アニマル泉さんの映画レビュー・感想・評価

アニマル泉

アニマル泉

  • List view
  • Grid view

三月のライオン デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.5

矢崎仁司の出世作。兄は「鏡」で妹は「水」だ。記憶喪失の兄ハルオ(趙方豪)は鏡にこだわる。姿見を拾って帰るぐらいだ。そして鏡は要所で割れる。コーラが大好きだ。妹ナツコ/アイス(由良宣子)は水彩画、雨漏り>>続きを読む

二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.1

小森はるかが陸前高田で若者4人のワークショップを描く最新作。記録映画として情報量が少なすぎる。全然響かない。そして小森はるかの悪い癖で、何が行われているのかなかなか分からない。4人の関係、何を活動して>>続きを読む

天国にちがいない(2019年製作の映画)

4.3

ナザレに住むイスラエル国籍のパレスチナ人であるエリア・スレイマンの10年ぶりの新作。スレイマン自身が映画企画をパリ、ニューヨークに売り込みに行く旅の物語だ。異人から見た道中の欧米社会の日常の奇妙さ、不>>続きを読む

次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家(1953年製作の映画)

5.0

シリーズの中で本作は静かな詩情あふれる名作となっている。祈りの映画である。冒頭から地蔵に祈る親子だ。広沢虎造の浪曲ではなく、御詠歌がかぶり意表をつかれる。次郎長一家の兇状旅である。お蝶の体調が悪化して>>続きを読む

ベッドとソファ(1927年製作の映画)

5.0

アブラム・ローム恐るべし!ムルナウのような官能的な傑作サイレント映画である。
一つ屋根の下、若い夫婦と夫の友人が三角関係になり、どちらがベッドでどちらがソファーか、妻を取り合う不埒な物語である。冒頭か
>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

4.3

黒沢清の長編第二作。もとは日活ロマンポルノで制作されたが納入拒否になり一般映画として公開されたいわくつきの作品だ。初台の東京工業試験場跡(いまの新国立劇場)を大学に見立てて撮影された。このロケ地は本作>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

4.2

黒沢清の長編第4作のホラー映画。松重豊の初主演作。黒沢清は何かが倒れたり落ちる。突然瓶が倒れる、棍棒が目の前に落ちる。この恐怖の煽り方が上手い。音が重要だ。何処からか音がする、叫び声がする、その音に誘>>続きを読む

次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路(1953年製作の映画)

5.0

シリーズ最高傑作。マキノ雅弘はどんなジャンルもこなせてしまう映画の神様だ。本作も活劇、人情、歌踊り、てんこ盛りだ。しかも第六部とまとめ撮りしたというから驚嘆するしかない。冒頭は清水港の秋祭り。次郎長一>>続きを読む

未来への迷宮(1935年製作の映画)

4.5

ロシア革命後に登場したアブラム・ローム監督のアヴァンギャルドな作品。ブルジョワ階級の医師の妻と若者の三角関係を描き、上映禁止になった。
冒頭、白い階段に木の葉の影が揺れる、湖、マーシャ(オリガ・ジズネ
>>続きを読む

オーソン・ウェルズの オセロ(1952年製作の映画)

4.3

オーソン・ウェルズが資金難のため4年がかりで撮ったモロッコ映画。クローズアップとフルショットの大胆なモンタージュ、厳格な構図、光と影、全てのカットが力強い。ベニス、モスク、城壁、ロケーションが艶かしい>>続きを読む

忘れじの面影(1948年製作の映画)

5.0

これぞメロドラマだ!マックス・オフュルスの傑作。冒頭の夜の雨の馬車、手紙から回想へ、ピアノを吊し上げる引越しが面白い。オフュルスは何と言っても官能的な長回しだ。特に群衆がいなくなって一人取り残される長>>続きを読む

次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港(1953年製作の映画)

5.0

シリーズ第4作。マキノ雅弘は全く隙なし、完璧なマスターピースだ。冒頭から次郎長一家の引越しの大八車が疾走する。そこに広沢虎造と豚松(加藤大介)の博打の話とお仲(久慈あさみ)の歌が絡んでいく。見事な流れ>>続きを読む

