犬さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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空の瞳とカタツムリ(2018年製作の映画)

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題材や役柄によっては仕方ないことだが、なんだか俳優の性的消費に思えてしまった。詩的な独白は静かなトーンの作風としてそこまでノイズに感じなかったが、『草の響き』同様に印象的なシーンやショットがないと脚本>>続きを読む

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

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『シックスセンス』の下敷きに言及するのは流石に野暮だと思うが、それにしても本当にそれがやりたかったの?と思わざるを得ないほどに切り返しの主張が激しいので蝋燭の火を吹き消してカメラが引いても「でしょうね>>続きを読む

太陽は光り輝く(1953年製作の映画)

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以前と今回で二回ほど鑑賞したが、葬列に感動することが出来なかったので何回観ても琴線に触れることはなさそう。

音楽(1972年製作の映画)

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ロマンポルノ然としたATG作品であり、ハサミとの因果関係は過去の近親相姦や心的外傷からなるもの。電話越しの「あるわよ、首のグリグリ。喉頭癌で死ぬんだわ」「典型的なヒステリー症状です」には笑った。

稲妻(1952年製作の映画)

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高峰秀子が意気消沈して心ここに在らずのときに向こうの空で稲光り(この瞬間が無条件に良い)してからの台詞と動線のリズム感が良すぎる。まず「今日泊まっちゃえば?」に対してノータイムで「帰る」って返す浦辺粂>>続きを読む

迷子(2003年製作の映画)

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迷子になった孫を捜索すべく公園内を奔走したり警察署に駆け込んだりするシーンはロングショットで冷淡なのに、なぜか祖母がトイレにいるシーンに関しては個室空間にまで入って(発端の公衆トイレでは洋式の上でヤン>>続きを読む

悪徳(1955年製作の映画)

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以前は時間に追われながら鑑賞して「そろそろ終盤かな」と思い時間を確認したらまだ半分も進んでないことがあったが、「今回こそは」と思い改めて再見したものの全く同じ感覚に襲われてしまい退屈。

やくざ絶唱(1970年製作の映画)

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勝新太郎の暴力が殺陣並みに速くて本当にアクションが上手い俳優だと痛感する。シスコンと貫禄のギャップに笑ってしまうのだが、そこが最大限に活かし切れてないというか、父性に落ち着いてしまわずボディガードのよ>>続きを読む

赤い天使(1966年製作の映画)

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生と死が隣り合わせの環境下にて、兵士による性欲と暴力が露悪されるも献身的に使命を全うしながら罪をも赦し自らの枷とする若尾文子の歪なナイチンゲールが異様な艶かしさを放っている。従順、且つ愛欲な「西が勝ち>>続きを読む

兵隊やくざ(1965年製作の映画)

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殴るだけの暴力ばかりで相当退屈。シリーズものみたいだが、増村保造が監督している作品以外は鑑賞しなくていいかな。

清作の妻(1965年製作の映画)

3.0

目潰しだからギリ反戦映画として留まっているように思えるが、切り落とす部分が性器であればメンヘラ映画として確立されている。しかし、本当に異常なのは若尾文子ではなく目潰しされても惚れ込んでしまっている田村>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

松村北斗と上白石萌音の前職と現職、及び二人を取り巻く環境の中で誰一人として陰口や嫌味を言う人間には焦点が当たらず、説教臭さや親切の押し付けなんてこともなく全てが適切な優しさと思いやりに満ち溢れていて泣>>続きを読む

からっ風野郎(1960年製作の映画)

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三島由紀夫の動きが悉くダサく段取りが透けて見えて恥ずかしくなってしまうが、『遊び』の内田朝雄に比べたら断然許せる。ラストもそのまま潔くエスカレーターに運ばれれば良いものを、ジタバタするから滑稽に映る。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

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ヌリビルゲジェイランのような長尺なりの強度があるショットを求めてしまう(靡くシーツを抜けて漆喰を塗る二人を捉えるトラックインは良い)ほどに切り返しが占める乏しい画面展開には退屈を余儀なくされるが、何よ>>続きを読む

メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版(1997年製作の映画)

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時代の切り取り方に初期の豊田利晃っぽさを感じる。集合住宅の吹き抜けからテレビを投げたり、墓地の墓石の上に立ってキスする(もう少しだけ待って迫って来る霧に包まれて欲しかった)など、印象的なシーンが散見さ>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

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タイムリープや夢の多重構造を縦横無尽に駆け巡るアニメーションの可能性、その自由度の高さに呼応する郷愁的な儚さ。『うる星やつら』を初めて観たが、ラムちゃんの可愛さが異常。余談だが、作品の面白さは前提とし>>続きを読む

“それ”がいる森(2022年製作の映画)

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なんだこの『サイン』と『宇宙戦争』を鑑賞して寝不足のまま片手間で書き上げたような粗末な脚本は。まず、なぜこれでOKが出たんだ?と思うほどに地球外生命体の造形が安すぎる。せめて残酷描写に振り切れていれば>>続きを読む

遊び(1971年製作の映画)

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内田朝雄と高橋惠子の演技がしんどいに尽きる。ラストの「泥舟に乗ったつもりで〜」を地で行く感じがなんかもう刹那的にアホすぎて泣けてくる。

