トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

ひとつのシチュエーションの会話劇として、ここまでスペクタクルなものは中々ない。脚本の精緻さがあって、役者陣の芝居も白熱している。一人の少年の命運を決める責任の重大さが、徹底的に議論することの重要さへと>>続きを読む

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1985年製作の映画)

3.0

ベトナム帰りの刑事と、チャイナタウンのマフィア。両者共にアメリカ的な価値観が作り出した狂気を孕んでいて、そこにチミノ×ストーンらしさが見て取れる。残酷なまでのアクション描写には泥臭さもありながら、どこ>>続きを読む

夜の大捜査線(1967年製作の映画)

3.0

ある一定数のレイシストによって黒人差別がおこなわれているわけではなく、黒人を人間として扱うことを意識的に拒否する田舎町の空気感がそのまま画面に表れていて、常に緊張感が漂っている。推理ミステリとしての脚>>続きを読む

チャイルド・プレイ2(1990年製作の映画)

2.0

既に展開に無理が生じ始め、矛盾点の多いストーリーはホラーというよりコメディになっている。人形工場ラインでの攻防はアイデアに溢れていて楽しい。

チャイルド・プレイ(1988年製作の映画)

2.0

人形に殺人鬼の魂が宿るという荒唐無稽な設定ではあるが、子供のごっこ遊びであると信用しない母親→子供を守るための母親の虚言であると信用しない刑事、という物語の運び方には一定の説得力がある。序盤では可愛い>>続きを読む

機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光(1992年製作の映画)

2.0

やむなく編集されたエピソードのせいで人物に奥行きがなく、コウVSガトーの因縁に必然性が見えなくなっている。ただ、ガンダム同士の戦いや、ラストの胸糞展開など見所自体は多く、宇宙世紀サーガを補填する物語と>>続きを読む

インデペンデンス・デイ:リサージェンス(2016年製作の映画)

3.0

前作の宇宙人から得た技術により、たった20年で劇的に科学が進歩した仮想的現代、というご都合主義のための設定は、極端にSF感を付与してしまってリアリティがなくなった。前作の主要人物の再登場と活躍にばかり>>続きを読む

インデペンデンス・デイ(1996年製作の映画)

3.0

すごくアメリカ的な物語ではあるが、宇宙人侵略というテーマのスタンダードとして、しっかりとツボは押さえている。巨大な宇宙船のヴィジュアルと、あっけなく壊滅する大都市の描写は圧巻。

ソード・オブ・デスティニー(2016年製作の映画)

3.0

前作の設定はあってないようなもので、ベタではあるが物語としてはまとまっている。しかし肝心のアクションは薄味で、氷上でのバトル以外はさほど見所がない。ドニー・イェンの登場シーンには安心感しかなく、彼のテ>>続きを読む

グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)

3.0

人物の相関がイマイチ分かりにくいせいで、物語そのものは古き武侠映画同様のハチャメチャさはあるが、やはりなんといってもワイヤーワークによって新たなアクションの魅せ方を世に知らしめた功績は大きい。チャン・>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

戦争を皮肉的な意味合いで戯画化する試みはチャップリンの頃からあるが、それを子供の視点がもたらす不謹慎さ・純粋さによって説得力を持たせたのは、この作品が初めてであろう。しっかりと理不尽な死を描いて現実感>>続きを読む

私が棄てた女(1969年製作の映画)

4.0

メンヘラチックな恋愛劇の中に、弱さや醜さといった人間の真なる像が浮き上がってくる。小林トシ江の絶妙な配役と、それに対比する浅丘ルリ子の美しさを備えた演技が素晴らしい。ラストのカラーパートにおける夢想的>>続きを読む

ザ・ファーム/法律事務所(1993年製作の映画)

3.0

頭が良くて行動力もある新米弁護士役に若きトムがしっかりハマっている。ハニー・トラップに引っ掛かってしまう詰めの甘さもご愛嬌。骨太で複雑な物語だが、最後まで一定の緊張感があって退屈にならない。スケベ親父>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.0

サイレントからトーキーへと移行する時代において、新たなスターを生む『雨に唄えば』のアンチテーゼのように、変遷する価値観に取り残された人々を描いている。後半のギャングが登場するシークエンスあたりから取り>>続きを読む

デトロイト・メタル・シティ(2008年製作の映画)

3.0

良い意味で原作のしょうもなさが映像に落とし込まれており、クラウザーさんという稀代のキャラクターを具現化している。ドSな松雪泰子が素晴らしいし、大倉孝二や高橋一生もちょうど良い配役。なによりジーン・シモ>>続きを読む

深夜の告白(1944年製作の映画)

3.0

倒叙サスペンスゆえのコンパクトな構成で、着実に物語が展開して飽きさせない。恋に落ちる描写の軽薄さはあるが、ラストのマッチのシーンで友情すら映し出す演出がニクい。

(2023年製作の映画)

2.0

物語の内容は極端にしょうもないが、カンバーバッチの目と顔の筋肉だけで完結する演技が素晴らしい。時間経過を一言で済ませてストーリーを進める短編ならではのアイデアが面白い。

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

1.0

レイフ・ファインズの不気味さとネズミに纏わるエピソードの不穏さが際立つせいで、語りが時に邪魔に思える、という意味で構造的には失敗か。アングルの奇抜さやアニメーションなど、その才能は正確に画面に落とし込>>続きを読む