お引越し(1993年製作の映画)

4.2

両親の離婚に傷つきながら逞しく成長する少女をナイーブに相米慎二が描く。「火」の映画だ。相米作品では「火」は別れになる。冒頭のドラム缶、アルコールランプの火事、祭りの送り火と花火、クライマックスの幻想の>>続きを読む

子猫をお願い(2001年製作の映画)

4.0

高校を卒業して社会に出た女子5人の群像劇を瑞々しく描くチョン・ジェウンの処女作。蓮實重彦が「映画の歴史を揺るがせる稀有な処女作」と大絶賛している。正直に言ってそこまで映画的感性が振動しなかった。どうし>>続きを読む

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)

4.5

ポン・ジュノのデビュー作。毒がありダークだ。犬殺しや犬鍋の映画だ。冒頭に動物虐待はしていないとクレジットされる。「パラサイト」の主題である「地下室」「地下人」「閉じこめる」や「屋上」の主題が処女作から>>続きを読む

山中傳奇(1979年製作の映画)

4.2

キン・フーが宋時代の古典「西山一窟鬼」を映画化した3時間あまりの大作。「空山霊雨」と同時に韓国ロケで二本撮りという離れ業で制作された。キン・フーの作品で唯一武侠アクション映画ではない。道士やキョンシー>>続きを読む

ラブホテル(1985年製作の映画)

4.5

相米慎二が古巣の日活で撮ったロマンポルノ。脚本が石井隆なので「村木」と「名美」と「天使」がキーワードだ。「雨」と「階段」の映画である。山口百恵の「夜へ」が流れる速水典子と寺田農の再会の場面、タクシーの>>続きを読む

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

5.0

相米慎二の出世作。アイドル映画とは言えない恐るべきフィルムだ。日活ロマンポルノでやりたい放題の監督達を見て確信犯で作っている。相米慎二の代名詞の長回し、有名な暴走族の場面、柄本明の暴行場面、薬師丸ひろ>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

4.5

没後20年レトロスペクティブにて、相米慎二の円熟期の代表作である。相米は毎回トップカットが気合いが入っている。本作は夜のプールを泳ぐ少年、実音のみでタイトル。少女達は学校で遊ぶ。深夜のプール、台風の学>>続きを読む

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967年製作の映画)

4.5

キン・フーが「007 シリーズ」に反感を持っていて、政府お墨付きの殺しのライセンスでヒーローになるなんておかしい、スパイは表には出ないものだ、という信念で作ったという出世作。荒野の一軒家が舞台。西部劇>>続きを読む

次郎長三国志 第三部 次郎長と石松(1953年製作の映画)

5.0

シリーズ第三部、マキノ雅弘の至芸を堪能する。前半が石松、後半が次郎長一家の話からなる。別れの場面が全ていい。冒頭の次郎長一家と石松の別れの場面は真っ直ぐなニ本道に別れる分岐点、コケながら走り去る石松(>>続きを読む

シチリア!(1999年製作の映画)

4.3

ストローブ=ユイレがバルトーロ劇場の依頼を受けてヴィットリーニの長編小説を映画化した。出身者は全てシチリア島出身者で2ヶ月半のリハーサル、劇場公演、を経て撮影された。前作の「今日から明日へ」が舞台セッ>>続きを読む

侠女/俠女 第二部:最後の法力(1971年製作の映画)

4.3

キン・フーが世界にデビューした武侠アクション。明朝末期、訳ありで朝廷から追われている謎の女ヤン(シュー・フォン)と軍師グー(ティエン・ポン)が次々と放たれる追手と戦い抜いていく貴種流離譚だ。マカロニウ>>続きを読む

侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦い(1971年製作の映画)

4.3

キン・フーが世界にデビューした武侠アクション。明朝末期、訳ありで朝廷から追われている謎の女ヤン(シュー・フォン)と軍師グー(ティエン・ポン)が次々と放たれる追手と戦い抜いていく貴種流離譚だ。マカロニウ>>続きを読む

生まれながらの悪女(1950年製作の映画)

