miさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.5

無言の切り返しだけでここまで惹きつけられる作品は数少ない。
コメディ映画としても相当面白い。
暴力の発露が理性的ではあったが、躊躇いのないシーンも多い。流れ弾のシーンめちゃくちゃいい。
坂に始まり坂で
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

4.0

エテックス本人以外も綺麗に巻き込まれる様が面白い。
フレームの外で(車が横付けしたり)出来事が起こり、カメラを振ると観客が気づく。ごく当たり前のようで細かい上に波状攻撃のように手数を入れていく様が圧巻
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健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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最初の2つ見たとこで寝た。俺は全然不眠症ではない。

絶好調(1965年製作の映画)

3.5

まじ絶好調。キャンプ系Youtuberへ告ぐ。これが朝の至高の一杯だ。

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

4.8

書を捨てよ町に出よう。決定版。
こどおじの婚活奮闘記からアタオカマヂキチムーブまで含め終始滑稽ながら多幸感に満ち溢れる完璧な仕上がり。
めちゃくちゃ面白い。

破局(1961年製作の映画)

3.5

おっちょこちょいの詰め合わせ。
王道にして基礎。

ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.2

世界史、映画史と照らし合わされた珠玉の一本。
全編通して様々な愛がスクリーンを包み込む。

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.0

戦禍における日常と考えるとグッとくる。
途中から、ロープウェイ動かしたいだけやろ!と突っ込みたくなるような登場人物たちの動きには半分困惑したが、思わずうっとりするようなショットがいくつも見られただけで
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きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

3.0

独創性あふれ今後の可能性に期待できる作家の登場は喜ばしいことだが、今作が面白いかどうかでいえば微妙なところ。
カウリスマキが好きすぎて頭がおかしくなりましたみたいな演出には好感がもてるが、そこに頼り切
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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

優しい世界。
好きなことを好きなママでいることの難しさ。能年玲奈自身が現実世界で体現してきたことだからこそこのキャスティングには意味があると思う。
しかしながら、生物として愛でられる魚さんを擬人化して
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ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.8

ファンタジーを実写で実践。
低空飛行を繰り返す飛行機に走り回る馬、街全体が躍動を止めようとしない。
危険という概念がすっぽり抜け落ちたカメラポジションに、なんと言ってもチュルパンの魅力が溢れ出して例を
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怪物(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ脚本の映画だけど、そこに是枝さんの演出と、坂本龍一の音楽と、近藤さんのカメラと、俳優部の演技と。ってレイヤー重ねていったら、そらいまの日本でこれ以上「強い」座組、作品は存在しないわけで。>>続きを読む

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)

4.5

すこぶる面白い。
超上級者向けホラーAVとでも言うべきか。
序盤は序盤で謎が多くて惹きつけられるし、中盤以降主導権が入れ替わり蟻地獄さながらはまっていく姿がスリリングすぎる。
ぶち壊された自尊心が自我
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セクシー・ビースト(2000年製作の映画)

3.7

やや平凡なストーリーに感じてしまったが、それでもクライマックスの編集の切れ味にはテンションがあがった。
計画を実行することなく、人間関係のいざこざだけで終えてくれた方が良かったとの思いも。
水がプラス
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ニル・バイ・マウス(1997年製作の映画)

3.7

カサヴェテス的な演出を意識しすぎるがあまり全体的にはハイカロリーが過ぎる。
ところどころハマっていた気はするが、観終わったあとどっと疲れた。
全編通して必ずドラッグ・酒・タバコが途切れることがなく、子
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ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

何が映されて、何が映されてないか。
何が映ってしまって、何が映らなかったか。
虚実曖昧、可視と不可視における混沌と狂乱。
何を見せられてんのかわからないのにワクワクが止まらない。
人物の入れ替わり方に
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J005311(2022年製作の映画)

3.7

知り合いのプロデューサーにオススメされていたので観たが、おおよそ不器用で粗いことが、このシンプルなストーリーに寄与している。
初対面の男二人の距離感の的確さ。
本にして読むと、これ大丈夫すか?とならざ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.5

退屈を描く勇気には賛成するも、観客が退屈だと感じさせない工夫は必要だと思う。
常時えもいわれぬ緊張とどことなく死の臭いを感じるのは、行く末を明示していないことも要因としてあると思うし、ただの思い出話に
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わたしの見ている世界が全て(2022年製作の映画)

