トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

恋に落ちたら…(1993年製作の映画)

2.0

頼りない刑事という役柄がデ・ニーロに似つかわしくないので物語に没入できず、脚本もぼんやりとしたものだが、ビル・マーレイとのやり取りには安心感もあるし、ユマ・サーマンの美しささえ映し出せれば内容なんてど>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

マルチバースの複雑な世界観の中で、何でもアリなシチュエーションを重ねているように見えて、結構決め打ちの構成になっている。ミシェル・ヨーを主役に据えることで物語に説得力が増しているし、アクションもコメデ>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

3.0

台風・夜の学校という非日常に少年少女が取り込まれていき、彼らの無軌道なリビドーが爆発していく終盤の、なんと瑞々しいことよ。性、狂乱、そして死という思春期特有の甘美な頽廃が、長回しのショットによってこれ>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

3.0

ピーター・ローレのギョロリとした目と、偏執的に繰り返される口笛の旋律が狂気を孕み、それがラストの芝居で見事に溢れ出すのがすごい。大衆の正義感による私刑というテーマは、現在でもSNS上で変わらず行われて>>続きを読む

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

3.0

あまりに有名な謎解きミステリのため、犯人が誰かを推理する必要性はなく、どちらかというとその過程をどう脚色するかが求められるわけだが、主役級の俳優を何人も配した割には演技合戦とまでいかない凡庸な作りにな>>続きを読む

街のあかり(2006年製作の映画)

3.0

なぜ彼はいつも不遇なのか。それは夢を語るばかりで現実を見ていないせいだ。しかし大なり小なり我々も似たようなもので、主人公に自分を反映してしまって、どこか憎めない。ラストで彼が獲得した些細な幸福(寄り添>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

3.0

おそらく同じ脚本でもカウリスマキ以外が撮ると、こうはならないだろう。劇的な展開をそう見えないように引き算し、どうでもいいところでしっかりと間を取ることで、独特なオフビート感を出している。ラストの「虹の>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.0

どう展開していくのかは分かりきっているのに、それでも熱さを感じずにはいられないのが、このシリーズ。ロッキーは最早登場せずとも、クリードがその魂をしっかりと継承している。二人だけの世界で殴り合うシーンは>>続きを読む

怒り(2016年製作の映画)

3.0

実力派俳優の演技合戦が見られ、とくに宮崎あおい・広瀬すずの体当たりの芝居は胸を打つ。一つの事件が三つの物語に展開し、それぞれ違うアプローチで重厚なテーマを提示しようとしているが、どうしても描写が散漫に>>続きを読む

美女と野獣(1946年製作の映画)

3.0

詩的で優雅な物語性がありながら、野獣の恐ろしさや装飾の奇怪さが強調され、コミカルなディズニー版とは違った独特の雰囲気がある。二人の心が通う過程に濃密さがないので、急に恋が展開するのが不思議ではあるが、>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.0

荒唐無稽な設定ではあるが、その中で人間のリアルさを表出させることで、有り得るかもしれないと思わせる世界観に没入させてくれる。撮影の巧さはあるが、もう少し丁寧に時間の流れを描いていれば説得力は増した。

機動戦士ガンダム Twilight AXIS 赤き残影(2017年製作の映画)

1.0

かなりミニマムな物語で、キャラクターの背景を描き切ることもせず、どういう内容なのかさっぱりわからない。PVや予告編を観ているような素早い展開だけがあって、全体像に興味を持たせてはいる。

ドント・ブリーズ2(2021年製作の映画)

2.0

サイコパス爺が勝手に養子にした少女を、クズ親率いる武装グループが奪還に来る、という前作同様誰も応援できない対決が繰り広げられる。前半はバイオレンス版『ホーム・アローン』のような展開ではあるが全くカタル>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.0

設定の面白さはあるが、どちらにも肩入れできないキャラクター同士の死闘をずっと見させられても、どこに感情を持っていけば良いのかわからなくなってくる。もう少し手数があればスリラーとしての緊張感はあっただろ>>続きを読む

リング2(1999年製作の映画)

3.0

科学ミステリに転向する原作の続編ではなく、ホラーとしての『リング』を踏襲したパラレル・ストーリーであり、おそらくそうであるべき道を真っ直ぐ進んだ製作側の気概が見える。呪いの概念が複雑化していくことで物>>続きを読む

らせん(1998年製作の映画)

2.0

ホラー色の強い前作に比べるとサイエンス・ミステリ的な展開で描かれるが、どんどん荒唐無稽なトンデモ科学になっていくので、恐怖感は薄まっていく。中谷美紀の幅広い演技は素晴らしい。

リング(1998年製作の映画)

3.0

やはり「呪いのビデオ」という設定が秀逸であり、オカルトが科学を乗り越えてしまうことに恐怖があるのだと思う。中田秀夫の本領発揮ともいえるホラー演出が見事にハマり、ギョロリとした目の描写だけで貞子というキ>>続きを読む

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.0

ルコント独特のねちっこさがありながら、荘厳な音楽や表情のない主人公の存在によって静謐な空気感がある。物語をシンプルに描き過ぎているため、テーマにこれといった重厚さが感じられないのは惜しいが、カメラワー>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.0