4.3

男たちを手玉にとって上流社会を成り上がる魔性の女を描くニコラス・レイのフィルム・ノワール。ハワード・ヒューズ傘下のRKO制作である。ニコラス・レイらしい奇妙な暗さが漂っている。ジョーン・フォンテインが>>続きを読む

次郎長三国志 第二部 次郎長初旅(1953年製作の映画)

5.0

次郎長三国志の第二部。大傑作である。ハリウッドにフォードがいるならば、日本にはマキノがいる!躍動感あふれ、瑞々しく、アクションは素早く、歌って団結する、これぞ活劇だ!
冒頭の夜の捕物がまず素晴らしい。
>>続きを読む

ソング・トゥ・ソング(2017年製作の映画)

4.3

テキサス州オースティン市の音楽フェスを舞台に男女4人のラブストーリーを即興で描いたテレンス・マリック監督作品。
マリックが言うには「映画自体が演劇のように見えて欲しくない。キャラクターたちの人生の断片
>>続きを読む

いちごブロンド(1941年製作の映画)

4.3

理想の女性が忘れられずに振り回される男を描くロマンチック・コメディ。監督はラオール・ウォルシュ。前科者の歯科医がジェームズ・キャグニー、妻がオリヴィア・デ・ハヴィランド、理想の女性のいちごブロンドがリ>>続きを読む

花とアリス(2004年製作の映画)

4.5

少女二人のガーリッシュな日常を描く岩井俊二の本領発揮の佳作。ハナ(鈴木杏)とアリス(蒼井優)の二人がおかしく、愛おしい。冒頭、霜が降りる寒い早朝に二人が登校を急ぐ、電車に乗る、降り過ごす、乗り換える、>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.5

14歳の少年少女の闇を描く岩井俊二の黙示録。岩井の主題である「手紙」はインターネットの「メール」に変奏されるが、運命の二人がそうとは知らずにやりとりするという構造は同じで本作では悲劇となる。忍成修吾と>>続きを読む

次郎長三国志 第一部 次郎長売出す(1952年製作の映画)

5.0

マキノ雅弘の「次郎長三国志」シリーズの第一弾。走る!走る!躍動感と若さ漲るエネルギッシュな映画だ。冒頭、飲み屋で唸る広沢虎造がヤクザに絡まれて止めに入った次郎長(小堀昭男)が喧嘩に巻き込まれる、虎造が>>続きを読む

モーゼとアロン(1975年製作の映画)

4.5

シェーンベルグ生誕100年に制作されたストローブ=ユイレの初の35ミリカラー長編。ベルリン映画アカデミー出身でドイツ赤軍派に入り獄中待遇に抗議してハンガーストライキで獄中死したホルガー・マインスに捧げ>>続きを読む

アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門(1972年製作の映画)

4.0

ストローブ=ユイレの政治的マニフェストの短編。ゴダールを彷彿とさせる。16ミリ カラー。シェーンベルグが画家のカンディンスキーの反ユダヤ主義を批判する手紙の朗読、ブレヒトの反資本主義演説に途中からシェ>>続きを読む

小間使(1946年製作の映画)

4.0

謎だらけだ!ルビッチらしくない。官能的でない、鋭さがない、キャラクターが不発だ。どうしたルビッチ?本作は20 世紀FOXに移って「天国は待ってくれる」に続く2作目で完成作としては遺作になる。
冒頭のロ
>>続きを読む

無責任時代(1937年製作の映画)

4.2

今日1月16日はキャロル・ロンバートが飛行機事故で亡くなった命日。ロンバートの貴重なテクニカラー作品だ。余命いくばくもないと誤診されたヒロインと新聞記者の騒動を描くウィリアム・A・ウェルマンのロマンチ>>続きを読む

グッド・フェアリー(1935年製作の映画)

4.5

プレストン・スタージェス脚本でウィリアム・ワイラー監督のロマンチック・コメディー。二人の才気がみなぎる痛快作だ。孤児院のヒロインというのがスタージェスらしい。冒頭、少女たちと先生の授業がカメラを引くと>>続きを読む

>|