ゴダールは映画の核心に最も迫った監督だ。ゴダールを乗り越えた監督はいない。本作はゴダールに最も近づいたカラックスの傑作である。
本作は「強度」と「断片化」と「スピード」の映画だ。冒頭はメトロの壁の移動>>続きを読む
スピルバーグの初めてのミュージカル映画。オスカー10冠を制した「ウェスト・サイド物語」(1961年)のリメイクである。
トップカットは地面から空中へカメラが飛び、やがて再開発される地区の俯瞰になり、さ>>続きを読む
レオス・カラックスの衝撃の処女作。ジム・ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」やペドロ・コスタの「血」のようにシネフィルらしい瑞々しく強度が高い白黒作品だ。本作の強度はサイレント映画の強>>続きを読む
ブレッソンの念願の企画だという。「布」の映画だ。はためく旗、置き忘れたスカーフ、テントの布、全編にわたり布が官能的である。冒頭はいきなり首を刎ねるアクション、森の中の馬の疾走だ。ブレッソンらしくないオ>>続きを読む
フォードの航空映画。原題は「Air mail 航空便」
航空機の映画なのに夜の場面が多い挑戦的な作品だ。冒頭の夜の空港は空も滑走路も暗くてよく見えない。ジョー(ワード・ボンド)が着陸失敗して炎上、マイ>>続きを読む
フォードの出世作。サイレント映画で2時間30分の大作。サウンド版で上映。
冒頭、無名時代のリンカーン(チャールズ・エドワード・ブル)とデイブ少年(ウィンストン・ミラー)とミリアム少女の雪の別れの場面、>>続きを読む
フォードの遺作。フォードはラディカルだ、そして自由だ。モンゴル奥地のキリスト教伝導所という閉鎖的な集団に、外部から女医カートライト(アン・バンクラフト)がやって来る、さらには外部の馬賊が襲撃して占拠さ>>続きを読む
フォードがサミュエル・ゴールドウィン制作で撮った作品。フォードには珍しい「高さ」の映画だ。
テランギ(ジョン・ホール)は船のマストの突端に立って入港を指示する。真下の海面は目が眩む高さだ。そして待って>>続きを読む
フォード作品のヘンリー・フォンダ初出演作。木や柱に足を伸ばす身振りが頻出する。木の下でエイブラハム・リンカーン(ヘンリー・フォンダ)が木に足を伸ばして法律書を読み、恋人アン(ポーリーン,ムーア)と川を>>続きを読む
フォード一座の芝居を濃密に楽しめる作品。過酷な労働を強いられる船員たちの逞しさと心意気をエネルギッシュに描く。フォードは労働者、農民、先住民に寄り添う目線が揺るぎない。
グレッグ・トーランドの撮影が圧>>続きを読む
フォードの「心意気」の一作だ。フォードは「詩情」が代名詞だが、本作は「詩情」と「心意気」の見事な融合である。
モーリン・オハラが素晴らしい。常に走り回る、動物的な躍動感が圧巻だ。驚嘆するのはクライマッ>>続きを読む
フォードのウィリアム・フォックス社のサイレント作品。サウンド版で上映。
冒頭の郵便局長(アルバート・グラン)が歩く町の道行の長回しが素晴らしい。町の人々の活きいきした生活感、仕事、町並みの風景が見事に>>続きを読む
フォードが海軍士官学校を舞台に描くメロドラマ。
フォードは「群れ」が過剰だ。行進、教練、ダンス、フットボールの10万の観衆。凄まじい数に圧倒される。黒人召使いのステッピン・フェチットが存在感抜群だ。「>>続きを読む
フォードのウィリアム・フォックス社のサイレント映画。サウンド版の上映。「火」が主題だ。オブライエン死刑執行人(ホバート・ボズワース)の幻影で暖炉の火に絞死刑にされた人々の苦悩や恨みの顔が浮かぶ。そして>>続きを読む
フォードには珍しいホークスかルビッチのような入れ代わりの騒動劇。エドワード・G・ロビンソンが素晴らしい。二役を見事に演じ分けている。
フォードは「過剰」だ。警官や記者や群衆の数が凄まじい。量が巨大なの>>続きを読む
フォードとジョン・ウェインが組んだ最後の西部劇。フォードのリズムが瑞々しい。ウェインが保安官の帽子を床に落とす、すかさずその帽子をヴェラ・マイルズがジェームス・スチュアートに見事に蹴り込む、サッカーの>>続きを読む
フォードが2度目のオスカー監督賞、ジェーン・ダゥエルが助演女優賞を獲った、ジョン・スタインベック原作の映画化。グレッグ・トーランドの撮影が光と影の魔術だ。オークランドの曇天と砂嵐から始まり、暗い室内や>>続きを読む
フォード初のカラー作品。フォードは「雨」だ。ヘンリー・フォンダとクローベット・コルべールが新生活を始める最初の晩の豪雨、雨だれの影が流れる照明が繊細だ。フォードの雨は激しく降る。そして帰還兵の中をコル>>続きを読む
フォードの戦後第1作であり「詩情あふれる西部劇のマスターピース」と一般的には高く評価されてきた。しかし蓮實重彦の本作の評価が低いために最近はあまり言及されなくなっている。フォードが怒って20世紀FOX>>続きを読む
