家族だから、母と娘だから、
だから、わかることもあるし、わかり合えないこともある。同じ女で同じ母親だから。積み上げた日々に絡まった糸が、交わす言葉たちによってほどけたり、絡まりを強めたり。
後ろめたさもある。それでも、目を背けたいこともある。知らないことにしておきたいし、過去に変化なんて要らない。寂しくないことが寂しい。心にぽっかり空いている気もするけど、案外忙殺される日々に埋まったりも>>続きを読む
「嘘から出た実」とは言うが、彼はどこまでも偽物の英雄。滑稽でもあり、それこそ偽物の真実でもあり。偽物ではあるけれど、ときに逃げない男の姿がかっこよく見えることもある。ごく稀に。
ありふれた出会い、気がつけば一緒にいる誰か、流れゆく日常。劇的でなくても奇跡でなくても、そのひとつひとつに意味がある。あの日あのとき、君に会えてよかった。それだけで悪くない日々は続く。
夏の間のよそ者と、地元で鬱屈を募らせる若者たち。刹那に交わる彼らが求める魂の高ぶり。一度踏み出したら進むのみ、その先が破滅だろうが走るだけ。
些細な嘘と、ちょっとしたトラウマ。ほんの少しの偶然や出来事だけれど、当人にとってはこれほどに大きなことなのかもしれない。誰しもが抱える小さな秘密、他人は笑わせてもらえばよい。笑ってもらうことでその問題>>続きを読む
明日、もし明日世界が終わるとしても、身体の言い分に従うだけ。
=魂に正直であれ、ということなのか。
たった一度、彼女が名前を呼ぶ。
もう一度と期待することを幸せと知る。
破滅的でも刹那的でも、光が差すことはないと知りながらも、その一度が彼を突き動かす。
最初は些細なひび割れが、次第にその歪みを大きくしていく。揺るがないものなどないのかもしれない。ぽかんと空いたパズルの一片、別のピースで埋めようとて過不足なくはまるなんて、なかなかないのだ。
穏やかに続くと思っていた日々が突然の悲しみに奪われる。少女と青年の喪失と再生。悲しみが癒えることはなくとも、少しずつ痛みが和らぐように、彼らにやさしい明日が訪れることを願う。あたたかな光はやがて彼らの>>続きを読む
退屈と満たされないは似てるけど違う。レオニーの退屈は、誰しものある日の自分。ほかの誰でもない自分だけれど、案外どこにでもいる平凡な私は明日を待ちわびないし、将来はなんとなくやってくる。だけど、退屈しな>>続きを読む
トモダチ、コイビト、シンユウ、シリアイ…名前を付けようとするから、ときに人は面倒くさい。だけど、レンタルだから。予め役割が決まっているから、全部面倒くさくないと言えば嘘になるけど、いいとこ取りもできる>>続きを読む
予期せぬこと、それはいつでも訪れる。偶然かもしれないし、偽りや誰かの企みかもしれない。
幸せが続くことを願うなら、それからどうする?
反抗とも従順とも。はじめての世界、一つ一つが冒険であったとしても、ほんの少しにたくさん経験したところで、価値観は揺るがない。親子は結局変わらない。
マモちゃんになりたい、それは究極の執着。心が動くままに、この世界からその人を失わないために、日々の片隅にでも在り続けるために。そのためならば恋人になれなくても構わない。…なんて、言えないんだよ、普通は>>続きを読む
国を治めた女王と、やがて堕ちゆく女王。賢く気高くあった二人の女王が、その道を分ける。男の野心と陰謀、女が女であること、その繊細な心の機微に触れる。
夢と勇気と信念と希望。
色とりどりにストーリーを抱くその場所は、どんな逆境にあろうともその人に寄り添っている。
兄の瞳に映る絶望と、妹に見るむき出しの人間。窓から光が差す、花火が夜を照らす、彼らには明日が来る。その明日がどうしようもなく深い闇に覆われ、また絶望を繰り返すのだとしても。
守るために傷つき、愛するがために傷つける。均衡のとれないふたりと、ひとり。踏み出した彼女たちが、やがてかつての箱庭を覗いたときに、ただただ温もりを感じたら良い。
感じる居心地の悪さ、違和感、不協和音、それらがある日を境に姿を現し、なんとなくから明らかに日常を侵しはじめる。
伝えたいのか、潜めていたいのか、その声は誰がために在るのか。
女の野心、女の脆さ、女のあざとさ、女の強さ、女の……
女たちを支配するのは、ときに隣の女であり、ときに時代、ときに権力、ときに過去である。そして、愛に支配されるのもまた女。
奥底にしまわれた記憶は、
拭うことのできない痛み。
だが、痛みを癒すも人であることを知る。
じいさんの人生の報告を聞きたい。
深く刻まれた皺のひとつひとつ、
そこにどんな物語があるのだろう。
それは>>続きを読む
死ぬのも生きるのも、命の選択。
その選択は誰に委ねられるのか。
否、その権利は存在するのか。
それでも、
死ぬことを選ぶ者もいれば、
生かされる者もいる。
めまぐるしく移る主導権、
舞台を支配するのは誰だ。
その芝居、その嘘、その目的。
後始末をやってのける幕引きは、
なるほどと妙に落ちた。
みんなの知るチワワちゃんと、みんな知らないチワワちゃん。そのどれもが少し違っていて、だけどどれもチワワちゃんの本当。刹那的にこぼれ落ちる日々は、いつだって終焉に向けてカウントしてる。チワワちゃんのいな>>続きを読む
誰にとっての幸せか、
誰にとっても幸せ、は在るのか。
その答えを彼女は見つけたのだろうか。マギーは自身の幸せをどのように定義するのだろうか。
娘がいて「母」がいる。母がいて「娘」がいる。その依存が強いがゆえの危うさに、大きな愛が苦しくて。壊れゆくことが必然で、それでもゆく末に残るのも愛なのだ。
「おいしい」は無敵。伝統も革新も五感に広がる「おいしい」が人々を豊かにする。偏屈なおじさんも頑固なおばさんだって、だいぶ子供じみた“戦争”してたと思ったら、結局は「おいしい」には全面降伏。食べること、>>続きを読む
肉体が失くとも、魂がそこに在る。触れず交わさずの愛は記憶をたどり、時を彷徨う。彼女が解いてくれるその日まで。
この女たちは知っているのか、
この男が「彼」の愛した男であることを。
その視線の先に彼を映しているのか窺えない。
生きてるだけ、
それだけがどうしてこんなにも苦しいのか。それでも社会とつながりを求めてしまうのはどうしてなのか。
傷つくことは避けて通れない。
切り裂かれるような痛みも、
行き場のないもどかしさも、
それが愛おしい過去になるから。