殺人捜査線(1958年製作の映画)

4.0

初速の早さから期待値が爆上がりするのは勿論のこと、展開と見せ方の技巧に一切の弛緩を許さない顛末で震え上がる。消音銃による射殺シーンのサウナ室や階段(鏡の反射)も然る事乍ら、マクガフィンに留まらない日本>>続きを読む

悪の階段(1965年製作の映画)

3.0

邦画にしては珍しいほどのバキバキなフィルムノワールで脚本も照明もカッティングも抜群。濃い陰影が映える山崎努の顔面やカッティングに応える団玲子の眼差し(二重幅の綺麗なこと)が最高。加東大介の情けない起爆>>続きを読む

百年恋歌(2005年製作の映画)

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三部構成にて異なる時代の恋愛模様をスーチーとチャンチェンがそれぞれを演じる形式は良いが、『ミレニアムマンボ』同様にあまりハマらず。

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

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暗い室内の間接照明がムーディーな雰囲気を醸しているし、夕張の雪景色に並ぶ映画の看板には風情を感じるが、何せストーリー性が希薄で取るに足らない。

西瓜(2005年製作の映画)

3.0

寡黙な変態性に磨きが掛かって露骨ではあるが、ここまで確信的に作家性として描けたら無敵だと思う。スイカセックスとミュージカルと静謐なロングショットの不均衡とされた末路に非倫理的な死姦からの壁一枚口内射精>>続きを読む

無無眠(2015年製作の映画)

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リーカンションが良い年の取り方をしているし、安藤政信は間違いなく良い出演の仕方をしている。夜も眠らぬ雑踏の渋谷に安息の地として五臓六腑を染み渡らせる銭湯の湯。無論、台詞なんて不要なシークエンスの地続き>>続きを読む

救命士(1999年製作の映画)

4.0

警光灯のギラつきも然る事乍ら、輪郭が浮き彫りになるほどの白光りや濡れた路面に反射するライトなど色気を帯びた照明が堪らなく良い。患者に対する不快と憐憫の二律背反がスコセッシ的であり、荒廃したニューヨーク>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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クローネンバーグの骨組みにジュネの肉付けをしたような怪奇な世界観を『籠の中の乙女』から『ロブスター』に具象化したオチまで皮肉に落とし込むランティモスのアプローチは支配からの脱却、即ちジェンダーロールの>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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鳩のストレスよろしくミシェルウィリアムズの地味なストレスがフラストレーションとしてジワジワと顕在化していくが、彼女に降り掛かる外的要因はなんだか日常的で些細なことのように見える(給湯器は辛いけど)。個>>続きを読む

斬る(1962年製作の映画)

3.0

これほど冒頭からバキバキにキマっているのも珍しい。画面四隅の対角線上に顔を位置する構図を初めて見たのだが、あまりの刹那的な美しさに思わず息を呑んだ。まるで避けるチーズの如く縦にひらりと一刀両断するシー>>続きを読む

痴人の愛(1967年製作の映画)

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小沢昭一が育て上げた独占状態のファムファタールによる気持ち悪い変態映画。結局、おっさんが未練がましくて女の尻に敷かれるだけというオチは何とも弱いが、やはり増村保造は変態に振り切れている方が面白い。そし>>続きを読む

荒馬と女(1961年製作の映画)

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前半と後半で印象が変わるがタイトルからして本題は後半な訳だが、尺の長さからして話運びが上手いとはお世辞にも言えない。なぜマリリンモンローの相手がモンゴメリークリフトではなくクラークゲーブルなんだと思っ>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

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能動的に行間を読むことが必要とされる杉田協士作品として今作もまた御多分に洩れずと言った感じだが、個人的には余白や背景を汲み取る/落とし込む/味わう、ということが出来なかった。映画ワークショップにてパー>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

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『不眠症』
エテックスの脳内再生による劇中劇がクオリティの高いゴシックホラーだからこそ現実世界の小ネタが最大限に活かされている。

『シネマトグラフ』
まさにジャックタチイズムとも言える観客の無秩序な
>>続きを読む

バス停留所(1956年製作の映画)

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ずっと牧場暮らしで女を知らないカウボーイが酒場の色気抜群な歌手に一目惚れをして傍若無人に振る舞うっていう興味を惹く導入なのに、その後の展開がつまらな過ぎて完全に脚本が悪い。吹雪で進めなくなったバスが再>>続きを読む

結婚協奏曲(1952年製作の映画)

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こういう系のオムニバスって天界からの救済によるファンタジー要素の印象が強いけど、二年半後に婚姻関係の無効化が通達された各夫婦の反応と転機というのは少なからず現実性を帯びた展開で入り込みやすい。

絶好調(1965年製作の映画)

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秩序に囚われたキャンプ場からの脱出により同じ空の下でも開放感が違って見える。強制収容所のシークエンスはもっとガチガチに誇張しても良い。

破局(1961年製作の映画)

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チャップリン的なユーモアからの唐突な落下事故。見下ろそうとするところで終わってしまうのがなんとも後味の悪さを感じさせる。