いめーじ

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のいめーじのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スマホゲー生まれのグループを単独アニメにしたシリーズ3作目。
おなじみの花田センセは不参加だけど、俺は彼の実力を信用していないので嬉しかった。

キャラ作画は過去シリーズのような艶めかしいキラキラなタッチから一新され、現代アニメらしいスッキリとした線と塗りになっており、判子絵現象も滅多に起こらず、非常に受け入れやすかった(失った魅力も大きいと思うけど)。
胸の形だけは妙にハッキリと描かれているように見えたんだが、正直に言えば制服越しに触りたくなる。
ほぼ毎回あるライブパートはパフォーマンス中のCGも文句なしのクオリティで、よく言われる手描きでやって欲しいなんて気持ちは一瞬で引っ込むし、挟まれる日常のカットも最高にかわいくてMVとして出来が良すぎるよ。『ツナガルコネクト』『VIVID WORLD』『Butterfly』『Solitude Rain』は曲のクオリティに関しても特に最高。ボカロPやFuture系で有名なトラックメイカーも参加しているのでサウンド的にも新しさがあった。OP・ED・サントラも上質。
でも作中にある楽曲制作の描写は璃奈がDTMやってるくらいなもので、ほとんどの歌が即興にしか見えない都合の良さが不気味。ラブライブのミュージカルシーンは大抵そうだが、彼女達はソロなので余計に気になってしまう。個人的には苦手な部類の省略でしたね。

作品のコンセプトも今までとの差別化を図っていて、投稿した動画の再生回数がリアルな数字だった描写もあれば、「ラブライブなんて出なくていい」なんてセリフも飛び出し、スクールアイドルの大舞台を義務とせず、サンシャインとは違った意味でローカルなアイドルが描かれている。
ソロアイドルの形態はそれぞれの個性を肯定するテーマと合わせておもしろいし複数の色で構成される虹を体現しているんだけど、各自がソロ路線に至る理由が曖昧で、まずユニットの発想も無いのかと疑問が湧くし、ソロプロジェクトである前提に縛られ過ぎて大いなる力に操作されてるような行動に見えてしまった。

主人公でありアニメオリジナルキャラクターでもある侑ちゃんのキャラデザは最高。パッと見シンプルだけどツインテールのグラデーションが充分に個性的で掴みたくなるし、髪を下ろしたカジュアルな姿にもドキッとしてしまうよ。
侑ちゃんは文字通り「YOU」を意味する存在だったと思うのだが、良くも悪くも凄まじくキャラ立ちしていたから、中途半端に視聴者と重ねられても素直に見れない。実際、最終話を観終えてからYOUの意図に気付いたもん。俺がブヒブヒしすぎて察せなかっただけなのか?アイドルとファンの距離を描きながらゼロ距離の友愛も同時に見せられるしワケがわからんのよ。乙女ゲー主人公ばりのナチュラルな口説きや、オタクの身で推しに抱きついてスリスリするのも侑ちゃんにしか許されないだろうね。百合ならOKみたいなのって小賢しいよ。
でもラストで音楽の道に進んだ行動力は素直に見習いたいし、メタ的に応援してくれた同好会の皆の気持ちも受け止めたい(だから続編の必要性を感じられないんだよな)。

一番好きなキャラはかすみん。世界一かわいいよって全肯定したい。アピール動画に低評価を押したい。

どの個人回も満足度は高かったが、終盤は少々やりすぎたんじゃないかというのが本音だ。「私だけの侑ちゃんでいて」の辺りは演出の質自体は良かったけど、男の作った百合オタク演出感がハンパない。見せ方が本気すぎて思い返しても異様に浮いてるし、作品のテーマや同時に進行しているフェスティバルの件がクソどうでもよくなった。侑の足を挟むところなんか俺でもちょっと引く。

最終話は急にラブライブらしさ全開のノリになって若干ついていけなかったな。

まとめると好きな作品にはなるのですが、全体的にはアンバランスで絶賛はできない複雑な心境。これからもライブパートだけは何度も観たい。