クドゥーさんの映画レビュー・感想・評価

クドゥー

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劇場版ブルーロック –EPISODE 凪(2024年製作の映画)

4.0

『行間から読み取れる、想定の域を出ないヴィジョン』

才能の原石たちが世界一のストライカーを目指す施設に集う劇場版スピンオフ。実質的には凪視点による第一期総集編といった感じだが、転スラみたいな虚無やる
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

5.0

『100万ドルの頂が、春の風物詩となる第一歩』

土方歳三にまつわる刀を巡ってお宝争奪戦が開幕ッ!!する「劇場版名探偵コナン」第27弾は、僕ら哀ちゃん世代に引導を渡してさらなる高みへ達した黒鉄から次の
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

『かつての偉業が罪になる、そうだとしてもラストは』

世界初の原子爆弾の開発に成功した科学者の栄光と没落その生涯を描くC・ノーラン監督作品は、今世界で最も影響力を持つ映画監督が人類史上最大の力を生み出
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正欲(2023年製作の映画)

2.5

『俺たちのいる地獄は、啓発のための舞台じゃない』

普通に生きられない苦しみを抱えた者たちの運命が交差するドラマ映画。史上最強術師の言葉を借りれば贅沢者としか言いようがないし、問題提起のために捜査機関
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百花(2022年製作の映画)

2.5

『閃光のように残ってる、忘却の彼方が暗闇あっても』

妻の出産を控える男が認知症で記憶を失っていく母親と向き合うドラマ映画。「半分の花火」に込められた謎を解き明かす過程は興味深いのだけど、学生の卒業制
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四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

3.0

『SNSにでも書いとけ、そう言われないだけのもの』

婚約者に姿を消された男の元にかつての恋人から手紙が届く恋愛映画。人様の作家性を犠牲に売れ線化してきたPが自らの作品に手をかけ、愛ゆえに不安な心の機
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

『我が名は覇王、多様性の世界を力により支配する者』

未来が視える少年が全宇宙を制するための勢力戦に身を投じるSF映画続編。政略劇の皮をかぶって救世主だの予言だの相変わらずおもんないラノベも、覇王化し
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ある男(2022年製作の映画)

4.0

『この苦悩からの解放は、希望かさらなる絶望か』

出自に悩む弁護士が他人に成りすましたまま死んだ男の謎を追うサスペンス映画。編集の滑らかさで素っ頓狂な設定をゴリ押しするパワープレイが魅力的だが、観客に
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映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

4.0

『楽しさを分かち合う、本当の多様性がここにある』

のび太と仲間たちが音楽の殿堂を守るためハーモニーを奏でるドラえもん映画。川村P以降ドラを啓蒙の道具にするような話が続いたが、不器用でも粘り続ける努力
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雪山の絆(2023年製作の映画)

4.0

『語り手の人選に、物語であることへの矜持がある』

アンデス山脈の奥深くに墜落した飛行機の生存者たちを描くサバイバル映画。おうちでテレビで観ても勝てる訳ないと悟る大自然の脅威に、一人の英雄ではなく集団
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

『空想上の痛みの連なりは、ストーリー足り得るのか』

心配症の男が怪死した母親の元を訪ねるために里帰りを試みるスリラー映画。例によって生理的な恐怖を煽ってくる手数の多さに驚くが、収まるべきところに収ま
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

『光を閉ざされた瞳だけが、永遠の闇の先を見ている』

雪山の山荘で転落死した男の妻に殺人容疑がかけられるジュスティーヌ・トリエ監督作品は、期待される展開がある程度決まっているジャンルにおいてテーマを上
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

『自分探しと割り切れたら、正しさでは測れない強さ』

禁断の医療によって蘇った若き女性が自由を求める旅に出るドラマ映画。他人との接触を最低限に生きる僕とは真逆のテーマであるが、映画で観るぐらいなら面白
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劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

4.5

『負けても死ぬ訳じゃない戦いに、生きる意味がある』

互いに切磋琢磨してきた強豪校がもう一回のない試合に臨むジャンプ映画。この日のためにジャンプ+で原作を一気読みした僕が言うが、ふらっと見たスポーツ中
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ゆるゆり なちゅやちゅみ!(2014年製作の映画)

4.0

『全てのカップリングを解き放て、可能性は無限大』

旧・茶道部の部室を「ごらく部」として好き勝手に使う日常アニメのOVA。監督が代わってギャグは大人しくなってしまったところで、長編ならではのスペシャル
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

3.0

『同一化しかない参加方法は、想像力の欠如が賜物か』

家出した女子高生が戦時中の日本にタイムスリップするラブストーリー。令和のJKマウントしないなら当時の人の話でいいじゃんと思うが、彼女たちを仮想客と
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

『俺の人生クソだな、そう思わないために今日も空を』

渋谷のトイレ清掃員として働く男の新しい毎日を描いたヒューマンドラマ映画。こんな感じかなと予想していた作品と寸分違わないのだが、微かな木漏れ日の中に
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「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ(2024年製作の映画)

4.0

『驕れる者にはいつの日か、明けない夜がやって来る』

刀鍛冶の里編の超絶クライマックスから柱稽古へと至る特別上映。鬼滅の中でも屈指の名場面を劇場で観られるというだけで僕は満足だが、柱稽古編第1話のテン
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大室家 dear sisters(2024年製作の映画)

