ダイゴロウさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

3.6

『ミッドサマー』のアリ・アスター監督の映画学校の卒業制作作品。

30分弱でここまでメンタルを削ってくる作品を作れるのは流石…。

息子が父親を…。
観たことのない、監督らしい作品でした。

X エックス(2022年製作の映画)

3.5

若者が殺人鬼に殺されるホラー映画はいくらでもあるけど、殺人鬼が「老夫婦」となると、恐怖のほかに一抹の切なさも生じていて、その点に新しさを感じる。

老夫婦になっても愛し合う気持ちが変わっていない点は素
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.1

30分弱のフランスSF映画。
YouTubeで期間限定公開されていた大塚明夫ナレーション版を鑑賞。

静止画の紙芝居じゃないか…?
とは、思いつつ、設定や過去や未来に行く展開のSF感は、1962年にし
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ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

3.8

白人至上主義団体KKKに初めての黒人刑事であるロンが同僚のフィリップの協力のもとに潜入するスリリングで痛快な作品。

同時期の「グリーンブック」と比較されることも多いが、人種差別を描いた作品としては本
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.9

三島由紀夫の熱量のほかに、冷静さと優しさを感じることができた点が特に良かった。
作品として対立構造になっているものの、必要以上の野次が飛ぶこともなく、お互いにリスペクトしながらの討論である点で、鑑賞に
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坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async(2017年製作の映画)

3.7

坂本龍一のライブ映画。
演奏曲があまりにも前衛的な曲が多く、正直「もっとピアノを弾いてくれよ」なんて、かなり下品な感想を抱いてしまった。

今年、彼のピアノソロ演奏ライブの映画が公開されそうなので、楽
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一晩中(1982年製作の映画)

3.0

シャンタル・アケルマン監督作品。

ある夏の夜の様々なカップルの様子が描かれる。

描かれるカップルがことごとく物静かで、どこか冷たいような印象すら感じました…。
それだけに、散歩をはじめる仲睦まじそ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

昨年の話題作を今更ながら。

「最後の夏休みを再生する」
父と過ごした最後の夏休みを、ビデオテープを再生することで回想し、より彼のことを理解していく。

大人が、ただ大人の役割を演じる「いっぱしの人間
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天国と地獄(1963年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

黒澤明監督のサスペンス映画。

人情、画面の構図(特に人物の配置位置)、(宮部みゆきや松本清張の長編ミステリーを想起させるような)リアルで地道な捜査、強く印象に残る動機…およそサスペンス映画に求められ
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

3.6

フランシス・フォード・コッポラ監督作品。

戦争映画なので、もう少しシンプルな作品であろうと予想していただけに、後半の叙情的で幻想的な世界観に多少面食らう部分があった。

ベトナム戦争をかなり批判的に
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

リバイバル上映を映画館にて鑑賞。

原作未読の状態で鑑賞しましたが、ジャズの熱量に圧倒される素敵な時間を過ごせました。

強いて難点を挙げるなら、演奏シーンのCG部分がどうしても好かない点と、終盤の泣
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.1

シャンタル・アケルマン監督のデビュー作を鑑賞。

自主制作風の映画の12分ものなので、特に優れた作品だとは思えなかったものの、1作目から抑圧された女性に関するメッセージを感じる。

自由な作風に、映画
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砂塵にさまよう(2003年製作の映画)

3.7

おかしくて鬱陶しいくせにどこか憎めない主人公と、往年の名俳優かと見紛うほどの渋いおじさんの映画。

ヘビのしっぽを捕まえた主人公が案の定噛まれるシーンで笑ってしまった。
(主人公が子供過ぎる…笑)
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

映画館にて鑑賞。

PMSとパニック障害、テーマからして重たい展開も覚悟していたものの、思いの外軽やかな鑑賞感で描いてくれていて、非常に観やすい作品でした。

同監督の前作「ケイコ目を澄ませて」でも感
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

初めて鑑賞したゴダール作品。

自由にも程があるといった作風の映画で、鮮やかな色彩が楽しい芸術的な作品でしたが、ほとんどのシーンが即興演出ということもあってか(脚本と言えるものも無いらしい??)、台詞
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.9

映画館にて鑑賞。
寡作で知られるビクトル・エリセ監督の最新作。

3時間近い長大作でしたが、序盤の会話劇で睡魔が…。
後半の再会から尻上がりに面白くなっていったように思いましたが、作品として少し間延び
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

生まれつきの聴覚障がいで、両耳が聴こえないプロボクサーが主人公の映画。

初めての三宅監督作品でしたが、彼女の生きる世界が非常にナチュラルに描かれている(ように思われる)ところが魅力的にうつりました。
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

言わずと知れた名作サスペンス映画。
アンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクター博士の存在感と色気が最高!

