まさき

Serial experiments lainのまさきのレビュー・感想・評価

Serial experiments lain(1998年製作のアニメ)
4.0
サッパリ分からん。分からんけど何故か面白い。難解過ぎるけど、なんとなくは分かるのと、謎で満ちてるって雰囲気が良いのだろうか。そして、90年代のアニメ特有の暗い雰囲気は今見ると暗過ぎる。今だと、かなり人を選ぶんじゃないか。


本作は現実世界"リアルワールド"とネット世界"ワイヤード"の境界線を無くし、世界を操ろうとする組織の暗躍と図らずもその騒動の中心人物となってしまう主人公、玲音の物語だ。現実と虚構の境界が曖昧になる演出が多数ありかなり実験的で難解な作品だった。


正直、全ては理解できなかった。人は皆んなデバイスなしでも集合的無意識によって繋がっていて、その集合的無意識を介して記録=記憶を書き換えることで世界を操作できる?そのためにはリアルワールドとワイヤードの境界線を壊す必要があり、そのカギとなるのが人々の潜在的無意識の化身、lainである?


主人公である中学生の"玲音"、様々な人々が語る玲音とは全く違う性格の"レイン"の目撃談、ワイヤード上に存在して他人の秘密を覗き見ているとされる"lain"。複数の"レイン"が出てくる。それらは各観測者の潜在的無意識で玲音とは別人であり、それらは集合的無意識として繋がっている?わけわからん。


わけわからんけど、現在のSNSを筆頭にネットの情報や様々な不確かな情報によって、情報の真贋の区別なく人の思考が操作されて世界の見え方が歪んでるというのに繋がるテーマなんだろうな。この作品をネットがまだあまり普及していない90年代に作ったのは驚愕だ。


この作品が作られた時期を時系列で考えると、旧エヴァ'95の影響でアニメ全体が暗く難解なものが増えたのと、攻殻機動隊'95やパソコン通信とかネット黎明期だったこととか、本作が作られる土壌はあったんだろうな。企画は'96だっていうし。今見るには難解で暗すぎるけど、面白かったし名作だと思う。結末とかこの時代からこういうのあったんだって感じ。見て良かったと思う。当時はカルトだったろうけど、今や隠れた名作って感じかな。

正直、終盤近くになるまでサッパリ話が分からないし、このまま何が何だか分からないまま見終わったらどうしようという不安や、難解系なのとそれなりの時間を費やしたことで"面白くないのに面白いと言ってしまう現象"に陥いる心配とかあったけど、玲音の正体やこの物語がどういう話なのかとか結末とか、ちゃんと満足のいく結果が得られて本当に良かった。

ネットにたくさんある解説や考察も読んだけど、ゲーム版があってその内容も把握してると理解がよりしやすい。
まさき

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