唐無稽であることを考えると、最初からB級映画になることは予定されていた。多種多様なクリーチャーが一斉に会して殺戮が繰り広げ>>続きを読む
前作から36年を経て作られた続編である意味と価値のある作品。王道ではあるがエンタメのツボがちゃんと押さえられているし、前作を楽しんだファンが観たいと思うものを漏れなく盛り込んでくれている。効果的なセリ>>続きを読む
ウタ/AdoのMV的演出や、非現実的なラスボスなど、既存の世界観から掛け離れた設定に戸惑いはあるものの、効果的な音楽は素直に楽しい。麦わらの一味と赤髪海賊団の共闘も熱いし、多様なキャラの登場で盛り上が>>続きを読む
全体的にコミカルな演出だが、凄まじい爆発と共に描く戦闘シーンはリアルで悲惨さがあり、そのギャップこそが戦争の本質を露わにしている。そしてどれだけこの映画が反戦的メッセージを伝えようと(どれだけ人々の胸>>続きを読む