クドゥーさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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アンビュランス(2022年製作の映画)

4.0

『正しいかどうかなんて関係ない、最後は道徳が勝つ』

銀行強盗に挑むはずが救急車をジャックし爆走しているアクション映画。成熟したマイケル・ベイが初期作品のテイストに回帰した結果、全編痺れるようなカット
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

2.5

『頭からっぽでいいのか、ひたすら思考し続けるか』

編集長の急死で最終号となった雑誌をオムニバス形式で描くコメディ映画。ウェス・アンダーソンの新作という印象から一ミリも逸脱せず、職人技の極みみたいに支
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.5

『誇張なく美しい自然が、目下の葛藤を見下ろす』

娘の無実を証明するため異国の地で奔走する父親を描くサスペンス映画。疎遠であった親がある種の代償行為的に危機に挑むパターンだが、ディスコミュニケーション
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.5

『何を言うのかではなく、誰が言っているのかの極致』

全てを失った元ロデオスターがメキシコ少年の運び屋になるドラマ映画。十年ぐらい前までの観客に爪痕を残す鋭さのないぬるま湯だが、この収束感こそが人生な
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SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

4.0

『ものづくりの過程にこそ、煌びやかな世界がある』

スターとなった動物たちが次のステージで成功を目指す音楽アニメ映画の続編。キャラクターの掘り下げという意味ではチョロいが過ぎるが、面白くない御託を並べ
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.0

『伝えたいことはただひとつ、大切なのは心だ』

ギレルモ・デルトロが世界的児童文学を大胆に解釈したコマ割りアニメ映画。先のディズニー実写版との違いは一目見た瞬間の生命力で、声劇と音楽に感情が揺らいで背
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禅 グローグーとマックロクロスケ(2022年製作の映画)

2.5

『何を描いているかより、何が描いているかの価値』

グローグーとマックロクロスケの交流を描いたショートアニメ。スタジオジブリとルーカスフィルムとのコラボ企画以上でも以下でもなく、線を動かす温かみを感じ
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ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.5

『自己完結させてこそ、本物のエゴだと信じてる』

エゴの極みである父親が二人の娘をテニスの世界王者へ導くドラマ映画。手段を選ばない勝てばよかろうなのだタイプと予測していたけど、拘りどころがが本人にしか
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

『故郷を離れることなど、今や造作もないとしても』

宗派によって分断された故郷で家族の生き方を模索するドラマ映画。事実ベースでは大変なことになっているが凪のような時間が流れて、どんな終着点を迎えるのか
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ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.5

『今や全く新しいものでは、感動を生むのは難しい』

田舎町に引っ越してきた科学少女がゴーストバスターになるSF映画。オリジナルキャストの出方であれば僕はジュラシック派であるが、ストーリーに紐づいている
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魔法にかけられて2(2022年製作の映画)

2.0

『自力で開業できるなら、ドラマにならん気もする』

アニメ世界のお姫様が人間世界で恋に落ちるディズニー映画15年振りの続編。例によって続編のための続編であり全く面白くないのだが、それ自体を停滞する人生
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.0

『計画を超えてくるから、観客視点の意味がある』

私立探偵の元に世界的ミステリー作家の死の調査依頼が届くミステリー映画。善良な古畑任三郎スタイルで行くのかと思いきや転調が凄まじく、ドーナツの穴を埋める
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

『俺たちの青春のピークは、いつだって今から始まる』

バスケ漫画の金字塔が主人公を新たにして生まれ変わるアニメ映画。原作者だけが使える連載作品を劇場作品に昇華させる魔法の力で、下馬評を覆し東映にとって
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ブラックアダム(2022年製作の映画)

3.0

『どこの国にもあるだろう、作品というより製品』

数千年の眠りから目覚めた破壊神がスーパーヒーローと対峙するDC映画。主人公を作中最強に設定したところで蹂躙する快楽も逸脱する興奮もなく、日本では平凡な
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桜のような僕の恋人(2022年製作の映画)

3.5

『どんなに言葉を尽くしても、現実は見ていられない』

カメラマンを目指す青年が桜のように散る恋人と出会うヒューマンドラマ映画。ラブストーリーとして展開することに強烈な違和感を覚えるも、観客にとって試練
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余命10年(2022年製作の映画)

3.5

『寄り添い伝えられるのは、心の中のほんの一部だけ』

不治の病を抱える女性が同窓会で運命の出会いを果たすヒューマンドラマ映画。共感性の塊であり逸脱するものがないので僕には泣けないが、この題材に対しては
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星を追う子ども(2011年製作の映画)

3.5

『呪いでも祝福であっても、観客へ届くにはまだ遠い』

喪失を抱える少女が亡き妻との再会を望む男と旅をする冒険アニメ映画。マスに向けて監督の持ち味を封印して臨んだ結果失敗に終わったが、すずめでセリフリメ
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雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)

3.5

『二者択一の葛藤ではなく、ついでに覆されるセカイ』

二人の少年が同級生の少女と飛行機で目指す塔に憧れる青春アニメ映画。今の監督が映画を自由に作れていないとは全く思わないけど、この時代特有のカットのキ
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マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

4.0

『家族であるファンへ、最高のクリスマスプレゼント』

失意のピーターを励ますためにクリスマスプレゼントを探すマーベル配信映画。本編でやると思っていた伏線がここでしっかり回収され、僕的には右肩下がりであ
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劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編(2022年製作の映画)

