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龍の歯医者の映画初心者のレビュー・感想・評価

龍の歯医者(2017年製作のアニメ)
3.5
鶴巻監督作品。鶴巻監督と言えば、FLCLやトップ2のイメージが強いです。この作品はそれらの作品に比べると弱い。これぞ凡作という印象。

竜の歯医者をする人々がいた。竜には特別な力があり、地上世界で死んだ人間が時々竜の上に姿を現すことができる。竜と地上世界は特殊な障壁が交わらないようになっていたが、地上世界の人間たちはそれを良く思っていなく,,,というあらすじ。

ボーイミーツガール。地上世界で死んだ少年が竜の上にいる歯医者の少女と出会う。歯に存在する虫歯菌といった敵キャラを倒す日々を描いていく導入。この序盤は王道な展開。そのためか、安定して見られる。少女と少年の交流物語、敵を倒しながら交流を深めていく。しかし、後半部。地上世界に落ちてしまった少年少女を描き始めてから魅力が一気になくなったように思えた。それは、地上世界の生々しい戦争の世界と竜の上の世界のギャップが開きすぎていて別の作品を見ているかのようだった。戦争の描写や軍事キャラも少し古めかしいもので残念。そのため、後半部はあまり好きではない。

映像としては、アニメーションとしては良かった。原画のメンバーを見ると豪華な人たちが参加している。沖浦さん、本田さん、など日本トップのクリエイター。それらの人が参加しているだけあって、動きが豊で良い。一方、美術はあえてラフ、色むらを表現しているけれどそれが妙にあっていないように思えた。また、動画線が弱いのか、線にノイズが乗っている印象がある(撮影処理かもしれない)。

印象的なシーンは、歯をワープする敵キャラ。高速に移動してスパスパと歯から歯へとワープする。その速い動きが話としても映像としても「転」という印象を受けた。他は、歯の中に入ったキャラクターが2001年宇宙の旅のワープシーンのようにシュールな映像を見るシーン。エヴァ破のようでもあり、MEMEMEの一部シーンのようでもあり。そのシーンは一番映像的魅力が大きかった。色彩豊かにエフェクトが動きまわり、面白いものだった。

【総評】
正直微妙なところが多い。話や美術があまり好みではなかった。アニメーションの出来は良かったが、風立ちぬを直前に見てしまったためか、豊さが足りないように感じた。ジブリ作品と比べるのは予算からも適切ではないけれども。
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