平田一

NIGHT HEAD 2041の平田一のネタバレレビュー・内容・結末

NIGHT HEAD 2041(2021年製作のアニメ)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

旧シリーズ「GENESIS」よりかは見ごたえがありました。

1992年にフジテレビで放送されたSF特撮テレビドラマを、再創造した新シリーズ。過去に一度アニメシリーズ(「NIGHT HEAD GENESIS」)がオンエアもされていて、そちらは動画配信サイト「U-NEXT」にて拝見(ドラマは「FODプレミアム」の無料体験時に視聴)。ハッキリ言って、本作の方が大変良かったです。

時は2041年。精神エネルギーの存在を完全否定した日本。超能力は勿論のこと、超常現象を扱った書物や映像などといった創作物も危険思想と判断されて制限された。そんな日本に突然変異のごとく現れた兄弟。危険思想を取り締まる特務部隊の別兄弟は、互いに引き寄せられてくように、邂逅し、ぶつかりあう―――。

元になったTVドラマは、ノストラダムスの大予言など90年代の雰囲気を意識的に沿ったような、充満する不穏な気配がかなり特徴的ですし、主役の霧原兄弟は強大な超能力に翻弄されて、苦しめられる……当時の日本では斬新な設定だったらしいです。

見たのでまあ分かるんですが、好き嫌いはハッキリと分かれるタイプのお話で、僕自身はもう一回なら見たいかなって印象です。

此度の「~2041」は過去作よりディストピアSF色が濃厚で(あからさまに「華氏451度」的内容など)、おまけに並行宇宙(マルチバースとも)というのも介入する拡大ぶり。偶然なのか話題性においてはホットでしたね。

ただ、結論を言っちゃうと、もうちょっと出来たはず。

元々は旧アニメ同様、24話予定で、その中には神谷司(普段はサラリーマンだけど、予知能力の力があって、TVにも出演して、信者も多い能力者)も登場の予定でした。ただこれは、12話に短縮したのが正解です。アイツ出ると物語が、冷血になっちゃうしw

サイキックバトルとかはまさに世界水準で、ハリウッド映画級の迫力さえありました(何度かホントにTVシリーズ?って考えたほどですし)。霧原兄弟は過去作より考え挑む強さがあって(旧アニメはイライラウジウジしすぎて、ストレスでした)、もう一人の黒木兄弟も終盤で行動したし、秋山唯は悲劇的なドラマ版より救われてたし(直也とちょっとイイ感じになりそうな予感もあったし)、“変革の先”というのが成程、とも思いました。

特に2041版の双海翔子は断トツです。一見どこにでもいそうな普通の女子高生なのに、実際は肉体を保つことが出来ないほどの、強大な力を宿した女の子でキーパーソン。旧アニメの双海翔子は、クールビューティー寄せというか、ちょっと孤高になれすぎちゃってる雰囲気がアレでしたけど、今回は平たく言うなら、達観はしてるけど、他人のことを思いやれる優しさがあるっていうか、クラスにいたら勇気をかけて話しかけたい親しみやすさ……柔らかい雰囲気のある女の子になってますね。2話の眠り姫よろしく、制服姿で眠り続ける姿は結構ドキッとしたし、そのせいか小林君枝の装飾過多感、目立ちますね(苦笑)

音楽面でもやまだ豊のサントラが素晴らしく、サントラをApple Musicで聴けないのが悔しいです(いつか聴けると嬉しい限り)。Who-ya ExtendedさんのOP「Icy Ivy」も、MyukさんのED「シオン」もスゴく良かったです。

ただ最初に言ったように、あくまで「GENESIS」よりは見ごたえがあるというのが結論です。

相変わらず奥原晶子の歪んだ頑固さは醜いし、奥原を狂信しすぎな新キャラ・本田大輔も、物語の試練の部分も過度に過酷で、イマイチです。もっと言うなら言動が偏りすぎなのが問題。それはこのシリーズすべて(実写映画版は未見)に言える困ったとこですね。

結末の駆け足具合もちょっといただけないけれど、描きたい意図や思いは何となく見えてきたし、これまでを総括させた面においても、価値はある。

少なくともこれまでよりかは、何度か見たくはなりましたし。
平田一

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