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バイオハザード: インフィニット ダークネスのkuuのレビュー・感想・評価

3.0
『バイオハザード: インフィニット ダークネス』
原題:BIOHAZARD: Infinite Darkness
英題:Resident Evil: Infinite Darkness
製作年2021年。
全4エピソード。各25分~28分。

レオンとクレアの新たな活躍が描かれるシリーズ。
累計出荷本数1億1千7百万本以上を超えるゲーム『バイオハザード』シリーズ、世界初の連続CGドラマ。

2006年、ホワイトハウスの極秘ファイルへの不正アクセス事件が発生。
捜査のため召集されたレオンや、“ペナムスタンの英雄”ジェイソン達は、突如停電したホワイトハウス内で正体不明のゾンビ達と遭遇する。
一方、クレアは難民支援でペナムスタンに在留中、ある少年が描いた奇妙な絵と出会う。
そして、ウィルス感染者を描いたと思われるその絵をきっかけに、ペナムスタン内戦時に実施された、ある恐ろしい実験に辿り着く。
一連の事件の真相に近づくレオンとクレア、そして更に平和を覆す恐怖の発露が迫っていることが発覚する。。。

今作品は、多少の恐怖はあるものの、おそらく誰もがご存知のゲームシリーズをCGドラマ化したものとは思いにくい。
シリーズの筋金入りのファンであっても必見の作品ではないかな。
『バイオハザード4』と『バイオハザード5』の間に描かれるこの4部構成のミニシリーズは、政府の怪しい隠蔽工作についての物語だけど、中身が薄く、特にメチャクチャ面白い話もない。
シリーズの人気者であるレオン・S・ケネディ(ニック・アポストリデス)とクレア・レッドフィールド(ステファニー・パニセロ)でさえ、このCGの怪作をアニメーションの凡庸さから救うことはできにくいかな。
今作品では、ヒーローたちが馴染みのある領域を正反対の方向からカバーしている。
レオンは『バイオハザード4』でロス・イルミナードスから大統領の娘を救った後、完全にアメリカ政府に雇われており、ホワイトハウス内でゾンビの発生を食い止める際もスーツを着ている。 一方、クレアは架空の国ペナムスタンでNGOに勤務している。
ペナムスタンは、アメリカの利益と少数の生物兵器によって煽られた内戦によって引き裂かれた国。
4つのエピソードを通してほとんど画面を共有していないにもかかわらず、レオンとクレアは、米中間の緊張が沸点に達しようとしているときに、海外で新たなゾンビ・ウイルスを解き放つ秘密の陰謀を暴くという同じ使命を担っている。
研究所で栽培された生物兵器に関する陰謀、ホワイトハウス内でのウイルス発生、米中間の緊張、アメリカの外交政策を主導する戦争屋。。。
今作品は、スパイ活動やゾンビを大量に巻き込んだ『ブラックホーク・ダウン』風の救出作戦の物語でそれらを包み込もうとしても、その影響についてはさほど繊細ではない。
しかし、これは、時事問題に言及することに喜びを感じつつも、それについて新しいことや興味深いことを語ることを恐れすぎている。
噛みつきのない物語でした(あくまでも比喩ですので)。
たしかに、今作品は少数の視聴者を惹きつけるかもしれないが、この番組がそのような言説に値するとは到底思えない。
レオンとクレア以外にも、インフィニット・ダークネスではバイオハザード・ファミリーに数人の新キャラが登場する。
元米国特殊部隊の工作員ジェイソン(レイ・チェイス)とシェン・メイ(ジョナ・シャオ)が物語の中心となる。
両者ともペナムスタンの内戦に関わる暗い過去を持っており、そこで大失敗した任務が4つのエピソードを通して広範囲に及ぶ結果をもたらすことになる。
どちらかがシリーズの主役になる可能性は低いが、ジェイソンとシェン・メイはレオンの冒険に十分なアクセントを加え、入り組んだストーリーを前進させている。
レオンの冒険と書いたのは、彼とクレアがトップバッターを分け合う一方で、レオン、ジェイソン、シェン・メイの3人がほとんどのスクリーンタイムを楽しむ一方、クレアの捜査は、最終エピソードで巨悪との最終ボス戦のためにすべての道が収束するまで、Bプロットに追いやられるから。
途中、いくつかのどんでん返しがあるが、そのほとんどは予想がつく。
実際、このミニシリーズは第2話で最高のカードを切っており、最後の2話はその余波を扱っているに過ぎないかな。
今作品は、後のゲームシリーズのアクション映画的なトーンで描かれているため、本物の恐怖はほとんどない。
とは云え、怖いシークエンスもなくはない。
それは、潜水艦の中で肉を食べるネズミが登場する場面。
あのアンデッドな生物が獲物に群がる様は、まさに鳥肌モンす。
また、原作に忠実に、ボディ・ホラーのグロテスクな瞬間を含む、非常に陰惨なシーンは期待してほしいかな。
リドリー・スコット監督の2001年の戦争映画が『バイオハザード5』や『バイオハザード6』のクリス・レッドフィールドのパートに重要なインスピレーションを与えたことを考えれば納得がいく。
細部まで作り込まれたCGアニメーションは、ゾンビが現れるまでは単なる軍事フィクションとして始まる戦闘シーンにリアリズムをもたらしている。
全体的に、このCGドラマ作品は、2017年の『バイオハザード:ヴェンデッタ』を含む、バイオハザードの過去のアニメ映画作品から見た目はステップアップしたように感じられる。
しかし、見た目だけではこの特にシリアスな章を進めるには不十分で、アクション・シューティングに発展することが多い。
バイオハザードの映画&ドラマ化作品としては、通常、それは当たり前のことであり、今作品を待ち望んだファンの多くはそれを求めたように、このミニシリーズはしばしば、より大きな野望を予告している。
今作品は難しい質問を投げかけつつも、答えを出すときには銃とゾンビを登場させる。
個人的には期待したよりは余り良くなかったかな。

※あらすじを抜粋しておきますが、ネタバレに抵触しますので、お気になられる方はお気をつけ下さい🙇。

エピソード1  25分
NGOで働くクレアが、ペナムスタンでラクーンシティを思い起こさせるものに出会う。
ホワイトハウスへやってきたレオンは、思わぬ襲撃に遭遇する。

エピソード2  25分
中国の生物科学研究所に潜入する極秘任務にあたるレオン。
エージェント仲間のジェイソンとシェンメイとともに、原子力潜水艦で上海へ向かうが。

エピソード3  25分
ペナムスタンから帰還したマッドドッグス隊の存命者の家を訪れ、凄惨な光景を目にするクレア。 レオンはシェンメイから不穏な陰謀にまつわる話を聞く。

エピソード4  28分
クレアを脅し、調査をやめるよう取引を持ちかけるウィルソン国防長官。
レオンとシェンメイは、地下にある巨大B.O.W. 開発施設の中へと急ぐ。
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