はなちゃん

L.A.コンフィデンシャルのはなちゃんのレビュー・感想・評価

L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)
4.5
1950年代、アメリカ経済は活況を呈し、郊外には戸建て住宅が建設され高速道路を車が走り、TVなど電化製品が普及して「豊かなアメリカ」が体現されていた時代。ハリウッドも黄金期を経て、TVに対抗し大作映画が作られていた。そんな華やかなりしロサンジェルスが舞台。

が、金の集まるところにマフィアあり。華やかさの裏側で、麻薬、賭博、売春etc様々な犯罪行為が蔓延っていたのもまたロサンジェルス。ロスを牛耳るマフィアのボス ミッキー・コーエン(実在)が脱税容疑で捕まったことを発端に抗争が勃発。そんな中、カフェで6人が惨殺された「ナイトアウルの虐殺」事件を捜査するロス市警の3人の刑事。

実在の人物が絡むので、実際のロス警察もさもありなんといった体でストーリーが進んでいく。刑事バド(ラッセル・クロウ)。暴力に物を言わせて自白させるのは、当時の取り調べでも実際にあったのでは。直情型で幼少時の経験から女性に暴力を振るう男を赦さないが、自らにもその傾向があることに気付いている。美しい娼婦(キム・ベイシンガー)に甘える様子に母親を失った寂しさが見える。

エド(ガイ・ピアース)。刑事であった父親が殉職している。一見 好青年だか冷静で駆け引きが上手く、世間の評判を気にする上層部の思惑を逆手に取る。仲間の刑事を売ることで周囲に反発を買っても自分を貫く強さがある。上昇志向もあるが基本的に正義感が強く「罪を犯し逃げて笑う者」を赦さない。

ジャック(ケビン・スペイシー)タブロイド誌の記者とつるんで汚い金を稼ぐ汚職刑事。ハリウッドの華麗な世界に憧れを持ち、その執着故に汚職から足抜けできないが、そんな自分に嫌気がさしている。刑事としてTVドラマのアドバイザーをしている。

三者三様の刑事たちがそれぞれの「正義」を貫いた結果として、事件の裏側にある真相が暴かれていく様が圧巻。

「更生の見込めない犯罪者を背中から撃てるか?」

「正義」を貫いた見返りがシャレている。

当時のアメリカ(ロス)の世相に沿う 緻密な構成の物語が、事件が実際にあったものと錯覚させるほど。ラッセル・クロウ、ガイ・ピアースの出世作でもあり、ふたりのタフ&クレバーな好演に、ケビン・スペイシーの独特の存在感とキム・ベイシンガーの妖艶さが相まって、作品の世界観を強固なものとしている。


※刑事なんて仕事やってると「見え過ぎる」のもよろしくないのかもね👓
※この時代の車はクラシカルでとってもオシャレ。ボンネットにネオンサインが映ってるシーンがgood🚘
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