2.5

『今強者がゴロゴロいます、なので天下は取れません』

魔物たちの国の魔王となったスライムが無双する異世界アニメの劇場版。講談社のキラーコンテンツだけあって作画は頑張っているが、テレビアニメの劇場版とし
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我らの罪を赦したまえ(2022年製作の映画)

3.0

『好き勝手言うけれど、知識としては持っていたので』

障がいのある少年がナチスの作戦により追われることになる短編映画。題材の時点で存在価値が担保されるのは楽だと思う僕はひねくれてるが、葛藤があるようで
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ハート・ショット(2022年製作の映画)

2.5

『私見を述べていいなら、こういうのじゃないんだよ』

将来を話し合う女性同士のカップルに過去からの脅威が迫る短編映画。LGBTQで釣っておきながらとんでもパイロット版という罠だが、最近のジャンプもびっ
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バーバリアン(2022年製作の映画)

3.5

『持って生まれた野蛮性は、思考回路に刻まれている』

見知らぬ男と宿をダブルブッキングした女を恐怖が襲うスリラー映画。あらすじをぶった斬りクソみたいな輩を投入する転調が最高で、本人としては葛藤があるつ
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エノーラ・ホームズの事件簿2(2022年製作の映画)

3.0

『ここまでグイグイ来られると、引いちゃう人もいる』

探偵事務所を開いたエノーラに人探しの依頼が舞い込むシリーズ第二弾。テンポよく進む謎解きにアクションも痛快で娯楽作としては優秀だが、女性問題になると
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グッド・ナース(2022年製作の映画)

4.0

『人一人の死生観とは、宇宙の神秘よりも深いから』

心優しき看護師が病院で相次ぐ患者の不審死の謎を追うサスペンス映画。僕にはこういう事案で語られる動機がリアルとは思えないので、巻き込まれ主人公の視点か
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20世紀のキミ(2022年製作の映画)

2.5

『懐古と追憶がもたらすは、感動ではなく反射である』

親友の初恋を応援するはずがワンチャンこじれてしまう韓国恋愛映画。この手のジャンルの要素がこれでもかと詰め込まれており、役者の芝居に支えられているも
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アテナ(2022年製作の映画)

3.5

『暴力に理念を掲げても、群れの末端には届かない』

弟を殺された兄の怒りの炎がフランス全土へ燃え広がるヒューマンドラマ映画。冒頭11分のノーカットはじめ映像作品としての力が強すぎて、血の通った人間たち
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.5

『執着を捨て去った時、黄金のハートを手にした』

消えた兄の残した手がかりで50億ドルの財宝を目指す冒険映画。「ゴールデンカムイ」一話を二時間に薄めた超絶テンポの裏切り劇に、自分は映画へメッセージ性を
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.5

『あらゆる選択肢の中で、気高き魂を選んだ者たち』

偉大なる王を失ったワカンダに海底王国の魔の手が迫るマーベル映画。追悼企画として突き抜けたものにしたら良かったと思うぐらいで、今日の主役となるにはいく
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

5.0

『どんなに世界は残酷でも、僕らが大人になっていく』

災いを生む扉を探している青年と出会った少女が列島を巡って戸を締めていく新海誠監督作品は、日本映画界で最も新作を望まれながら大衆向けと揶揄され事業を
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マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

2.5

『あってもなくても、どっちでもよくなる闇の世界』

集められたモンスターハンターたちが殺し合いを演じるマーベル配信映画。何を伝えたいのかは分からなくても全然いいと思うのけど、何が面白いと思ってやってい
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天気の子(2019年製作の映画)

5.0

『晴らしてしまった空を、僕は一生忘れられない』

離島から家出した少年が空を晴れにできる少女と出会う青春アニメ映画。新作が映画以上に事業としての成功を求められる中にあって、新海誠を超えられるのは新海誠
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君の名は。(2016年製作の映画)

5.0

『唯一潰されることなく、世界へと羽ばたいた才能』

東京の男子高生と田舎の女子高生が夢の中で入れ替わる青春アニメ映画。インスパイアが公開される度に監督の演出力との差が露わになり、歳月とともに評価の上が
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ア・ビューティフル・プラネット(原題)(2016年製作の映画)

4.0

『地球に国境はないから、例外は世界の闇を纏って』

宇宙から撮影された映像によって未知の地球を体験するIMAX映画。ガチ勢からするとフィルムカメラなしでハッブル級の映像は切ないが、夜の灯の美しさとそこ
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HUBBLE 3D -ハッブル宇宙望遠鏡-(2010年製作の映画)

4.0

『壮大な宇宙が示すのは、僕らが今ここにいる奇跡』

宇宙望遠鏡の修復ミッションから未知の世界を体験するIMAX映画。死と隣り合わせの作業にはどんな劇映画よりも緊張感があるし、提示されている主題にはどん
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花の詩女 ゴティックメード(2012年製作の映画)

4.0

『血の宿命を約束に変え、花で咲き誇る世界へと』

都行の中で平和を説く詩女と彼女を警護する帝国皇子の交流を描くアニメ映画。顔の筋肉の動きで伝う感情から世界観の虜になっており、ロボが出てくる頃には作画が
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