フォードのハリー・ケリー主役のサイレント映画。
フォードは世界一の馬の使い手だ。馬の疾走、急勾配を駆け下りる、躍動感溢れる危険なショットはフォードしか撮れない。崖下を疾走する馬車と襲撃する強盗団の並走>>続きを読む
現存するフォードの最も古いサイレント映画。上映はサウンド版。
冒頭からガッチリした画面だ。坂を馬が登ってくる、背景の麓の牧草地で大群の牛が放牧されている。いきなり奥深い充実したショットだ。フォードは馬>>続きを読む
トップカット、扉が開く、枠ごしに荒野が広がる、ジョン・ウェインが帰ってくる、ポーチで待つ家族と犬、エプロンが翻る、この一連の見事なフォードの至芸に息を呑む。エンドはまさにこの対称的な展開になる。
坂の>>続きを読む
「ジョン・フォード作品は映画そのものである」というテーゼの具体例である美しい傑作。フォードは正しい、美しい。
室内の人物の配置、構図が揺るぎない。グリフィスのような堅固さだ。ジム(ノーマン・フォスター>>続きを読む
全てのカットに力が漲るパワフルな野田幸男のマスターピース。真俯瞰、アングルショット、フラッシュモンタージュ。野田幸男は力む、やり過ぎる。零(杉本美樹)は赤いコート、赤い手錠、赤い警察手帳、赤い拳銃、徹>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」の第五作にして20年がかりの最終作。アントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)と3人の女たち、初恋のコレット(マリー=フランス・ピジェ)との再会、妻クリスティ>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」の第四作。トリュフォーは心情で繋がない。エピソードの断片を積み上げていく。新婚、出産、不倫、別居、仲直り、といった「家庭」のエピソードが自由奔放に紡がれる>>続きを読む
トリュフォーが「野生の少年」の手法で、ヴィクトル・ユーゴーの次女アデルの日記をもとに実話ベースで描いた作品。イザベル・アジャーニが圧巻の素晴らしさだ。
ピンソン中尉(ブルース・ロビンソン)がアデル(イ>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズ第3作。アントワーヌがなかなか社会に適合できない話。トリュフォーはエピソードを淡々と積み上げていく。心情は飛ばして物語がドライに展開する。かなりラ>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズ第3作。アントワーヌがなかなか社会に適合できない話。トリュフォーはエピソードを淡々と積み上げていく。心情は飛ばして物語がドライに展開する。かなりラ>>続きを読む
トリュフォーがヒッチコック風に描いたブラックユーモアなサスペンス。原作はヘンリー・ファレル。全編にわたって「高さ」や「階段」の主題が頻出する。冒頭からいきなりプレヴィン(アンドレ・デュソリエ)が刑務所>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」の第五作にして20年がかりの最終作。アントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)と3人の女たち、初恋のコレット(マリー=フランス・ピジェ)との再会、妻クリスティ>>続きを読む
トリュフォーの「アントワーヌ・ドワネルの冒険」の第四作。トリュフォーは心情で繋がない。エピソードの断片を積み上げていく。新婚、出産、不倫、別居、仲直り、といった「家庭」のエピソードが自由奔放に紡がれる>>続きを読む
トリュフォーのアントワーヌ・ドワネル・シリーズの第二作。白黒シネスコ。「二十歳の恋」のオムニバスとして制作された中編30分。
いつも走っているアントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)が印象的だ。アントワ>>続きを読む
トリュフォーのアントワーヌ・ドワネル・シリーズの第二作。白黒シネスコ。「二十歳の恋」のオムニバスとして制作された中編30分。
いつも走っているアントワーヌ(ジャン=ピエール・レオ)が印象的だ。アントワ>>続きを読む
映画の申し子トリュフォーの長編処女作にして映画史に燦然と輝く神品。撮影直前に亡くなった父のように育ててくれたアンドレ・バザンに本作は捧げられている。
子供たちが素晴らしい。活きいきと愛おしくこれほど描>>続きを読む
映画の申し子トリュフォーの長編処女作にして映画史に燦然と輝く神品。撮影直前に亡くなった父のように育ててくれたアンドレ・バザンに本作は捧げられている。
子供たちが素晴らしい。活きいきと愛おしくこれほど描>>続きを読む