4.0

『可愛さを求めたはずが、ここ数年で最高の考察劇』

小中高の個性豊かな三姉妹とその友人たちの日常を描く劇場中編アニメーション。ひろプリロスに百合姫でしか摂取できない栄養が染みるし、演出の引き出しの多さ
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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

4.5

『自由の代償を超えた先に、君と生きていく愛がある』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズの十数年振りの続編となる新作劇場版は、ここ数年間でガンダムの魅力に取り憑かれた僕には興奮しっぱな
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 自由の代償 HDリマスター(2007年製作の映画)

4.0

『俯瞰で見られない狭量に、いつか足元をすくわれる』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ続編の劇場総集編第4話。ここまでアスランの葛藤を軸とした再構築だったが、正義を信じ続けたレイが最
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 運命の業火 HDリマスター(2006年製作の映画)

4.0

『死より不自由を恐れるのが、選ばれし者の条件』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ続編の劇場総集編第3話。本作のターニングポイントを冒頭で描く大胆な構成、最終決戦に登場する機体を全部
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

『いま輝けるものたちを、最後まで描く覚悟はあるか』

日露戦争の英雄がアイヌの少女と共に金塊争奪戦に挑むサバイバル映画。哀愁漂う山崎賢人も変な汁の玉木宏も想像を超えた金カムがそこにあり、僕の知る限り名
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ゴジラ-1.0/C(2023年製作の映画)

4.0

『時代を超えるそのために、彼らの色で描く世界』

戦後マイナスとなったこの国で市井の人々が巨大怪獣に挑むモノクロ版。作品の印象としては先に観た通常版と変わることはないし、ということはつまり初回がピーク
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション それぞれの剣 HDリマスター(2006年製作の映画)

4.0

『観察者にしか分からない、その剣の鋭さ切なさは』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ続編の劇場総集編第2話。シンを御しきれないアスランという構成で依然彼が主役だが、seedの中でも特
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 砕かれた世界 HDリマスター(2006年製作の映画)

4.0

『燃え広がる炎の陰で、くすぶり続けている火種』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ続編の劇場総集編第1話。経験の生んだバケモノであるシンの覚醒が魅力の展開を、文字通りアスランを主演と
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.5

『逸脱者たちにしか紡げない、これが傷物たちの物語』

高校三年の春休みに瀕死の吸血鬼を助けた少年の顛末を描く劇場アニメーション。三部作以降アニメは何度かの歴史的な転換点を迎えているが、それでもなお最高
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機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 鳴動の宇宙 HDリマスター(2020年製作の映画)

4.0

『たとえ媒体が変わっても、それだけが僕じゃない』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ劇場総集編第3話。ここにきてテレビシリーズとの差が相関図上に現れてしまうが、ヤキン・ドゥーエの戦い
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機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 遥かなる暁 HDリマスター(2019年製作の映画)

4.0

『この戦場になくても、幕間がもたらすカタルシス』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ劇場総集編第2話。かつての友と決別を経て共闘に至るまでが鮮やかにまとめられ、光さす道となるフリーダ
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機動戦士ガンダムSEED スペシャルエディション 虚空の戦場(2019年製作の映画)

4.0

『カタルシスなどない、募るのは戦いの虚しさのみ』

平成のファーストを目指して作られたガンダムシリーズ劇場総集編第1話。ギアスのように台詞を追うだけでも必死になるのかと思いきや、滑らかな編集によって極
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名探偵コナン vs. 怪盗キッド(2024年製作の映画)

4.0

『思ったよりもおじさまで、これは三つ巴に解釈違い』

探偵と怪盗による宿命の戦いの軌跡を追うことができるコナン上映。もはや一年の映画館初めをぬるっと始める企画として恒例化しつつあるが、メインテーマから
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火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)

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【2023年クドゥデミー賞】


皆さま一年間ありがとうございました。

恒例の僕が独断と偏見により選んだ個人賞を発表したいと思います。


〈映画選考対象作品〉

1. 名探偵コナン 黒鉄のミステリ
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劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

4.5

『特別な今日だから、家族で一致団結クライマックス』

それぞれに秘密を抱える父母娘の偽装家族が世界平和を目指すテレビアニメの完全新作劇場版は、蛇足は要らんからさっさと本編を進めろよとなりがちな超人気作
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

1.5

『創造性なき者たちの、免罪符とされている想像力』

孤独を抱える少女を救うために想像の友だちが奮闘するファンタジー映画。説明を通り越した怒涛の作品解説は作劇の体を成しておらず、内容が頭に入らないどころ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

『多様性よりも胡散臭い、エンタメを純粋に楽しむ』

地位を手にした女性指揮者が疑惑により追い詰められるサスペンス映画。リスク管理が最も重要な才能となった以上彼女に同情はできないが、最後には積み重ねてき
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

4.0

『声に出せないとしても、言葉にできる時代こその』

デジタル世代の少女がネットを駆使して誘拐された母を探すサスペンス映画。主人公が序盤から超ウィザード級ハッカーでありながら、真相に迫ると典型的な当事者
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