4.2

面白い。
殊更ノスタルジーを強調するわけではなく、あくまで4兄妹のキャラクターの描き分けに注力し、それぞれの出来事の配分や余白の残し方もバランスが取れており、偏りがない脚本の巧さを存分に楽しめた。
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.0

バルタザール氏と複数のEO氏だと、やはりバルタザール氏に軍配があがるし、人間の愚かさの表現に関してもスコリモフスキのこれはかなり直接的で萎えてしまった。
撮りたいもの撮って好きなように並べましたで。み
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.7

切れ味鋭い転落の様には徐々に前のめりにさせられるに値する。
己の地位や権力を駆使してノイズを除去すること以上に、SNSでのノイズが簡単に人生を変えてしまう怖さを、あくまでター自身にカメラが寄り添い一人
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.5

普遍的なテーマを小気味良いテンポで日常を積み重ねていく運動量の豊富さに圧倒されつつ、始まりはいつも終わりを予感させる悲哀に満ちた語り口。
にしてもこの邦題はどうなんや...。

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.7

梅干しも海苔も佃煮もない、たまご粥みたいな優しさ。
被害も加害も当事者レベルでしか推し量れない繊細さの描かれ方としては十分だと感じたものの、最後の最後で"世の中"を語ってしまったのが個人的には冷めてし
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真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.0

思ったよりフィルムノワール然としていたが、とかく切れ味が鋭い。
「子持ちよ」「作る手間が省けていい」のセリフのやり取り凄すぎる。
それまで降りることのなかったオープンカーの屋根が降りる瞬間そのものが映
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.5

超王道で退屈さえしなかったが、史実の交え方が時折ノイジーに。あとやっぱり映像的にはヨリが多すぎて、ここってポイントがないのは勿体無い。このタイミングで配信きちゃった時点でお察しか。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.0

安定の職人芸。砂山玉ヒュン映画。
わかりやすすぎデンヌな感は否めないのと、トリがミッションインポッシブルしすぎなのがちょっと劇的すぎるなーなんて思ったりもしたが、劇中描かれてないあの二人がここまでどう
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一晩中(1982年製作の映画)

4.0

ジャンヌディエルマンが縦で展開するとしたら、こちらは横で展開といった趣き。
夜の情報量の少なさと対比的に映し出される朝の眩さ。
電話で始まり電話で終わる。その合図があるまではいくらでも幻想を見ても構わ
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.5

アケルマン咀嚼しなさすぎて不安。
街をぶっ飛ばせ なのに、己もろともぶっ飛ばしてるのマジぶっ飛んでる。
初期衝動から病んでる。

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

3.0

アケルマンが母をどう想い、NYに対してどういう感情を抱いていたか些か不明瞭ではあるが、未練ともとれるラストの壮大な長回しには圧倒された。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

1.0

ラジオクラウドとか聴くときに広告ででてくるわけわからんゲームアプリを100倍ぐらいおもんなくしたゲームを強制プレイさせられてるかのような居心地の悪さ。
今を大切に生きることを多元宇宙からの幾つもの視点
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海辺の彼女たち(2020年製作の映画)

3.7

あまりにも何も解決されないことこそが問題提起なのだと受け取れる。
偽造書を受け取ったあとのバスに乗っているシーンで、たまたま救急車のサイレンが鳴る瞬間を編集に入れる。この感じが信頼できる。
日常と不穏
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その土曜日、7時58分(2007年製作の映画)

4.0

救いようがなくて良い。
各人物の殺意の芽生えが明白で殺す理由に無理がないので、尚のこと救えない。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.7

普通においおい泣いた。
保守で凝り固まった役所的な弊社の上層部全員に観せたい。
さすが紳士の国イギリスという出で立ち。
ただし、終わり方が予定調和すぎるのと感情の規定を強いる演出にカタルシスが足りなく
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.0

ここまでショットの選択を間違った作品も珍しいと思えるぐらい画がキツかった。
アングル、画角、ヨリヒキ、手持ちかFIXか、1Sか2Sか、切り返さずPANするのは悉くうまくいってない。全体的にとにかく緩い
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