白鳥(2023年製作の映画)

2.0

ルパート・フレンドが淡々と物語りながら、その後ろで少年がメタ的な役割を担う。その二重構造にはコミカルさがあるが、描かれる内容も着地点も決して楽しいものではなく、胸糞なラストまで一気に駆け抜けていき、頭>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

2.0

小気味の良いテンポと、紙芝居のように展開する物語演出で独特の個性を引き出している。金の欲のために修行して透視能力を得るが、その修行が金の欲を無意味なものにする、というパラドックスが面白い。

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.0

豪華な俳優陣を配したことで期待値は上がるが、物語はミニマルで盛り上がりに欠ける。出版業界への愛と皮肉に満ちているので興味深く観られる部分は多いものの、さすがに荒唐無稽な展開についていくのは難しい。松岡>>続きを読む

ブレイブハート(1995年製作の映画)

3.0

ソフィー・マルソーとの余計なロマンス要素はあるが、自由を勝ち取るために戦う英雄の物語は長尺ゆえの重厚感がある。特に合戦シーンの迫力は凄まじく、血生臭いリアルさが惜しげもなく描かれていて圧巻。壮大なバグ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.0

シネフィル層にとって、スピルバーグという監督は厄介な存在だ。芸術性に乏しい品性の欠片もないエンタメ作品を撮ったかと思えば、重厚なテーマで観客の心を痺れさせるような大作を生んだりもする。だから、ある一面>>続きを読む

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる(2022年製作の映画)

3.0

ややコミカルさもあった前編に比べて、シリアスかつセンシティブなテーマを惜しげもなく描く後編こそ、この作品の真骨頂とも言える。TVシリーズと着地点は同じでも、そこに込められたメッセージがよりダイレクトに>>続きを読む

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編] 君の列車は生存戦略(2022年製作の映画)

3.0

幾原の奇抜な演出が光るTVシリーズをコンパクトに纏め上げてはいるが、あくまで総集編としての焼き直し以上にはならなかった。実写を背景とした作劇パートは謎めいた物語に妙な現実感を与えていて、思わず鳥肌が立>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.0

『羅生門』と似たような構造ではあるが、事実そのものは変わらず、ただ人物の心情が乗っかった視点に切り替わるだけだというのに、脚本の緻密さもあって印象ががらりと変わってしまう。物語が繰り返されるがゆえの冗>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.0

良くも悪くも高橋一生=岸辺露伴というキャラクターの親和性が際立ち、肝心の物語部分における回想やエピローグにあまり魅力を感じさせない構造になっている。ルーヴルという場所の磁場や、アングルの面白さはあって>>続きを読む

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

3.0

人間の強欲さを描きつつ、それらを投げ打ってでも守るべき愛がある、という希望に満ちた脚本には素直に感動できる。バトル要素は抑え目だが、ロマンス部分にはなんだかキュンとさせられた。金ピカスーツ姿は個人的に>>続きを読む

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)

3.0

強さと美しさの化身であるワンダーウーマンは、ガル・ガドットによって完璧に具現化されていて、彼女の一挙手一投足すべてに見惚れながら最後まで楽しめる。文明から隔たったアマゾネスが複雑化した戦争に翻弄される>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

3.0

前作よりも各キャラクターが魅力的でチームバランスも良く、それぞれの能力に合った活躍があって展開がわかりやすい。グロテスクな部分もあるが全体的な演出が巧く、一定のテンションを保ちながら最後まで走り抜けた>>続きを読む

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY(2020年製作の映画)

3.0

強烈なキャラクターのハーレイ・クインを中心に、強い女性達の爽快なアクションが堪能できる。テンポの良い展開、極端に現実離れしていないストーリーなので、世界観に入り込みやすいのも効果的。

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)

3.0

悪人が善行すると必要以上に評価が上がるゲインロス的な方法論だが、何をしでかすかわからない緊張感が物語に良い刺激を与えている。だが、結局ヴィランであれ愛や友情というヒーローものと大して変わらないテーマが>>続きを読む

ジャスティス・リーグ(2017年製作の映画)

2.0

スーパーマン不在という状況の中で、超人達をスカウトしてチームワークが生まれていく過程にはワクワク感がある。しかし、各キャラクターを掘り下げる時間が足りない上、結局スーパーマンの再登場であっけなく事件が>>続きを読む

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

2.0

誰もが夢に描いたヒーロー同士の対決だが、彼らが戦うに至るまでの細かな描写が圧倒的に少ない。そのくせ続編のために盛り込んだ要素によって物語が冗長となる結果に。ワンダーウーマンの登場も唐突ではあるが、次作>>続きを読む

マン・オブ・スティール(2013年製作の映画)

3.0

スーパーマンならではのスピード感、建物を軒並みブッ壊すほどのパワー全開のバトルは、観ていて気持ち良いものがある。観客が彼に求めるポップさは設定改変により失われてしまったが、ケビン・コスナーやラッセル・>>続きを読む

レッド・ドラゴン(1976年製作の映画)

3.0

ブルース・リーの後継として起用されたジャッキーはまだ垢抜けず、決して華があるわけではないが、アクションのパワーとスピードにおいては他の役者陣より頭一つ抜きん出ているのがわかる。三節棍の扱いも巧く、すで>>続きを読む