それだけに、最後は主人公の元に現れてもう一暴れしてほしかったという願望が…。

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.0

映画館にて鑑賞。
舞台はブリュッセルの夜の街。
寝過ごしたことで終電を逃してしまった女性が寒々しい夜の街を心細げに歩いて帰る。

非常に静かな作品ながら、道中の人々との出会いは見応えもあって、優しさが
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Here(2023年製作の映画)

3.7

映画館にて鑑賞。

緑が印象的な、美しく、台詞や展開を必要最小限に抑えた、非常に静かな作品でした。

名こそ分からなくとも、人と人とは十分に触れあえますね。

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.2

IMAXにて鑑賞。

最高のライブを体験しているような感覚。
座らずに立って観たいと思った初めての作品。

『Slippery People 』辺りの曲の流れが特に感動的だった。

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

『哀れなるものたち』で同監督に興味を持ち、初期作品を鑑賞。

外の世界からの影響を避けるために、文字通り「家の中だけ」で子供たちを育てる奇妙で変態的な家族の物語。
家の中だけで育てると言っても、"監禁
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“それ”がいる森(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

肝心の"それ"がしょうもなくて、非常にちゃっちー感じのホラー映画。

家でツッコミながら鑑賞する分には、気楽に楽しめる作品でした。

これだけ多くの無垢な子供たちが犠牲になったにも関わらず、大団円みた
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.6

石川瑠華演じるユカのリアルな嫌さ…。

少し良い台詞は誰かの二番煎じだし、息をするように嘘をつき、責められた際には被害者面をする…。

ただ、この人間としての中身が空っぽな感じは、程度の差こそあれ、他
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

映画館にて鑑賞。

演技、演出、美術、物語に終始圧倒され続けた141分。圧倒的18禁。
エマ・ストーンの体の張りかたにも驚かされる。(『ラ・ラ・ランド』で既にアカデミー主演女優賞を獲得しているのに、挑
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風花 kaza-hana(2000年製作の映画)

3.7

相米慎二監督の遺作。

浅野忠信らしからぬ浅野忠信が観れる作品。
行き場の無い2人の旅が描かれる。
地味でドライな作品だけど、優しさに溢れている。
小泉今日子の演技が素敵だった。

台風クラブ 4Kレストア版(1985年製作の映画)

4.0

リバイバル上映を映画館にて鑑賞。
相米慎二監督の代表作の4Kレストア版。

台風による大気の不安定さと思春期の不安定さが混ざりあい、ある種狂気じみた世界が描かれる。
台風は災害であり、決して楽しいもの
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ヤジと民主主義 劇場拡大版(2023年製作の映画)

3.9

映画館にて鑑賞。

映画というよりテレビ番組。
とは言え、内容は非常に興味深くて見応えがあった。

ヤジの政治的な思想は置いておいて、警察は自分の行動の法的根拠ぐらい共有したうえで業務にあたるのは当然
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宝島(2018年製作の映画)

3.9

ギヨーム・ブラック監督作品。
パリ北西のレジャー・アイランドのドキュメンタリー(的な)映画。

レジャー・アイランドで過ごす子供たちや老人、スタッフなどをただ写した映像を流す作品であるため、物語性こそ
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釣りバカ日誌(1988年製作の映画)

3.8

人気シリーズの第一昨。
夫婦の営みの描写が斬新。

浜ちゃんは少し極端ですが、仕事と趣味の比重において、仕事に重きを置いている人が日本には多すぎるのかもしれません…。
仕事は生活の手段に過ぎず、趣味は
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

4.2

誰でもどこかで聴いたことがあるであろう久石譲の『Summer』が最高。

北野武監督作品の中でも、暴力要素が抑えられた作品であり、万人に勧めやすい傑作でした。

やや下向きがちな子供が、色んな意味で特
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ションベン・ライダー(1983年製作の映画)

3.5

ミニシアターで鑑賞した相米慎二監督作品。

(非現実的なほど)若者のエネルギーがほとばしる点は、代表作の『台風クラブ』や『お引っ越し』に通ずるものがありました。

とにかく運動量がすごい。走って、落ち
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.8

ミニシアターで鑑賞。
相米慎二監督作品。

鑑賞後、井上陽水の『帰れない二人』の歌詞が刺さる…。
交通事故で死亡してしまったキャンペーンガールが主人公ではあるが、暗い作品ではなく、寧ろ明るくて楽しい映
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エル・スール(1982年製作の映画)

3.9

寡作で知られるビクトル・エリセ監督作品。(瞳をとじての予習。)

相変わらず景色が美しく、静かな作品。

「エル・スール(南)」を最後まで描かない締め方に、潔くて渋い印象を持ったものの、これは予算の制
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.8

ビクトル・エリセ監督の代表作。(新作のための予習で鑑賞。)
スペインの小さな村の風景がとにかく美しい作品。

少女たちの衣装もきまっている。
(アナ・トレントがとにかく可愛い。)