テクニカルなことはせずともSFを表現することはできるし、奇抜な演出をせずともお洒落なものは作れる、という良き例。モノクロ写真を繋げているだけだという先入観を持っていたら、一瞬だけ映像として挙動するシー>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.0

異食症というセンセーショナルな題材だが、結婚生活における孤独感、妊娠による精神的な不安定さ、彼女自身の生い立ちなどの背景を組み合わせながら、単にアイデアとしての奇抜さではなく、真摯に描いているのが見て>>続きを読む

新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.0

知恵と勇気でゾンビに立ち向かう前作の設定を引き継ぎつつも、ポスト・アポカリプスの世界における人間同士の争いをメインに描いており、ロケーションの広がりやアクションの壮大さは増しているものの、別にこういう>>続きを読む

新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

3.0

走行する列車内という限定的な状況下でゾンビと対峙する上で、シチュエーションを的確に捉えた演出が巧みだ。物語としては奇を衒うことなく、典型的なパニック映画然としたキャラクターの動きがあるが、父娘のサブス>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.0

湿地のじめっとした空気感と、そこに取り残された若い女というミステリ的な展開が絶妙ではあるが、中盤から痴情のもつれみたいな話になり、よくあるタイプの物語になってしまった。家族も恋人も町の人間達もクズばか>>続きを読む

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.0

柔らかく、時に荒々しく描かれる線画と、水彩の風景による世界観は、単に古典のアニメ化としての懐古趣味というより、ある種の到達点とも言える美しさがあるのが不思議。すごくジブリ的な大胆な脚色・演出もあるが、>>続きを読む

ガープの世界(1982年製作の映画)

3.0

中盤までは、多様的でどこか奇妙な人々が織りなすコメディとして観ていたが、衝撃的な事件が立て続けに起こる終盤あたりから、はっきりと示されるテーマの偏りに気付かされる。それを肯定的に捉えられるほど、人生を>>続きを読む

Mr.&Mrs. スミス(2005年製作の映画)

3.0

ブラピ&アンジーという完璧なカップルが画面に並ぶだけで、荒唐無稽な脚本もなんとなく受け入れてしまい、魅力的に見えてしまう。アクションは大したことないが、ただ二人の息の合ったやり取りさえ眺めていれば楽し>>続きを読む

悪夢探偵2(2008年製作の映画)

3.0

前作とはまた別の意味でヒロインに魅力はないが、ホラーとしての演出の妙技はあって、常に緊張感のある画面が構成される。松田がようやく主人公らしく振る舞っており、キャラクターの背景を描いて奥行きを出そうとし>>続きを読む

悪夢探偵(2006年製作の映画)

3.0

悪夢に入り込むという設定の面白さがあり、先鋭的なホラー描写にも個性を感じる。松田・安藤のキャラクターも良いが、何より役者としての塚本の独壇場とも言える狂気の発露がとんでもない。しかし、それらすべてがh>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

2.0

何かのテーマを描くための物語において、ひたすら寓意だけを散りばめて考察させることを前提としたものに面白さなどない。主役二人の演技は抜群で、設定も演出も素晴らしいとは思うが、はっきりと伝える気のないエゴ>>続きを読む

静かなる決闘(1949年製作の映画)

4.0

昭和女優然とした三條美紀とのメロドラマ的な展開に一抹の不安を覚えたが、骨太な医療サスペンスとして畳み掛けていく後半の熱量は素晴らしい。医師である前に一人の男であるという苦悩を繊細な演技で魅せる三船や、>>続きを読む

ウォール・ストリート(2010年製作の映画)

2.0

前作で魅力的な悪役として暗躍したゲッコーのキャラクターに一貫性がなく、金融ドラマとしてのヒリヒリするような駆け引きもない。どんなに強欲な人間でも愛を取り戻すためなら金を惜しまない、というようなありがち>>続きを読む

ウォール街(1987年製作の映画)

3.0

小気味の良い展開で、経済知識がなくてもサスペンスとしての面白さを感じられる。資本主義至上を批判する作品であるはずが、ダグラスの魅力のせいで悪役の方が格好良く見えるのは意図しないところだろう。シーン親子>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.0

是枝が執拗に描く疑似家族というテーマ性がうまく機能していないし、結果的に誰にも寄り添わない(捨てられた赤ん坊さえも)アプローチは、ただ「赤ちゃんポスト」という社会問題を映画興行的な題材の一つとしか捉え>>続きを読む

巴里の屋根の下(1930年製作の映画)

2.0

サイレントからトーキーへと移行していく映画作りにおいて、その両方の利点をうまく噛み合わせた豊富なアイデアが見て取れる。セリフがなくても伝わるならサイレントで充分だし、暗闇での会話や歌のシーンではトーキ>>続きを読む

ナイト&デイ(2010年製作の映画)

3.0

トムとキャメロンのこれまでのキャリアをフィードバックさせたかのようなラブコメで、特段新鮮味はないが最後まで一定の面白さはある。豊富なアクションも楽しめるし、無理矢理感はありながらもラストは洒落ている。

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年製作の映画)

3.0

もはや神に等しい力を持つ悟空&ベジータではなく、悟飯&ピッコロにスポットを当てたことで、まだまだ物語の可能性を秘めているのに驚いた。アメコミ調の作画に違和感はあるものの(近年の鳥山明っぽさを踏襲してい>>続きを読む